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薬剤師が知りたい 重い疾患とともに生きる子どもの在宅医療 徹底入門

  • ページ数 : 320頁
  • 書籍発行日 : 2026年5月
  • 電子版発売日 : 2026年7月7日
¥4,620(税込)
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商品情報

内容

小児在宅医療で知っておくべきハイリスク薬や医療機器について基本から学べる入門書。重度の疾患をもつ子ども特有の薬剤について,疾患別に解説しながら調剤の工夫だけでなく子どもの成長や生活に根差した薬学ケア,在宅移行の手順・連携,家族との関わりを具体的に示し,薬局薬剤師にとって実践的な内容を提示した。在宅において必要となる医療機器についても在宅療法別に構成し基本と実践,薬剤との関連などを解説した。病院と薬局の薬薬連携,成人期移行,小児製剤の課題などにも言及し,重度の疾患をもつ子どもの医療を取り巻く状況を俯瞰し,実践に活かせるように構成されている。子どもの「お家に帰りたい」,その家族の「家に連れて帰りたい」を支える薬剤師のための必携の1冊。

序文

序文

本書は,重い疾患とともに生きる子どもたちと薬剤師との立ち位置を明確にする総合的な解説からはじまり,なかなか学ぶ機会のない実際のデバイスなどの扱いを含む在宅療法の基礎から個々の疾患の薬物療法の実務に至るまでをわかりやすくまとめた実践ガイドです。その内容は,この分野の第一線で活躍される医療者の深い専門性と臨床経験をあますところなく注ぎ込んだものです。

すべての子どもたちに,必要な薬を安心して使える状態で届けたい。その願いは,小児医療に関わる薬剤師・薬学者に共通の思いです。とりわけ重い疾患を抱える子どもに必要な薬は,希少性ゆえにドラッグラグ・ロス問題を常に抱えています。小児用医薬品は技術的にはつくれても,制度的に「つくられない」「届けられない」という状況が,子どもたちと家族の前に立ちはだかっています。それでも薬剤師は,専門的な知識と技術を駆使して小児用製剤を創り出し,小児の薬物療法を支えてきました。成人用製剤を加工し,デバイスとの整合性を確認し,家庭で安全に使える剤形へと整える。薬学的知見に基づき,製剤加工を伴う医薬品の個別最適化を行う薬剤師が,その安全性を見極めながら,責任をもって薬物療法を提供し続けてきました。私たちがそれをしなければ救われない子どもたちがいる。その思いこそが小児医療に関わる薬剤師および薬学者のプロフェッショナリズムの原点だと思います。

そして,小児在宅医療における薬物療法をさらに難しくするのは,小児特有of成長と発達に,生活環境や社会制度が重なり合う複雑さです。小児在宅医療は単に医療者の訪問の有無で語られるのではなく,病院の中に居続けざるをえなかった子どもたちが地域で暮らすという,その本人や家族の意思決定と実践を支えることです。そのために薬物療法は,療養の場を超えて途切れることなく提供され続けなければなりません。

本書が,重い疾患とともに生きる子どもたちに関わるすべての薬剤師の力となり,子どもと家族の「地域で生きる」という当たり前の未来を支える一助となることを心から願うものです。


2026年5月

川名三知代,石川洋一

目次

1章 重篤な疾患を抱える子どもの現状

1 重篤な疾患を抱える子どもの医療  五十嵐 隆

1 小児医療の進歩とその成果

2 病気や障害をもって地域で療養する小児患者の増加

3 地域医療・在宅医療での小児薬物療法のハイリスク化

4 小児専門医療機関と地域薬局薬剤師の連携の重要性

5 病院薬剤師・地域薬局薬剤師の小児在宅医療に対する「専門性」向上への期待

2 小児用医薬品をとりまく課題  石川洋一

1 小児適応拡大への動向

2 求められる小児用剤形について

3 小児用剤形の開発

4 薬剤師に求められること

3 小児在宅医療の課題  川名三知代

1 「家に帰る」という願いと制度的課題

2 「家族として当たり前に暮らしたい」という願いと家族の抱える課題

3 「あきらめたくない」という願いと薬物療法の課題

2章 医療的ケア児の現状

1 重篤な疾患を抱える小児を支える法制度的枠組みと課題  川名三知代

1 1960年代:重症心身障害児の制度化

2 1980~1990年代:NICUの発展と医療依存度評価(超重症児・準超重症児)の導入

3 2000年代:在宅医療の拡大と「医療的ケア児」の顕在化

4 2010年代:医療的ケア児という概念の制度化へ

5 2020年代:医療的ケア児支援法の成立と新医療的ケアスコア

6今後の課題:制度の狭間にいる子どもたち

2 医療的ケア児を取り巻く社会的背景と薬剤師が担うべき役割  川名三知代

1 医療的ケア児を支える社会的支援体制の変遷と現状

2 希少疾患と特殊な投与経路が重なる,高度な薬物療法

3 薬剤師の関わりの重要性

3章 薬剤師の多施設多職種連携

1 病院から在宅へ,そして地域へ  山谷明正

1 入院時における多職種連携

2 在宅移行に伴う課題の検討

3 小児における薬薬連携の重要性と課題

2 退院後の在宅移行における情報共有の重要性  詫間梨恵

1 医療的ケアを要する子どもにおける薬物治療の特殊性

2 介入が難しいと思われがちな理由と薬薬連携が求められる背景

3 病院薬剤師から薬局薬剤師への橋渡し

4 子ども版薬剤管理サマリーという共通言語

5 小児在宅医療においてみえてきた薬物治療の課題

6 双方向の薬薬連携の重要性

7 薬局薬剤師の介入が生活を支えた事例

3 地域薬剤師と病院薬剤師の協働  笠原庸子

1 医療的ケア児を取り巻く現状

2 子どもの在宅医療における薬物療法の特徴

3 病院薬剤師の役割:在宅移行を見据えた関わり

4 薬局薬剤師の役割:日常生活に寄り添う支援

5 症例ベースで考える薬剤師の関わり

6 病院薬剤師と薬局薬剤師の協働の意義

4 地域での多職種連携  信安恵見

1 小児在宅医療における多職種の関わり

2 薬局薬剤師の役割と多職種連携ツール:ICTを活用した連携の実際

3 カンファレンスでの多職種連携

4 薬剤師がつなぐ,小児在宅の未来

5 成人期移行を支える薬学的ケアと地域まで含めたチーム医療  川名三知代

1 移行期支援

2重篤な疾患をもつ子どもの移行期支援

3 地域での支援を継続するために

4 薬剤師の成人期移行への関わり

4章 在宅療法各論:医療デバイスの基本と薬物療法

1 呼吸管理

1 気道クリアランス  戸谷 剛

1 なぜ呼吸は悪くなるのか

2 呼吸障害の連鎖を動かしているのは何か

3 排痰はどのように成立しているのか

4 線毛運動と咳嗽の役割

5 各医療デバイスと構造上の留意点

6 人工呼吸器の構造と機能

7 吸入療法

8 吸引管理

9 排痰補助装置

10 排痰管理の統合的視点

2 酸素吸入  中村知夫

1 酸素投与の目的

2 酸素吸入を理解するための基礎知識

3 低酸素血症を引き起こす病態生理

4 酸素投与が必要となる状態

5 酸素投与を必要とする理由

6 酸素投与法

7 在宅で酸素投与時の確認事項

3 吸引・排痰療法  中村知夫

1 吸引の目的

2 吸引を理解するための基礎知識

3 在宅で吸引・排痰療法実施の際の確認事項

2 栄養管理

1 中心静脈栄養管理  清水啓道

1 在宅中心静脈栄養とその必要性

2 中心静脈栄養の組成

3 中心静脈栄養に必要なデバイス

4 中心静脈栄養の在宅管理

5 中心静脈栄養の社会的枠組み:在宅医療で処方が可能な注射薬

2 経管栄養管理  飯田祥男

1 カテーテルの基礎知識

2 経管栄養に使われるデバイス

3 ENシリンジについて

4 薬剤とそれぞれのデバイスについて

5 経腸栄養剤について

6 在宅で患者や家族が行う医療的ケア

3 排泄ケア

1 導尿  佐藤 摂

1 子どもの在宅医療における導尿の必要性

2 子どものCI(S)Cの基礎知識

3 下部尿路管理を要する病態・疾患

4 CI(S)Cのケア

2 ストーマ  佐藤 摂

1 ストーマの基礎知識

2 在宅で家族が行うストーマケアの実際

4 腹膜透析  詫間梨恵

1 日本における慢性透析と子どもの現状

2 子どもにおける腎機能評価と透析導入基準

3 腹膜透析の仕組み

4 腹膜透析の種類と方法

5 腹膜透析の具体的処方

6 PD関連感染症

7 腹膜透析に伴うその他の合併症とトラブル

8 在宅腹膜透析管理における家族支援

5 PCAポンプ  歌野智之

1 PCAポンプの種類と関連物品

2 在宅でPCAポンプを使用する際の注意点

3 PCAポンプを使用したブリナツモマブの投与

6 薬物分子の「デバイス」内動態の制御  川名三知代

1 医薬品とデバイス材質の相互作用

2 吸入デバイスにおける物理化学的相互作用と懸濁液の霧化

7 小児用経口製剤の製剤的な問題と解決へのアプローチ  原田 努

1 なぜ小児製剤は特殊なのか

2 小児の消化管生理機能と製剤設計の基礎

3 各種剤形における製剤学的課題と最新トレンド

4 添加剤の安全性とリスクアセスメント

5 受容性(acceptability)と嗜好性(palatability):服薬アドヒアランスの鍵

6 在宅医療における投与・調製の実際:チューブ投与の問題

7 規制動向とドラッグ・ロスへの対応:未来への展望

5章 主な疾患と薬物療法

1 重症心身障害児の合併症と薬物療法

1 てんかん  阿部裕一

1 てんかん一般と重症心身障害児における特徴

2 てんかん発作が起きる脳内メカニズム

3 重症心身障害児における合併症と薬物療法の視点

4 主な薬剤:ASMの歴史,作用機序

5 定期投与薬

6 臨時投与薬

7 重症心身障害児のてんかん診療における在宅移行時の留意点と治療目標

2 筋緊張コントロール  早川 格

1 重篤な疾患を抱える子どもと筋緊張の関係

2 筋緊張の病態生理と診断アプローチ

3 筋緊張の治療戦略:全体像と非薬物療法

4 筋緊張の薬物療法:種類と特性

5 筋緊張の薬物療法:調整の原則と患者家族への説明

6 事例から学ぶ筋緊張コントロールの実際(Aちゃん事例の総括)

3 睡眠障害  髙橋達也

1 なぜ在宅医療において睡眠障害のケアが重要なのか

2 合併症としての睡眠障害:重篤な疾患における症状の概要

3 小児在宅医療で用いられる主な薬剤と使い分け

4 薬剤投与時の留意点

5 在宅移行時の留意点・事例

4 喘息  福家辰樹

1 喘息の病態と症状・基本治療

2 重症の子どもの喘息における診断・治療の実態

3 重症の子どもにおける喘息管理

4 在宅移行時の留意点

5 経腸栄養  竹内一朗

1 小児の栄養に関して

2 医療的ケア児の栄養投与量の考え方

3 投与経路の選択

4 投与時間

5 胃残の見方

6 栄養剤の選択

7 欠乏しがちな栄養素(セレン・カルニチン・必須脂肪酸)

8 便秘・下痢・胃食道逆流症

2 短腸症候群の在宅栄養管理(小児HPNを中心に)  渡辺稔彦

1 短腸症候群の概要

2 栄養治療計画

3 家族指導と準備

4 栄養治療の合併症

5 中心静脈栄養離脱に向けて

6 小児在宅医療の課題

7 HPNを施行した小児SBSの自験例

3 小児腎疾患の在宅医療(腹膜透析・腎移植後を中心に)  北角英晶,亀井宏一

1 小児腎疾患の在宅医療と薬剤師の役割

2 腹膜透析(PD)の在宅医療:薬剤師が関与すべき実務

3 便秘・体液量とPDカテーテルトラブル

4 在宅で役立つチェックポイントと家族への「5つの約束」

4 小児の疼痛緩和ケア

1 薬剤師が知っておきたい小児緩和ケアの基本  余谷暢之

1 「子どもを主語に」した緩和ケア

2 子どもの苦痛症状に気づき,評価する

3 特有の苦痛症状へのアプローチ

4 意思決定支援

5 子どものこえを聴くことができる薬剤師の役割

2 小児がん患者の在宅緩和ケア  余谷暢之

1 小児がん診療の進歩と在宅緩和ケアの意義

2 疾患別の軌跡と在宅ケアのニーズ

3 在宅における特有の苦痛症状と管理

4 終末期におけるコミュニケーション

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書籍情報

  • ISBN:9784758324526
  • ページ数:320頁
  • 書籍発行日:2026年5月
  • 電子版発売日:2026年7月7日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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