排尿障害診療ノート

  • ページ数 : 256頁
  • 書籍発行日 : 2026年4月
  • 電子版発売日 : 2026年5月12日
¥5,280(税込)
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商品情報

内容

排尿障害診療の迷いを断ち,非専門医でも現場で即使える実践的入門書である
排尿障害は,高齢者のみならず日常診療で頻繁に遭遇するにもかかわらず,体系的に学ぶ機会が限られている領域です.本書は,若手泌尿器科医や一般内科医など非専門医の方でも理解できるよう,メカニズムから診察・検査・鑑別・治療までを簡潔かつ実践的にまとめています.とくに「検尿」と「残尿測定」という診療の要点を軸に,現場で迷わない思考の流れを提示.第1章だけでも日常診療に対応でき,その先を読むことでさらに理解が深まります.明日からの外来で即役立つ,まさに“まず読むべき一冊”です.

序文

まえがき


本書は,「排尿障害診療に励む医師」に役立てていただきたいと願い執筆しました.もちろん排尿障害にかかわる看護師,療法士,介護士や薬剤師などの「メディカルスタッフ」にも理解いただける内容に仕上げました.臨床現場では泌尿器科を標榜していなくても頻尿などの排尿障害の訴えは高率です.また,泌尿器科でも,体系的に排尿障害に向き合う機会がなかった先生方もいらっしゃると思います.また,若手の泌尿器科医も外来診療を始めた途端に排尿障害に苦慮するとの話を聞きます.ただ,本書はあくまで実践臨床の解説本であり,ハイレベルな専門的研究を志す諸兄には適応外であることをお断りしておきますが,できれば専門の先生方には欠けているエビデンスを構築し,後世に残していただけたらと思います.

歴史的に「排尿障害研究」は,高齢者の爆発的増加を背景に「昭和」の終わりに急拡大し,「平成」の30年間に基礎・臨床の両分野で長足の進歩をとげ,「令和」には多数のエビデンスをもとにその病態生理を明解に解説することが可能となりました.Chapter 1には排尿障害診療のエッセンスを記載しました.「検尿」と「残尿測定」の2つが排尿障害診療の中核をなすというのが私の40年間の「格闘」の結論(p.1の表1‒1参照)ですが,この内容は排尿障害のガイドラインにもよくよく見ると記載されています.

排尿障害は,高齢者に普通にみられる困窮度の高い病態です.しかし,専門的加療を要する患者はごく一部で,大多数は軽症蓄尿障害で,適切な薬物療法などで軽快します.多忙な先生方にはChapter 1の表1‒1だけで通常診療に困らないようにまとめました.Chapter 2以降はその根拠・背景を魂を込めて記載しましたので,理解が深まると思います.読者も感じておられると思いますが,「臨床で直面する疑問」は星の数ほどあるにもかかわらず,これに的確に回答できるエビデンスは実に不十分です.そこで,これらを元に,専門家としての経験と見識をとりまぜ,なるべくその疑問に答えるように記載しました.

私は先年ハッピーリタイアメントを迎えましたが,勤務医人生の3/4を大学病院で,残りを排尿障害の専門病院で過ごしました.その間も週1回は,出張先で一般泌尿器科医として通常診療に従事し続けてきました.私は長らく大学にはいましたが,エリートが歩む基礎研究,大学院,留学といったルートには縁がなく,診療,教育,研究に加え,容赦なく降りかかる雑用に翻弄され続けました.現在は大所帯となった慈恵医大泌尿器科からは想像できないのですが,私が働き盛りの頃は医局員は枯渇し,社会的使命の美名のもと,えげつなく肥大化した日常業務に忙殺されました.それでも当時はまだ若く,老獪でもなく,ただ一途に良質の医療を効率よく患者に届ける手法を模索し続けていました.大学病院は重症患者を診る責務があり,これに時間を割くため軽症患者を見極める「効率の探求」は私の臨床医としてのメインテーマのひとつでした.これは,排尿障害に限らず腫瘍や結石でもその手法をあるレベルまで確立したつもりですが,私は専門外についてまで我流の診断・治療法を声高に叫ぶ資格をもっているとは思っていません.一方で「排尿障害」は人生で多大な時間と犠牲を払って没頭し続けた領域です.

振り返ると専門医取得後は,急拡大した排尿領域のニーズに応じ一般人への「セミナー」に始まり,医学生・コメディカルへの「教育」,医師会,学会,他大学での「講演」活動に奮闘し,聴衆に理解を深めていただくように努めてきました.その頻度を均すと過去40年で月1回を超え,会場は47都道府県にわたっていました.また,関連学会では教育,運営にも関与させていただいただけでなく,日本泌尿器科学会の「編集幹事」として論文の査読・審査にかかわった6年間は多忙な反面,楽しい思い出になりました.さらには厚生労働省,PMDA(医薬品医療機器総合機構)などの国家機関での助言にも膨大な時間を割いてきました.そのため排尿障害に関しては,エビデンスに基づいた内容を明解に伝達する訓練を繰り返してきたと自負しています.その間は排尿障害領域の隆盛時期とも重なり,実力を遥かに超えた評価をいただき多方面において有意義で恩恵に富んだ医師人生を歩ませていただいた幸運に深く感謝するとともに,その成果をわかりやすい形で記録に残し,ここまで育てていただいた社会に恩返ししたいという思いがありました.

幸い,退官半年前に本書の執筆のお話を中外医学社の鈴木真美子氏より頂戴し「渡りに船」でもありました.ただ,退官の時期と転職の多忙に振り回され筆があまり進まずに大変にご迷惑をおかけしたことを深く反省する次第です.


2026年3月

鈴木康之

目次

Chapter 1 必須の検査!! 検尿と残尿測定

排尿障害の評価と検査

排尿障害の治療

LUTS改善が不十分でも専門医受診できない場合

Chapter 2 解剖と機能

腎はなぜあんなところにある?

尿は腎の最大の敵!

尿産生と尿路の圧力

尿管と膀胱の機能

尿と細菌

尿路感染対策

難治性下部尿路感染症をどうするか?

膀胱と尿道の機能

神経因性膀胱とは?

膀胱の知覚とC線維

C知覚線維の異常感覚を抑制する具体的方法

Chapter 3 疾患と病態

過活動膀胱(OAB)

前立腺肥大症(BPH)

神経因性膀胱

尿失禁

夜間頻尿: 不眠と夜間多尿

尿路感染症

メタボリック症候群

性器脱(骨盤臓器脱)(POP)

間質性膀胱炎(IC)

Chapter 4 問診・診察・検査

問診

診察:台上診と膀胱尿道内視鏡

検査

尿流動体(ウロダイナミクス)検査

Chapter 5 治療

行動療法(behavior therapy)

薬物療法(pharmacotherapy)

外科療法(surgical treatment)

神経変調療法(neuromodulation)

その他

Chapter 6 余話として

A.米国発のメッシュ騒動―ナショナリズムの産物?

B.適切な水分の摂り方―1日2 Lは非人道的

C.インパクトファクター(IF)―本質は何?

COLUMN

1 下部尿路の解剖学的性差の意味

2 多機能化は便利をもたらす半面,予測不能の事故原因にも

3 「キリスト教では自殺を禁止しているが,急性尿閉の疼痛は強いので例外になっていた」って本当?

4 尿が全部出れば膀胱炎は治る?

5 排尿を抑制する淡蒼球が病変部位の脳卒中患者に大量の残尿が生じるのはなぜ?

6 医師免許剥脱の危機―恐ろしい自律神経過反射

7 尿意は我慢したらいけないの?

8 症状症候群とは

9 BPHの手術に迷ったら?

10 格言: 女をみたら過活動膀胱と思え,男をみたら前立腺肥大症と思え,高齢者には神経因性膀胱が合併している

11 機能性尿失禁の定義は最悪!!

12 難問解決の糸口: 表裏一体

13 美人はイビキと夜間頻尿に苦しんでいる?

14 プロテウス属は尿中で出汁風味を味わっている?

15 ヒトが四つ足を放棄したのでこんなに困ったことが起きています

16 講演会で言ったことは嘘でした

17 青天の霹靂!TVT手術のはずが開腹手術に

18 後ろに立たれると出にくくなるんだよ!

19 ヒトは自分の排泄物をみるのが好き

20 生命の大原則「ほどほど」

21 即時全身CTスキャン

22 世界中で愛される小便小僧

23 「ウロダイには±20%の誤差がある」

24 カテーテルなしで膀胱内圧を知りたい!

25 50歳過ぎたら「養生訓」

26 頻尿の無間地獄

27 治験の美名のもとで偽薬(プラセボ)を飲ませる暴挙?

28 ダイナマイト工場の「月曜病」

29 頭脳明晰な教授の罠

30 専門医認定権の頂上決戦

31 突如消え去ったStamey法

32 名前が多くて混乱します

33 死を招く奇形血管CMOR

34 デジタル型ambulance chaser

35 米国版「無理筋」訴訟に勝つポイント

36 どちらが淫靡で不道徳?―ナショナリズムの闇

37 発汗時に糖分が必要な理由

38 パッセンジャー変異をみずしてドライバー変異をみよ―「コッホの4原則」からみた大量水分摂取による脳卒中治療

39 非現実的な健康法―それができたら苦労しない

40 マスコミが視聴率を上げるための手段

41 スペクトラムとしての精神疾患

42 不感蒸泄量や発汗量の測定法

43 ヒトが自分の排泄物を「見る」行動は本能的?

参考文献

あとがき

索引

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書籍情報

  • ISBN:9784498064447
  • ページ数:256頁
  • 書籍発行日:2026年4月
  • 電子版発売日:2026年5月12日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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