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運動負荷心エコーのための運動生理学 負荷心エコーとCPXのコラボによる診断・治療戦略

  • ページ数 : 140頁
  • 書籍発行日 : 2026年3月
  • 電子版発売日 : 2026年3月19日
¥5,500(税込)
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商品情報

内容

運動負荷試験と心エコーの融合
「労作時」の症状を有する疾患を治療するために必要な運動負荷の知識を得ることで,運動負荷心エコーを最大限活用し,適切な治療に結びつけるためのテキスト.運動中の心血管系の変化と酸素摂取量から考える運動強度の意味をわかりやすく解説し,労作時の症状の原因を突き止めて患者さんの訴えに基づいた運動負荷心エコーをいかに実施するか,そのポイントを実践的にまとめた.

序文


この本は,「労作時」の症状を有する疾患を治療する時に必要な運動負荷の知識を得るための本です.例えば,「動いたときに息が切れる」という訴えに対して心臓カテーテル検査を行い,左前下行枝#7あたりに有意狭窄を見出し,そこに経皮的冠動脈形成術を行って終了という治療は少なくありません.患者さんは医師に感謝しますが,よく聞いてみると,息切れ感は軽快していないので別の医者で再検査してもらったという話を時々耳にします.冠血流量(酸素)供給不足が出現する運動強度が,症状を感じる運動強度よりも高い場合,その狭窄病変は症状の原因ではなく,そこを治療しても症状改善には役立たないものと考えられます.同様に,最大負荷をかけた時に出現する心収縮能や拡張能障害は,激しい労作時の息切れの原因にはなりますが,階段ののぼり始めに感じるような息切れの原因であるとは言えません.その場合,その心機能障害を治療しても症状が改善することはないと思われます.すなわち,心臓や血管の構造上の異常は安静時の検査でわかりますが,その異常が労作時の症状の原因になっているのかどうかは運動負荷試験を行わなければわかりません.また,どの程度の運動強度で症状が出現するのかを聴取し,そのレベルの運動中に体で何が生じているのかを検索しなければ,労作時の症状の原因にたどり着き,適切な治療を行うことはできません.

心肺運動負荷試験(CPX: cardiopulmonary exercise test)は,ランプ負荷を用いることによって,軽労作時,中等度の労作時,そして高強度の労作時に体でどのような異常が生じるのかを評価できる検査です.しかし,CPXでみるものは呼気ガスであり,実際の心臓の動きではありません.そのため,心疾患の病態や重症度評価はできますが,診断そのものができる検査ではありません.一方,心臓を直接評価できる優れた検査と言えば心エコーです.心エコーは心臓の構造のみならず,推測にはなりますが心内圧の評価も可能です.運動負荷中にエコーを行えば,運動中の心臓の動きの変化をみることもできるので,運動負荷心エコー検査は労作時の症状の原因解析のために優れた検査です.しかし,従来の運動負荷心エコーは,運動負荷後にすぐにベッドに寝かせてエコーをとるという,いわゆる「運動負荷後心エコー検査」というものでした.運動終了後,心血行動態は刻々と変化するため,あまり有用な検査とは言えないものでした.一方,最近は,ベッド上で自転車エルゴメータを漕がせながら心エコーを行う方法が普及し始めており,これは負荷中の心臓の状態がみられる点で大変素晴らしい検査手法と言えます.しかし,負荷強度の意味を考慮に入れているわけではありません.せっかく運動負荷試験と心エコーを融合させるのですから,どの程度の負荷強度でどのような異常が生じるのかという点にも注目すると,さらに意義深い検査になると思われます.

本書では運動中の心血管系の変化と酸素摂取量から考える運動強度の意味について解説し,患者さんの訴えに基づいた運動負荷心エコーの実施法を提案し,最終的に適切な治療法に結び付けられるような内容にしました.運動負荷心エコー実施時の参考になれば幸甚です.


2026年1月

群馬県立心臓血管センター 安達 仁

目次

第1章 運動と心臓・心疾患 〈安達 仁〉

1 心疾患の症状と運動

2 心疾患における運動負荷試験の重要性

第2章 運動負荷と心血管応答 〈稗田道成〉

1 はじめに

2 運動時の循環調節機構

3 運動中の神経循環制御メカニズム

4 セントラルコマンドと自律神経系

5 圧受容器反射と運動圧反射

6 各血行動態パラメータの応答

7 嫌気性代謝閾値(AT)の生理学的意義と血行動態の変化

8 自覚症状出現強度と運動強度

9 まとめ

第3章 運動負荷と呼吸機能 〈稗田道成〉

1 はじめに

2 肺胞でのガス交換機構と換気/血流比

3 運動負荷時は死腔量を減少,呼吸回数を増加,分時換気量を増加させる      

4 運動負荷に対する呼吸調整

5 換気ドライブの機序

第4章運動負荷様式と血行動態応答の違い 〈稗田道成〉

1 運動負荷時の循環応答

2 運動負荷心エコーにおける運動負荷様式の基本的な考え方

3 運動負荷としての筋収縮の分類

4 静的収縮と動的収縮の運動様式の血管抵抗・後負荷に与える影響

5 静的収縮と動的収縮の心拍出量の増加

6 静的収縮と動的収縮の心拍数の変化

7 静的収縮と動的収縮の一回拍出量に与える影響

8 静的収縮と動的収縮の際の全身血管抵抗と血圧変化

9 運動中と運動直後の心エコー

第5章CPX実施法とパラメータの意味 〈安達 仁〉

1 CPXとは

2 プロトコール

3 準備

4 得られる指標

5 酸素摂取量

6 日常活動と酸素摂取量

7 ワット数(負荷強度)とメッツ・酸素摂取量

8 VO2/HR

9 ETCO2(PETCO2)

10 心機能とVO2/HR,ETCO2

11 VE-VCO2関係(minimum VE/VCO2, VE vs VCO2 slope)

12 AT,RCP

13 予後・重症度との関連

第6章 運動生理学的観点から考える運動負荷心エコー実施法〈安達 仁〉

1 負荷強度を設定する意義

2 日常活動の運動レベルと酸素摂取量の対比

3 負荷に対する時間的応答性

4 姿勢の影響

5 運動負荷後心エコー

6 プロトコール例

7 負荷心エコー前のCPXの必要性

第7章 安静時心エコーで見る心臓容量負荷と圧負荷の影響の検出〈星野圭治〉

1 安静時所見から容量負荷と圧負荷の影響を考える意義

2 容量負荷と圧負荷の影響を心エコーから考える

3 容量負荷による形態・機能変化=遠心性肥大

4 圧負荷による形態・機能変化=求心性肥大

5 まとめ

第8章血行動態変化時の心エコー所見の変化 〈稗田道成〉

1 はじめに

2 安静時および運動負荷時の血行動態変化と心エコー所見

3 心拍数応答

4 血圧応答

5 肺動脈楔入圧

6 肺動脈圧

7 僧帽弁流入血流パターン

8 三尖弁逆流圧較差

9 運動負荷心エコーの臨床的有用性と解決しなければならない課題

10 まとめ

第9章 安静時エコーパラメータとpeak VO2の関係 〈星野圭治〉

1 はじめに

2 収縮能指標とpeak VO2の関係

3 拡張能指標とpeak VO2の関係

4 ストレイン,特にGLS,左房ストレインとの関連

5 最後に

第10章労作時息切れの鑑別 〈安達 仁〉

1 息切れ感の原因

2 運動強度からみた息切れ感を感じるタイミングと基礎疾患

3 CPXでの息切れ感の見方

第11章HFpEFを生じやすい心疾患 〈星野圭治〉

1 はじめに

2 HFpEFを生じやすい疾患

3 まとめ

第12章心筋虚血と心機能障害 〈安達 仁〉

1 労作性狭心症

2 INOCA(虚血性非閉塞性冠疾患)

第13章 CPXおよび負荷心エコーが診断に有用であった肺血栓塞栓症・虚血性心疾患の一例〈星野圭治〉

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書籍情報

  • ISBN:9784498067561
  • ページ数:140頁
  • 書籍発行日:2026年3月
  • 電子版発売日:2026年3月19日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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