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- 肘関節手術 ザ・ベーシック
商品情報
内容
序文
序文
本書執筆の契機は,生前,折に触れて薫陶を賜った故 津下健哉先生(広島大学名誉教授)より頂戴したお言葉に遡る.
2016年4月,広島市にて開催された第59回日本手外科学会学術集会の代議員懇親会の場で,先生は側近の方に「岡山の今谷君をここに呼んでいただけますか」とおっしゃり,わざわざ私をお呼び寄せになった.そして,前年に刊行された『肘関節手術のすべて』(編著 今谷潤也 メジカルビュー社)について,「専門性もあり優れた書物です。しかし次は,先生お一人で肘関節外科についてのベーシックな手術教科書を単著としてお書きなさい」と静かに諭された(その際の写真。左:津下先生)。しかしその翌々日,先生は不慮の事故により緊急入院となり,9日後にご逝去された。享年94歳であった。結果として,このお言葉は先生から直接頂戴した最後の教えとなり,そしてとても重い言葉として私の胸に深く刻まれた。
以来,「一人で一冊を書き上げることが果たして可能であろうか」,「真に読者の役に立つ書物となり得るのだろうか」と自問を重ねてきた。その一方で,先生の名著『手の外科の実際』や『私の手の外科 手術アトラス』に触れるたび,一冊の書物の中に一人の外科医の一貫した考え方や哲学が宿るという単著の持つ意義や価値を改めて認識するようになった。また,先生は,単著での肘関節の手術教科書が国内のみならず海外においてもいまだ存在しないという現状を見据え,私にお声がけくださったのではないか,とも思うようになった。
メジカルビュー社からの強い薦めもあり,コロナ禍を経た2022年5月,同社とのZoomによる第一回企画会議が開催された。これを起点として準備を進め,2024年春ごろより本格的な執筆に着手した。原稿執筆にあたり,『肘関節手術のすべて』は多数の著名な先生方にご執筆いただいた書籍である一方で,肘関節外科を専門としない整形外科医にとっては,内容にやや偏りがあるのではないか,とも考えた。そこで本書の対象読者は日常診療で肘関節手術に携わるすべての整形外科医と定め,掲載項目は臨床上経験する機会の多い20余りの外傷・疾患に厳選した。総論においては肘関節手術の根幹をなす機能解剖および外科的アプローチ法の2項目を取り上げ,各論では各疾患・外傷の病態や診断のみならず,手術適応に至る思考過程にも重点を置いた。また最も重要な手術手技については総数700点余におよぶオリジナルイラストを用いて詳述した。絵の描き起こしから細部にわたる修正にいたるまで,多数の素晴らしいイラストをご作成いただいた吉田 真氏に厚く御礼申し上げる。各項の冒頭には病態から診断,手術,後療法にいたる診療上の要点をDigestとしてまとめ,診察や手術を行ううえでのコツやピットフォールなどを「J’s Point」として提示した。さらに肘関節の機能解剖への理解を一層深めていただくことを目的として,『肘関節手術のすべて』と同様,解剖標本による多数の鮮明な写真を「Anatomical Key Shot」として掲載した。ご協力を賜った東京科学大学 秋田恵一教授,二村昭元教授にこの場を借りて謝意を表する。
2026年6月,地元岡山にて第52回日本整形外傷学会学術集会を開催させていただく。その学会テーマは,津下先生の「智慧と技と心を携えた(手)外科医たれ」との教えに基づき,“整形外傷外科の智慧 技 心”と定めた(右:同学術集会ポスター)。この学術集会開催に合わせて,本書を世に送り出せたことは,私にとって誠に感慨深い。もっとも,本書は浅学菲才の身でありながら,恩師の最後のお言葉に背中を押され,未熟を顧みず書き上げたものである。諸賢の忌憚ないご批判とご指導を賜れば幸いである。既刊の『肘関節手術のすべて』と併せてご高覧いただき,機能解剖に根ざした肘関節手術の理解と実践の一助となれば,これに勝る喜びはない。
最後に,原稿校正にご協力をいただいた岡山済生会総合病院整形外科の楢﨑慎二先生,沖田駿治先生をはじめ,本書刊行にご尽力くださったすべての皆様に心より感謝申し上げる。とりわけ,私の想いに共感し,企画・編集・出版に至るまで献身的に支えてくださったメジカルビュー社編集部 矢部涼子氏に対し,深甚なる感謝の意を表したい。
2026年 初夏
岡山済生会総合病院 副院長
今谷 潤也
目次
Ⅰ 肘関節手術に必要な機能解剖
Ⅱ 肘関節手術のための外科的アプローチ
Ⅲ Anatomical Key Shot
Ⅳ 成人肘関節外傷
上腕骨遠位部骨折(関節外骨折AO/OTA分類13 A2,3)に対する観血整復内固定術 ― 高齢者の上腕骨通顆骨折を中心に ―
上腕骨遠位部骨折(部分関節内骨折AO/OTA分類13B)に対する観血整復内固定術
上腕骨遠位部骨折(関節内骨折AO/OTA分類13C)に対する観血整復内固定術
肘頭骨折(剥離骨折を含む)に対する観血整復内固定術
複合性肘不安定症の病態の特徴と治療戦略
複合性肘不安定症:Terrible triad injury(TTI)に対する手術
複合性肘不安定症:後内側回旋不安定症(posteromedial rotatory instability;PMRI)に対する手術
複合性肘不安定症:Olecranon fracture dislocation(OFD)に対する手術
新鮮および陳旧性Monteggia脱臼骨折に対する手術
橈骨頭・頚部骨折に対する観血整復内固定術
橈骨頭・頚部骨折に対する人工橈骨頭置換術
新鮮外傷性肘関節靱帯損傷(肘関節脱臼を含む)に対する靱帯修復術
Ⅴ 成人肘関節疾患
上腕骨外側上顆炎に対する手術
人工肘関節置換術 ― 概論 ―
Unlinked-type人工肘関節置換術
Linked-type人工肘関節置換術
肘部管症候群に対する手術
Column King法と赤堀法について
肘関節拘縮に対する手術
Ⅵ 小児肘関節外傷
上腕骨顆上骨折に対する手術
上腕骨外顆骨折に対する手術
上腕骨内側上顆骨折に対する手術
新鮮および陳旧性Monteggia脱臼骨折に対する手術
Column 肘関節のリハビリテーション-最良の肘関節可動域の獲得を目指して-
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書籍情報
- ISBN:9784758323222
- ページ数:486頁
- 書籍発行日:2026年7月
- 電子版発売日:2026年7月9日
- 判:A4判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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