スポーツ現場のための脳振盪からの復帰・予防入門

  • ページ数 : 192頁
  • 書籍発行日 : 2026年1月
  • 電子版発売日 : 2026年1月30日
¥4,400(税込)
m3.com 電子書籍ポイント: 最大 240pt ( 6 %)
m3ポイント:1%相当
point-info
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容



脳振盪(脳震盪)はスポーツ現場で最も発生しやすい外傷の一つである。見逃しや早すぎる復帰は、後遺症や再受傷の危険を高める。本書は、脳振盪とはどのようなケガなのか、そして安全に競技へ復帰するにはどうすべきかを、現場で実際に役立つ形で解説する。一見軽症に見える場合でも、症状の出方や回復のスピードには個人差が大きく、的確な観察と段階的な対応が不可欠である。復帰に至る過程を整理し、発生の予防や再発防止についても示す。競技別に脳振盪が起こりやすいシチュエーションや復帰の注意点や段階的復帰プログラムも紹介する。執筆陣は各競技に精通した専門家であり、競技特性に応じたリスクや留意点を具体的に提示する。医師、看護師、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、アスレティックトレーナー(AT)、柔道整復師などの医療従事者だけでなく、スポーツ指導者、トレーナー、教員など、選手を支えるすべての人に向けた内容である。

※本製品はPCでの閲覧も可能です。
製品のご購入後、「購入済ライセンス一覧」より、オンライン環境で閲覧可能なPDF版をご覧いただけます。詳細はこちらでご確認ください。
推奨ブラウザ: Firefox 最新版 / Google Chrome 最新版 / Safari 最新版

序文

まえがき

「スポーツにケガはつきもの」,使い古された言葉かもしれないが,実に奥深く真実を表現していると思う.どのようなスポーツでも,さまざまなケガのリスクが一定程度存在する.頻度でいえば,手足のケガなどが圧倒的に多いが,頭のケガはその後の脳機能への影響などもあり,時に対応が困難である.その代表が「脳振盪」だ.

「脳振盪」と聞けば,以前はグラウンドに倒れた選手にやかんで水をかけると,倒れていた選手が立ち上がり,また颯爽と競技に戻っていくというシーンを思い描く方も多いのではないかと思う.しかし,今ではこの対応は禁物である.現在は,「脳振盪」を疑った時点で競技を中止し,慎重に症状経過を観察しながら徐々に日常生活動作の範囲を拡大するように管理することが求められている.そして,学生であれば,競技に戻る前に通常の学校生活に戻ることが優先される.

この際には,さまざまなことに注意を払いながら学校生活に戻ることが必要になる.具体的に何をどのように注意すれば良いのかは,選手自身も病院でそこまで詳細には教えられないことも多く,教員をはじめ学校関係者・スポーツ関係者も教えられる機会が極めて限られているのが実際である.もちろん競技へ復帰するにしても,やはり段階的に運動強度や範囲を拡大し,一定期間を経過しても何らかの症状が残るようであれば,リハビリテーションを行い症状軽減に努めることになる.しかし,リハビリの際の注意事項についても,例えば競技別に具体的に指導されることはあまりなく,多くの方が困っていた.

私にも,さまざまな立場の方から受傷から復学,競技復帰への具体的な注意点などについて教えてほしいという連絡をいただくことが日々増えていた.言われてみれば,スポーツ関係者,特に学校関係者にも活用できる書籍などが存在しないことに気づき,今回貴重なご縁を頂き,多くの方,特に学校関係者の方にもわかりやすく,明日からの実際の現場に活用できるように本書を作成した.

作成にあたり,「脳振盪」だけでなく,それぞれの競技に精通した数多くの先生方にご執筆いただいた.本書が,国内のさまざまな立場の方に広くご活用いただけることを願っている.

末筆ではあるが,本書の出版にご協力をいただいた執筆者の皆様,丸善出版株式会社の木下岳士さんをはじめ編集部の皆さまに深く感謝申し上げる.本書の作成は,平時からの家族の深い理解と支援なくしては叶うことはなかった.この場をお借りして心から感謝を申し上げます.


2025年12月吉日

中山晴雄


今,本書を手に取っておられる方は,少なくとも一度は「スポーツ関連脳振盪」(以下,脳振盪)について悩まれたと思う.わが国では,日本神経外傷研究会(現日本脳神経外傷学会)に所属する数多くの専門家が,スポーツ中に発生する重症頭部外傷,特に急性硬膜下血腫の治療や病態について長年にわたり多くの議論をしてきた.

2000年以降,脳振盪に関する国際会議でさまざまな研究者が議論し,Sports Concussion Assessment Tool (SCAT)を代表とする脳振盪の評価ツールが開発された.現在多くの競技で,SCAT などが使用されるようになっている.この背景には,脳振盪の予防や対応が,急性硬膜下血腫などの重症頭部外傷予防や,慢性外傷性脳症などの重篤な後遺症予防につながると考えられているからである.

編者らは以前から,脳振盪に関する最新の内容が盛り込まれ,知識の整理に役立つ実践的な入門書を希求していた.このような観点から,現在第一線で脳振盪の治療や研究,対応にあたっておられる関係者の方々に執筆をお願いして刊行に至った.本書は,脳振盪に関する臨床的入門書として,総論と競技別に脳振盪に関わるほぼすべての分野を網羅している.わが国での脳振盪の発生を少しでも減らすための競技環境の整備や,脳振盪後の競技者と関係者が安心・安全に競技復帰できるための日常のガイドとして利用していただけるように解説した.本書が脳振盪を専門とする医師やトレーナーなどの医療関係者や各競技の指導者,さらには教育現場などスポーツに関わる方々に広く利用していただけることを切に願っている.

最後に,本書の出版にご協力いただいた執筆者の方々,さらに丸善出版株式会社の木下岳士氏ほか編集部の皆様に深く感謝申し上げる.加えて,日々深い理解と励ましを与えてくれた両親をはじめ,家族に心より感謝申し上げます.


2025年12月吉日

重森 裕

目次

1 脳振盪とは何か 

1.1 脳振盪とはどのような状態か

1.2 発生のメカニズム

1.3 脳振盪は簡単に起こる

1.4 脳振盪を繰り返すことの危険性

2 競技復帰を考える 

2.1 就業・就学復帰までの計画

2.2 競技復帰までの計画

2.2.1 診断と初期対応

2.2.2 安静期間

2.2.3 段階的な復帰計画

2.2.4 モニタリングと再発予防

2.2.5 精神的なサポート

2.2.6 家族やサポートチームとの連携

2.2.7 まとめ

2.3 急性期の適切な対応

2.3.1 即時のプレー中止と安静

2.3.2 専門スタッフによる徹底した症状観察

2.3.3 頭部外傷の重症度判断

2.3.4 二次障害の予防と対応

2.3.5 症状のモニタリングと対応

2.3.6 選手と家族への説明と指示

2.3.7 補助検査の実施

2.3.8 症状に応じた投薬治療

2.3.9 入院の判断

2.3.10 家族や関係者への情報提供

2.3.11 急性期対応の重要性

2.3.12 学校現場における脳振盪への適切な対応

2.4 亜急性期の適切な対応

2.4.1 亜急性期の基本的理解

2.4.2 就学復帰に関する注意点

2.4.3 競技復帰に関する注意点

2.4.4 共通の注意点

2.4.5 就学復帰と競技復帰の調和

2.4.6 長期的な視点

2.4.7 教育と啓発活動

2.4.8 学校環境の整備

2.4.9 競技環境の改善

2.4.10 復帰後のフォローアップ

2.4.11 学校全体でのアプローチ

2.5 慢性期の適切な対応

2.5.1 高次脳機能障害への対応

2.5.2 心理的後遺症への対応

2.5.3 生活環境の調整

2.5.4 主治医や専門家との関わり

2.5.5 復学・復職に向けた配慮と調整

2.5.6 就労支援と社会資源の活用

2.5.7 社会復帰後のフォローアップ

2.5.8 家族へのサポート

3 脳振盪を予防する 

3.1 脳振盪を防ぐ原則

3.1.1 第一原則:適切な技術指導とルール遵守

3.1.2 第二原則:適切な防具の使用と環境整備

3.1.3 第三原則:身体能力向上と筋力強化

3.1.4 第四原則:教育と意識改革

3.2 競技別注意点

3.2.1 野 球

3.2.2 サッカー

3.2.3 ラグビー

3.2.4 柔 道

3.2.5 アーバンスポーツ

3.2.6 スキー・スノーボード

3.2.7 アメリカンフットボール

3.2.8 アイスホッケー

3.2.9 ラクロス

3.2.10 チアリ―ディング

3.2.11 バレーボール

3.2.12 バスケットボール

4 引退を選ぶ時のサポート

4.1 脳振盪により引退を考えるのはどのような時か

4.2 症例から学ぶ引退の判断プロセス

4.2.1 医学的評価の重要性

4.2.2 競技特性の考慮

4.2.3 キャリアステージ,経済的要因とアイデンティティの問題

4.2.4 引退検討における具体的アプローチ

4.2.5 脳振盪の診断と評価の複雑さ

4.2.6 引退検討における配慮すべき重要事項

4.2.7 引退後のサポートとリハビリテーション

4.2.8 予防と教育の重要性

4.3 競技復帰が難しいと考えられる選手のメンタルサポート

4.3.1 医療機関でのメンタルサポート

4.3.2 受診後,競技現場・生活の場でのメンタルサポート

4.3.3 SRCを経験したアスリートの将来を見据えて

4.4 脳振盪による引退検討の本質

4.4.1 希望ある未来への展望

4.4.2 社会全体でのサポートの重要性

4.4.3 みんなで作る安全なスポーツ文化

5 発症時の対応 

5.1 発症時の対応

5.2 脳振盪発生時のチェックポイント

5.3 様子を見ると決めた時に何を見ればいいのか

5.4 保護者・家族へ伝えるべき注意点

5.5 保護者・家族は何の様子を見るべきか?

5.6 女性アスリートの注意点と問題点

5.7 準備としてのエマージェンシーアクションプラン

コラム

スポーツ脳振盪の専門家はどこにいる?

大会運営時の注意点

部活動は安全か

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 最新バージョンのOSをご利用ください

  • android icon

    AndroidOS 最新バージョンのOSをご利用ください

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、m3.com電子書籍アプリが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784621312674
  • ページ数:192頁
  • 書籍発行日:2026年1月
  • 電子版発売日:2026年1月30日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。

※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍アプリが必要です。

※eBook版は、書籍の体裁そのままで表示しますので、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。