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- 感染症病理レクチャーノート
商品情報
内容
「J-IDEO」の名物連載を書籍化!
感染症総合誌「J-IDEO」に約7年にわたり連載され好評を博した「教えて感染症の病理」を再構成し,感染症を病理学の視点から体系的に学べるレクチャーノートとして一冊にまとめました.ウイルス,細菌,真菌,寄生虫を原因とする種々の疾患について,臨床症状,検査所見,病原体,宿主反応を断片的に捉えるのではなく,病理を軸に統合し,「なぜこの診断に至るのか」という思考過程を丁寧に解説することで,臨床と病理のあいだにある理解の溝を埋めます.感染症診療に関わる臨床医・病理医・臨床検査技師・研修医にとって,病理を共通言語として学び直すための実践的な一冊です.
序文
序文
感染症病理を俯瞰(ふかん)する―連載7年の軌跡と基本の探求
感染症診療において病理学は極めて重要な役割を担っている.しかし,「感染症の病理(Pathology of Infectious Diseases)」を横断的かつ体系的にまとめた総合的テキストは,国内外を通じても極めて限られているのが現状である.臨床感染症学,臨床微生物学・臨床検査医学,病理学はそれぞれ独立した分野として発展してきたが,実臨床ではこれらを統合的に理解する視点が不可欠である.
本書は,医学専門誌J—IDEO において約7年にわたり連載してきた「教えて感染症の病理」を基盤として刊行されたものである.連載では,臓器,病原体,診断上のトピックを個別に取り上げてきたが,回を重ねるにつれ,感染症を病理学的に俯瞰する一つの流れが形成されていった.各稿では,自験例を起点として文献検索を行い,得られた知見を整理・解釈し文章化してきた.この作業は決して容易ではなかったが,その積み重ねこそが本書の実践性と独自性を形作っている.本書はそれらを再構成し,臨床現場で遭遇する感染症を病理の視点から理解することを目的としている.
著者はこれまで,内科・感染症診療,外科病理学,臨床検査医学の三領域を横断して医療に携わってきた.感染症の病理は,単なる形態診断にとどまらず,病原体同定,宿主反応,臨床・検査情報を統合して初めて臨床的意義を持つ.従来の病理学書では疾患名と病理像の記載に留まり,「なぜその診断に至ったのか」という過程が十分に共有されていないことも少なくなかった.病理と臨床の間に存在する理解の隔たりを埋めることが,本書の重要な目的の一つである.
感染症病理に携わる病理医には,微生物学的知識に加え,細胞・組織病理学的診断能力が求められる.また,免疫組織化学法,in situ hybridization(ISH),ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)など,病原体検出法の原理と,ときにその限界を理解することも不可欠である1,2).
本書が重んじるのは「病理診断学の基本」である.臓器の肉眼診断と,H—E 染色を基本とする組織診断の融合こそが診断の要である.ヘマトキシリンの紫とエオジンのピンクが織りなすコントラストの中に,病態の真実は隠されている.この「基本を重視する姿勢」は,病理学のみならず臨床医学全般に通じる.問診や身体所見という基本情報を軽視し,検査機器の数値のみに頼れば,真の診断を見失うことになりかねない.
本書が,病理医のみならず,感染症診療に携わる臨床医,臨床検査医,研修医にとって,病理を共通言語として感染症診療を深める一助となることを願っている.そして,感染症診療における臨床・検査・病理の三領域をつなぐ架け橋となれば幸いである.
2026年1月
砂川 恵伸
目次
病原体 編
1 ウイルス感染症の病理は封入体の有無とその特徴をつかむ
2 末梢血液中に異型リンパ球をみたら“インフェクシャス・モノ”を疑え
3 200年間も炎症と議論された悪性リンパ腫
4 発熱,2系統以上の血球減少を認めたら「ヘモファゴ」を疑え
5 日本で最も多い急性肝不全の原因はB型肝炎ウイルスである
6 ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)はケラチンを壊し,コイロサイトーシスを起こす
7 T細胞性リンパ腫をみたときには出身地と血清HTLV—1抗体をチェックする
コラム 悪性リンパ腫の診断
8 Koplik斑を伴う重症肺炎は巨細胞性肺炎の像を呈する
9 皮膚にぶつぶつができるウイルス感染症
コラム 天然痘とエムポックス〜痘瘡ワクチンはエムポックスを予防できる〜
10 水疱が拡がり頭痛と意識障害が出現した成人男性
コラム 水痘・帯状疱疹ワクチン開発の歴史〜乾燥組換え 帯状疱疹ワクチン シングリックス®まで
11 ネコにひっかかれたら熱が出た
コラム ベクター伝播疾病〜ネコとノミ媒介性疾患
12 ネコに噛まれたら熱が出た
13 偽膜は変性した細胞,炎症性物質と粘液から構成される
14 胃潰瘍を見たら胃粘膜表面の細菌チェックを忘れずに
コラム 病理における感染症病原体の診断
15 肺胞—肺胞間,肺胞—気管支間を通じて拡大する肺炎
16 「単純型」か「複雑型」かで分ける感染症
17 四肢を深くまで破壊する細菌感染症
18 血管内カテーテル関連血流感染症(CRBSI)と感染性心内膜炎
コラム 血液培養陽性となった感染性心内膜炎における追加血液培養follow‒up blood cultures
19 急性細菌性髄膜炎を疑ったら迅速に治療を開始せよ
コラム 病理検査におけるGram染色
20 溶血をきたす劇症型細菌感染症
21 無痛性で手掌・足底,体幹に広がる皮疹
コラム 発疹とは
22 クローン病と鑑別を要する感染性腸炎
23 壊死を伴う肉芽腫,多核巨細胞をみたら○○を疑え
コラム 肉芽腫とは
24 忘れた頃にやってくる感染症
コラム 粟粒とは〜大きさの表現〜
25 免疫不全患者の肺炎
26 血中では酵母形,局所では偽菌糸形に変化する真菌症
コラム カンジダとは
27 AIDS患者の不明熱
コラム 墨汁法(墨汁染色)
28 好中球減少者における確定困難な侵襲性感染症
コラム なぜ真菌は名前がふたつあるの?—真菌の有性生殖と無性生殖—
29 抗菌薬が効かない副鼻腔炎は糸状菌を疑う
30 無隔壁で不規則な分岐をする糸状菌は原始的な真菌
コラム 接合菌とは
31 潰瘍性大腸炎と鑑別を要する寄生虫症
コラム 赤痢アメーバと病理診断されたら,性感染症を検索しよう
32 出身地情報が重要な下痢,発熱および意識障害の症例
33 天然のマスの刺身を食べた後に,おしりから紐状のものが出てきた
コラム 細菌(原核生物)と寄生虫(真核生物)の遺伝子学的分類
34 強いかゆみを訴えたら,ダニ感染を疑う
コラム 大村 智博士ノーベル賞受賞のもとになったイベルメクチン
35 急速進行性の認知症 ホルマリンで固定しても感染性が残る病原体
コラム 種を超えた感染症〜世界を震撼させた狂牛病と変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の今〜
疾患・臓器 編
1 急性心筋炎の多くはウイルス・自己免疫により炎症が起こる
2 大腸憩室は固有筋層を欠く仮の憩室
コラム Meckel憩室は真の憩室
3 右下腹部痛を見たら虫垂炎を疑う 蜂窩織炎性と壊疽性の違いは,虫垂構造の破壊の有無による
4 発熱,右上腹部痛,Murphy’s signを診たら胆囊炎を疑う
5 膿瘍は化膿性壊死物質が貯留する炎症性病変である
6 糖尿病足病変に伴う骨髄炎は末梢神経および動脈障害が原因となる
コラム 糖尿病足病変における足趾切断の適応
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書籍情報
- ISBN:9784498021600
- ページ数:446頁
- 書籍発行日:2026年2月
- 電子版発売日:2026年2月11日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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