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- 集学的治療 脳神経外科手術×放射線治療
商品情報
内容
序文
序文
ガンマナイフが日本に導入されてから30余年が経過しました.この間,脳定位放射線治療(stereotactic radiosurgery / radiotherapy)は大きく発展し,現在では,悪性・良性腫瘍から血管障害,機能性疾患までを網羅する,脳神経外科に欠かせない重要な治療モダリティとなっています.
日本放射線腫瘍学会(JASTRO)構造調査によると,脳定位照射の件数は年間1.4万件前後で推移し,LINACやサイバーナイフも加わり,広く一般化しました.2023年の速報値ではガンマナイフの割合は約31%となっています.これは機種間で,病態に応じた「使い分け」の時代へ移行した結果といえます.いま重要なのは,装置ごとの特性を正しく理解し,患者に最適な治療を選択するための「共通言語」を持つことです.
定位放射線治療は,もはや単独で完結するものではなく,手術や血管内治療と組み合わせた集学的治療の一翼を担っています.しかし,系統的に学ぶ機会は依然として乏しく,その原理,適応,放射線障害についての理解が脳神経外科医の間で十分とは言えないのが現状です.臨床現場で,定位放射線治療の適応の妥当性や治療後の変化の解釈に戸惑いを感じることはないでしょうか.照射線量や治療目的が十分に共有されないまま,経過を追わざるを得ない場面もあるかもしれません.
「この症状は不可逆的な変化か,それとも一過性の反応か」「手術と放射線治療の順序は?」――こうした,現場の疑問に答えるためには,定位放射線治療側の視点と解釈が欠かせません.治療の継ぎ目で起こる誤解やリスクを防ぐには,相互の理解と情報共有が不可欠です.本書『集学的治療 脳神経外科手術×放射線治療―定位放射線治療前・後の手術と合併症対応』は,まさにそうした臨床現場の「すきま」を埋めるべく企画されました.定位放射線治療と手術・血管内治療の「あいだ」にある実践知と判断軸を明示し,モダリティ横断的に共有することを目指しています.治療間の接点で起こりうる合併症,照射後の組織に対する手術操作,再照射や治療追加の判断,そして意思決定の難しさなど,若手・中堅世代が直面する具体的な課題に即した情報を体系的に整理しました.
またインフォームドコンセントにも活用できる図表やフローチャートを多数掲載し,臨床の「今すぐ知りたい」に応える構成となっています.定位放射線治療の「前」と「後」で起こる変化を,どう読み解き,どうつなぐか――その実践に寄り添う一冊です.執筆には,定位放射線治療と外科・血管内治療の橋渡しを日々実践し,横断的な視野を持つ先生方にご参加いただきました.
本書が,定位放射線治療・手術・血管内治療の垣根を越えた理解と対話の一助となり,ひいては脳神経外科医療全体の質と患者満足度の向上に寄与することを願ってやみません.
注:p.3の「推薦のことば」でも触れられている通り,本来,「定位放射線照射(STI)」がSRSとSRTを包含する用語ですが,実臨床では「定位放射線治療(SRT)」が総称的に使われることも少なくありません.本書では用語を画一的に統一せず,各執筆者が臨床現場で用いている生きた文脈(原文)を尊重して掲載しました.本来の定義については,1章3「直線加速器(LINAC)」(p. 36~)をご参照ください.
2026年1月
国立循環器病研究センター脳神経外科 医長 森 久恵
目次
【1章 脳神経外科放射線治療の基礎知識 ―ここまでできる! 放射線治療Up to Date】
■1 ガンマナイフ
・①プランニング
・②コンツーリングと固定精度
■2 サイバーナイフ
■3 直線加速器(LINAC)
【2章 患者説明に使える放射線治療のインフォームドコンセント】
■1 脳動静脈奇形(AVM)
■2 硬膜動静脈瘻(dAVF)
■3 転移性脳腫瘍
■4 聴神経腫瘍
■5 小児脳疾患に対する放射線治療のプレパレーション
【3章 \フローチャートでわかる/ よくある放射線治療後の経過:合併症と対応法】
■1 脳動静脈奇形(AVM)に対する定位放射線治療後の合併症
■2 良性脳腫瘍に対する定位放射線治療後の合併症:聴神経腫瘍を中心に(一過性膨大と水頭症)
■3 転移性脳腫瘍に対する定位放射線治療後の経過観察における要点:再発,放射線壊死,播種を中心に
【4章 \ここがポイント!/ 疾患別 放射線治療前の手術のコツ】
■1 シャント疾患(AVM・dAVF)の血管内治療:NBCA+ガンマナイフ
■2 シャント疾患(AVM・dAVF)の血管内治療:Onyx+SRS
■3 聴神経腫瘍の手術(放射線治療前)
■4 下垂体神経内分泌腫瘍(放射線治療前の内視鏡下経鼻腫瘍摘出術)
■5 髄膜腫(手術+SRT)
■6 転移性脳腫瘍(摘出術+計画的術後照射と計画的術前照射+摘出術)
【5章 \ここに注意!/ 疾患別 放射線治療後の手術のコツ ―癒着を中心に】
■1 シャント疾患(AVM・dAVF)の血管内治療 その1
■2 シャント疾患(AVM・dAVF)の血管内治療 その2
■3 シャント疾患(AVM・dAVF)の直達手術 その1
■4 シャント疾患(AVM・dAVF)の直達手術 その2
■5 聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫)―60例を超える放射線治療後手術の経験を踏まえて
■6 聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫)―ガンマナイフ治療後増大例の摘出術
■7 髄膜腫―放射線治療後再発髄膜腫の手術
■8 髄膜腫―放射線治療後鞍結節部髄膜腫,錐体斜台部髄膜腫の手術
■9 転移性脳腫瘍―安全域付き摘出法<ザックリ法>と最小限摘出法<ギリギリ法>
■10 転移性脳腫瘍―機能温存を優先した放射線治療後再発例の手術
■11 小児の脳腫瘍―集学的治療の最適化を目指して
【コラム】
1 脳神経外科医の矜持を,メスから放射線へ―なぜ脳神経外科医がガンマナイフを担うのか
2 “do not interrupt”
3 手術/経過観察について―定位放射線担当の脳外科医より
4 放射線治療医からの伝言
5 “もう治ったんですよね?”にどう答えるか―Nidusの完全閉塞をめぐって
6 ガンマナイフセンター勤務の脳神経外科医からのメッセージ
7 聴神経腫瘍
8 長期合併症への対応
9 下垂体神経内分泌腫瘍に対する定位放射線治療後の合併症
10 髄膜腫に対する定位放射線治療後の合併症
11 転移性脳腫瘍の治療を通じて「がんと共に生きる」未来の実現
12 脳腫瘍に対する多角的治療戦略時代の到来
13 聴神経腫瘍治療の両輪として―最適な医療を目指して
14 定位放射線治療後のフォローアップ
15 局所制御向上と放射線壊死の低減のために
16 小児脳腫瘍における治療すみ分けの視点
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書籍情報
- ISBN:9784840490917
- ページ数:224頁
- 書籍発行日:2026年3月
- 電子版発売日:2026年2月18日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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