助産の視点でよくわかる無痛分娩

  • ページ数 : 156頁
  • 書籍発行日 : 2026年4月
  • 電子版発売日 : 2026年4月10日
¥3,740(税込)
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商品情報

内容

助産師×産科医×麻酔科医が解説!
「無痛分娩」での助産師の役割と関わりをイチから学ぶための必携本


日本において、総分娩数に占める無痛分娩(硬膜外鎮痛分娩)は増加傾向にあります。助産師は無痛分娩を選択した妊産婦に対し、メリットやデメリット、分娩経過に及ぼし得る影響などを正しく理解したうえで、適切な助産ケアを実施する必要があります。
また、鎮痛下においても産婦のもつ力を発揮できるよう、自然な分娩経過を尊重したケアが求められます。
本書は、無痛分娩の基本知識から、妊娠期・分娩期・産褥期それぞれにおける助産師の具体的な役割まで、この一冊で体系的に学べるよう構成しました。
助産師に向けた、無痛分娩のスタンダードテキストです。

序文

はじめに


「出産」は、医療者の管理や支援を必要とする側面をもちながらも、同時に女性一人ひとりの人生や家族のあり方と深く結びつく出来事である。そのため、分娩をめぐる価値観や考え方は多様であり、特定の分娩方法を一律に良し悪しで評価することは適切ではない。分娩方法の違いにかかわらず、母子の安全が確保され、女性が尊厳を保ちながら出産に臨めることは、周産期医療における基本原則であり、医療技術や社会状況が変化しても揺らぐことのない共通の基盤である。

助産師は古くから、分娩中に最も近くで産婦に寄り添い、その経過を継続的に見守ってきた専門職である。助産師の判断は、教科書的知識や手技、分娩監視装置などの数値や波形のみに基づくものではなく、産婦の表情や声、呼吸や身体の緊張、陣痛の変化や胎児の回旋・下降など、五感を通して得られる情報を統合しながら行われてきた。こうした分娩進行の評価は、数値化しにくい変化を捉え、異常の兆候を早期に察知するうえで重要な実践知であり、助産師の専門性を支える中核的な要素である。

近年、日本の周産期医療を取り巻く環境は大きく変化している。医療技術の進歩や社会背景の変化を受け、無痛分娩は、施設や地域による差はあるものの、現代の日本において一定数選択される分娩方法の一つとなっている。一方で、無痛分娩をめぐっては慎重な意見や懸念も存在し、過去には重篤な合併症の事例が報告されてきた。これらは特定の分娩方法の是非を単純に結論づけるものではなく、安全管理体制の整備や多職種間の連携、医療者が共通の理解と知識をもつことの重要性を改めて示している。

無痛分娩の安全な実施には、産婦人科医、麻酔科医、新生児科医、看護師、助産師など、多職種がそれぞれの専門性を発揮し、連携する体制が不可欠である。その中で助産師は、妊娠から分娩、産褥に至るまで継続的に妊産婦と関わる立場として、分娩進行の観察や異常の早期発見に重要な役割を担っている。現在の日本では、無痛分娩の導入直後、あるいは導入を検討している施設も多く、助産師が無痛分娩に関わる経験や学習の機会には、施設や地域によって差があるのが実情である。無痛分娩では、痛みを手がかりとした評価が難しくなる場面もあるが、助産師がこれまで培ってきた分娩進行の見極めや、モニター情報と五感による観察を統合する視点は、無痛分娩においても重要な判断の基礎となる。

本書を企画した背景には、無痛分娩に携わる場面が増えつつある一方で、助産師が教育課程や卒後教育の中で、無痛分娩について体系的に学ぶ機会が限られている現状への問題意識がある。また、既存の書籍の多くは主として医師を対象とした内容であり、助産師や助産学生の視点で学べる無痛分娩のテキストは、決して多くはなかった。本書は、そうした空白を埋めることを意図し、助産師や助産学生が、自らの実践や学びと結びつけながら無痛分娩を理解するための一冊として構成されている。

本書の最大の特徴は、助産師の視点のみにとどまらず、産婦人科医、麻酔科医、助産師という3つの専門職の立場から、無痛分娩を多角的に捉えている点にある。あわせて本書では、無痛分娩において助産師が担う役割を、分娩進行の観察、母体および胎児の状態評価、さまざまなサインに着目した観察視点、日常的に行われる具体的な関わりや手技に即し、できる限り丁寧に記載している。執筆にあたっては、無痛分娩の実施と研究の第一人者である産婦人科医・天野完先生、産科麻酔の第一人者である麻酔科医・大原玲子先生が参画され、それぞれの専門的立場から本書の内容に多くの示唆をいただいた。三職種がそれぞれの役割と責任、視点を言語化し、同じ分娩を異なる角度から見つめ直すことは、無痛分娩の安全性を高めるうえで不可欠であり、本書の根幹をなす意義であると考えている。

あえて述べると、本書は無痛分娩の実施を推奨することを目的としたものではない。現場の助産師にとっては、無痛分娩に関わる際に直面する判断や対応を、自身の助産実践や安全管理の視点と結びつけながら考えるための一助として、また助産学生にとっては、修学期間が限られる中で、将来、分娩を支える専門職として現場に立つ際の判断に必要な視点を確認する一冊となることを期待している。本書が、分娩方法を問わず、母子の安全を支えるために日々思考を重ねるすべての助産師、そして次世代を担う助産学生にとって、実践に寄り添う一冊となることを願っている。


2026年2月吉日

東京医療保健大学 大学院看護学研究科
高度実践助産コース 教授
渡邊 香

目次

第1章 助産師の役割

01 助産師の理念と職業倫理

02 ポジティブな出産体験と無痛分娩

03 無痛分娩の意思決定支援

第2章 無痛分娩の概要

01 無痛分娩の変遷と今後

02 無痛分娩の方法

03 硬膜外鎮痛法、脊髄くも膜下硬膜外併用鎮痛法

04 硬膜外鎮痛法の副作用・合併症

05 胎児・新生児への無痛分娩の影響

第3章 助産師に求められる分娩期のケア

硬膜外鎮痛分娩の実際の流れ

01 硬膜外鎮痛分娩の準備

02 硬膜外カテーテルの挿入

03 硬膜外鎮痛の開始時と経過中の鎮痛評価と観察

04 分娩進行のアセスメント

05 硬膜外鎮痛法の分娩進行への影響

06 急速遂娩術の実施

第4章 助産師に求められる母子のケア

01 早期母子接触

02 分娩後の合併症・疼痛への対応

03 母乳育児へ向けた継続ケア

第5章 安全対策

01 無痛分娩を安全に提供するための組織体制

02 無痛分娩を安全に提供するための助産師の教育体制

03 安全管理に関する課題とマニュアルの構築

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書籍情報

  • ISBN:9784899965053
  • ページ数:156頁
  • 書籍発行日:2026年4月
  • 電子版発売日:2026年4月10日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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