科学を育む 査読の技法 改訂版 + リアルな例文771

  • ページ数 : 192頁
  • 書籍発行日 : 2026年1月
  • 電子版発売日 : 2026年1月21日
¥4,840(税込)
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商品情報

内容

急な査読依頼ももう怖くない!頼れる定番書が堂々の改訂
急な査読依頼!どう乗り切る? そんな時の心強い定番書が堂々の改訂.査読で消耗しない心構えやテクニックから,査読システムの最新動向,生成AIとの付き合い方まで.そのまま使える英語例文集や,論文投稿で役立つポイントも必見.

序文

改訂版のはじめに


2021年に初版を刊行してから,約4年が経った.この間,筆者自身も査読について以前より深く考えるようになり,関連するセミナーや会議などに参加する機会も増えた.

その中で各方面の専門家の方々と意見を交換し,みなさんがそれぞれの立場から査読に問題意識を持っていることを改めて感じている.そのような問題点はもちろんまだ解決はしていないが,みんなが意識を共有することで少しずつ良い方向に向かっていくのではないかという期待も高まってきた.

この4年間で,査読をめぐる状況にはいくつか大きな変化があった.ここでは3つ取り上げたい.

第一は,プレプリントサーバーの利用の拡大である.2021年時点でもプレプリントサーバーは使われていたが,生命科学分野ではまだ試行的な印象であった.それがこの数年で状況は一変した.今や,多くの論文がbioRxivなどのプレプリントサーバーで公開されており,ジャーナルに掲載されるより前に内容を知るケースが大幅に増えた.

つまり,査読前の論文を読むことが増えたわけである.改訂版では,査読と公開の関係についての議論を深めた.

第二は,これまでも先進的な査読システムを取り入れてきたジャーナル「eLife」が,一段と革新的な新しいモデルを2023年に採用したことである.査読した論文はすべて掲載し,アクセプトもリジェクトもしないという大胆な方式を打ち出した.これは,著者が査読プロセスをコントロールできるという全く新しいモデルであり,多くの議論を巻き起こしている.この改訂版では,その仕組みを詳細に紹介するとともに,eLifeオフィスのAlessio Bolognesi氏との対談も含めて,この新しい査読モデルを考察する(第1部第4章参照).プレプリント論文の公開とも深く関連することになる.

第三は,言うまでもなくAIの普及である.ChatGPTをはじめとする生成AIがこれほどまでに使われるようになるとは4年前には全く予想しなかった.特に,英語を母国語としない日本人にとっては,一層の価値がある.しかし,2025年現在は,査読にAIを使用することを禁止または強く制限しているジャーナルがほとんどである.情報漏洩や責任の所在などの懸念が大きいため,とされている.しかし,論文の内容の理解,新規性の判定(関連した既報告の有無など),査読コメントの推敲,英文チェックなどにおいては,もはや人間よりも優れているのではないだろうか.条件付きながらAIの使用を認めているジャーナルもあり,今後どのように変わっていくのかは予想がつかない(という点では,また4年前と同じになってしまうが).

この改訂版の第1部では,このような大きな変化に関する記述を大幅に加筆した.第2部では,初版に引き続き,中山敬一先生(東京科学大学)と田口英樹先生(東京科学大学)に加え,今回は谷内江望先生(ブリティッシュコロンビア大学・大阪大学)を迎え,座談会の第2弾を掲載した.2021年以降の変化を中心に,査読の課題や技法について,各先生のお考えを伺いながら議論した.ご協力いただいた先生方に深く感謝したい.また,本書の改訂にあたっては,羊土社の早河輝幸氏,佐々木彩名氏に大変お世話になった.ここに厚くお礼を申し上げる.

本書がみなさんの査読の実践に少しでも役立ち,また今後の査読システムのあり方を考えるきっかけになれば幸いである.


2025年9月

水島 昇

目次

改訂版のはじめに

初版のはじめに

初版への巻頭言【大隅良典】

第1部 査読のリアル

1 査読依頼がきたら

ピアレビューシステムの原則

査読依頼を引き受けるべきか

断るべき時

世界の動向

2 査読の心得

何を評価すべきか

①正当性

②論理性(主要な結論が論理的にサポートされているか)

③新規性

④重要性

⑤普遍性

⑥倫理性

⑦論文の体裁

コメントすべきではないこと

universal principled review template の提案

総説の査読の場合

改訂論文の評価

英語について

査読者も評価されている

3 査読の実際

プリントアウトすべきか

PC 画面で効率よく査読する方法

研究室メンバー内外のヘルプ

コメントの書き方

書き方の例

エディターへの秘密のコメント欄

AI の利用について

補足

4 査読システムの試行錯誤

査読と論文出版に関連する問題点

査読の仕組みはジャーナルによって異なる

レフェリーコメントの相互閲覧(cross-review)

査読コメントのリサイクル:他のジャーナルへのトランスファー

査読コメントの公開

査読者名の公開

ダブルブラインド

eLife のユニークな査読プロセス

2023 年1 月から始まったeLife の「新モデル」

新しい査読の共通プラットフォーム「Review Commons」

プレプリントサーバー:「査読後に公開」から「公開後に査読」へ

5 査読者へのインセンティブ

査読者枯渇の危機:完全にボランティアでよいのか?

お金で解決できるか?

査読者名の公表による感謝の意の表明

査読証明書の発行

ジャーナルやデータベースの無料購読サービス

オープンアクセスジャーナルへの掲載料無料サービス

アクセプト率が高くなるのではないかという期待は無駄

第1部の最後に

第2部 特別座談会

第2部 特別座談会 Profile

1 私たちの査読のリアル【水島 昇(司会),今井眞一郎,田口英樹,中山敬一】

はじめに

自己紹介と現在の査読への取り組み

査読を引き受ける・引き受けないの線引きは?

査読者コメントの長さはどのくらいが理想か?

査読者は「建設的」であるべきか?

査読の実際,三者三様

査読者コメントから査読者はばれるのか?

プレプリントサーバーに出す理由・出さない理由

理想の論文評価システムはどのような形か

査読者やコメントの透明性は何をもたらすのか

査読者へのインセンティブ

査読を通じてサイエンスを育み,楽しもう

2 査読のあり方を通じて科学を考える【水島 昇(司会),田口英樹,中山敬一,谷内江 望】

はじめに

自己紹介と現在の査読への取り組み

もはや情報収集に欠かせなくなったプレプリント

査読コメントの公開はどのように影響するか

公開されたビッグデータは査読で確認すべきか

生成AI は査読者の立場に取って代わるのか?

ラボメンバーを誘う? 誘わない? 査読教育のあり方を考える

査読プロセスの課題解決に挑むeLife の取り組み

あらためて,査読者の役割とは

査読のあり方を考えることは,科学の本質を考えること

3 eLifeの新査読システムと研究評価の理想像【水島 昇(司会),Alessio Bolognesi】

はじめに

アクセプト/ リジェクトの決定に基づくこれまでの出版システムの限界

アクセプト/ リジェクトの決定を排除したeLife の新モデル

新モデルに対するコミュニティの反応と論文の質

査読の未来を模索するさまざまな取り組み

多すぎるプレプリントから読むべき論文を見つける方法は?

若手研究者は査読の経験をいかに積むべきか?

第3部 査読例文集

はじめに

人称について

時制について

1 論文全体に関わるコメントに使える英語表現

論文の要約

書き出し / この論文の発見は / 過去の論文の延長の場合の書き出し

研究分野に関するコメント

肯定的な意見

新規性がある / 新しい点は / 質が高い / データに説得力がある / 重要な研究である / これまでの問題を解決した / 興味深い / 良くデザインされている / よく書けている / データから結論がよく支持されている / 特に修正や欠点はない

否定的な意見

部分的には良いがという定型句 / 正当性(正しい方法,データの質) / 論理性 / 新規性 / 重要性(インパクト) / 普遍性

論文全体に関わるコメントのまとめ

まとめの枕詞 / 総じて良い論文である / 指摘した点に答えれば論文を強めるであろう / さらなる情報や実験が必要 / 出版には値しない / リバイスしてもダメだろう / 問題が多すぎてすべて挙げられない / マイナーコメントがあるのみ / 以下,コメント / 絶対に答えないといけないことはない

2 具体的なコメントに使える英語表現

ページや図を指定する

データを言及しつつ指摘する

主な欠点は

データの良くない点を具体的に指摘する

説得力がない,十分ではない / 解釈が困難,紛らわしい / データに矛盾がある / データの質が低い / 差がわずか / ~の解析がない / 何かがおかしい / このような疑問が生じるだろう

方法が適切ではない

レポーターや方法が適切ではない / 方法や細胞に一貫性がない / 他の方法でも確認すべき / 過去の論文にあるから正しいというわけではない / 適切な方法に関する文献紹介

既報告との関連

すでに報告がある / 過去の報告と異なる / 過去の報告を無視している / 既報告を考慮すべき

文献引用

引用が不適切 / 引用を追加すべき

議論,解釈

~が直接の原因かどうかわからない / 推測でしかない / この点を議論すべきである / Discussion がよくない / データから支持されない / データからはそのようには読み取れない / 本当に代表例か? / モデルと矛盾する / 結論を和らげるべき / 違う解釈が可能 / 何通りにも解釈できる / もっと慎重に解釈すべき / ~を気にとめておくべき

追加実験の要求

~を調べるべき,~の実験をすべき(強い提案) / ~するとよいだろう(弱い提案またはしなくてもよい) / より良いデータと差し替えるように

コントロール

コントロールが足りない,適切ではない / 抗体の特異性

説明不足

より詳しい説明が必要 / まちがった印象を与えないように / プレゼンテーションが悪い / 意味がわからない / 本文で記載するように / マテリアルや方法の情報が不足 / タイムポイントが不明

定量

定量が必要(全般) / 電気泳動の定量 / 顕微鏡画像の定量 / 定量はリニアな範囲で / 定量結果が呈示データを反映しない / % は何を示す?

統計・定量・有意差

統計処理が必要 / 統計処理方法が不明 / 独立した実験で確認しているか? / n 数が不明 / 多群解析が必要

タイムコースが必要

遺伝子導入実験

過剰発現に依存しすぎている / 内在性を見るべき / 発現量の違いが影響しているのでは?

電気泳動データ

シグナルが飽和している / バンドが見にくい,暗い / コントラストが強すぎ / 分子量マーカーがない / ローディングコントロールが必要 / ローディングコントロールが不適切 / 免疫沈降の効率について / 同じブロット上で見るべき / 非連続レーンを単一データにした場合

顕微鏡データ

画像の質が悪い / 何を見ているかよくわからない / 小さくてよくわからない / 蛍光の漏れがないかどうか / 拡大像が必要 / 重ね合わせ像だけでは不十分 / 単色はグレースケールがよい / 解像度が足りない / ライブイメージングが必要 / 共局在について / スケールバーがない / 矢印があった方が良い

RNAi データ

発現抑制を示すように / siRNA の特異性を示すように

論文の体裁

間違いが多すぎる / 「data not shown」を見せるように / 定量結果だけではなく生データを出さないように / ページ番号をつけるように / 書き間違い / 英語校正,推敲が必要 / 省略形が不明 / 標記方法を統一するように / 削除した方が良い / 他の部分とフィットしない / 字が小さくて見えない

図の体裁

図の番号やラベルが必要 / 図を順番に説明すること / 図の構成についての助言 / 図のラベルが不適切 / 図の説明(legends)が不適切 / 模式図があるとよい

つなぎの言葉

同様に / さらなる懸念は / 些細なことではあるが / これは大事なので / 一般読者にとってもっとわかりやすくするために

3 改訂版(リバイス)原稿へのコメントに使える英語表現

対応は十分

あと少し

まだ問題あり

コメントに応じていない

説明せずにデータを削除するのは良くない

レターだけではなく論文にデータを含めるように

4 エディターへのコメントに使える英語表現

掲載を勧める

改訂後のPublication を勧める

雑誌のレベルに足りない

リジェクトとしたけれど見直しても良い

少し躊躇するけれどリジェクト

5 総説へのコメント に使える英語表現

良くまとまっている

良く書けている

タイムリーである

バランスがとれている,客観性がある

自分たちの仕事を強調しすぎ

他の総説と重複している

6 やむを得ず辞退する場合に使える英語表現

お礼

本来は引き受けたいところ

専門外

この分野の研究はもうやっていない

他にたくさん査読中

他の査読さえ間に合わない

出張や休暇で読めない

忙しくて無理

共同研究なので不適切

利益相反がある

すでに見た

少し長目に時間が欲しい

お詫び

他を推薦

索引

査読者・エディターからのアドバイス

❶ Figure(図)にLegend(図の説明)を書き込む

❷ 「interestingly」や「surprisingly」は使わない

❸ サプリメントはなるべく少なく

❹ 字が小さすぎて見えない!

❺ 通し行番号をつける

❻ 査読候補者名を挙げる

❼ エディター・査読者を悩ませない

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書籍情報

  • ISBN:9784758121422
  • ページ数:192頁
  • 書籍発行日:2026年1月
  • 電子版発売日:2026年1月21日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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