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- 実験医学別冊 生命科学データ解析をはじめる前に読む本
商品情報
内容
生命科学データ解析に必須な知識や普遍的な問題解決力を身につけられる入門書!データ解析の場面で広く使われるLinuxをベースに,実際の生命科学データを用いて手を動かしながら解析手法を学べます.これからデータ解析を始めたい方に向けて丁寧に解説しており,プログラミングが苦手な方にもおすすめです.
序文
はじめに
現代の生命科学研究は,まさに「データ駆動の時代」の真っ只中にあります.次世代シークエンサー(NGS)が日々生み出す膨大なゲノムやトランスクリプトームのデータ,高性能な顕微鏡が捉える精細なイメージデータ,質量分析計が網羅的に測定するプロテオームやメタボロームのデータ──私たちの周りには,生命の謎を解き明かすための貴重な情報が溢れています.本書『生命科学データ解析をはじめる前に読む本』は,これらの大規模データを自らの手で解析し,意味のある知見を引き出すスキル,つまりすべての生命科学研究者にとって不可欠な「第二の実験技術」を身につけるための一冊です.
しかし,そう言われても,「プログラミングは難しそう」「どこから手をつければいいのかわからない」「自分はコンピューターが苦手だから…」といった不安を感じる方は少なくないでしょう.研究室の先輩や同僚が黒い画面に謎のコマンドを打ち込んでいるのを見て,自分とは違う世界の話だと感じてしまった経験があるかもしれません.何を隠そう,著者自身もそうでした.入門書を買ってみたものの,最初の環境構築でつまずき,次々と表示されるエラーメッセージの意味もわからず,静かに本を閉じてしまった経験が一度ならずあります.
もしあなたがそのような経験をおもちだとしても,どうか心配しないでください.本書は,まさにそのような方々へ向け,生命科学者による,生命科学者のためのデータ解析入門書の決定版をめざして執筆しました.徹底的に生命科学者・学生の目線に立ち,専門用語を可能な限り噛み砕き,誰もが順を追って着実にステップアップできる構成を心がけています.
本書の最大の目的は,データ解析という広大な海に挑むための「考え方の地図」と「進み方のコンパス」を皆さんに提供することです.そして,皆さんが本書を通じて,データ解析の世界への第一歩を踏み出し,将来的に機械学習のような高度なトピックにも挑戦できる,普遍的で揺るぎない土台を築けるようになることをめざします.
プログラミングは決して特別な才能が必要なものではありません.外国語と同じで,最初は単語も文法もわからず戸惑うかもしれませんが,使い続けるうちに必ず上達します.大切なのは,完璧をめざすことではなく,まず一歩踏み出し,試行錯誤を繰り返すことです.そうして学習を進めることで,本書を読み終える頃には,あなたは目の前の課題に対して「どのようなツールを使い,どう調べれば解決できるか」という道筋を自分で考え,実行できるようになっているはずです.そうなれば,黒い画面のコマンドやプログラミング言語は,もはや得体の知れない呪文ではなく,あなたの研究を力強く前に進めるための,ピペットや遠心機と同じ「頼れる道具」のひとつになっていることでしょう.
最後になりますが,本書の出版にあたり多大なるご尽力をいただいた羊土社の皆様に,この場を借りて心より御礼申し上げます.企画段階から並走し,本書の方向性を導いてくださった本多正徳様.そして,本書の「最初の読者」として,執筆の全行程において粘り強く細やかなフィードバックをくださった亀谷博就様と岩崎太郎様.お三方のプロフェッショナルな支えと,読者の視点に立った的確なご指摘がなければ,この一冊を完成させることはできませんでした.
さあ,一緒にデータ解析の世界への扉を開きましょう.この一冊が,あなたの研究生活をより豊かで実りあるものにするための一助となれば,著者としてこれ以上の喜びはありません.
2026年4月
東京科学大学 総合研究院 M&Dデータ科学センター
東京科学大学 大学院医歯学総合研究科
清水秀幸
目次
はじめに
本書の使い方
第0章 『生命科学データ解析をはじめる前に読む本』を読む前に
1 本書のねらい
2 学習の進め方
3 本書で一貫して大切にしてほしいこと
Part Ⅰ Colabで体験するデータ解析の世界 とにかく真似して動かす
第1章 とりあえず体験してみよう
1 Colabに触れて基本的な使い方をマスターしよう
2 データの読み込みから仮説検定までをRで体験しよう
3 生命科学データ解析の航海に向けて
Column なぜ生命科学データ解析でCSV/TSVが好まれExcel が使われないのか
Column Colabのターミナルからプログラムを実行する
第2章 ファイルや文字列を扱う基本コマンドを覚えよう
1 Linuxの基本知識とコマンドの使い方を知ろう
2 ディレクトリやファイルを自在に扱えるようになろう
3 Linuxの機能とコマンドを組み合わせよう
第3章 「動かない!」を乗り越える問題解決術
1 エラーメッセージとの向き合い方を知ろう
2 エラーの解決策を探せるようになろう
第4章 生命科学データ解析を体験しよう
1 ヒトY染色体上のPAM配列を探せ!
2 coding領域にあるSNPを探せ!
Column ゲノム情報の「住所」を正しく扱うために
第5章 面倒な作業を自動化させよう
1 一連のコマンドをまとめた解析レシピを作ろう
2 より柔軟なスクリプトのための要素を学ぼう
Column 生命科学データ解析に役立つ便利なその他の応用コマンド
Part Ⅱ ローカル環境での実践 自分のデータで試してみる
第6章 自分のPCの環境を整えよう
1 ターミナルを準備して開発環境を整えよう
2 パスを通して自分のコマンドやツールを管理しよう
Column とてもありがたいパッケージマネージャー
第7章 環境を誰かと共有しよう
1 Condaをインストールして仮想環境を構築しよう
2 仮想環境による解析環境を共有しよう
Column conda install とpip install,混ぜるな危険?
第8章 他人が作ったプログラムを再利用しよう
1 VS Codeを導入して快適なローカル環境を整えよう
2 GitHubを使って他人のプログラムを再利用しよう
Column AIとともにコードを書く時代のこれから
Part Ⅲ 未来への羅針盤 今後の研究に活かす
第9章 スパコン・計算サーバーへの接続
1 スパコン利用までの流れを知ろう
2 スパコンの使い方を身につけよう
Column スパコンと仲良くなろう
第10章 そして次のステップへ:広がるデータ解析の世界
1 これまでの学習から広がるデータ解析の航海に出よう
2 さらに学習を深めるためのリソース
Column 生成AI が進歩した後も残り続ける人間の技術はなんだろう?
Column 生命科学データ解析は今後どうなっていくのだろう?
付録 Linuxコマンドの働きとUsage一覧表
おわりに
索引
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書籍情報
- ISBN:9784758122887
- ページ数:252頁
- 書籍発行日:2026年5月
- 電子版発売日:2026年6月2日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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