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事例でまなぶ病院経営 中小病院事務長塾ケーステキスト 院内研修用

  • ページ数 : 112頁
  • 書籍発行日 : 2026年4月
  • 電子版発売日 : 2026年4月28日
¥2,750(税込)
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商品情報

内容

【内容】中小病院の経営と運営を支える、病院職員のための一冊。
「人を育てる」「組織を育てる」「法人を育てる」
限られた人材と資源の中で成果を求められる中小病院に必要な三つの視点から、現場ですぐに使える実践知を学べます。
中小病院で直面しがちな34ケースを題材に、事例はより具体的に、イメージしやすく構成。
読むだけでは終わらせず、院内研修の場で職員同士が意見を交わし、現場の改善につなげられるよう、対話を促す設問も盛り込みました。
大好評だった「中小病院事務長塾」を院内研修用にリニューアル!

【対象】病院事務長、病院職員

序文

はじめに

2021年4月に『中小病院事務長塾』を世に送り出して以来、私の想像をはるかに超える反響が寄せられました。正直なところ、当初は「一部の事務職や経営層の方に手に取っていただければ十分だろう」と考えていたのです。しかし蓋を開けてみれば、「院内研修の教材として活用しています」「職員同士でケースを議論するきっかけになりました」といった声が全国から届きました。その一つひとつは、私にとってかけがえのない喜びであると同時に、現場に根ざした学びの力を再認識させてくれるものでした。ある病院では、月に一度の輪読会で看護師や事務職が立場を越えて意見を戦わせていると伺いました。「結論が出なくても、ここまで本音で話し合えたのは初めてだ」という言葉を聞いたとき、私は胸が熱くなりました。学びとは、答えを得ることにとどまらず、語り合う過程で人と組織を変えていく営みなのだと気づかされたのです。今回の新版は、そうした現場の声に応えるために、これまでのケースをすべて見直しました。一つひとつの事例に厚みを持たせ、より具体的にイメージしやすい内容にしています。中小病院事務長塾で取り上げたケースも当時より詳しく、現場で議論しやすい形に再構成しました。見開きで読み進めやすく、院内研修の場で職員の皆さんが意見を交わしながら活用できるよう、設問も新たに設けています。さらに、新しい時代の変化を反映したケースも多数加え、より実践的に学べる一冊に生まれ変わりました。今回の構成では、「人を育てる」「組織を育てる」「法人を育てる」という三つの視点を軸にしています。人を育てることは、現場の力を生み出し、組織を育てることは、その力を持続させる仕組みを整えること。そして法人を育てるとは、地域とともに病院を未来へつなぐ視点を持つことです。この三つの循環がそろってこそ、病院経営は安定し、次の世代へと成長を受け渡すことができます。それぞれのケースは、この三つの柱のどこかに焦点を当てながら、現場の悩みや意思決定のリアルを描いています。加えて、本書の設問を基に、皆さんの病院の状況や課題に合わせた「設問3」を独自に設けていただくのもおすすめです。それぞれの職場で生まれる具体的な問いは、議論をより深め、組織に根づく学びへとつながります。

コロナ禍での出版、そして今

初版を刊行した2021年は、新型コロナウイルスが猛威を振るうまっただ中でした。私が関わる病院でも職員の感染が相次ぎ、診療継続の瀬戸際に立たされていました。朝の会議では「今日はどの部署を縮小すべきか」「救急を受け入れる余力は残っているか」が繰り返し議論され、事務長室の電話は一日中鳴り続けていました。職員の声は、疲れ果て、時に震えていました。「もう人が足りません」「患者を受け入れても看護できないかもしれません」―その切実な声を聞くたびに、病院経営とは数字の計算ではなく、人と人との命綱をどう守るかの営みであると痛感しました。そんな混乱の最中に出版を決意したのは、困難な時代だからこそ事務長という職種の存在意義を示さなければならない、と強く感じたからです。事務長の働きが見えなければ、現場の踏ん張りは歴史に記録されることなく埋もれてしまう。そうした危機感が、私の背中を押しました。数年が経った今も、病院経営を取り巻く状況は決して楽観できません。診療報酬は頭打ちとなり、物価や人件費、建築費や光熱費は高止まりしたままです。私が関わる医療M&Aの現場でも「後継者がいない」という課題だけでなく、「財務的に限界を迎え、法人ごと譲渡したい」という相談が急増しています。ある理事長の「かつては地域の中核病院だったのに、いまは赤字続きで続ける自信がない」という言葉は、決して珍しいものではなく、多くの病院の現実を代弁していました。

事務長の本質とは

こうした時代において、事務職、とりわけ事務長の役割はかつてなく重みを増しています。医師が診療のプロであるなら、事務長は経営と運営のプロです。病院全体を俯瞰し、資源を適切に配分し、人を動かし、組織を守り育てる。そういった力がなければ病院は存続できません。

ドラッカーは「マネジメントとは、組織に成果をあげさせるための働きかけ」と述べました。私が出会ってきた優れた事務長に共通するのは、まさに人を動かす力です。ある病院では院長と看護部長が激しく対立し会議が紛糾しましたが、事務長は双方の思いを丁寧にすくい上げ、互いに歩み寄らせました。会議の終わりに二人が握手を交わした瞬間、周囲の誰もが「事務長がいなければ組織は崩壊していた」と口を揃えました。部下との関わりも同じです。一人ひとりの特性や背景を理解し、その人らしさを活かせるよう支援する。単なる指示命令ではなく、成長の伴走者として寄り添う姿勢こそが人を動かし、組織を前に進めます。時にそれは、静かにそっと背中を押す役割であり、またある時は厳しい現実を伝える役割でもあります。信頼がなければどちらも成り立ちません。そして、その調整や支援は一度で終わることはなく、繰り返し摩擦に向き合いながら、「人が納得して動く

瞬間」を探り続けるのです。

優れた事務長は、舞台裏で照明や音響を操る黒衣のような存在です。観客の視線は役者の表情や台詞に注がれますが、その熱演を可能にする陰の手は誰にも気づかれません。黒衣が一瞬でも手を誤れば、舞台はたちまち調和を失い、芝居は崩れてしまうでしょう。逆に、その存在があるからこそ役者は安心して前に立ち、舞台は一つの物語として息づくのです。表に出ることなく、舞台全体の呼吸を整え、流れを紡ぐ――その姿は、組織を陰から支える静かな演出家であり、同時に組織を生かし続ける静かな芸術なのです。

学びと継承のために

こうした力を持つ事務長は、自然に育つものではありません。体系的に学ぶだけでは限界があり、経験や他院の事務長との交流から新しい視点を得ることが欠かせません。私が主宰する勉強会でも「他院の考えを知ることで、自分の視野が広がった」という声が多く寄せられています。自分の病院だけを見ていると、当たり前に思える仕組みや文化が、外から見れば特殊であることに気づく。その瞬間、思考の枠が広がり、発想が柔らかくなるのです。本書は、そうした学びと継承のための土台となることを目指しています。ケースを読み、考え、語り合う。その積み重ねが、事務長としての判断力と胆力を養います。中小病院にとって事務長の育成は避けて通れない課題です。限られた資源を最大限に活かし、変化の激しい時代を生き抜くために、強いリーダーシップと確かなマネジメントが求められます。本書は研修用テキストであると同時に、個人の学びの書でもあります。ページをめくりながら「自分ならどうするか?」と問いかけ、できれば同僚や上司と意見を交わしていただきたい。その対話こそがマネジメントの実践であり、病院を未来へ進める力になるはずです。

経営環境は厳しくとも、それは裏を返せば「事務長の腕次第で未来を変えられる」ということでもあります。本書が、現場で奮闘する皆さんの道しるべとなり、次世代の事務長を育てる一助となることを、心から願っています。


2026年3月

加藤 隆之

目次

第1章 人を育てる

ケース1 新人教育  報連相ができない新人たち

ケース2 新人教育  報連相の先にある相談力

ケース3 新人教育  教えすぎる先輩、任せられない上司

ケース4 新人教育  新人がすぐ辞める職場

ケース5 教育    仕事に対する責任感の育て方

ケース6 教育    「自分でやる」から「任せる」へ

ケース7 教育    中間管理職の仕事へのスタイル

ケース8 教育    迷いながら見つける事務職のキャリアパス

ケース9 教育    事務長引退後の生活(第二の思春期)

解説 ケース1 ~ケース9

第2章 組織を育てる

ケース10 組織管理 崩れたラインと見えない組織図

ケース11 組織管理 トップの共感がもたらす落とし穴

ケース12 組織管理 院内情報伝達のあり方について

ケース13 組織管理 非医療職の採用について

ケース14 組織管理 ペルソナが映す採用の鏡

ケース15 組織管理 集団退職の訴え

ケース16 組織管理 休む権利と働く責任のあいだで

ケース17 組織管理 適正な残業時間とは

ケース18 組織管理 守り、育てる就業規則

ケース19 組織管理 総務課を育てるという仕事

ケース20 組織管理 問題職員への対応

ケース21 組織管理 評価は“未来”を描くもの

ケース22 組織管理 昇進とは何かを問い直すとき

ケース23 組織管理 通すための稟議、考えるための稟議

ケース24 組織管理 多様な働き方を認めるということ

解説 ケース10 ~ケース24

第3章 法人を育てる

ケース25 医療DX  属人化の解消とIT 化による業務改ケース革

ケース26 医療DX  生成AI の事務の活用について

ケース27 医療DX  急ぎすぎる医療DX の代償

ケース28 医療DX  数字を見せるだけの会議

ケース29 経営戦略 経営戦略の転換

ケース30 経営戦略 法人経営の再構築

ケース31 経営戦略 挑戦か維持か、新規事業の判断軸

ケース32 その他  物品購入の価格主導権を取り戻す

ケース33 その他  患者満足への誇りと働き方のあいだで

ケース34 その他  病院ブランドと口コミの時代

解説 ケース25 ~ケース34

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書籍情報

  • ISBN:9784865771046
  • ページ数:112頁
  • 書籍発行日:2026年4月
  • 電子版発売日:2026年4月28日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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