麻酔 2026年5月号 術後せん妄の予防と治療の最前線

  • ページ数 : 104頁
  • 書籍発行日 : 2026年5月
  • 電子版発売日 : 2026年5月8日
¥2,970(税込)
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内容

雑誌『麻酔』75巻5号 特集 術後せん妄の予防と治療の最前線
高齢化に伴い、手術医療での高齢患者の割合は年々増加しています。なかでも、術後せん妄(POD)は患者の予後を左右する重要課題。本特集では最新ガイドラインとエビデンスをもとに、予測・予防・治療を周術期全体で体系的に解説します。臨床に直結する実践知を凝縮した1冊!

序文

巻頭言 麻酔科医とコスト意識


医療を取り巻く環境はかつてない速度で変化している。世界でも類を見ない速度で少子高齢化が進む中,限られた財源のもとでいかに質の高い医療を持続的に提供するかが,わが国全体の重要課題となっている。このような状況下で麻酔科医がコストに対してどのような姿勢をとるべきか,真剣に考えるべきときに来ていると思う。

麻酔科は,周術期医療の基盤を支える不可欠な専門領域である。全身麻酔,区域麻酔,鎮静管理,術後疼痛管理,集中治療など,その活動範囲は広く,使用する薬剤,医療材料,医療機器も多岐にわたる。吸入麻酔薬や静脈麻酔薬の選択,鎮痛薬や制吐薬,筋弛緩拮抗薬の使用,気道デバイスやディスポーザブル製品の採用,さらにはモニタリング機器の適応判断に至るまで,日々の臨床判断は大小さまざまなコストと結びついている。個々の選択は一見些細に見えても,それが集積すれば病院経営や医療制度全体に少なからぬ影響を与える。

しかしながら,ここで強調すべきは,コスト意識とは決して「安価な医療」を志向することではないという点である。麻酔科医の第一義的責務は患者の安全を守り,最良の周術期アウトカムを実現することである。安全性や有効性を犠牲にしてまで費用を抑制することは本末転倒であり,専門職倫理にも反する。むしろ,同等の安全性・有効性が担保される複数の選択肢が存在する場合に,より合理的で効率的な方法を選択する姿勢こそが専門職としてのコスト意識であろう。具体例として,低流量麻酔の実践は,環境負荷の軽減と麻酔薬使用量の削減を同時に達成しうる。また,エビデンスに基づく検査やモニタリングの適正化は,過剰医療の回避につながる。さらに,標準化された周術期管理は合併症の発生率を低減し,結果として再手術や入院期間の延長といった高額医療の発生を抑制する可能性がある。合併症の予防は患者にとっての利益を最大化するのと同時に,医療経済的にもきわめて合理的な戦略である。

麻酔科医はまた,手術室運営の中核を担う存在でもある。手術開始遅延の最小化,麻酔導入・覚醒の効率化,術後回復室の円滑な運用,さらには周術期チームとしての多職種協働など,オペレーションの最適化は病院全体の生産性に直結する。手術室は病院経営の要であり,その効率性は病院の財務状況に大きな影響を与える。現場で働く臨床医としての視点に加え,システム全体を俯瞰するマネジメントの視座をもつことは,これからの麻酔科医に求められる重要な資質であると考える。さらに,医療の質評価や診療報酬制度の動向を理解することも不可欠である。周術期管理の質指標,チーム医療の評価,アウトカムに基づく支払い制度の議論など,医療経済と臨床はますます密接に結びついてゆくことであろう。自らの診療がどのような価値を生み出し,それがどのように評価されるのかを理解することは,専門領域の社会的意義を再確認する作業でもある。一方で,現場に過度なコスト削減圧力が加われば医療の質や医療者のモチベーションを損なう危険がある。重要なのは,感覚的な議論ではなく,透明性のあるデータに基づく対話である。コスト構造を可視化し,臨床アウトカムと経済指標を統合的に評価することで初めて建設的な改善が可能となる。麻酔科医自らがデータに基づいて発言し,意思決定に参画する姿勢が求められる。

麻酔科医はこれまで「安全の番人」としての役割を果たしてきた。今後はそれに加えて,「医療価値の創出者」としての自覚をもつことが必要である。質と安全を堅持しつつ,限られた資源の中で最大の成果を引き出す。そのためのコスト意識は,専門性と対立する概念ではなく,むしろ専門性を社会に還元し,持続可能な医療を実現するための不可欠な視座である。麻酔科医一人一人がこの課題に主体的に向き合うことが,これからの時代における責務であると考える。


(杏林大学教授 関 博志)

目次

巻頭言

麻酔科医とコスト意識  関 博志

特集 術後せん妄の予防と治療の最前線

緒言とまとめ  川股 知之

なぜ術後に神経認知障害が起こるのか:そのメカニズム  藤吉 佑樹ほか

周術期神経認知障害と術後せん妄  立花 俊祐

術後せん妄の発症リスク 新山 幸俊

術後せん妄予防のための術前管理の最前線  黒﨑 弘倫ほか

術後せん妄予防のための術中管理の最前線  惠川 淳二

術後の予防と治療法の最前線  勝又 祥文

総説

帝王切開における術後の悪心・嘔吐  酒巻 大輔ほか

症例報告

分離肺換気終了後も上昇する呼気終末二酸化炭素分圧から診断に至った悪性高熱症の1症例  根岸 航大ほか

紹介

麻酔科医と周麻酔期看護師の協働による無痛分娩の取り組み  井出悠紀子ほか

LETTER TO THE EDITOR

周術期漢方  水谷 光ほか

気滞型の食欲低下を来した症例の漢方医学的所見と処方選択の根拠  出野 智史

外国文献紹介

書評

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書籍情報

  • ISBN:9784014007505
  • ページ数:104頁
  • 書籍発行日:2026年5月
  • 電子版発売日:2026年5月8日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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