大学1年生のための化学 有機化学につながる14講

  • ページ数 : 239頁
  • 書籍発行日 : 2025年12月
  • 電子版発売日 : 2025年12月25日
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内容

大学化学,有機化学の考え方が身につく新しい入門テキスト
大学の化学を学ぶうえで必要な知識を厳選!高校化学や有機化学とのつながりを意識した解説で「どこがポイントか」がわかります.豊富な例題に取り組み,化学的な考え方に慣れることが,専門科目につながる第一歩!

序文

序文

理工系学部の化学・生命科学系学科,薬学部,農学部など,有機化学を主要な基盤学問とする理系学部は多数存在します.これらの学部では,その基盤学問であるにもかかわらず,有機化学を苦手とする学生が毎年多数現れます.

その原因の一つとして,有機化学は他の化学の分野と比べ,高校と大学の内容に大きな隔たりがみられることが考えられます.高校までの有機化学は,暗記的な色が強いのですが,大学の有機化学では,なぜそのような反応が起こるのか,その反応の規則性やメカニズムを考えることによって,「どのような反応が起こるのか」を予測できるようになることが求められます.

一方で,高校化学と大学化学の架け橋となる1年次の「基礎化学」「一般化学」で使用されるテキストでは,有機化学を考えるための基礎となる,原子軌道,混成軌道,酸と塩基,酸化と還元などについて扱ってはいるものの,物理化学や無機化学などの他の主要分野と比べて,学生にはその「つながり」が見えづらく,有機化学の内容と基礎化学で習う内容を別のものとしてとらえがちです.

また,基礎化学のテキストの多くは,有機化学をほとんど扱っていないか,その扱いが極めて表面的であり,大学での有機化学的なものの見方や考え方の初歩的なことすら修得しづらい内容となっています.そのこともあり,有機化学に関連する専門科目を学ぶ際に,せっかく1年次の基礎化学で学んだことの活かし方がわからず,有機化学を苦手としてしまう学生が多いのではないかと考えています.

本書では,化学全般に関して,初歩的な知識や考え方から説明するとともに,例題や章末問題を120 以上と豊富に用意しております.高校であまり化学を学習してこなかった学生の方でも,有機化学に限らず,これから化学系の専門科目で必要とされる基礎的な知識や考え方が修得できることを目指しました.それに加えて,これらの基礎的な知識や考え方が,特にその「つながり」の見えにくい分野である有機化学を考えるうえで,どのように活かされるのかを把握できるように心がけました.また,本書の後半では,類書に比べて有機化学に多くのページを割いています.有機化学の原則的な反応について,その規則性やメカニズムを,本書の前半の内容と関連付けながら詳しく丁寧に説明することで,「どのような反応が起こるのか」がおおよそ予想できるようになることを目指しました.

本書を通じて,特に有機化学に関連する専門科目を,苦手とせず,自信をもって学ぶことができるようになればと願っています.


2025年11月

著者を代表して
木藤 聡一行

目次

第0章 化学における量のあらわし方

1. SI単位

 1)SI単位系 2)SI接頭語

2. 化学で重要な物理量

 1)質量 2)体積 3)物質量

3. 原子・分子の質量と物質量

 1)原子番号と質量数 2)相対質量 3)原子量 4)分子量と式量 5)物質量

4. 密度と濃度

 1)密度 [例題1]密度 2)濃度 [例題2]質量パーセント濃度 [例題3]モル濃度 [例題4]溶液の希釈

現場につながる化学〜体積パーセント濃度(w/v%)を使う意味は?

章末問題

第1章 原子の構造と電子配置

1. 電子殻と軌道

2. 電子配置

3. 電子配置の具体例

 1)炭素原子C 2)カルシウム原子Ca [例題1]電子配置の書き方① [例題2]電子配置の書き方②

4. 軌道の形

5. 電子の状態と量子数

 1)量子数 2)主量子数 3)方位量子数 4)磁気量子数 5)スピン量子数 6)量子数による電子の状態のあらわし方

章末問題

第2章 化学結合と化学構造式

1. 価電子とオクテット則

2. 化学結合の種類

 1)イオン結合 2)共有結合 3)配位結合 4)金属結合

3. 化学構造式の書き方

 1)原子価 2)ルイス構造とケクレ構造 [例題1]ルイス構造 3)骨格構造式 [例題2]骨格構造式① [例題3]骨格構造式② 4)形式電荷 [例題4]形式電荷 [例題5]共有結合

4. 異性体

現場につながる化学〜配位子の交換が抗がん活性のカギとなる

章末問題

第3章 混成軌道

1. 分子中における炭素原子の軌道

2. sp3混成軌道

3. sp2混成軌道

4. sp混成軌道

5. 混成軌道の見分け方

 [例題1]混成軌道① [例題2]結合角 [例題3]混成軌道②

章末問題

第4章 分極と分子間相互作用

1. 共有結合の分極

 1)電気陰性度 2)分極 3)σ結合の分極 4)π結合の分極 5)π結合と共役 [例題1]分極

2. 共鳴構造式

 1)共鳴とは 2)電子移動による共鳴構造の導出 [例題2]共鳴構造式

3. 分子間相互作用

 1)分子間相互作用の定義 2)静電相互作用 3)分極で生じる双極子モーメント [例題3]双極子モーメント 4)双極子間相互作用によって引き合う力 5)ファンデルワールス力 6)水素結合によって引き合う力 7)疎水性相互作用によって引き合う力 8)溶解性 [例題4]沸点

現場につながる化学〜いろいろな相互作用がかかわっている場面は?

章末問題

第5章 反応の速さと化学平衡

1. 化学変化のあらわし方

 1)化学反応式 2)化学反応式のあらわす意味 [例題1]化学反応式① [例題2]化学反応式② [例題3]化学反応式③ 3)可逆変化とそのあらわし方 4)化学反応に伴う熱量変化

2. 反応の速さ

 1)反応速度 2)反応速度式 [例題4]反応速度① 3)反応速度を決める因子 4)反応速度を決める因子から導かれる反応速度式 [例題5]反応速度② 5)一段階反応と多段階反応 [例題6]反応速度③

3. 化学平衡

 1)平衡状態 2)平衡定数と化学平衡の法則 3)平衡の移動とルシャトリエの原理 [例題7]ルシャトリエの原理

4. 平衡定数とギブズエネルギー

 1)平衡定数と化学変化の方向 2)ギブズエネルギーと化学変化の方向 3)平衡定数とギブズエネルギーとの関係

章末問題

第6章 酸と塩基

1. 酸と塩基の定義

 1)アレニウスの定義 2)ブレンステッド・ローリーの定義 3)ルイスの定義 [例題1]酸・塩基の定義

2. 電離度,電離定数

 1)電離度 2)電離平衡

3. 水の電離とpH

 1)水素イオン指数pH 2)水のイオン積 [例題2]pH① [例題3]pH② [例題4]pH③ [例題5]pH④

4. 中和反応

 1)中和反応と塩 2)塩の性質 [例題6]pH⑤

5. 緩衝液

 1)酢酸/酢酸ナトリウム混合溶液 2)アンモニア/塩化アンモニウム混合溶液 [例題7]緩衝液のpH

現場につながる化学〜スライム形成と血液がんの治療薬の作用が同じ原理!?

現場につながる化学〜酸塩基平衡と血液のpH

章末問題

第7章 酸化と還元

1. 酸化反応と還元反応

 1)酸素と水素の授受による定義 2)電子の授受による定義

2. 酸化数

 1)酸化数とは 2)酸化数の求め方 [例題1]酸化数 3)酸化数と形式電荷の違い

3. 酸化剤と還元剤

 1)酸化剤と還元剤 2)半反応式 [例題2]半反応式① [例題3]半反応式②

現場につながる化学〜酸化数を化学構造式と価電子数から考える

章末問題

第8章 有機化合物の分類

1. 有機化合物と無機物質

2. 有機化合物の骨格をつくる炭化水素

3. 有機化合物の特性を生み出す官能基

 [例題1]官能基を見分けよう

4. 有機分子の変化―結合の切断・生成と電子の移動

5. 電子の移動と共鳴構造

6. 有機化合物が起こす反応の分類

7. 有機化学反応における反応剤

 1)求核剤と求電子剤 2)求核剤と塩基の違い

8. 有機化学反応における電子の移動と巻矢印

 [例題2]酸塩基反応の電子の流れを書こう

章末問題

第9章 アルデヒド・ケトン・カルボン酸誘導体と求核試薬との反応

1. カルボニル基の特徴

2. アルデヒド・ケトンと求核剤との求核付加反応

 [例題1]アルデヒド・ケトンの反応

3. カルボン酸誘導体の構造と求核剤との反応

 1)カルボン酸誘導体の構造的特徴 2)カルボン酸誘導体と求核剤との反応の概要

4. カルボン酸誘導体と炭素求核剤,ヒドリド還元剤との反応

 1)エステルとグリニャール試薬との反応 2)エステルとヒドリド還元剤との反応 [例題2]エステルの反応

5. エステルの加水分解反応

 1)塩基性条件下での反応 2)酸性条件下での反応

6. カルボン酸誘導体の求核剤に対する反応性とエステル/アミドの合成

章末問題

第10章 カルボニル化合物のα炭素における反応

1. アルデヒド,ケトン,エステルのα水素の酸性度

2. ケト-エノール互変異性

3. エノラートの反応形式

4. アルドール反応

 1)アルドール付加反応 2)3-ヒドロキシカルボニル化合物の脱水反応とアルドール縮合 3)異なるカルボニル化合物間のアルドール反応

5. クライゼン縮合反応

 [例題1]アルドール反応とクライゼン縮合

章末問題

第11章 ハロゲン化アルキルの求核置換反応

1. はじめに―有機分子の立体化学復習

 1)不斉炭素原子の見つけ方 2)エナンチオマー(鏡像異性体)とラセミ混合物

2. 求核置換反応とは

3. 求核置換反応が進行するハロゲン化アルキルに求められる条件

4. SN1反応

 1)反応の概略 2)反応機構とエネルギー図 3)反応速度への影響

5. SN2反応

 1)反応の概略 2)反応機構とエネルギー図 3)反応速度への影響 [例題1]ハロゲン化アルキル

章末問題

第12章 ハロゲン化アルキルの脱離反応

1. β脱離反応とアルケンの安定性

2. アルケンの特徴

3. E1反応

 1)反応の概略 2)β水素が複数あるハロゲン化アルキルのE1反応 3)E1反応のエネルギー図と反応速度への影響 [例題1]E1反応

4. E2反応

 1)反応の概略 2)SN2反応とE2反応の競合 3)β水素が複数あるハロゲン化アルキルのE2反応 [例題2]E1,E2の見分け方とザイツェフ則 4)E2反応のエネルギー図と反応速度への影響

章末問題

第13章 アルケンやアルキン

1. アルケン・アルキンの特徴と求電子付加反応

2. 求電子付加反応の配向性―マルコフニコフ則

 [例題1]マルコフニコフ則

3. ジハロゲン化反応―アルケンへのアンチ付加

4. アルケンの接触還元―アルケンへのシン付加

5. アルキンの接触還元

章末問題

第14章 芳香族化合物

1. 芳香族化合物(芳香族性をもつ化合物)

2. 芳香族化合物の求電子置換反応

 [例題1]アルケンとベンゼンの反応性の違い

3. 求電子置換反応における配向性

 1)電子供与基 2)電子求引基 [例題2]求電子置換反応

章末問題

巻末パネル〜化学構造式かるた


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書籍情報

  • ISBN:9784758121736
  • ページ数:239頁
  • 書籍発行日:2025年12月
  • 電子版発売日:2025年12月25日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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