極論で語る消化器内科 第2版

  • ページ数 : 256頁
  • 書籍発行日 : 2026年6月
  • 電子版発売日 : 2026年6月25日
¥4,180(税込)
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商品情報

内容

代謝機能障害を基軸とした新基準ではMet-ALDという新概念が定義され、肝臓疾患の世界の大きな展開点となりました。近年脳と腸は双方向に影響を及ぼすなど脳腸相関障害(DGBI)の理解が進み、機能性ディスペプシア(FD)や過敏性腸症候群(IBS)への対処も必須のスキルです。ゆえに3部構成とし、6章分を新設しました! 日進月歩の消化器分野を【極論】するため、「機能性消化管障害」「大腸癌」「脂肪性肝疾患」「ウイルス性肝炎」「内視鏡診療」「肝硬変」を新設しました。3部構成となった「極論」をご期待ください。

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序文

監修者・まえがき

 きょく ろん【極論】

 (1)極端な議論.また,そのような議論をすること.極言.

 (2)つきつめたところまで論ずること.

 [大辞林 第四版(三省堂)より]

本書『極論で語る消化器内科 第2版』は,第1版に続き,再びこの領域に大きなインパクトを与えると確信しています.今回,小林先生の改訂版をお届けするにあたり,監修者として一言だけ述べさせていただきます.

私は循環器内科医ですので,日々の診療では,どちらかというと血液をサラサラにするほうに熱心です.そのせいか,日々出血と向き合っておられる消化器の先生方からは,どこか冷ややかな目で見られているような気もしており(気のせいではない?),消化器内科のテキストの監修者としてはやや肩身の狭い立場でもあります.

ただ,今回この改訂版の校正作業に携わり,小林先生とやりとりを重ねるうちに,消化器内科を専攻とするすべての先生方に対して,非常に深い親しみを覚えるようになりました.

なかでも,いち内科医として特に心に残り,「ベスト」として挙げたいのが,5章の「機能性消化管障害」です.消化器内科というと,つい内視鏡のような華やかな手技に目が向きがちですが,この章には,目に見える異常がないなかで,患者さんのつらい症状にどう向き合うかという,小林先生の真摯な姿勢がよく表れているように感じました.

もちろん,魅力はこの章だけにとどまりません.他の章からも,2020年代の新しい時代における消化器内科の実像が,鮮やかに切り取られています.例えば,消化管出血患者において,既存のエビデンスをスコア化することでリスクを可視化するアプローチ(1章)や,日常診療で使用頻度の高いPPI(プロトンポンプ阻害薬)をどう処方するか(2章)という実践的な工夫には,長年の知見(データ)の蓄積がしっかりと活かされています.

「極論」シリーズが長く多くの読者に支持されてきた理由は,教科書的な網羅性をあえて追いすぎず,現場のエキスパートが持つ揺るぎない実践的スタンスを明確に示してくれる点にあるのではないかと(個人的に)思っています.分厚いガイドラインの行間や,目の前の患者さんにどう向き合い・どう動くべきかという問いに対し,専門医が隣で語りかけてくれるような感覚を大事にしてきました.今回の消化器内科の改訂版も,まさにその魅力を体現しているのではないでしょうか.

循環器内科医と消化器内科医では,日々の診療におけるアプローチは異なります.しかし,目の前の患者さんを少しでも良くしたいという思いは同じです.本書が,先生方にとって頼もしい土台となり,明日からの診療をよりクリアにしてくれる一冊となることを,心より願っています.


2026年4月吉日

監修者 香 坂  俊 



著者・まえがき

本書の初版が出てから8年が経過しました.消化器内科の診療にも変化があり,内容を刷新すべき時期を迎えています.診断技術や治療戦略の進歩は目覚ましく,私たちが対峙すべき疾患の優先順位や,疾患そのものの捉え方さえも大きく変わりました.

最も際立った変化の一つは,主要疾患の推移です.かつて胃癌は我が国の消化器診療の最重要課題でしたが,現在は大腸癌が罹患数・死亡数ともに消化器癌の首位を占めるに至りました.この現状に鑑み,改訂版では大腸癌(10章)を新設して重要なトピックを解説しました.また,肝疾患(12章)における「MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)」への名称変更は,単なるラベルの貼り替えではありません.それには,肝病態を全身の代謝機能障害の一側面として捉え直すという重要な意義づけが含まれています.すべての内科医がこの新しい疾患概念を正しく理解して対応すべきであると考え,新設章に取り上げました.

進歩が目覚ましい治療についてもアップデートを行いました.便秘症治療(8章)においては,初版発行以降に相次いで登場した新薬により,治療アプローチが従来と変わりました.ウイルス性肝炎(14章)もまた,治療の進歩により「コントロール可能な疾患」となった一方で,B型肝炎の再活性化やC型肝炎のSVR後の肝癌など,依然としてすべての内科医が知っておくべきポイントがいくつかあります.

内視鏡診療(6章)においては,AIの実用化といった華々しい進化が注目を集めています.いかに技術が進歩しても,日々の診療において最も重要なのは「手技の質の担保」であると考え,内視鏡検査の質についても解説しました.さらに,本改訂では,内視鏡偶発症に加えて内視鏡業務にかかわる者が知っておくべきEndoscopy Related Injury(内視鏡関連障害)についても言及しました.また,肝硬変診療(15章)においては,代償期を維持して非代償期への進展をいかに防ぐかという世界標準の視点を取り上げました.

消化器内科は,華やかな手技が注目されがちですが,実際には地道な知識の積み重ねが不可欠です.確固たる知識という土台なくして,優れた手技は成り立ちません.そのためには知識のアップデートが不可欠です.本書では初版同様にすべての内科医が知っておくべき消化器内科のエッセンスを抽出しました.本書が消化器内科を志す若手医師にとっての礎となり,またすべての内科医にとって明日からの診療における一助となれば,著者としてこれに勝る喜びはありません.

最後に,多忙な中で改訂作業を支えてくださり的確なアドバイスをくださった監修の香坂俊先生,本書のポイントを理解しやすいイラストとして作成いただいた龍華朱音先生,初版に引き続いて尽力をいただいた丸善出版の程田靖弘氏に心より深く感謝の意を表します.


2026年4月吉日

著者 小 林 健 二

目次

第1部 上部消化管 各 論

1章 消化管出血[Gastrointestinal Bleeding]

極論1 血行動態を何よりも(内視鏡よりも)優先させる 

極論2 数分で把握する病歴と身体所見 

極論3 黒色便と血便の本当の意味は…? 

極論4 リスク評価は経験のない若手の味方 

極論5 過剰な輸血はしない 

コラム1 小腸出血 

2章 胃食道逆流症[Gastroesophageal Reflux Disease;GERD]

極論1 警告徴候がなければPPI,診断的治療でもPPI 

極論2 PPI投与,実は「食後」よりも「食前」 

極論3 無敵のPPIにも「弱点」はある 

極論4 生活指導でPPIをサポートする 

極論5 GERDは胸焼けだけではない 

コラム1 バレット食道 

3章 嚥下障害[Dysphagia]

極論1 まず症状発現のタイミングで分ける.「すぐか?」「 数秒後か?」 

極論2 食道性嚥下障害は「内視鏡」が必須 

極論3 口腔咽頭性嚥下障害なら「嚥下造影検査」「耳鼻科評価」 

極論4 最後は「食道内圧測定」を行う 

コラム1 好酸球性食道炎(Eosinophilic Esophagitis;EoE) 

4章 消化性潰瘍[Peptic Ulcer]

極論1 潰瘍の原因はストレス・コーヒーよりも「ピロリ・NSAIDs」 

極論2 酸分泌の抑制,これ一本で勝負! 

極論3 みつかったらすぐに「除菌」 

極論4 悪性病変の除外を忘れない 

コラム1 HP 感染胃の内視鏡所見 

5章 機能性消化管障害[Functional Gastrointestinal Disorders; FGID]

極論1 FDでは内科医の素養が試される 

極論2 FD患者でピロリがいればまず除菌.それ以外のFDの治療は症状ベースで 

極論3 FDの治療の主体は「酸分泌抑制」と「消化管運動機能改善薬」 

極論4 警告徴候がなく排便に関連した慢性的な腹痛がIBS 

極論5 IBSは4タイプに分類する 

極論6 IBSの治療戦略は「便秘型」「下痢型」「混合型」で分ける 

幕 間

6章 内視鏡診療[Endoscopy] 

極論1 内視鏡検査のリスクマネジメントは術前から始まる 

極論2 抗血栓薬の休薬はリスクとベネフィットのバランスで考える 

極論3 持続可能な内視鏡診療のために人間工学が必要  

第2部 下部消化管 各 論

7章 下 痢[Diarrhea]

極論1 発症4週間以内か? 以上か? それが問題だ 

極論2 便培養よりむしろCDトキシン 

極論3 医原性の下痢は意外と多い 

極論4 慢性下痢ではまず,IBSを除外する 

極論5 便のことを聞く!

コラム1 自宅での経口補水液のつくり方 / コラム2 便の浸透圧較差 

8章 便 秘[Constipation]

極論1 便秘の陰に「病」あり 

極論2 患者の悩みは何なのか…?」を知る 

極論3 治療戦略は3つに分ける(機能性便秘症):「NTC」「STC」「機能性便排出障害」 

極論4 刺激性下剤の乱用はよくみかける 

9章 感染性腸炎[Infectious Enterocolitis]

極論1 まず「小腸型か」「大腸型か」を判断する 

極論2 その検査は必要か? 

極論3 抗菌薬は不要 

極論4  2週間以上下痢が続いたら「頭を切り替える」 

コラム1 腸の問題だけで終わらないこともある 

10章 大腸癌[Colorectal Cancer]

極論1 便潜血検査は大腸内視鏡検査とセットで考える 

極論2 スクリーニングの質はADRで決まる 

極論3 家族歴を必ず確認.意外に多いリンチ症候群 

極論4 鉄欠乏貧血をみたら必ず大腸癌を鑑別診断に入れる 

第3部 肝胆系 各 論

11章 肝臓系検査[Liver Test]

極論1 「肝機能検査」は肝臓の機能をみる検査にあらず 

極論2 肝臓系検査異常は3パターンに落とし込む 

極論3 肝臓の合成能はアルブミン,プロトロンビン時間(PT) 

12章 脂肪性肝疾患[Steatotic Liver Disease;SLD]

極論1 MASLDは単なる肝疾患ではなく全身疾患と捉える 

極論2 脂肪肝をみたら,飲酒習慣,内服薬,肝疾患の家族歴などを必ず確認 

極論3 太っていなくてもMASLDになる.特に日本人は要注意 

極論4 FIB-4 indexを用いてハイリスク群を同定する 

極論5 特効薬はない.食事・運動療法が基本 

コラム1 肝線維化マーカー 

13章 胆石関連疾患[Gallstone Disease]

極論1 癪は胆石か…?  

極論2 無症候であれば,経過観察もしない 

極論3 結石がなくても胆嚢炎は起きる 

極論4 急性胆管炎はとにかく閉塞の解除 

14章 ウイルス性肝炎[Viral Hepatitis]

極論1 B型肝炎では感染のどのフェーズにあるかを確認する 

極論2 免疫抑制を伴う治療をするならB型肝炎の再活性化に注意する 

極論3 C型肝炎はほぼ治る時代だが,感染に気づいていない場合があるので注意! 

極論4 慢性肝疾患の患者ではA型肝炎ワクチンを 

コラム1 HCVと糖尿病との関連性 

15章 肝硬変[Liver Cirrhosis]

極論1 代償性か, 非代償性か,それが問題だ 

極論2 腹水を有する患者が入院したらすぐにtap! 

極論3 肝性脳症では誘因を検索して除去する

極論4 栄養も大事.肝硬変ではサルコペニアに注意! 

コラム1 日本におけるカルベジロールの用い方

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書籍情報

  • ISBN:9784621312926
  • ページ数:256頁
  • 書籍発行日:2026年6月
  • 電子版発売日:2026年6月25日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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