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- ニュースタンダードで築く パーキンソン病の作業療法 -生活機能向上のための実践ガイド-
商品情報
内容
パーキンソン病患者を当事者・生活者視点で捉え、多様な症状に対して、薬物療法だけでは解決できないその人らしい生活を再構築するための知識と技術をまとめました。
パーキンソン病の基礎的な知識からリハビリテーションのありかた、そして臨床における作業療法士の役割、評価から介入、そして実践について述べられており、この一冊をきっかけにパーキンソン病患者に寄り添う作業療法士として、さらなる専門性を発揮することができるようになります。
序文
まえがき
この度,『ニュースタンダードで築く パーキンソン病の作業療法:生活機能向上のための実践ガイド』が上梓されるにあたり,専門医の一人として大きな喜びを感じるとともに,本書が果たすべき役割の大きさをあらためて実感しております.
パーキンソン病は,四肢の振戦や筋強剛,運動緩慢といった運動症状がよく知られています.しかし実際には便秘や嗅覚低下,睡眠障害,うつ症状,疲労,痛みなどの多岐にわたる非運動症状がみられ,当事者の生活に深刻な影響を及ぼします.そして,これらの症状は,日々の暮らしの中で「着替えが難しい」「食事が思うようにできない」「趣味活動が続かない」といった具体的な生活機能の低下へとつながり,当事者のQuality of Lifeを大きく左右する要因となります.
私たち脳神経内科医はパーキンソン病の診断と治療において,薬物療法を中心に運動症状の改善を目指し,病気の進行を穏やかにすることに注力しています.しかし,薬物療法だけでは解決できない,あるいは補いきれない生活上の困難が存在することもまた事実です.そこに,作業療法の真価があります.作業療法は,単に病状を軽減するだけでなく,一人ひとりの「したいこと」や「できること」に焦点を当て,その人らしい生活を再構築するための専門的なアプローチです.
本書の企画は,私が福岡大学に在籍していた当時,私のもとに学びに訪れた作業療法士の熱心な働きかけから始まりました.ちょうどその頃,大学病院においてPDナースの院内認定制度の整備が進み,パーキンソン病診療センターの設立を通じて院内多職種連携の取り組みが始まりました.多職種連携の必要性が国内外でも広く認識されつつありました.日本パーキンソン病・運動障害疾患学会(MDSJ)においても,2020 年より多職種連携やリハビリテーションに関するサブプログラムが新設され,その役割がより一層注目されるようになりました.
正直に申し上げれば,かつての私は作業療法について一定の理解をしているつもりでしたが,その奥深さや実践的意義については十分に認識していなかったかもしれません.作業療法の魅力を実感するようになったのは,今から3 年ほど前に京都で開催された日本作業療法学会の企画セミナーで登壇した時でした.そこでは多くの作業療法士がパーキンソン病に強い関心を寄せ,生活の具体的側面にまで踏み込んだ質問を多数いただいたことに大きな感銘を受けました.また,長年パーキンソン病研究の国際的なリーダーとして活躍されているオランダ・ラドバウド大学のBastiaanBloem教授から受けた影響も大きく,彼とは過去に学術活動をご一緒させていただく機会がありましたが,その深い洞察力に常に刺激を受けてきました.彼が中心となり,作業療法士向けのパーキンソン病治療専門書が多くの科学的根拠(エビデンス)に基づいて執筆されており,多職種連携の強化が積極的に進められています.このように専門的に高い視点を,科学的根拠(エビデンス)と共にしっかりと社会に発信する活動の重要性を痛感した次第です.個々の生活に寄り添い,課題に対する具体的な解決策を導き出す作業療法の実践知は,広く共有されるべき価値のあるものだと確信しています.
本書は,まさにその作業療法の実践に深く切り込んだ内容となっています.朝の起床から就寝に至るまでの基本的な日常活動を対象に,具体的な場面での工夫や環境調整の方法を専門的な視点からわかりやすく解説しています.さらに近年特に注目されている非運動症状への対応や,家族の役割といった,より包括的な支援も網羅しており,多職種連携の有益は指針となるでしょう.
そして,本書の大きな特長の一つは,各章の間に医師や看護師,行政関係者,アカデミアなど多様な立場の方々に登場いただき,それぞれの視点からパーキンソン病に関するトピックを語っていただいている点です.パーキンソン病の治療には,医師,看護師,薬剤師,リハビリテーション専門職(理学療法士,作業療法士,言語聴覚士)など多職種の緊密な連携が不可欠です.そのためには,お互いの専門性や役割を尊重し合い,理解を深めていくことが求められます.本書は,このような多職種連携の重要性を強く意識し,それぞれの立場からの情報提供を通じて,読者の皆様がより広い視野でパーキンソン病と向き合う一助となるよう構成されています.この書籍が,チーム医療の連携の輪をさらに強固にし,当事者の「生活機能向上」という共通の目標達成に大きく貢献することを心より願っております.また,作業療法のもつ力と魅力がより多くの方々に届くことを心より祈念いたします.
2025年9月
監修者を代表して
坪井 義夫
目次
【第Ⅰ部】パーキンソン病患者を取り巻く情勢
第1章 パーキンソン病とともに生きる当事者の想い(長城晃一)
1.パーキンソン病とともに生きるための心得
1)自尊心を保つ
2)コントロールできている実感を得る
3)前向きな思考を持つ
2.どのような症状に困っているのか
3.パーキンソン病の病期によって困る症状は変わる
4.パーキンソン病患者の症状と社会生活との関係
第2章 パーキンソン病に対するリハビリテーションの変革
1.医学モデルから統合モデルへ(髙橋香代子)
2.パーキンソン病患者にとってよりよい健康・幸福とは(大浦智子)
3.価値に基づいた実践(大浦智子)
4.患者報告型アウトカム(大浦智子)
1)患者報告型アウトカムとは
2)作業療法分野での患者報告型アウトカム
5.多職種連携・多職種協働(山田麻和)
1)パーキンソン病における多職種連携の意義
2)患者参加型の医療への流れ
3)多職種連携の中での作業療法士の役割とは
第3章 パーキンソン病特有の生活機能への影響
1.パーキンソン病患者を捉えるための枠組み(松原麻子)
1)作業療法実践枠組み(OTPF)
2)人-環境-作業モデル(PEOモデル)
2.遂行技能の制限
1)運動技能(松原麻子)
a.歩行・移動(山田麻和)/b.対象物へ手を伸ばす,握る,操作する(山田麻和)/c.持久力(山田麻和)
2)プロセス技能(松原麻子)
a.物の配置(空間と物の組織化)/b.問題への対処法(遂行の適応)/c.コミュニケーション・社会交流技能
3.活動・参加の制約
1)セルフケア(佐々木千波)
2)IADL(佐々木千波)
3)健康管理(佐々木千波)
4)仕事(扇浩幸)
5)余暇(中西一)
6)社会参加(扇浩幸)
4.心身機能・構造(長城晃一)
コラム①難病相談支援センターの役割と相談状況(河津博美)
【第Ⅱ部】パーキンソン病の疫学・分類・症状
第4章 パーキンソン病の疫学・分類・症状
1.パーキンソン病の疫学(武田篤)
1)高齢者人口とパーキンソン病の有病率
2.パーキンソン病の発症・診断基準(武田篤)
1)パーキンソン病の鑑別診断
2)パーキンソン病発症のリスクファクター
3.運動症状の種類・重症度と進行経過(市川忠)
1)無動
2)振戦
3)強剛
4)姿勢異常
5)歩行障害
6)姿勢反射障害
7)すくみ
4.非運動症状の種類・重症度と進行経過
1)非運動症状とは(馬場徹)
2)非運動症状の概要
a.認知症状(馬場徹)/b.精神症状(衝動制御障害を含む)(馬場徹)/c.睡眠障害(馬場徹)/d.疼痛・感覚異常(関守信)/e.便秘・泌尿器症状(関守信)/f.起⽴性低⾎圧(関守信)/g.疲労(関守信)
5.運動合併症(藤岡伸助)
1)日内変動,ウェアリングオフ,ジスキネジア
コラム②パーキンソン病の多職種連携モデルとパーキンソン病療養指導士の紹介(関守信)
【第Ⅲ部】パーキンソン病患者への作業療法実践の枠組み
第5章 作業療法の役割
1.作業療法の視点を活かしたパーキンソン病患者に対する実践(松原麻子)
2.意味のある作業
1)作業遂行・役割(松原麻子)
2)患者中心,エビデンス,臨床推論,そして治療方針の決定(大浦智子)
3)内発的動機付けによる⽬的指向行動(川﨑伊織)
第6章 評価
1.パーキンソン病患者における作業療法評価(長城晃一)
2.パーキンソン病患者における作業療法の評価プロセス(川﨑伊織)
1)パーキンソン病患者本人の作業遂行の問題の把握(佐々木千波)
a.カナダ作業遂行測定/b.作業選択意思決定支援ソフト
2)介護者の作業遂行の問題を特定する(久野真矢)
a.ASCOTCarers日本語版/b.Zarit介護負担尺度日本語版(J-ZBI)/c.カナダ作業遂行測定(COPM)/d.エスノグラフィック・インタビュー
3)作業遂行の観察(松原麻子)
a.AMPS/b.PRPP/c.A-ONE/d.書字の評価
4)特定の活動に関連する問題を分析する(松原麻子)
5)変動する症状や活動パターンの評価(長城晃一)
a.症状の日内変動と生活活動との関係/b.評価方法
6)医学的情報の収集(川﨑伊織)
7)心身機能・構造の評価(山田麻和)
a.心身機能・構造の障害の性質と程度/b.評価方法
8)物理的環境と福祉用具の評価(山田麻和)
a.物理的環境の重要性/b.評価方法
3.評価する時間帯・場所(中西一)
1)時間帯
2)場所
第7章 介入
1.作業療法介入の背景(長城晃一)
1)介入⽬的
2)臨床現場における介入の効果判定のイメージ
3)介入における指導で注意すべきこと
2.具体的な介入⽅法
1)セルフマネジメントの促進(髙橋香代子)
2)日常生活の再構築と活動の最適化(川﨑伊織)
a.優先順位の設定/b.活動の再構築/c.活動内容やスケジュールを介護者と共有する/d.活動の提案,設定
3)日常生活におけるストレスやタイムプレッシャー(川﨑伊織)
a.作業療法での評価方法/b.作業療法介入
4)注意を意識化させながらの作業遂行(山田麻和)
a.注意の意識化/b.介入方法と適応
5)認知運動戦略の適応(山田麻和)
a.認知運動戦略とは/b.介入方法と適応
6)デュアルタスクの最小化(山田麻和)
a.デュアルタスクとは/b.デュアルタスクへの介入
7)キュー,メンタルプラクティス,行動観察の活用(細川大瑛)
a.キュー(手がかり刺激)/b.キューの種類/c.活用の仕方/d.メンタルプラクティス
8)物理的環境の最適化(山田麻和)
a.環境調整と福祉用具の導入/b.介入方法
9)介護者への助言・指導(久野真矢)
a.理論的枠組み/b.介護者への作業療法介入/c.ファミリーレジリエンスの理解とサポート
10)運動・身体活動の促進(長城晃一)
a.身体活動(運動・生活活動)とは/b.運動の種類/c.運動の提供時間/d.その人の生活パターンから考える活動強度の視点/e.運動実施・運動習慣形成に障壁となる要因
11)ダンスを取り入れた介入(中西一)
a.ダンスの治療的活用/b.方法と適応
12)認知行動療法(久野真矢)
a.認知行動療法とは/b.CBTのパーキンソン病患者に対する有効性/c.CBTに基づいた認知行動変容アプローチを併用した作業療法/d.CBTに関連した介入
13)行動変容モデルを用いた介入(髙橋香代子)
a.無関心期/b.関心期/c.準備期/d.実行期/e.維持期
第8章 作業療法アウトカム
1.OTPFの8つの指標(松原麻子)
1)作業遂行能力
2)予防
3)健康・ウェルネス
4)QOL
5)参加
6)役割能力
7)ウェルビーイング
8)作業的公正
2.パーキンソン病の各症状に対する評価指標(川﨑伊織)
1)運動症状の評価指標
2)認知機能の評価指標
3)精神・心理機能の評価指標
4)ADL,QOLの評価指標
5)その他のパーキンソン病に関連する評価指標
3.その他の指標(長城晃一)
コラム③ PDナースの役割と紹介(山本澄子)
【第Ⅳ部】パーキンソン病患者への代表的な介入・形態・システム
第9章 医学的治療
1.パーキンソン病の基本治療(藤岡伸助)
1)薬物治療(藤岡伸助,長城晃一)
a.レボドパ・カルビドパ配合経腸用液(levodopa-carbidopaintestinalgel:LCIG)療法(デュオドーパⓇ)/b.ホスレボドパ・ホスカルビドパ水和物配合持続皮下注(ヴィアレブⓇ)
2)外科的治療(藤岡伸助)
a.脳深部刺激術(DeepBrainStimulation:DBS)/b.経頭蓋MRガイド下集束超音波治療(MRI-guidedfocusedultrasound:MRg-FUS)治療
第10章 介入形態(制度の特性や支援のあり方を中心に)
1.医療機関(山田麻和)
1)入院
a.支援のあり方/b.入院リハビリテーション
2)外来
a.支援のあり方/b.外来リハビリテーション
2.介護保険での介入
1)通所リハビリテーション(中西一)
a.通所リハビリテーションとは/b.対象・頻度/c.通所リハビリテーションでのパーキンソン病患者への支援
2)訪問リハビリテーション(大浦智子)
a.訪問リハビリテーションとは/b.対象・頻度/c.訪問リハビリテーションでのパーキンソン病患者への支援
3.その他
1)自動車運転支援(松原麻子)
2)就労支援(扇浩幸)
a.対象/b.就労移行支援でのパーキンソン病患者への支援(服薬管理/疲労/業務内容の検討/配慮事項の整理/就職活動)
コラム④ パーキンソン病に関連するテクノロジーと支援の可能性(笹井浩行)
【第Ⅴ部】パーキンソン病患者への作業療法介入(実践紹介)
第11章 パーキンソン病患者への作業療法介入(実践紹介)
1.実践紹介①:休職中のパーキンソン病のある女性の復職支援(扇浩幸)
1)基本情報
2)作業療法評価
3)作業療法介入
a.第1期(導入期)/b.第2期(安定期)/c.第3期(復職準備1期)/d.第4期(復職準備2期)
4)対象者の変化
5)結果の解釈
6)おわりに
2.実践紹介②:ADL・IADLに支障が出始めたパーキンソン病患者に対する短期間強化リハビリテーションの取り組み(山田麻和)
1)基本情報
2)作業療法評価
3)作業療法介入
4)結果(変化点)
5)おわりに
3.実践紹介③:軽度認知機能障害を呈したパーキンソン病患者に対する予後を見据えた作業療法支援の視点(川﨑伊織)
1)基本情報
2)作業療法評価
3)作業療法介入
4)結果
5)おわりに
付録:その人らしい暮らしを支える家屋環境のチェックポイント!(山田麻和)
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書籍情報
- ISBN:9784763995803
- ページ数:176頁
- 書籍発行日:2025年11月
- 電子版発売日:2026年1月15日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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