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Prostate Journal 2026年4月号(Vol.13 No.1)【特集】前立腺癌オリゴメタに対する積極的治療戦略

  • ページ数 : 130頁
  • 書籍発行日 : 2026年4月
  • 電子版発売日 : 2026年5月8日
¥4,510(税込)
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商品情報

内容

【特集】前立腺癌オリゴメタに対する積極的治療戦略
前立腺癌オリゴメタの治療戦略:臨床試験エビデンスと実践/他がん腫領域におけるオリゴ転移に対する治療戦略の現在地と将来展望/前立腺癌オリゴ転移診断の現状と将来展望 ほか

序文

序文


前立腺癌オリゴ転移は,真の限局癌から従来の画像診断であるCT,骨シンチグラフィ等では捉えられない微小な転移を有する病態へと進行した癌が,その次の段階に進行した「過渡的な病態」であり,全身治療の介入の有無にかかわらず,早晩,画像上明確な多発転移へと必ず進行するというのが,以前からの多くの臨床医の認識です。また,前立腺癌のシームレスな進行過程の中において,限局癌が微小転移を起こすまでには一定の長い時間が必要でtreatment window は広いですが,従来の画像で捉えられる様になった段階のオリゴ転移は,可視できる転移数は少なくとも,すでに指数関数的に病巣が急速に広がる段階に入っておりtreatment window が極めて狭いとの考えには,今でも異論はありません。そして以前は,画像診断で捉えられる転移が1 個でもあれば,すでに全身に転移病巣は広がりはじめており,初期治療戦略はホルモン療法一択で,原発巣もホルモン療法で抑え,放射線療法・手術などの局所療法はほぼ不要で,ましてや可視化できる転移病変のみへの抗腫瘍効果を期待した局所療法である転移指向性治療(Metastasis-Directed Therapy:MDT)は害が利益を遙かに上回るため実施しないとの考えが主流でした。

しかしその後,今回の特集として取り上げた「前立腺癌オリゴメタに対する積極的治療戦略」は,私自身の長年の臨床経験の中では,放射線治療の高精度化をきっかけに治療戦略の進化が始まったと考えています。去勢抵抗性前立腺癌の前立腺局所進行に対する合併症対策,転移部位の疼痛緩和のための放射線照射は,合併症は少なく利益が不利益を上回る治療戦略として定着しました。そして,リンパ節転移に対しては,全て全身病と捉えるのではなく,特に骨盤内にとどまる病態では局所領域治療を支持する知見が出てきたことから,実臨床において積極的治療戦略で根治と考えられる成功体験が長年にわたり蓄積されてきました。また,放射線治療が全身の免疫系に与える影響,特に「アブスコパル効果」に関しては,基礎的な理論のみに留まらず,前立腺局所への照射で転移病巣が急激に縮小した症例を,おそらく多くの臨床医が経験していると考えられます。さらに,近年の画像診断の進歩により,オリゴ骨転移に関しても,疼痛緩和に留まらず,MDT によりPSA 値の低下を認め,新規ホルモン療法や抗がん剤などの全身療法強化の先送りが可能であった症例は決して珍しくありません。

日本・世界の日々前立腺癌の診療にあたっている臨床医の,前述の診断・治療技術の進歩に伴う臨床経験から,まさに「オリゴ転移に対する積極的治療戦略は患者に利益をもたらすのでは?」との共通のCQ が,局所治療の意義,先進的な画像診断,MDT の意義に関する様々な臨床研究が実施されるきっかけになったと考えられます。

もちろん,オリゴ転移の病態は,ホルモン環境は去勢感受性から抵抗性まで様々であり,可視できない病変を含めての腫瘍の活動性を正確に把握することは難しいことは間違いありません。ただし,この難しい状況を打破し,質調整生存年の延長を目指して,日々診療にあたっている臨床医の先生方は多く,その熱意は学会活動を初め,様々な場面で感じております。そこで,今回の特集では,オリゴ転移の積極的な診断・治療に挑み続けている日本のオピニオンリーダーの先生方に執筆をお願いさせていただきました。

おかげさまで,普段触れることのできない他領域でのオリゴ転移に関する治療の考え方,世界の全ての関連臨床研究のエビデンスと限界,現時点での診断・治療技術からみた前立腺癌オリゴ転移の現在地,またPSMA-PET を含む新規画像診断への期待と将来展望,そして,日本のエキスパートによるオリゴ転移治療の方針と成功・不成功体験の症例提示など,全てがまさにState-of-the Art の世界で,私自身も実臨床に直結する最新知識を得ることができました。

是非とも,多くの先生方に日本の前立腺癌オリゴ転移治療の均てん化と質の向上に寄与するバイブルを,ご活用いただきたいと願っております。また,本特集の構想から,僅か半年の短期間で発刊できたことに対して,大変お忙しい中にもかかわらず,ご依頼を快諾いただき,多くの時間を割いていただきました執筆者の先生方に,この場をお借りして深謝申し上げます。


伊藤 一人
医療法人社団美心会黒沢病院

目次

特集 前立腺癌オリゴメタに対する積極的治療戦略

序文

医療法人社団美心会黒沢病院 伊藤 一人

1.前立腺癌オリゴメタの治療戦略:臨床試験エビデンスと実践

東邦大学医療センター佐倉病院泌尿器科 内海 孝信,他

2.他がん腫領域におけるオリゴ転移に対する治療戦略の現在地と将来展望

慶應義塾大学病院オリゴ転移センター 深田 淳一,他

3.前立腺癌オリゴ転移診断の現状と将来展望

社会医療法人禎心会セントラル CIクリニック 玉川 光春,他

4.オリゴ転移に対する局所療法の意義と課題

東京慈恵会医科大学泌尿器科 松川 明弘,他

5.オリゴ転移に対する MDTの意義と課題

①ホルモン感受性前立腺癌オリゴ転移に対する MDTの意義と課題:ランダム化第Ⅱ相試験から見えたエビデンスと解決すべき課題

東京科学大学大学院腎泌尿器外科学 吉田宗一郎

②去勢抵抗性前立腺癌に対する MDT:ARTO試験・GROUQ-PCS 9試験から見えたエビデンスと課題

京都大学大学院医学研究科放射線腫瘍学・画像応用治療学 溝脇 尚志

6.前立腺癌骨盤内オリゴリンパ節転移

①前立腺癌骨盤内オリゴリンパ節転移症例に対する根治治療としての手術療法の意義

岐阜大学大学院医学系研究科泌尿器科学分野 古家 琢也

②前立腺癌骨盤内オリゴリンパ節転移に対する放射線治療による根治の可能性

群馬大学大学院医学系研究科腫瘍放射線学 大西 真弘,他

7.前立腺癌オリゴ転移に対する MDTに使用するモダリティ

①強度変調放射線治療

京都大学大学院医学研究科放射線腫瘍学・画像応用治療学 溝脇 尚志

②オリゴ骨転移に対する定位放射線治療

神戸低侵襲がん医療センター放射線治療科 馬屋原 博

③粒子線治療

埼玉医科大学総合医療センター放射線腫瘍科 河村 英将,他

8.リンパ節・骨転移以外の臓器転移に対する MDTの可能性

量子科学技術研究開発機構 QST病院 石川  仁

9.PSMA-PETによりオリゴ転移治療戦略はどう変わるのか

①核医学専門医の視点から

大阪大学放射線科学基盤機構臨床展開研究部門 渡部 直史

②泌尿器科医の視点から

湘南鎌倉総合病院泌尿器科 上村 博司

10.実臨床でエキスパートが実践するオリゴ転移症例の診断・治療マネジメント

① nmCRPC治療下における MDT

札幌医科大学泌尿器科学講座 橋本 浩平

②当院で経験したオリゴ転移 CRPCおよび CSPC症例

秋田大学大学院医学研究科腎泌尿器科学講座 成田伸太郎

③群馬大学におけるオリゴ転移を有する前立腺癌治療戦略

湘群馬大学医学部医学系研究科泌尿器科学 宮澤 慶行,他

④去勢抵抗性前立腺癌オリゴ転移に対する転移巣局所照射の実践的マネジメント─実臨床経験からの提案─

金沢大学大学院医薬保健学総合研究科泌尿器集学的治療学 八重樫 洋,他

⑤前立腺癌オリゴ転移例に対する積極的前立腺局所治療と MDTによる治療戦略

埼玉県立がんセンター泌尿器科 松岡  陽

⑥ DWIBSを用いたオリゴ転移前立腺癌の診断と MDT適応判断─局所治療+MDTを成立させる 実臨床の診断戦略─

東海大学医学部外科学系腎泌尿器科学領域 杠 総一郎,他

⑦前立腺癌オリゴメタに対する積極的治療戦略─ de novo oligometaに対する治療戦略─

京都府立医科大学泌尿器科学教室 上田  崇

⑧当院における mHSPCに対する積極的前立腺局所治療+MDT

京都大学大学院医学研究科泌尿器科学分野 後藤 崇之,他

⑨ホルモン感受性前立腺癌のオリゴ転移に対する積極的局所治療(MDT):診断と治療戦略の現状

九州大学大学院医学研究院泌尿器科学分野 塚原 茂大

⑩去勢抵抗性前立腺癌におけるオリゴ転移・オリゴ進行に対する MDTの臨床的意義

昭和医科大学医学部泌尿器科学講座 押野見和彦,他

座談会

転移性去勢感受性前立腺癌薬物療法の最適化に向けて~エビデンスに基づく治療戦略の再考~

司会:鈴木 和浩

出席者:木村 高弘

  塩田 真己

  吉田宗一郎

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書籍情報

  • ISBN:9784865176834
  • ページ数:130頁
  • 書籍発行日:2026年4月
  • 電子版発売日:2026年5月8日
  • 判:A4判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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