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- 理学療法管理学 第2版<15レクチャーシリーズ 理学療法テキスト>
商品情報
内容
2020年4月から「理学療法管理学」が必修化された.いまなぜ学生が「管理学」を学ぶ必要があるのか,その背景を踏まえて,学生がおさえておきたい「理学療法管理学」の知識を15章構成で簡潔に解説した.
改訂にあたり,臨床実習制度等の教育現場の変化,各種社会保障制度の改訂,感染症対策や情報管理等の内容を拡充.
在学中はもちろん卒後,臨床でも役立つ内容が充実している.
待望の改訂第2版!
序文
序 文(第2版)
本書の初版発行から5年の月日が流れました.この間,指定規則や国家試験出題基準の改訂があったため当然のこととはいえ,理学療法管理学は理学療法教育の中で重要な科目の一つとなり,新規の科目としては確たるポジションを築いたといえます.一方で,この5年間に生じた社会の変化は,理学療法士を取り巻く医療・介護保険をはじめとする社会保障制度の転換点になりつつあり,私たち理学療法士にとって必ずしも楽観的とはいえない未来を迎えることとなりました.
例えば,少子化はとどまることなく進行しており,高齢化率は今後も上昇する見込みで,社会保障負担と租税負担も合わせた国民負担率は46%に達しました.これは「家計の可処分所得」,すなわち私たちが自由に使えるお金が減少し続けていることを意味します.本来,社会保障は将来起こり得るリスクを取り除くためにありますが,将来の社会保障が受けられるのかといった「給付の低下」と,現役世代がどれほど社会保障費を負担するのかという「負担の上昇」の2つに対する不安は高まるばかりで,現在では社会保障そのものが将来の不安要素となりつつあります.学生の皆さんは,まさにこれから社会人・理学療法士として,いわゆる「現役世代」になりますが,「現役世代が社会保障費を負担する構造は限界を迎えている」ともいわれ始めました.また,医療の世界に目を向けると,総合病院をはじめとする大規模病院はインフレーションの進行や人件費の高騰で経営が圧迫され,施設や機器の更新もままならないところが増加しています.そのため,医療の世界では診療報酬の大幅引き上げを求める声が高まっています.仮に診療報酬が1%上がれば医療費が5, 000億円増えるとされており,我々医療従事者にとってはメリットと思われますが,国民目線に立つと,診療報酬の増加は給与から差し引かれる保険料の負担となり,これが2, 500億円増えるともいわれています.私たち理学療法士は診療報酬から給与を得る医療従事者ですが,保険料を負担する一人の国民でもあり,難しい立場に立たされています.
さらには,日本の社会を俯瞰すると人口減少が顕著になり,直近では1年間で約90万人が減少しました.これは人口90万人規模の都道府県が1年で消滅する規模の人口減少であり,まさに「縮む社会」の到来といえます.高齢化を背景にリハビリテーション対象の患者数が右肩上がりに増える時代は終焉を迎えつつあります.我々の「顧客」である患者数が減少することを前提とした医療のグランドデザインを考え,それをもとに理学療法士の業務のマネジメントを行うこと,まさに「管理学」の視点がますます必要な時代になったといえます.
こうした時代を迎えるにあたり,ただいたずらに悲観的になるのではなく,本書を手に取ることが社会を俯瞰する視点を養い,客観的に自分の歩むべき将来を選択・判断できる一助になることを願っています.
2026年1月
責任編集 長野 聖
目次
LECTURE 1 総論 (長野 聖)
1.理学療法管理学の源流
1)病院管理学とは
2)病院管理学から医療管理学へ
3)看護師における「管理学」の位置づけ
2.理学療法管理学が必要とされる背景
1)人口構造と制度の変化
2)理学療法の教育内容の改正
3)国家試験出題基準の改定
3.理学療法管理学の教育に関する具体的な内容
1)卒前教育:理学療法学の教育モデル・コア・カリキュラム
2)卒後教育:生涯学習制度
3)管理者の人材育成のための研修
4.まとめ
Step up
1.高齢化の実態
2.令和時代の「理学療法管理学」の視座
LECTURE 2 病院の分類と組織 (木村雅彦)
1.「医療法」における医療と医療圏,医療機関
1)「医療法」と関連法規
2)地域医療計画制度と地域完結型医療
3)医療施設の分類:病院と診療所
4)病院の分類
5)拠点病院
2.病院内の組織とその役割
1)診療とケア提供のプロセス
2)病院の組織
Step up
1.病院機能評価の認定
2.医療従事者の労務管理
LECTURE 3 専門職とチームケア (小林麻衣,長野 聖)
1.チームケアの必要性とその背景
1)医療技術の高度化
2)患者数の増加と入院期間の短縮
3)治療の選択肢の増加
2.チームケアにおける専門職の役割
3.理学療法士からみた病院の組織・専門職の特徴
1)診療部
2)看護部
3)医療技術部
4)事務部
5)その他の部門
4.保健・福祉・介護分野からみた専門職の役割
1)保健師
2)介護支援専門員(ケアマネジャー)
3)介護福祉士,ケアワーカー
4)訪問介護員(ホームヘルパー)
5)その他の専門職
5.医療におけるケアチームと各種委員会
1)呼吸〔ケア〕サポートチーム(RST)
2)栄養サポートチーム(NST)
3)摂食・嚥下支援チーム
4)身体拘束最小化チーム
5)褥瘡対策チーム
Step up 関連医療施設における委員会
1)診療記録管理委員会
2)安全管理委員会
3)感染症対策委員会
4)検査適正管理委員会
5)栄養サポートチーム(NST)委員会
LECTURE 4 社会保障のしくみ (長野 聖)
1.社会保障の構成要素とその役割
2.保険料を財源とする社会保険
1)年金保険
2)雇用保険
3)労働者災害補償保険(労災保険)
3.税金を財源とする公的扶助,社会福祉,公衆衛生
1)公的扶助(生活保護)
2)社会福祉の領域と対象
3)公衆衛生
4.社会保障の機能
1)所得の再分配
2)経済の安定
5.税金と保険料負担からみた社会保障
1)税金が財源の社会保障
2)税金と保険料が財源の社会保障:医療
3)理学療法士の立場から
Step up
1.年金は本当に「払い損」か?
2.20歳代から考えるライフステージに応じて生じる費用(お金)
3.知っていますか? 民生委員の存在と役割
LECTURE 5 医療保険制度 (小野くみ子)
1.医療保険制度の歴史
1)日本の保険制度の特徴とその歴史
2)日本の保険診療の流れ
3)医療保険制度の患者一部負担の推移
2.医療保険の種類と対象
1)被用者保険
2)国民健康保険
3)高齢者医療制度
3.国民医療費
1)国民医療費の概要
2)国民医療費のとらえ方
3)診療行為別にみた入院の1日あたり点数
Step up
1.主要国の医療保障制度の給付内容と自己負担の概要
2.医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律
LECTURE 6 介護保険制度 (長野 聖)
1.介護保険制度の特徴
1)リハビリテーションとの密接な関係
2)施設サービスから在宅サービスへの転換
3)サービス利用者の自己決定権の尊重
2.介護保険制度の対象
3.申請から要介護認定を受けるまで
1)訪問調査
2)主治医意見書
3)一次判定
4)二次判定(介護認定審査会)
5)要介護認定結果の通知・保険証の交付
4.ケアプランの作成からサービス利用まで
1)ケアプランの作成とケアマネジメント
2)介護支援専門員(ケアマネジャー)
3)地域包括支援センターの役割
4)利用できるサービスの内容
5.介護保険に関連する高齢者の住まい
Step up
1.介護保険制度の誕生の背景
2.認定調査票
LECTURE 7 診療・介護報酬と収益構造 (長野雅江)
1.医療の値段
1)出来高払いと包括払い
2)包括医療費支払い制度(DPC制度)
3)入院基本料
4)リハビリテーションに関係する入院関連費
2.リハビリテーションの値段
1)疾患別リハビリテーション料
2)がん患者リハビリテーション料
3)リンパ浮腫複合的治療料
4)障害児(者)リハビリテーション料
5)リハビリテーション総合計画評価料
6)入院時訪問指導加算
7)退院前訪問指導料
8)摂食機能療法
9)目標設定等支援・管理料
3.診療報酬の支払いのしくみ
4.介護の値段
1)訪問リハビリテーション
2)通所リハビリテーション
3)介護老人保健施設(老健)
5.介護報酬の支払いのしくみ
6.人件費とコスト
7.給与の背景
1)給与
2)手取り
Step up リハビリテーション機器の値段
LECTURE 8 保健・医療・介護・福祉の連携 (長野 聖)
1.保健・医療・介護・福祉の連携の概要
2.保健と医療の連携
1)予防医学の概念:一次・二次・三次予防とは
2)保健の拠点:保健所と保健センターの役割
3)産業保健と理学療法士のかかわり
3.保健・医療・介護・福祉の連携
1)地域包括ケアシステムとは
2)地域包括ケアシステムを支える4つの「助」
4.障害と福祉
1)障害の概念と理学療法士との関係
2)障害者の福祉に関する施策
3)義肢・装具にみる医療と福祉との連携
Step up 2040年に向けた地域包括ケアシステムの姿
LECTURE 9 業務管理 (長野雅江)
1.理学療法士の業務の流れ
1)入院初日(サービス開始初日)
2)入院中(サービス提供中)
3)退院前(サービス終了前)
4)リハビリテーションサマリーの作成
2.他職種との連携
1)処方
2)カンファレンス
3)インフォームド・コンセント
4)各種委員会
3.業務・労務管理
1)時間外労働
2)休暇
3)人事異動
4)ハラスメント
4.人事考課
1)ラダーの導入
2)業務の改善
5.監査への対応
1)「医療法」に基づく保健所の立ち入り検査
2)保険医療機関の適時調査,指導,監査
3)介護保険の指導,監査の概要
4)診療録(カルテ)記載の留意事項
6.職場環境のデザイン
1)リハビリテーション室
2)スタッフルーム
7.機器の点検,管理
1)点検
2)管理
Step up
1.働き方改革
2.組織が求める人材
3.自分が求める職場
LECTURE 10 情報管理 (長野 聖)
1.理学療法の業務に必要な情報と診療記録の分類
1)診療録(カルテ)
2)診療に関する諸記録
3)その他の診療記録
4)診療記録の保存期間と法的な取り扱い
2.理学療法の業務に必要な記録とその管理
1)なぜリハビリテーション記録が必要なのか
2)記録するうえでの注意事項
3)リハビリテーション記録の記載項目と内容
4)記録の記載方法
5)電子カルテ
3.理学療法の業務に必要な情報を得るためのコミュニケーション技術
1)基本的態度
2)医療面接における基本的な質問形式
3)共感的,受容的な態度
4)避けるべき態度
5)円滑に情報を得るための配慮:マスクの装着
Step up 患者の立場での情報管理
LECTURE 11 リスク管理 (長野雅江)
1.医療安全神話の崩壊と「医療安全元年」
2.医療,介護におけるコンプライアンス
1)マニュアルの整備と遵守
2)マニュアルの改訂
3)アセスメント(評価)
3.インシデントとアクシデント
1)インシデント(≒ヒヤリ・ハット)
2)アクシデント(=事故)
3)事例提示
4.事故が起こる背景
1)ハインリッヒの法則
2)スイスチーズモデル
5.医療安全への取り組みの方法
1)インシデントレポート
2)5S活動の実施
3)危険予知トレーニング(KYT)
4)チームトレーニング
5.事故を未然に防ぐ「信頼性設計」:fool proof とfail-safe
Step up
1.入院中に発生した転倒・転落による頭部外傷による死亡事例
2.転倒・転落に対する医療安全の取り組み
LECTURE 12 感染症管理 (石川 朗)
1.感染と感染症
1)感染
2)感染症の主要症状
2.感染症の構成要素
1)感染源と病原微生物
2)病原微生物の保有者
3)ヒトにおける病原微生物の伝播
4)感染経路
5)侵入門戸
6)宿主
3.感染症の予防
1)標準予防策(スタンダード・プリコーション)
2)感染経路別の予防策
3)宿主の抵抗力
4.医療機関における感染対策
1)院内感染
2)院内感染対策の体制
3)基本となる院内感染対策
5.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する感染対策
1)概要
2)潜伏期間,感染経路,感染性のある期間
3)院内感染対策
6.高齢者介護施設における感染対策
1)感染対策の基本
2)感染管理体制のあり方
3)平常時の衛生管理のあり方
4)感染症など発生時における対応法
7.理学療法と感染症
1)理学療法業務と感染
2)理学療法における感染予防
Step up 個別の感染症の特徴,感染予防,発生時の対応
LECTURE 13 権利擁護と職業倫理 (玉木 彰)
1.インフォームド・コンセント(説明と同意)
1)理学療法とインフォームド・コンセント
2)インフォームド・コンセントにおける倫理的課題
3)インフォームド・コンセントにおける理学療法士の役割
2.個人情報保護
1)守秘義務
2)個人情報保護
3)ユーチューバーの問題
3.倫理
1)理学療法士の職業倫理
2)理学療法士の研究倫理
4.ハラスメント
1)職場でのパワーハラスメント
2)職場でのセクシュアルハラスメント
3)臨床実習におけるハラスメント
5.コンフリクトマネジメント
1)勤務先の部署内におけるコンフリクトマネジメント
2)医療現場でのコンフリクトマネジメント
6.「医療広告ガイドライン」
1)「医療広告ガイドライン」の基本的な考え方
2)理学療法と「医療広告ガイドライン」
Step up
1.臨床実習におけるハラスメントの現状
2.個人情報の取り扱いにおける管理(臨床実習も含む)
LECTURE 14 教育管理 (前重伯壮)
1.理学療法教育の歴史
2.臨床実習の管理
1)臨床実習の教育体制の分類
2)理学療法養成課程における臨床実習の実際
3.臨床実習の評価方法
1)客観的臨床能力試験(OSCE)とは
2)OSCEの実施方法
3)OSCEの試験項目
4.理学療法士国家試験の管理
1)国家試験と受験資格
2)試験体制
3)受験者・合格者数,合格率の推移
4)国家試験出題基準
5.臨床教育の管理
1)プリセプターシップ(プリセプター制)
2)チューターシップ(エルダー制)
3)メンターシップ(メンター制)
4)チーム支援型
6.生涯学習の管理
1)職能団体による生涯学習管理
2)登録理学療法士制度
3)認定理学療法士
4)専門理学療法士
7.リカレント教育
Step up 海外留学
LECTURE 15 理学療法士の政治・政策への関与 (長野 聖)
1.理学療法士が政治に関与しなければならない理由
1)社会の変化
2)投票率の世代間格差
3)理学療法士の歩みと政治とのかかわり:これまでに何があったか
4)診療報酬の決定の過程における政治の関与
2.職能団体としての政治への関与
1)理学療法士,政治,行政:三者の「じゃんけん」の関係
2)他職種の政治関与の動向
3.個人としての政治への関与
1)投票の判断,政党や候補者の選択方法
2)投票に至るまでの選挙活動
3)理学療法士が国会議員になる意義
Step up 看護師にみる政治関与の成果
巻末資料
TEST 試験 (長野 聖)
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書籍情報
- ISBN:9784521751306
- ページ数:200頁
- 書籍発行日:2026年1月
- 電子版発売日:2026年1月22日
- 判:A4判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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