皮膚病診療 Vol.48 No.7 有棘細胞癌~前がん状態を含めて

  • ページ数 : 92頁
  • 書籍発行日 : 2026年7月
  • 電子版発売日 : 2026年7月1日
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内容

特集 有棘細胞癌~前がん状態を含めて(担当:向井 秀樹 編集委員)

本邦で有棘細胞癌は、基底細胞癌に次いで2番目に多い皮膚悪性腫瘍で、診療ガイドラインの第4版が2025年に発表されています。今号ではこのガイドラインの要約のほか、センチネルリンパ節生検の有用性、爪周囲に生じた際の指趾骨温存手術の治療成績、抗PD-1抗体の有用性、発生につながりうる医療従事者の放射線職業被曝などについて解説しています。日常診療でのいざというときにお役立ていただける内容となっています。

序文

Editor’s eye


本邦では有棘細胞癌(squamous cell carcinoma : SCC)は基底細胞癌に次いで2番目に多い皮膚悪性腫瘍である.前がん病変や早期病変患者が多く,早期診断と外科的治療が重要である.

一方,10%未満の根治切除不能な進行・再発や転移例もあり,放射線療法や薬物療法が必要になってくる.最近では2018年にSCCの診断法にセンチネルリンパ節生検が保険収載されたり,治療にも新規薬剤が参入している.

そこで,高井利浩先生には『有棘細胞癌診療ガイドライン2025(第4版)』の中から臨床・病理組織学的分類,リスク分類の改変や6つのクリニカルクエスチョンと推奨文,さらにその要点を詳細に解説いただいた.2018年に本邦でも保険収載されたセンチネルリンパ節生検の有用性に関して,松本薫郎先生は現時点では明確な推奨はできないが,少なくとも病理組織学的病期診断のツールとしては有用であり,今後は高リスク症例に絞った検索が必要と述べている.また,爪周囲のSCCやBowen病は頻度が高く,腫瘍を完全切除すれば予後は良好である.

成瀬早紀先生らは,末節骨骨膜下レベルを深部マージンとして腫瘍を全摘する指趾骨温存手術を20症例に実施し,全例再発を認めず根治的な手術法であるとしている.進行期SCCへの免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-1抗体の有用性については中野英司先生に解説いただき,今後の術前・術後補助療法としての可能性に言及されている.角度を変えた話題として,医療従事者の手指の長期間被爆は放射線角化症やSCC発生につながる.六戸大樹先生らは,放射線防護教育と継続的なモニタリングの必要性,そして皮膚科医によるスクリーニングの重要性を述べている.

SCC発症に関しては,さまざまな発がんリスク因子,前がん病変や前駆症が知られている.

臨床例では,光毒性を背景に発がんリスク因子を有するボリコナゾールを長期内服し発がんした例,アトピー性皮膚炎の紅皮症患者の多発性SCCに高発癌型HPV-31を有した例,前がん病変としては多発性Bowen病やBowen様丘疹症例,発癌する可能性がある前駆症としては巨大尖圭コンジローマ,瘢痕,化膿性汗腺炎,汗孔角化症などがあげられており,読み応えがある.

日ごろそれほど診療現場でみる機会は多くはないが,慢性に経過する皮膚潰瘍やSCCの前がん病変・前駆症を診察する際には,SCCの可能性を念頭に置くべきと考える.今回の特集号は,いざというときに役立つよう企画している.ぜひともご一読いただきたい.


編集担当 向井 秀樹

目次

Editor's eye

向井 秀樹

総説

有棘細胞癌診療ガイドライン2025(第4版)要約

髙井 利浩

治療1

有棘細胞癌におけるセンチネルリンパ節生検の有用性

松本 薫郎

治療2

爪周囲に生じた有棘細胞癌/Bowen病における指趾骨温存手術の治療成績の検討

成瀨 早紀,田中 有沙,前田 拓哉,氏家 英之

治療3

有棘細胞癌に対する抗PD-1抗体の検討

中野 英司

統計

医療従事者の職業被曝による放射線皮膚障害―自施設11例の検討と皮膚スクリーニングの有用性

六戸 大樹,相樂 千尋,赤坂英二郎,佐々木英嗣,浅利 享,熊谷玄太郎,石橋 恭之,金子 高英

臨床例

頭蓋骨・硬膜浸潤を伴った頭部有棘細胞癌

牟禮  海,田中  了,戎谷 昭吾,原 慶次郎,西村 広健,青山 裕美

ボリコナゾール長期内服中の慢性GVHD患者に発症した多発皮膚癌

佐藤 雄志,巻口  萌,土岐 典子,後藤 啓介,西澤  綾

前胸部に生じたHPV関連有棘細胞癌―HIV感染症合併例―

竹原 湧人,池谷宗一郎,江畑  葵,伊藤 靖敏,日髙 友梨

アトピー性皮膚炎患者に生じたHPV関連外陰部有棘細胞癌

堀畑健太朗,稲葉  豊,山本 有紀

LAMB3・ITGB4 にミスセンス変異を認め,遺伝学的要因と環境要因が複合的に発症に関与したと考えた多発性有棘細胞癌

新井 隆太,小宮根真弓

陰部に多発性のBowen病とBowen様丘疹症を伴った肛門部有棘細胞癌

大政 遥香,内川 理紗,澤田  楓,佐藤 友隆,山﨑 一人,稲積 豊子

30年の経過で巨大尖圭コンジローマから発生した肛門部有棘細胞癌

梅木真由子,多田 瑞穂,石川 一志,清水 史明,波多野 豊

化膿性汗腺炎から生じた有棘細胞癌

草野美沙希,則川 菜摘,山本美友貴,伊藤  崇,森  龍彦,山本 俊幸

線状型汗孔角化症に多発した有棘細胞癌

吉田 貴弘,小池 貴之,福代 道人,山﨑  修

Editorial

記載皮膚科学と大規模言語モデル/久保 亮治

学会ハイライト

日本性感染症学会第38回学術大会を開催して/渡辺 大輔

案件から学ぶ医療事故の対策と問題点

CASE 21 扁平上皮癌の看過例/向井 秀樹

リレーエッセイ 私のワークライフバランス

オールインクルーシブ ワークライフバランス/菅井 順一

皮膚科のトリビア

第253回/浅井 俊弥

病理検査室の窓辺から

ミミック疾患/斉藤 隆三

皮心伝心

出会いを大切に/緒方  大

広告索引/次号予告

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書籍情報

  • ISBN:9784992004807
  • ページ数:92頁
  • 書籍発行日:2026年7月
  • 電子版発売日:2026年7月1日
  • 判:A4判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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