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- 看護ケアに活かすコーチング心理学実践
商品情報
内容
看護・助産・教育の現場における実践知とコーチング心理学を融合し、コーチとクライアント双方のウェルビーイングを高める視点を提供する。
「なぜ、そのアプローチが有効か」という理論的根拠と、「現場でどう活用するか」という実践的手順を学び、臨床現場での質の高い支援につなげよう。
序文
はじめに
本書をお手に取っていただき、心より感謝申し上げます。
本書は、看護・助産・教育の現場における実践知とコーチング心理学の融合、すなわち「学融」させることによって、コーチとクライアント双方のウェルビーイングを高める新たな視点を提供する実践書です。看護・助産ケアや教育の現場では、「一人ひとりに寄り添う支援」が求められており、その実現に向けて、コーチングは有効なアプローチの一つと考えられます。コーチングは、心理学や教育学に基盤をもつ支援的アプローチであり、クライアントとの対話を通じて潜在的な強みや資源を引き出し、自己決定や主体的行動を促進する理論的枠組みです。とりわけ、コーチング心理学(Coaching psychology)は、ポジティブ心理学や学習理論の成果を統合し、目標達成(ゴール)やウェルビーイングの向上を科学的に探究する学問領域として発展してきました。本書では、こうした学問的背景をふまえつつ、臨床における看護・助産ケアや教育の場面に適用する理論と実践を提示しています。
「コーチング」という言葉は、15世紀のハンガリーの町「Kocs(コチ)」に由来します。もともとは、人や物を目的地まで運ぶ「馬車」を指していましたが、やがて「人を目標へと導く指導者」という意味をもつようになりました。この二つの意味は、現代におけるコーチングの本質とも重なります。コーチングにおいては、コーチとクライアントは上下関係ではなくパートナーシップを築き、クライアント自身が望む未来(ビジョン)に向かって、コーチは伴走者として支えます。この良質なパートナーシップは、相互の信頼と尊重を基盤に、成長と可能性を広げる力をもっています。看護・助産ケアにおいても、患者や家族、そして看護者同士の間に良いパートナーシップを築くことは不可欠です。
また、コーチングの素晴らしいところは、クライアントを支援するだけでなく、支援する側のコーチにも良い影響をもたらすことです。コーチは、クライアントにコーチングの理論とスキルを用いて支援することで、「やりがいを感じる」ことや「自分の看護ケアや教育支援について新しい発見がある」といった新たな体験をすることが報告されています1、2)。そうしたコーチの充実感や気づきが、クライアントとの信頼関係を深め、クライアントの前向きな変化をより力強く支えることができるようになります。だからこそ本書では、従来の看護や助産ケア、そして教育のなかで自然に行われてきた対話や支援を、コーチング心理学の理論に基づき体系的に学び直し、意図的かつ効果的に実践へと応用することを提案します。それは、パートナーシップを土台に、看護・助産ケア、教育における新たな視点を切り拓き、より豊かな実践へとつなげる取り組みです。
本書を通じて、看護・助産・教育の現場における「実践知とコーチング心理学の学融」と活用について探究するとともに、その実践を支える倫理的配慮の重要性についても、読者の皆さまと共に思索を深めていきたいと願っています。
2026年3月
編著代表 武田清香
目次
【第1章 コーチング心理学の基礎知識】
・序論:理論と実践をつなぐコーチング心理学
・1 コーチング心理学とは
・2 コーチング心理学における定義
・3 コーチング心理学とポジティブ心理学
・4 コーチング心理学におけるウェルビーイング
・5 コーチング心理学に基づいた基盤スキル
・6 コーチング心理学における理論と法則、場面の選択
・7 用語の定義
【第2章 コーチングを用いた看護、母性看護・助産実践】
・1 急性期看護におけるコーチングを用いた支援の必要性と課題
・1-1 解決志向アプローチを用いたストレスマネジメントコーチング:
頸髄を損傷した患者の事例
・1-2 GROWモデルを用いた健康状態を高めるコーチング:
膀胱がんを発症した患者の事例
・1-3 SMARTの法則を用いたストレスマネジメントコーチング:
急性冠症候群を発症した患者の看護
・1-コラム 高度救命救急センターにおけるコーチングを活用した看護実践
・2 回復期看護におけるコーチングを用いた支援の必要性と課題
・2-1 SMARTの法則を用いた健康促進を図るコーチング:
脳梗塞を発症した患者の事例
・2-2 GROWモデルを用いたストレスと上手に付き合うコーチング:
大腿骨頸部を骨折した患者の看護
・2-3 ポジティブ心理学を用いた強みを高めるコーチング:
回復期にある患者へのケアに関わる多職種連携チームの事例
・2-コラム 脳血管疾患を有する対象へのコーチング実践
・3 慢性期看護におけるコーチングを用いた支援の必要性と課題
・3-1 GROWモデルを用いた健康促進を図るコーチング:
2型糖尿病を有する患者の事例
・3-2 ポジティブ心理学を用いたストレスと上手に付き合うコーチング:
肝硬変を有する患者の看護
・3-3 解決志向アプローチを用いたピアコーチング:
慢性期疾患を有する患者のケアに関わる看護チームの事例
・3-コラム 糖尿病を有する人へのコーチング実践
・4 母性看護・助産学領域におけるコーチング
・4-1 GROWモデルを用いた健康促進を図るコーチング:
大学生へのプレコンセプションケアに向けた支援
・4-2 ポジティブ心理学を用いた健康促進を図るコーチング:
妊娠を希望する対象への支援
・4-3 ポジティブ心理学を用いた意思決定コーチング:
出産方法の選択を希望する対象への支援
・4-4 ポジティブ心理学を用いた産痛を緩和するコーチング:
産婦の産痛緩和に向けた事例
・4-5 解決志向アプローチを用いたストレスと上手に付き合うコーチング:
母乳育児を希望する母親への支援
・4-コラム NICUでのファミリーセンタードケアにおけるコーチング支援の実践
【第3章 看護師と助産師の成長を促進するコーチング支援】
・1 看護教育におけるコーチング
・1-1 GROWモデルを用いたストレスと上手に付き合うコーチング:
新人看護師のストレス緩和に向けた支援
・1-2 SMARTの法則を用いた強みを高めるコーチング:
看護学生の自己成長を促進する支援
・1-3 ポジティブ心理学を用いたピアコーチング:看護師チームを育てる支援
・1-コラム 看護学生の自律を支えるコーチング実践
・2 助産教育におけるコーチング
・2-1 SMARTの法則を用いた自己効力感を高めるコーチング:新人助産師への支援
・2-2 GROWモデルを用いたストレス緩和を図るコーチング:助産学生への支援
・2-3 解決志向アプローチを用いたピアコーチング:助産師チームを育む支援
・2-コラム 職業的価値観を支える管理職が行うコーチング実践
・特別コラム 成績低迷医学生に対するコーチング支援の実践
【付録】
1 ポジティブ心理学の理論
2 SMARTの法則
3 GROWモデル
4 解決志向アプローチ
・おわりに
索引
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書籍情報
- ISBN:9784840491228
- ページ数:208頁
- 書籍発行日:2026年5月
- 電子版発売日:2026年6月16日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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