Annual Review 神経2026

  • ページ数 : 390頁
  • 書籍発行日 : 2026年5月
  • 電子版発売日 : 2026年5月20日
¥10,780(税込)
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商品情報

内容

神経科学の進歩をこの一冊で俯瞰
多角的な視点から,脳神経学の臨床医や研究者のニーズに応える本年の最重要トピックスを網羅しています.「Basic Neuroscience」では,基礎医学と臨床医学の架け橋となる知識を提供しています.「本年の動向」では発症前診断など最前線をとらえ,神経学に革新をもたらす可能性を秘めた技術についても詳述しています.「Clinical Topics」では臨床の知見をアップデートするために最新のテーマを選び,新規治療法,診断技術なども視野に入れて近年注目される疾患群や,技術,治療についても詳述しています.

序文


『Annual Review神経』は1985年の創刊以来,神経学分野におけるその年の重要な進歩を,第一線で活躍する研究者・臨床医の先生方による総説として収集し,神経学の発展を体系的に記録してまいりました.本シリーズは,基礎研究から臨床医学まで幅広い領域の最新知見を俯瞰し,神経学に携わる研究者および臨床医の皆様に有用な情報を提供することを目指して編集するように心がけています.近年,神経科学および神経学は,分子生物学,免疫学,画像医学,情報科学など多様な分野との融合によって急速に発展しており,その研究領域はますます広がりを見せています.本書は,このような神経学のダイナミックな進歩を概観し,現在の到達点を整理することを意識して編纂いたしました.

本書は昨年にひき続き,「Basic Neuroscience」「本年の動向」「Clinical Topics」の三部構成としております.「Basic Neuroscience」では,神経生理,神経病理,分子生物学,画像診断など,神経疾患の理解を支える基盤的研究の最新の進展を取り上げています.Brain mappingの進歩や痛覚システムに関する新しい知見,AIを活用した脳波解析,プリオン病のバイオマーカー,アルツハイマー病や多系統萎縮症などの神経変性疾患の病理および分子機構の研究など,神経科学の基礎領域における重要なトピックを紹介しています.

「本年の動向」では,近年の神経学研究を特徴づける新しい潮流を取り上げました.疾患修飾療法時代における発症前診断や着床前診断,神経変性疾患の新しいバイオマーカー技術,患者レジストリ研究の発展に加え,AIを活用した脳科学研究やリハビリテーション医療,グリンパティックシステムの画像研究など,神経学の将来を見据えた重要なテーマを取り上げています.

「Clinical Topics」では,感染症・炎症疾患,脳血管障害,脳腫瘍,外傷,神経変性疾患,免疫性疾患,末梢神経障害,神経筋疾患など,臨床神経学の主要領域における最新の知見を幅広く収載いたしました.新規治療法や診断技術の進歩,遺伝学的研究の深化,患者レジストリの整備など,近年の臨床神経学の発展を多角的に概説しています.

本書が,神経学の現在の到達点を理解し,今後の研究および医療の発展を考えるうえでの一助となれば幸いです.ご多忙のなか執筆をご快諾いただきました先生方や編集,出版に関わった皆様に心より感謝しつつ,本書が神経学に携わる多くの読者の皆様のお役に立つことを願っています.


2026年5月

編集者一同

目次

I.Basic Neuroscience

1.神経生理

1 Brain mappingの最近の動向 〈十河正弥 松本理器〉

脳機能と因果性(causality)

脳機能とネットワーク

脳機能のデコーディング

展望

2 痛覚システムにおける最新知見 〈津田 誠〉

一次求心性神経の分類と機能(特に侵害受容性神経)

末梢組織における一次求心性神経と免疫細胞・がん細胞とのクロストーク

脊髄後角における一次求心性神経とミクログリアとのクロストーク

まとめ

3 AIによる脳波判読システム 〈菅野秀宣〉

AIを用いた脳波研究の方向性

頭皮脳波判読のためのAI開発

AI開発のためのデータベース構築

AIモデルのfine tuning

2.神経病理

1 プリオン病における脳脊髄液バイオマーカーと治療開発 〈佐藤克也〉

プリオン病のCSF中のバイオマーカー

Preclinical stageのCSFバイオマーカーの挑戦

治療法の歴史と治療法の開発の最前線

2 剖検脳を用いた多系統萎縮症病態研究の最近の進展 〈他田真理〉

疾患特異的なα—シヌクレイン線維構造の同定

GCIを形成するα—シヌクレインの起源

多系統萎縮症の複合的病態

3 神経免疫の視点からみたアルツハイマー病の神経病理学 〈高尾昌樹 岩坪 威〉

近年の報告から

4 常染色体顕性遺伝性白質脳症とは何か:変わりつつあるその疾患概念と位置づけ 〈小柳清光 木下通亨 吉田邦広〉

HDLSに関する歴史的経緯

CSF1R変異が確認され,大脳白質の広範な軸索脱落と腫大軸索の出現を示すHDLS/ALSPの臨床,画像,神経病理学的所見

那須 — ハコラ病の臨床,画像,神経病理学的所見

3.生化学(分子生物学)

1 抗体を用いたin situビオチン標識法による非膜オルガネラ構成因子の網羅的同定 〈高橋秀尚〉

液滴を解析するための近接ビオチン標識法

In situビオチン標識法の確立

In situビオチン標識法による核内構造体構成因子の同定

同定された構成因子のインタラクトーム解析による構造体形成機構の解明

2 ミクログリアとアルツハイマー型認知症 〈前田泰宏 山崎 亮 磯部紀子 加藤隆弘〉

ミクログリアの由来と機能

アルツハイマー型認知症(AD)の病理

ADの病態におけるミクログリア

AD病態に関与するミクログリア関連分子および治療ターゲット

ミクログリアを標的とした創薬

ADにおけるミクログリア病態治療研究における課題と展望

3 慢性ストレス誘発性うつ病におけるニューロンのエピゲノム制御 〈山口さやか 岸 雄介〉

慢性ストレスと脳の可塑性

うつ病マウスモデルを用いた慢性ストレス応答研究

ストレス応答の個体差とエピゲノム研究の課題

4.画像

1 進行性核上性麻痺/大脳皮質基底核変性症の画像所見:J—VAC研究を含めて 〈櫻井圭太 徳丸阿耶 饗場郁子〉

進行性核上性麻痺

大脳皮質基底核変性症

2 日常遭遇する中枢神経感染症の画像診断 〈海地陽子〉

感染性心内膜炎(IE)の中枢神経合併症

頭蓋内膿瘍

神経梅毒

3 アミロイド関連画像異常(ARIA)とその周辺症状 〈水谷あかね 新堂晃大〉

抗アミロイドβ抗体薬に伴うARIA

脳アミロイド血管症の病態とBoston基準

脳アミロイド血管症関連炎症

ARIAの想定されている機序

II.本年の動向

1 疾患修飾療法時代における発症前検査と着床前検査(PGT—M) 〈柴田有花〉

遺伝性神経・筋疾患を取り巻く背景

発症前検査

重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT—M)

2 パーキンソン病とAI 〈大山彦光〉 112

AI自動診断

症状モニタリング

進行モニタリング

マルチオミクス

医用画像

予後・サブタイプ/合併症予測

治療応用

3 微小炎症と神経疾患 〈田中宏樹 村上 薫 長谷部理絵 村上正晃〉

神経疾患における微小炎症

微小炎症に対する神経回路の関連とゲートウェイ反射

4 AIを用いた脳科学とリハビリテーション医療 〈牛場潤一〉

BMI/BCIによるコミュニケーションの再建

脳卒中後上肢機能障害に対するBMI/BCIを用いたリハビリテーション

5 神経変性疾患に対するseed—amplification assayの現状と課題 〈本田 諒 山原直紀〉

プリオンSAA

α—synuclein SAA

Tau SAA

TDP—43 SAA

Amyloid—β SAA

SOD1 SAA

その他SAA

注目すべき新技術:quiescent SAA

注目すべき新技術:digital SAA

注目すべき新技術:cell—based SAA

6 運動失調症の患者レジストリJ—CATの現状と運用 〈高橋祐二 水澤英洋〉

SCDの疾患レジストリ

Japan Consortium of Ataxias(J—CAT)

J—CATの現状

J—CATを活用した疾患研究

7 新たな神経疾患の危険因子としてのマイクロ・ナノプラスチック 〈下畑享良〉

MNPsと脳梗塞

MNPsと認知症

MNPsとレビー小体病

手術後の認知機能低下

8 パーキンソン病の概日リズム異常と睡眠研究 〈形岡博史 杉江和馬〉

概日時計遺伝子

メラトニン

概日リズム障害に起因する臨床症状

非運動症状

概日リズムの臨床研究

結論

9 Glymphatic system研究の最新動向 〈田岡俊昭〉

DTI—ALPS法

PVS可視化と定量化

白質高信号(WMH)体積とglymphatic機能

脈絡叢体積(CPV)

BOLD—CSFカップリング

自由水画像(FWI)

ASLおよびdiffusion—weighted ASL

17O標識水MRI

髄膜リンパ管の画像化

Gd静注によるDCE—MRI

Gd造影MRI(cisternography)

マルチモーダル評価の重要性

10 ロボット支援手術:最新の動向 〈米澤 潮 山崎文之 堀江信貴〉

従来のframe—based手術とframe—less手術の実際

Frame—based手術とframe—less手術の比較

現在神経領域で使用可能なデバイスの比較

III.Clinical Topics

1.感染症・炎症疾患

1 帯状疱疹・帯状疱疹ワクチンと認知症 〈森 泰子 下畑享良〉

帯状疱疹と認知症の疫学的関係

ワクチンの影響と効果について

帯状疱疹が認知症のリスクとなる機序

本邦における帯状疱疹ワクチン接種

2 HTLV—1関連脊髄症の患者レジストリとデータベース研究 〈八木下尚子 山野嘉久〉

患者レジストリの意義

難病プラットフォームによる患者レジストリ構築・運営支援

患者レジストリの収集項目と標準データ入力システム

HAM患者レジストリ

HAMねっとによるRWE

診療ガイドライン作成における患者レジストリの活用

今後の展望

2.脳血管障害

1 ICT,AIを活用した脳卒中診療 〈渡邊充祥〉

画像診断支援からCDSS,遠隔診療統合への拡張

2 Stroke oncologyの病態機序と治療 〈河野友裕 佐々木勉〉

臨床的特徴

Stroke oncologyの病態機序

がん治療に関連した脳卒中リスク

Stroke oncologyの治療

3 頸動脈プラークの画像診断 〈東美菜子〉

頸動脈狭窄症の画像診断

頸動脈狭窄症に関連する疾患・病態

4 機械的血栓回収療法の費用対効果 〈江頭柊平〉

脳卒中の社会負担と機械的血栓回収療法

費用対効果分析の

一般論

諸外国における機械的血栓回収療法の費用対効果

本邦における機械的血栓回収療法の費用対効果

3.脳腫瘍

1 脳腫瘍のメチル化解析 〈福岡講平〉

Illumina Infinium® MethylationEPIC v2.0を用いたDNAメチル化解析とHeidelberg methylation classifier

DNAメチル化解析による脳腫瘍分子分類の実際

今後の展望と新たな手法によるDNAメチル化解析による脳腫瘍分子分類

2 グリオーマのIDH阻害薬 〈齋藤竜太〉 231

IDH変異と腫瘍化の機序

IDH阻害のpreclinical study

イボシデニブ & ボラシデニブ:第I相試験

ボラシデニブの

第III相試験:INDIGO trial

現状

4.外傷

1 スポーツによる脳振盪(sports related concussion:SRC) 〈荻野雅宏〉

脳振盪の評価ツール

段階的な復帰とリハビリテーション

予防

慢性外傷性脳損傷(CTE)

その他

2 神経集中治療におけるモニタリング 〈末廣栄一〉

頭蓋内圧モニタリング

適切な脳灌流圧

脳組織酸素分圧

5.変性疾患

1 Perry病(Perry症候群)の臨床・病理・分子機構:

日本初症例の経験から診断基準,DCTN1―TDP—43連関まで 〈坪井義夫〉

日本初の報告

Perry病国際コンソーシアム

臨床的特徴

治療と管理

診断基準

病理学的特徴と呼吸中枢

DCTN1タンパクの分子機構:DCTN1―TDP—43相互作用

表現型の多様性と今後の展望

2 筋萎縮性側索硬化症と脂質代謝:SPT関連遺伝子を中心に 〈成瀬紘也 石浦浩之〉

ALSと脂質代謝異常

SPT関連遺伝子とALS

SPT関連ALSの治療戦略と今後の展望

6.中毒・代謝疾患

1 Niemann—Pick病type Cの病態と臨床 〈松尾宗明〉

病型と臨床的特徴

分子病態と免疫異常

合併症:クローン病との関連

診断とバイオマーカー

治療戦略の進展

2 マンガンによるパーキンソニズムの病態機序と治療可能性 〈加茂 晃 小川 崇 波田野 琢〉

マンガンとパーキンソニズム

マンガン中毒関連パーキンソニズムの病態

バイオマーカーおよび画像診断の有用性

マンガン誘発性パーキンソニズムの治療

3 リー症候群に対するミトコンドリア移植療法 〈中井りつこ〉

リー症候群:いまだ治療困難なミトコンドリア病

ミトコンドリアの新たな概念:細胞間を移動する多機能オルガネラの再定義

ミトコンドリアトランスファー:多様な輸送経路と治療への応用

リー症候群への応用:2軸による治療実証

現状の課題と新たなメカニズムの探究

7.脱髄・免疫性疾患

1 視神経脊髄炎スペクトラム障害の治療の進歩 〈三須建郎〉

NMOSDの診断

NMOSDの治療

生物学的製剤の優位性:従来治療との比較

薬剤選択と薬剤の切り替えの考え方

2 自己免疫性脳炎の診断と治療の最前線:新たな病態理解と長期予後の課題 〈中嶋秀人 原 誠〉

診断法の技術革新

診断への戦略的アプローチ

長期予後評価の新知見

てんかん病態の新たな理解

認知症鑑別診断への応用

治療標準化の進歩

8.末梢神経障害

1 CIDPのアンメットニーズと最新治療 〈中島昌典 海田賢一〉

CD20抗体

FcRn阻害薬

補体阻害薬

CAR—T療法

自己造血幹細胞移植

2 RFC1スペクトラム障害(CANVAS)の臨床遺伝学的特徴 〈井泉瑠美子 青木正志〉

遺伝学的特徴

臨床的特徴〜近年の報告からみる診断のポイント〜

病態

鑑別診断・RFC1遺伝子解析

治療

拡がるRFC複合体病?

9.神経筋疾患

1 『多発性筋炎・皮膚筋炎診療ガイドライン2025』ミニマムエッセンス 〈杉江和馬〉

本ガイドラインの概要

“多発性筋炎・皮膚筋炎”の診断と新たな分類

“多発性筋炎・皮膚筋炎”の筋症状に対する治療

2 ミトコンドリアM2抗体陽性筋炎の臨床病理学的特徴 〈西森裕佳子 西野一三〉

臨床像

筋病理所見

他の筋炎との比較

罹病期間による

違い

心筋障害に関して

3 遺伝性筋疾患レジストリRemudyの社会的意義と課題 〈中村治雅〉

Remudyの成り立ちとTREAT—NMDとの関係

Remudyおよび希少疾患レジストリの社会的意義

課題

Remudyの今後の展望 シン—Remudy構想

10.自律神経疾患

1 遺伝性ATTRアミロイドーシスUpdate 〈植田光晴〉

アミロイドーシス診療ガイドライン2025

パチシランの5年間長期データによる早期治療開始の重要性の実証

ブトリシランによる心筋症を伴うATTRアミロイドーシスの予後改善

実臨床データによる疾患修飾療法の生存期間延長効果の確認

新規TTR四量体安定化薬であるアコラミジスの臨床応用

CRISPR—Cas9を用いた遺伝子編集療法の臨床開発

まとめ

11.機能的疾患

1 てんかん発作分類(2025年ILAE改訂版)の解説 〈武山博文 池田昭夫〉

2025年改訂版分類の概要

2017年てんかん発作分類からの

変更点

改訂版発作分類の実装例

2 遺伝子異常とてんかん 〈齋藤伸治〉

遺伝子異常が原因となるてんかん

てんかんの遺伝子診断

てんかんに対する遺伝子を標的とした治療

12.機能的脳神経外科

1 てんかん焦点に対する定位温熱凝固術 〈白水洋史〉

ラジオ波温熱凝固術の原理

てんかんに対する定位温熱凝固術の歴史

定位的ラジオ波温熱凝固術とSEEGガイド下ラジオ波温熱凝固術の違い

適応となる疾患

2 精神疾患に対する脳神経外科的ニューロモジュレーション 〈木村唯子〉

脳神経外科におけるニューロモジュレーション

各疾患における機能外科治療の現状

今後の展望

13.機能性神経障害

1 機能性神経障害に対する精神的アプローチ 〈村田佳子 谷口 豪〉

現代のFND診療における精神科の役割

転換モデルから統合病因モデルへの移行

精神科による診断告知の支援と治療導入

精神療法

併存精神疾患

薬物療法

多職種連携の推進

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書籍情報

  • ISBN:9784498428485
  • ページ数:390頁
  • 書籍発行日:2026年5月
  • 電子版発売日:2026年5月20日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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