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疫学・生物統計学 最後の入門書
商品情報
内容
学生,研究者,医師――もう一度,疫学・生物統計学を学び直したいすべての人へ!
今さら誰にも聞けない「なぜ」の答えが,ここにあります。
本書は,疫学・生物統計学の基礎を対話形式と豊富な図解で解き明かす入門書です。
変数の尺度,検査の感度・特異度,誤差と交絡,相関と回帰,研究デザイン──医学研究を計画・実施し,論文を読み解くうえで欠かせない概念を,「なぜその考え方が必要なのか」という根本から整理しています。知識の羅列ではなく,思考の筋道を伝えることに重点を置いた点が,本書の核心です。
想定読者は幅広くなっています。日常的に論文を読む医療者,臨床データを扱う医師や研究者,統計の壁にぶつかっている大学院生——そのいずれにとっても,本書は「なんとなく知っている」段階から「根拠を見極めて理解する」段階へ移行するための,実践的な足場になります。
入門書を何冊読んでも腑に落ちなかった,という経験はないでしょうか。本書はそういう人のために書かれた,文字どおり「最後の入門書」です。
序文
まえがき
数学に苦手意識がある方,それが本書の対象です。もう少し具体的にいうと「数学が得意とはいえず,できるならばもう人生で関わりたくないと思っていたのだけれど,医療関係の学業や仕事に取り組むうえで『統計学』なる数学っぽい何かに泣く泣く向き合わざるをえなくなってしまった」̶̶そんな方です。ちょっとドキッとしたあなた。そんなあなたに生物統計学と疫学の本質をしっかりとお伝えし,「なるほどそういうことか」あるいは「今までなんとなく使っていたこの用語の本当の意味はこうだったのか」と,一つでも多くのことについて思っていただくことを目指しました。本書がその目標を達成できているかどうかは,あなたの審判に委ねられています。
本書は2018年に開校した国際医療福祉大学公衆衛生大学院(2024年から専門職学位課程として再編)の講義がベースになっています。2020年には新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい,公衆衛生に対する関心がますます高まりました。日本でも新たな公衆衛生大学院が続々と開校しており,その新入生となられた方も多いことでしょう。大学院で公衆衛生を学ぶ際の柱であり,同時に大きな壁となるのが生物統計学(より広く医療統計ともよばれる)と疫学(臨床疫学や社会疫学なども含む)です。
本書では私自身が大学院で受講した山崎先生と桜井先生の膨大な講義の中からトピックを厳選し,誤解や混乱を招きやすい,しかし特に大切な部分を掘り下げて解説しました。例えば〈リスク比とオッズ比の違い〉〈感度・特異度と尤度比の違い〉〈統計的仮説検定の論理構造〉〈交絡と交互作用の違い〉〈Cox回帰の前提となる重要な仮定〉など,「自分の言葉で説明してみて」と言われると初学者が特に “ギクッ” となってしまう部分について,丁寧な説明を心がけました。最終節の「ランダム化比較試験」は,私個人の実務経験も色濃く反映されています。
本書だけで疫学・生物統計学の膨大な内容をすべて網羅できるわけではありません。しかし,公衆衛生大学院の新入生はもちろん,医療系学生や医師,保健師・看護師・管理栄養士などの医療専門職の方々,さらに製薬企業や医療機器メーカーなどで医療に関するデータや統計に携わる方々にとって,学業や日々の業務を支える基礎力を提供することを目指しました。さらに,すでにいくつかのテキストを読んでみたものの,腑に落ちない部分があちこちにあってモヤモヤしている,そんな方に向けた想いもたくさん込めています(私自身がそうだったからです)。
本書は節単位で独立しており,最初から順番に読む必要はありません。
目次を見て,気になる箇所を直接読んでください。節の最初と最後には,公衆衛生大学院に入学したばかりの社会人学生であるTくんと,大学院のY先生との会話が挿入されています。Tくんは,あなたと同じように多くの素朴な疑問を抱え,よくある勘違いに盛大につまずきます。そんなTくんとあなたを,Y先生が正しい方向に導いてくれるでしょう。
本書内には数式が出てくる箇所も多少ありますが,難しい,キツい,と少しでも感じたら読み飛ばして構いません。計算を無理して追いかけるよりも「一体,何のために何をやっているのか」という道筋をつかんでいただくことが大切です。個々のトピックの背景にある「物語」に親しむことが,より本格的なテキストや論文に進むための足場となるはずです。
最後に謝辞をまとめさせていただきます。まず,国際医療福祉大学公衆衛生大学院の同期の皆さま。密度の濃すぎる生物統計学の講義終了後に,内容や課題について皆さまと毎回のようにもがき苦しんで議論したことが本書の礎となっています。その講義で基礎のすべてを私たちに叩き込み,さらに本書の執筆の機会を与えてくださった山崎先生,桜井先生。文献調査のために多大な労力を割いてくださった各図書館のレファレンスサービスご担当者様。原稿を辛抱強く待ち続け,出版素人の私に多くの貴重なアドバイスをくださった出版社の須永さま,芝﨑さま。TくんとY先生をユーモラスに見事に描いてくださったイラストレーターの藤井さま。先行配信した原稿に対して改善のための貴重なご意見をくださったNPO法人臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR)の先生方。
書籍版原稿の最終チェックをしてくださった大学院同期の竹安さん,後輩の太田さん。皆様に深く御礼申し上げます。皆様のご支援なしに本書の出版はありませんでした。
そして,本書を手にとってくださったあなた。あなたの存在によって本書は初めて意味を持ちます。本書が,あなたを少しでも支える一冊となることを願っています。
2026年2月
高橋 則晃
目次
第1章 データの記述
変数の尺度
比・割合・率
要約と分布
第2章 検査の指標・効果の指標
検査の指標 1 (感度・特異度・PPV・NPV)
検査の指標 2 (ROC曲線・尤度比)
効果の指標 1 (リスク比・オッズ比)
効果の指標 2 (率比・ハザード比)
第3章 誤差・検定
誤差
交絡と交互作用
区間の推定
仮説検定
第4章 分析・解析
相関と回帰
解析手法の一般化
重回帰分析による変数の調整
生存時間解析 1 (生存曲線)
生存時間解析 2 (ログランク検定・Cox回帰)
第5章 研究デザイン
地域相関研究・時系列研究・横断研究
コホート研究・症例対照研究
ランダム化比較試験
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書籍情報
- ISBN:9784897755144
- ページ数:384頁
- 書籍発行日:2026年4月
- 電子版発売日:2026年4月23日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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