Less, but better 肺炎診療

  • ページ数 : 232頁
  • 書籍発行日 : 2026年3月
  • 電子版発売日 : 2026年2月27日
¥4,400(税込)
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商品情報

内容

肺炎を疑うとき,数多くの病原菌と抗菌薬を前に,「どの薬剤を選ぶべきか」と迷う場面は少なくない。本書は,そうした臨床の実感を出発点に,“Less, but Better” をコンセプトとして肺炎診療を再整理した実践書である。
複雑に見える原因菌を,「気腔」「消化管」「環境」という3つの出どころに分類し(三群),現場で最低限押さえておくべき数種類のessential drugを明確に提示。それらを市中肺炎,院内肺炎,医療・介護関連肺炎といった各カテゴリーに正しく振り分けることで(三型),原因菌が特定できない状況でも,過不足のない抗菌薬選択へと導く考え方・選択の軸を解説する。
まず各論で肺炎診療に必要な知識の全体像を整理し,続く事例検討およびQ&A形式のREVIEWを通して,「三型・三群」の考え方を実践的に身につけられる構成となっている。
あえて「必須ではない部分(what is NOT essential)」を削ぎ落とし,診療の核となる「実践知」を身につけるための画期的な一冊。

序文

Go David !


ミケランジェロは,人間の魂がその肉体の内に宿るように,彫刻作品のあるべき姿はその石塊の内にあらかじめ現れているものだという信念を抱いていたと言われています。16世紀初頭,彼は3年の歳月をかけ,巨大な大理石からダビデ「ではない」部分―what is NOT David―を削ぎ落とし,秀麗で荘厳なるダビデ像を彫り出しました。

肺炎の治療では,理論的には,一見複雑多岐にわたる数多の病原細菌から原因菌を想定,あるいは特定し,それを叩くことのできる治療薬を多種多様な抗菌薬のなかから選択することが求められます。この知的作業の礎となる,臨床微生物学および抗菌化学療法の詳細を網羅する知識(学知)の総体が,大理石に相当します。しかし,肺炎診療の実践にあたり,動かすのも困難なほどに重たい大理石を持ち歩こうとすると,文字通り骨が折れてしまいます。むしろ,実践のために必須ではない部分―what is NOT essential―を見定め,肺炎治療の心髄ともいえるダビデ像(実践知)を自分のなかにもつことが必要です。

肺炎は,市中肺炎,院内肺炎,医療・介護関連肺炎の三型に大別されますが,その数多い原因菌も,実は気腔,消化管,および環境の三つの由来(群)に束ねることができます。この「三型・三群」を理解することが,弱拡大ながら肺炎診療の本質を俯瞰する視野を手に入れ,目前の患者さんに肺炎を起こしている原因菌群と選択すべき抗菌薬グループをイメージすることを可能にします。

本書『Less, but Better 肺炎診療』は,このような考え方を意識して書きました。詳細に記載した第Ⅲ章までの各論全体を知識の総体とご理解いただき,事例検討の章,およびQ&A形式のREVIEWを通して,三型・三群の考え方,すなわち肺炎診療のダビデ像をご自分のなかに描いていただくことができれば幸いです。

原稿の細部まで丁寧にご確認いただき,推敲から見出し,レイアウトに至るまでご助言をいただいたメジカルビュー社編集部の皆様,特に,山田麻祐子さま,加賀智子さまに心からお礼を申し上げます。


2026年2月

青木洋介

目次

第Ⅰ章 肺炎の分類と原因菌の考え方

市中肺炎と原因菌 ①定型肺炎と非定型肺炎

市中肺炎と原因菌 ②原因菌の由来

院内肺炎と原因菌

医療・介護関連肺炎

MEMO

1-1:耐性化

1-2:インフルエンザ菌

1-3:環境由来のグラム陰性菌を患者さんに定着させない

1-4:嫌気性菌

1-5:黄色ブドウ球菌による肺炎の頻度

第Ⅱ章 肺炎の臨床像・診断

細菌性肺炎の症状

細菌性肺炎は急性の発症経過(chronology)

健康成人における肺炎の症状

高齢者肺炎の特徴

胸痛

バイタルサイン

肺炎の診断:聴診 ①方法

肺炎の診断:聴診 ②正常の呼吸音

肺炎の診断:聴診 ③副雑音(adventitious lung sounds)

肺炎の診断:聴診 ④肺炎患者さんの聴診所見

肺炎の診断:胸部X線写真

胸部X線写真(正面像)の読み方

メタ認知:直感を躾ける~診断アプローチのtips ~

MEMO

2-1:抗菌薬は患者さんに投与するのではありません

2-2:糖尿病患者における好中球の機能低下

2-3:胸水の生理

2-4:敗血症の評価

2-5:fine crackle

第Ⅲ章 肺炎の治療

抗菌薬の選び方

β-ラクタム系抗菌薬 β-ラクタム系抗菌薬 ①ペニシリン系抗菌薬 β-ラクタム系抗菌薬 ②セファロスポリン(セフェム)系抗菌薬 β-ラクタム系抗菌薬 ③カルバペネム系抗菌薬

キノロン系抗菌薬

マクロライド系抗菌薬およびミノサイクリン

抗MRSA薬

そのほかの抗菌薬

治療の効果判定

初期治療抗菌薬の選択:まとめ

MEMO

3-1:問題解決は上流で

3-2:Lindy効果

3-3:Availability Heuristics

3-4:ESBL?

3-5:中等症

3-6:3日間

3-7:高い生体利用率を活かすには

3-8:抗菌薬 vs 抗ウイルス薬

3-9:Intensity matching

第Ⅳ章 事例検討

大葉性肺炎

プライマリケアで診療することの多い肺炎 ①気管支肺炎

プライマリケアで診療することの多い肺炎 ②誤嚥性肺炎

プライマリケアで診療することの多い肺炎 ③マイコプラズマ感染症

プライマリケアで診療することの多い肺炎 ④非定型肺炎(おそらくマイコプラズマ類縁感染症)

プライマリケアで診療することの多い肺炎 ⑤肺結核

プライマリケアで診療することの多い肺炎 ⑥細菌性肺炎

プライマリケアで診療することの多い肺炎 ⑦肺結核

プライマリケアで診療することの多い肺炎 ⑧肺結核

嫌気性菌による肺炎 ①肺膿瘍

嫌気性菌による肺炎 ②肺膿瘍(+胸膜炎)

嫌気性菌による肺炎 ③肺膿瘍

入院患者の肺炎≒誤嚥性肺炎 ①くも膜下出血後

入院患者の誤嚥性肺炎 ②腹部大動脈グラフト置換術後

入院患者の肺炎≒誤嚥性肺炎 ③両側人工股関節置換術後

入院患者の肺炎≒誤嚥性肺炎 ④残膵摘出術後

入院患者の肺炎≒誤嚥性肺炎 ⑤進行期舌がん

入院患者の肺炎≒誤嚥性肺炎 ⑥肺気腫・関節リウマチ

免疫抑制状態での肺炎の原因菌の考え方

免疫抑制状態での肺炎の原因菌の考え方 ①ノカルジア感染症

MEMO

4-1:消去法

4-2:Mental shortcut

4-3:〜sis

4-4:腸内細菌と肺炎

4-5:three sides to every story

4-6:CLDM

4-7:Hindsight bias

4-8:放線菌

4-9:Bacterial adherence

4-10:Silent evidence-based medicine

4-11:Unknown unknowns

第Ⅴ章 REVIEW

知識と想起

症例問題

付録 抗菌薬の腎機能別投与量

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書籍情報

  • ISBN:9784758322478
  • ページ数:232頁
  • 書籍発行日:2026年3月
  • 電子版発売日:2026年2月27日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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