ロボット支援下子宮全摘術[Web動画付]

  • ページ数 : 152頁
  • 書籍発行日 : 2026年8月
  • 電子版発売日 : 2026年7月23日
¥15,400(税込)
m3.com 電子書籍ポイント: 最大 280pt ( 2 %)
m3ポイント:1%相当
point-info

商品情報

内容

ロボット手術には内視鏡手術と違う細かい視点やサードアームをいかに用いるかなどのポイントがある。それらをきちんと学び基本を理解したうえで,丁寧な手術を行うためのポイント、そして収益性も意識したスピードアップのためのポイントも述べている。令和8年度の診療報酬改定で加算がつき、さらなる広がりが予想されるロボット手術を習得するために必携の一冊。

序文

序文

今回,ロボット支援下子宮全摘術の教科書執筆のお話をいただいた際,単なる手術手順の解説書ではなく,自分が長年考え続けてきた「手術とは何か」という思いを形にしたいと考えた。

私が目指している手術は,再現性があり,誰もが真似することができ,合併症が少なく,そして根治性の高い手術である。

手術というものは,決して特別な才能をもった一部の外科医だけが到達できる芸術ではないと考えている。若手医師が学び,考え,経験を積むことで到達できる,再現可能な技術であるべきだと思っている。

そのためには,まず解剖に忠実であることが重要である。思い込みで操作を進めるのではなく,確認すべき構造物は必ず確認し,十分な術野展開のもとで手術を進める必要がある。そして,組織の張りや光沢,切開時の手応えに耳を傾けながら,「組織との対話」を続けることが重要である。

しかし同時に,手術は教科書通りには進まない。

患者ごとに年齢や体格は異なり,筋腫や腺筋症の有無,過去の手術歴,炎症や子宮内膜症の存在によって,組織の硬さや解剖学的位置関係は変化する。教科書に描かれた解剖はあくまで理想化されたモデルであり,生体における解剖を理解するためには,実際の手術経験の積み重ねが必要である。

今回,こうした私自身の考えをロボット手術という形でまとめるにあたり,ぜひ共同執筆をお願いしたいと思った先生がいた。

山梨県立中央病院の坂本育子先生である。

坂本先生は,ロボット手術の分野において国内を代表する術者のお一人であり,その卓越した技術は広く知られている。私は以前から,「一日に5件のロボット支援子宮全摘術を行っている」という話を耳にしており,その手術を一度この目で見てみたいと思っていた。実際に手術見学をさせていただいた日,朝9時に始まった手術は,5例目の患者さんが手術室を退室した時点でもまだ17時前であった。驚いたのは手術速度ではない。どの症例においても手術の流れが極めて安定しており,無理がなく,再現性が高かったことである。完成された術野展開と合理的な動きによって構成された手術は,今でも鮮明に記憶に残っている。

一見すると,坂本先生の手術と私の手術は対極にあるように見えるかもしれない。

私は解剖学的理解や術野展開,組織との対話を重視しながら手術を組み立てている。一方で坂本先生は,安全性を担保しながら効率性を高め,患者利益だけでなく病院運営や医療経済まで見据えた完成度の高い手術体系を構築されている。

しかし実際には,両者には多くの共通点が存在する。

十分な解剖学的理解。

再現性のある手術。

若手に継承可能な術式。

そして安全性への徹底したこだわり。

目指している方向は同じであり,アプローチの仕方に違いがあるだけである。

本書では,私自身の考え方と坂本先生の考え方の双方を盛り込んだ。読者にはぜひ,それぞれの共通点や相違点を考えながら読み進めていただきたい。

手術は教わることで上達する。しかし,教えることでさらに深く理解できる。

本書が,若い術者にとっては成長の道標となり,経験を積んだ術者にとっては自身の手術を見直す契機となれば幸いである。そして,本書を通じて「考える手術」が次の世代へ受け継がれていくことを願っている。


2026年6月

野村秀高

目次

第1章 ロボット手術のための基礎知識

1 なぜロボット手術なのか?

 手術はどこまで進化するのか

 腹腔鏡手術がもたらした変革 “あわあわ” という新しい視点

 ロボット手術の本質的価値

 ロボット手術のこれからと教育的価値

2 ロボット鉗子の特性と戦略的活用 鉗子選択を術中戦略に変える

 鉗子は「手」ではない:術者の意図を術野へ翻訳する端末である

 構造を知ると,動きの限界が見える

 自由度は万能ではない

 触覚がない術野で,何を「感じる」のか

 鉗子はカタログではなく,タスクで選ぶ

 婦人科手術における鉗子セット:標準化とカスタマイズ

 プラットフォーム差は「できること」より「組み立て方」の差として読む

 鉗子選択の意思決定アルゴリズム

 術前にチームで共有すべき項目

 教育としての鉗子操作:何を順に教えるか

 学習曲線と標準化

 鉗子理解は,手術熟達への入り口である

 

第2章 婦人科悪性腫瘍手術

1 ロボットによる子宮体癌手術(子宮全摘術+骨盤リンパ節郭清)

 daVinci® Xiのセッティング

 出力の設定

 トロカー挿入

 子宮円索の切断

 膀胱子宮下腹膜の切開

 膀胱剥離

 右広間膜後葉と尿管の剥離

 子宮動静脈の広間膜後葉からの剥離(屏風を立てる)

 リンパ節郭清を行わない場合

 リンパ節郭清を伴う場合

 ダグラス窩腹膜の開放

 仙骨子宮靱帯の切断

 固有卵巣索の処理

 子宮傍組織の処理

 子宮マニピュレーターの抜去,腟パイプの挿入

 腟管の切開

 腹腔内の洗浄

 腟断端の縫合

 膀胱鏡による観察と腹膜縫合

 手術終了

2 骨盤リンパ節郭清

 膀胱側腔の展開

 直腸側腔の展開

 en bloc郭清

 外腸骨静脈の背側にあるリンパ組織を摘出する場合は?

 

第3章 安全性とスピードアップを意識したロボット支援下婦人科手術

良性単純子宮全摘術:速さは求めるものか?

 適応とアプローチ選択

 手術の流れ

 セットアップ・トロカー配置

 初期観察・戦略決定

 付属器・子宮円索周囲の処理

 膀胱子宮窩展開

 側方処理・子宮血管処理

 基靱帯・仙骨子宮靱帯周囲

 腟管切開(colpotomy)

 標本摘出

 腟断端縫合

 閉創と最終確認

 合併症とその対策

 速さを捨てるべき場面-advanced

 立ち止まる判断の心理的障壁

 

第4章 これからの婦人科ロボット手術のありかた

1 教育トレーニングの革新

 能力基準と段階的教育:CUSUM分析による客観的評価

 山梨県立中央病院の915例研究:4つの学習phase

 GEARSスコアによるロボット手術の技能の評価

 チームで築くロボット手術

 人材パイプラインとキャリア支援:長く続けられる環境を

2 経済的側面

 初期投資と収支管理:「高い」は本当か?

 症例数と稼働率:学習曲線とコスト効率の実証データ

 コスト削減の要因:なぜ安くなったのか?

 利益率の改善:「ロボット手術は赤字」は本当か?

 「ロボットは高くつく」という常識の転換

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 最新バージョンのOSをご利用ください

    外部メモリ:18.0MB以上(インストール時:38.8MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:71.9MB以上

  • android icon

    AndroidOS 最新バージョンのOSをご利用ください

    外部メモリ:18.0MB以上(インストール時:38.8MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:71.9MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、m3.com電子書籍アプリが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784758323635
  • ページ数:152頁
  • 書籍発行日:2026年8月
  • 電子版発売日:2026年7月23日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。

※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍アプリが必要です。

※eBook版は、書籍の体裁そのままで表示しますので、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。