プライマリケア医のための 腎臓診療フローチャート

  • ページ数 : 186頁
  • 書籍発行日 : 2026年4月
  • 電子版発売日 : 2026年4月21日
¥3,520(税込)
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商品情報

内容

TT&木戸れな先生と学ぶ,日常診療での腎臓疾患.
プライマリケアの現場で見逃されがちな“進行する腎機能低下”. 「症状がないから大丈夫かな?」そんな疑問を“早期発見フローチャート”で解決する一冊です. eGFRの変化の読み取り方, CKDを早期に見つけるコツ, 専門医へ紹介するタイミングまでを会話形式でやさしく解説. 難解になりがちな腎臓病診療を, 明日から使える実践知としてまとめました. 忙しい外来でもフローチャートで一発解決! プライマリケア医・研修医におすすめの, 腎臓診療入門書です.

序文

はじめに


同じ出来事でも,立場や視点が変われば見え方も大きく異なります.たとえば

・現場で働いていた人が管理職になったとき

・昔は疎ましかった親の言葉が,自分が親になって初めて腑に落ちたとき

・自転車で気軽に走っていたのに,車の免許を取ると自転車の危うさに気づかされるとき

こうした経験は,どなたにも一度はあるのではないでしょうか.


私が本書の執筆を思い立ったのも,腎臓診療における自らの立場の変化がきっかけでした.かつて私は急性期病院の腎臓専門外来で,主に腎不全患者さんの紹介を受ける側にいました.しかし,近年はプライマリケア医として,むしろ“専門外来へ患者さんを紹介する側”になりました.

そこで直面したのは,明らかに速いeGFR低下を示していても,適切な介入がなされず見過ごされている例が決して少なくないという現実でした.プライマリケアの外来には比較的若く健康な方が多い一方で,“腎機能の顔つき”が明らかに異なる方もいます.なかには「症状がないから大丈夫」「年齢のせい」と説明されたまま,eGFRが30~40mL/min/1.73m2に低下するまで介入されず,症状が出て初めて治療が始まるケースも散見されます.

専門外来にいた頃,私は「なぜもっと早い段階で介入されないのか」と疑問に思っていました.ところが数年間プライマリケアに携わるうちに,その一端が見えてきました.そもそも,進行性のeGFR低下そのものが,誰にも気づかれていないのです.これは誰かを責める話ではありません.症状の乏しさ・外来の多忙が重なると,経時変化の把握は難しくなります.私自身も専門外来にいた頃には見逃していたかもしれない――だからこそ,誰もが同じ手順で判断できる,わかりやすい早期発見フローチャートが必要なのです.

CKD治療はこの10年で大きく進歩しました.RAS阻害薬に加え,SGLT2阻害薬・GLP-1受容体作動薬・MRAなど選択肢は増え,保存期CKDの予後は確実に変わりつつあります.とはいえ,最も重要なのは,進行性CKDを早期に見つけ,早めに介入することです.焼け石に水ではなく,火が燃え始めた時点で消火にあたる――それこそが最善のCKD対策だと考えます.

本書は,腎臓病学の専門書にありがちな難解さを避け,プライマリケアの現場に立つ先生方の視点でまとめました.「日常診療の中で,どう進行性CKDに気づき,いつ・どのように専門医へつなぐか」に焦点を当て,明日から使える実践形式を心がけています.

皆さまの診療の一助となれば,著者冥利に尽きます.


2026年4月

谷口智基

目次

Chapter 1  腎臓診療フローチャート ─ここだけ押さえる!編  

1 一般外来・健診で活用する腎臓診療フローチャート

慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)  

CKD診療:非専門医に何を見てほしいか?  

鉄の掟2ヵ条:尿検査異常とeGFR slope  

2 腎臓診療フローチャート ポイント(1):尿検査異常の再現性

大原則:まずは再現性をチェックせよ!  

2つの例外 尿検査異常の落とし穴  

3 腎臓診療フローチャート ポイント(2):eGFR slope

eGFR slopeとは  

正常なeGFR slope:加齢性変化  

実際の症例ではどう考える?  

eGFR slopeをみるのに,5年以上のデータが必要な理由は?  

4 尿検査異常,eGFR slopeのいずれかが引っかかったら?

ここまでのまとめ  

尿検査・eGFR slopeが異常:次の一手は?  

5 腎臓診療フローチャート:2次検査

血液検査:シスタチンCを含む腎機能評価  

早朝尿:運動性・体位性の尿検査異常を除外  

腎血管エコー:腎形態の異常,血行動態の異常を評価  

6 腎臓診療フローチャート:まとめ

Chapter 2  腎臓診療フローチャート:実践編 ─ 一般外来・健診での活用  

1 腎臓診療フローチャートに基づいた適切な指導は? Case 1

第一印象は?  

腎臓診療フローチャート:尿検査異常の再現性  

腎臓診療フローチャート:eGFR slope  

腎臓診療フローチャート:2次検査  

全体の総括  

2次検査を施行した後の経過  

2 腎臓診療フローチャートに基づいた適切な指導は? Case 2

第一印象は?  

腎臓診療フローチャート:尿検査異常,eGFR slope  

腎臓診療フローチャート:2次検査  

3 腎臓診療フローチャートに基づいた適切な指導は? Case 3

第一印象は?  

腎臓診療フローチャート:尿検査異常とeGFR slope  

腎臓診療フローチャート:2次検査  

Case 3の補足事項  

4 腎臓診療フローチャートに基づいた適切な指導は? Case 4

第一印象は?  

腎臓診療フローチャート:尿検査異常とeGFR slope  

Case 4の落とし穴:他院での健診受講によるデータ欠損  

他院の健診データ(直近5年分)を反映させると?  

腎臓診療フローチャート:2次検査  

Chapter 3 患者さんへの説明編  

1 説明(1):「腎疾患=山火事」モデル

2 説明(2)「eGFR=100点満点の腎臓の点数」

血清Creでの説明=白菜の値段  

「eGFR=100点満点の腎臓の点数」と説明するとよい  

3 説明(3)「尿検査異常=借金の複利」モデル

中学・高校数学の復習:借金の複利とは?  

尿検査異常に伴うeGFR低下 ≒ 借金の複利  

4 説明(4) 蛋白尿は「ザルと素麺」モデルで考えよ!

「ザルと素麺」=「血液と蛋白」  

5 説明(5):「血圧の治療=庭の花への水やり」モデル

「血圧と臓器」=「ホースの水の強さ,花壇の花」  

Chapter 4 応用編:健診での落とし穴  

1 落とし穴(1):「若い人向けの健診:血清Creが入ってない」問題

74歳以下の健診:血清Cre濃度は必須項目に含まれない  

なぜ,74歳以下の健診では,血清Creを必須項目に含めないのか?  

74歳以下の健診でも,血清Creを必須項目に含めるべき!  

現行制度において,健診に携わる医療従事者はどうすればよい?  

2 落とし穴(2) Creで腎機能をフォローするのはダメ?

Creで腎機能をフォローすべきでない理由?:CKDを見逃す  

Creで腎機能をフォローすべきでない理由?:急峻なeGFR slopeを見逃す  

3 落とし穴(3) 「他院で健診を受けると,生の画像データがわからない」問題

他院で健診を受けると,将来的な画像情報の価値が下がる  

他院で健診を受ける患者さんを見たら?  

4 落とし穴(4) 「腎疾患疑い→腎臓専門外来へ紹介」の罠

腎臓専門外来:紹介先の選び方  

専門外来の選定:問題の答え  

腎臓専門外来:腎臓分野のカバー領域  

Chapter 5 応用編:検査項目の落とし穴  

1 落とし穴(1) 「試験紙法で蛋白+」これって本物の蛋白尿?

尿検査のピットフォール:濃縮尿による偽陽性  

濃縮による偽陽性 vs 本物の陽性所見:見分ける方法は?  

2 落とし穴(2) 早朝尿をみる際は,尿カップをあらかじめ患者に渡す必要がある

3 落とし穴(3) 尿中アルブミンの注意点

注意点(1):保険診療の適用条件  

注意点(2):尿蛋白との相関関係  

4 落とし穴(4) eGFRの注意点〜腎障害の見落としに繋がる罠

注意点(1):実際の体格が反映されない  

注意点(2):eGFRは1/Creに比例し,年齢の影響は受けにくい  

注意点(3):女性のeGFRは『0.7掛け』  

5 落とし穴(5) 筋骨隆々な男性〜血清Cre高値は筋肉量のせい?

筋骨隆々な症例の血清Cre高値:どこまでが筋肉由来? どこからが腎機能低下?  

本症例はCKDなのか?  

標準化eGFRと個別化eGFR  

血清Creがいくらまでなら,筋肉量の影響といえるか?  

Chapter 6 一般外来編  

1 腎臓から全身を診る

腎臓は生活習慣病の主なターゲットの1つである  

2 Do処方の危険性

本症例の第一印象  

腎機能低下の原因:隠れ低血圧  

本症例の経過,学ぶべきこと  

3 一般外来におけるCKD診療

STEP 1:目の前の患者がCKDであることを認識する  

STEP 2:腎臓診療フローチャートを活用する  

4 外来で初診患者のCre高値:今すぐ介入すべき?

初診患者の腎不全:CKD? それともAKI?  

初診患者の腎不全:診療フローチャート  

Creは腎障害に遅れて上昇する  

初診患者の腎不全:実際の症例では?  

索引  

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書籍情報

  • ISBN:9784498324107
  • ページ数:186頁
  • 書籍発行日:2026年4月
  • 電子版発売日:2026年4月21日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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