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- 薬学生のためのデータサイエンス・AI入門~事例・演習を通して、これからの医療に役立つ知識・考え方を身につける
商品情報
内容
令和4年度改訂版の薬学コアカリ対応! データサイエンス・AIの基本や薬局・病院での実務例など,実際の操作をPCで体験できる.医療とのつながりを重視した解説で,これからの薬剤師に必要な知識と考え方が身につく.
序文
巻頭言
データサイエンスによる未来社会へ~社会・医療のデジタル化~
2020年に世界を襲ったSARS-CoV-2によるパンデミックは,ロックダウンをはじめとした厳格な社会的制限を各国にもたらし,社会のあり方を根本からみつめ直す契機となりました.このコロナ禍は,間違いなく医療や社会のデジタル化を加速させる大きな転機となったといえると思います.
この数年はコロナ禍ばかりが注目されていますが,じつはわが国ではデジタル社会の将来像がすでに示されていました.例えば,2016年1月に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」において,サイバー空間とフィジカル(現実)空間を高度に融合させ, 経済発展と社会課題の解決を両立する「人間中心の社会(Society 5.0)」の実現が提唱されています.背景には,人口減少や少子高齢化,社会保障費の増大といった社会的な課題があります.2025年には国民の5人に1人が75歳以上となりました.今後,わが国では限られた医療資源を持続可能な形で運用していくことが急務です.
このような時代の薬剤師には,調剤や医薬品供給を担う専門職としての責務に加え,質の高い医療・介護・福祉に貢献する力が一層求められています.Society5.0の理念に照らせば,医療・介護・公衆衛生の現場における情報・科学技術の活用は今後ますます重要となり,その基盤として,AIやビッグデータを含むデジタル技術を適切に活用するリテラシーが不可欠です.
こうした背景から,「薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)」では,新たな資質・能力として「情報・科学技術を活かす能力」が新設されました.この能力の資質・能力に関する説明文は,「社会における高度先端技術に関心を持ち,薬剤師としての専門性を活かし,情報・科学技術に関する倫理・法律・制度・規範を遵守して疫学,人工知能やビッグデータ等に係る技術を積極的に利活用する」とされています.すなわち,これからの薬剤師には,情報・科学技術を適切なリテラシーのもとで積極的に取り入れていく姿勢が強く期待されています.
私自身も,学生時代にExcel VBAで薬物動態のカーブフィッティングを試みたり,病院勤務時代に電子カルテ導入を担当した経験はありますが,当時はプログラミング環境と聞くと「誰かがやるもの」という印象を拭えませんでした.しかし,近年,この分野の教育・研究に携わる機会を得てデータサイエンスの世界に足を踏み入れた際,そのとっつきやすさと利便性に驚かされました.これもひとえに,情報学やデータサイエンスの分野を切り拓いてこられた先人たちの努力の賜物であり,深い敬意をあらわしたいと思います.
本書は,大学・病院・企業それぞれの現場で薬学データサイエンスの最前線をリードする,今井志乃ぶ先生,今井俊吾先生,上田昌宏先生,岡田直人先生,工藤知也先生,栗原竜也先生,近藤悠希先生,坂田洋先生,二瓶裕之先生,舟越亮寛先生,水草博希先生,村岡千種先生にご執筆をお願いし,実現したものです.
ご執筆いただいた先生方に厚く御礼申し上げます.各章では,実例紹介や模擬データを用いた解析などを通じて,これからの薬剤師に必要な,AIやビッグデータを含むデジタル技術を適切に活用するための実践的かつわかりやすい内容となっています.
最後に,データサイエンスの素人である私を共同編集者として支えてくださった名城大学の酒井隆全先生,本企画をご提案くださり,緻密な編集をご担当いただいた羊土社編集部の吉田雅博様に,心より感謝申し上げます.
本書が,データサイエンスに一歩踏み出すきっかけとなり,「自分もやってみよう」と感じていただけますことを祈念して.
2025年12月
木下 淳
目次
巻頭言【木下 淳】
本書の使用にあたって
第0章 社会・薬学におけるデータサイエンスの役割【木下 淳,酒井隆全】
【木下 淳,酒井隆全】
0-1 社会におけるデータサイエンス
1)データサイエンスは身近にある
2)エレベーターはなぜ動く? ~社会実装されているアルゴリズムの例
3)スマホアプリはなぜ動く? 誰がどうやってつくっている?
0-2 社会構造の変化と医療のデジタル化
1)わが国の人口推移,少子高齢化,社会保障費の予測値
2)Society 5.0
3)医療DXの進捗と今後
[COLUMN]デジタル化すればデジタルトランスフォーメーションは起こるのか?
0-3 薬学とデータサイエンスの関わり
1)データサイエンスと医療・介護・福祉・公衆衛生の未来
0-4 薬剤師はデータサイエンスにどう向き合うべきか ~データを見る力,システムのしくみをわかったうえで使うこと
1)新規の科学技術の社会実装で生じる倫理的,法的,社会的課題
2)薬剤師はどんな能力を身につけるべきか
第1章 人工知能(AI),機械学習の基礎
1-1 コンピューターに何かをしてもらうには,専用の言語が必要 ~Python基礎【木下 淳】
1)ビッグデータを取り扱ううえでの障壁
2)Google Colaboratoryの環境設定
3)基本的なPythonコードの実践
[COLUMN]生成AIが利用可能な時代ではコーディングのハードルが低い
[やってみよう]患者のNSAIDs使用状況を解析してみる【木下 淳】
1-2 医療分野でのビッグデータとデータサイエンスの基礎知識【近藤悠希】
1)なぜ医療にデータが必要なのか?
2)医療におけるビッグデータとは?
3)データサイエンスのタスク:記述・予測・因果推論
4)集合知とは? ~ビッグデータ解析との関係
5)1-2のまとめ
1-3 AIの基礎知識【酒井隆全】
1)AIとは?
2)機械学習の基礎
3)機械にデータを読み込ませるには
4)機械学習にトライ
[やってみよう]糖尿病患者の1年後の進行度合いを予測してみよう【酒井隆全】
第2章 データサイエンスの医療への役立て方
2-1 医療情報を利活用するための基礎知識【舟越亮寛】
1)利活用可能な医療情報とは?
2030年までに計画されているデータの共有化とデータベースの連結
2)生成AIと医療情報利活用の留意点
[COLUMN]医薬品コードなど各製品コードのこれから
2-2 医療現場でのデータサイエンス
1)薬局での利活用が考えられる事例 ~薬剤服用歴データを用いてクオリティ・インディケーターを算出しよう【工藤知也】
2)病院での利活用が考えられる事例 ~電子カルテのデータを使って,投薬と検査の状況,手術前の休薬状況を把握しよう【坂田 洋,水草博希】
[COLUMN]文字コードについて
[やってみよう]医療現場で日常的に収集しているデータをどのように利活用するかについて話し合おう【木下 淳,酒井隆全】
2-3 データサイエンスとエビデンスに基づく医療
1)エビデンスに基づく医療(EBM)を提供する側としても知っておくべきこと【上田昌宏】
[COLUMN]スピン
[COLUMN]生成AIを用いたエビデンスの評価
2)医療分野のビッグデータとその解析の意義【岡田直人】
[COLUMN]傾向スコアを計算してみよう
3)医療ビッグデータの例と特徴 ~それぞれの利点と欠点を把握する【今井志乃ぶ】
[COLUMN]医療機関基盤データと保険者基盤データ
4)医療ビッグデータにおける諸外国の先進的な事例【今井志乃ぶ】
5)医療ビッグデータ解析でわかること【今井俊吾】
6)医療ビッグデータから得られた知見をどのように使うか【岡田直人】
[COLUMN]医療ビッグデータに触れながらリテラシーを身につけてみよう
[やってみよう]新たなエビデンスへの向き合い方や注意点について考えてみよう【木下 淳,酒井隆全】
第2.5章 生成AIとこれからの医療現場【村岡千種,二瓶裕之】
【村岡千種,二瓶裕之】
2.5-1 検索とは違う生成AI
1)検索エンジンと生成AI:情報提供の違い
2)検索エンジンと生成AIのしくみの違い
3)検索エンジンと生成AIを使い分けることの大切さ
2.5-2 生成AIがどのようなしくみで動いているのか
1)ニューラルネットワークをつくってみよう
2)学習済みモデルを使ってみよう
3)画像認識モデルのしくみを理解しよう
2.5-3 クラウド型生成AIを使ってみよう
1)クラウド型生成AIとは
2)言語生成モデル(GPT)を使ってみよう
[COLUMN]データ処理でも活躍する生成AI
3)画像生成モデル(DALL-E)を使ってみよう
画像生成の例(DALL-E)
[COLUMN]画像生成モデルを薬剤師業務にどう使う?【酒井隆全,木下 淳】
4)映像生成モデル(Sora)を使ってみよう
映像生成の例
5)生成AIを活用するために
[COLUMN]プロンプト設計にはマークダウン記法が便利
第3章 デジタル化がもたらす新たな医療
3-1 患者モニタリングの未来 ~社会資源の有効活用と弱者を生まない医療の実現【上田昌宏】
1)医療における患者モニタリングの現状と課題
2)日常をモニタリングする新たなツールと可能性
3)患者モニタリングによって得られた情報を薬剤師がどのように活かすのか
4)デジタル化医療がもたらす新たな課題と解決策
5)3-1のまとめ ~患者中心の医療と薬剤師の貢献
[COLUMN]Digital Therapeutics(DTx)が診療ガイドラインに書き込まれる時代へ【木下 淳】
3-2 医療データのクラウド化とAI搭載【栗原竜也】
1)医療データのクラウド化
2)医療データへのAI搭載
3)3-2のまとめ ~医療のクラウド化とAIの活用が進む未来に向けて
3-3 生成AIと医療の未来 ~新技術と向き合うための課題【村岡千種】
1)私たちの情報はどのように使われているのでしょうか?
2)新しい技術の社会実装に伴う技術的課題(T)と倫理的・法的・社会的課題(ELSI)
3)課題を乗り越えるために,これからどのように学んでいくか
[やってみよう]未来社会において求められる薬剤師のデータサイエンス能力とは?【木下 淳,酒井 隆全】
おわりに【木下 淳,酒井隆全】
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書籍情報
- ISBN:9784758129398
- ページ数:262頁
- 電子版発売日:2026年2月4日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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