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- 採用と業務の“仕組み化”で作る 成長する訪問看護ステーション
商品情報
内容
高齢社会を支える重要な基盤の一つである訪問看護。事業所数はここ10数年右肩上がりである一方、毎年、新規事業所数の約半分の1000事業所近くが廃止・休業している。その大きな理由となっているのが人材獲得、黒字化の難しさである。本書では、訪問看護ステーション経営の大きな壁となっている採用、定着、実務、経営数字を「仕組み化」することによって持続可能なステーションを作る方法を詳細に解説する。
序文
はじめに
1ケアする人をケアしないと、よいケアはできない
「地域で暮らす利用者さんのために、理想の看護を実現したい」。
「病院ではできなかった、一人ひとりに寄り添うケアを届けたい」。
本書を手に取ってくださったあなたは、きっとそんな「熱い想い」を持って、訪問看護の世界に飛び込まれたのではないでしょうか。
私達もそうです。私たち自身、神奈川県藤沢市で「りすの訪問看護リハビリステーション」を運営しており、日々、地域医療の最前線に立っています。
だからこそ、その「想い」の強さも、尊さも、痛いほどよくわかります。
しかし、あえて厳しいことを言わせてください。
「想い」だけでは、持続可能な訪問看護ステーションは作れません。
「自己犠牲の上に成り立つケア」は、いつか必ず破綻します。
なぜならば、「誰かが無理をして、維持されている組織」は、その「誰か」が倒れた瞬間、必ず崩壊するからです。
「ケアする人をケアしないと、よいケアなんてできない」。
これが、私たちが運営するステーションの理念であり、本書で最も伝えたいメッセージです。
「医療従事者が疲弊せず、笑顔で働き続けられるステーションを作る。それが結果として、利用者さんへの良質なケアにつながり、ステーションの経営安定につながる」と、私たちは確信しています。
「異業種経営・社長不在・2023年開所の後発組」でも、3年かからず30名の組織は作れた2
本稿の筆者(岡本)は、医療系の国家資格を持っていません。いわゆる「異業種参入」の経営者です。
業界の常識もコネクションもない私が、なぜ訪問看護ステーションを立ち上げ、軌道に乗せることができたのか。
それは、私が医療のプロではなかったけれども、「自社にフィットする人材を採用し、定着活躍できる仕組みや環境を作る専門家」だったからです。
「医療行為はできない。だから、医療職のみなさんが輝くための『環境』を整えることだけに命をかけよう」。
そう割り切り、徹底して「仕組み化」に取り組みました。
つまり、採用・定着の専門企業としての知見を活かし、「どうすれば人が辞めないか」「どうすれば迷わず業務ができるか」を突き詰め、業務フロー、採用基準、評価制度、デジタル活用等あらゆる「仕組み」をゼロから構築してきました。
その結果、人材紹介会社を使わず、年間100名以上の応募者を獲得し、開設わずか3年で、スタッフ30名規模、利用者さん300名超へと急成長を遂げることができました。
しかも、社長である私が不在でも、メンバーは自走しています。
つまり、「異業種経営」「社長不在」「開業後発組」でも、「メンバーがケアに集中できる仕組み」さえ整えることができれば、大規模化は可能なのです。
3看護師経営者こそ、自分を大事にしてほしい
本書は、異業種の方だけでなく、看護師として独立された経営者の方にこそ、読んでいただきたいと思っています。
看護師経営者の多くは、責任感が強く、誰よりも優しいため、「スタッフが足りなければ、私が走ればいい」「管理業務は、寝る間を惜しんでやればいい」と、ご自身を犠牲にしてしまいがちです。
しかし、あなたが倒れたら、利用者さんやスタッフは、どうなってしまうのでしょうか?
「経営者の本当の責任」とは、自分がプレイヤーとして走り続けることではなく、「自分がいなくても回る組織を作ること」です。
看護師経営者であるあなた自身の生活や健康を犠牲にする経営は、もうわりにしましょう。
あなたが現場を離れ、仕組みを作る側に回ることは、「現場への裏切り」ではありません。むしろ、組織を永続させ、利用者さんを守るための、最大の「愛」ある決断なのです。
4異業種経営者は、医療職の気持ちに寄り添う
一方で、ご自身が看護師ではない異業種経営者の方へ。
「仕組み化」というと、「効率重視で、数字で管理する」というイメージを持たれるかもしれません。しかし、医療現場に「民間企業の論理」をそのまま純度100%で持ち込むと、必ずステーションが崩壊します。
医療職の方々は、「患者さんの命や生活を最優先にする」という、尊い職業倫理(文化)を持っています。その文化を無視して、「とにかく数字を上げろ!」「民間なんだから、効率的にやって!」と迫ったところで、理解は得られません。
異業種経営者に必要なのは、医療職への深いリスペクトと、彼ら彼女らの気持ちに寄り添う姿勢です。
つまり、大事なことは、「なぜやるのか?」の翻訳です。
「効率化」は、コスト削減のためだけではなく、「スタッフが早く帰って休むため」に行う。「数字の管理」は、ノルマ管理のためだけではなく、「スタッフの生活を守る原資(利益)を確保するため」に行う。
こういった翻訳ができれば、異業種経営ならではの「合理的な仕組み」は、訪問看護ステーション経営にとって最強の武器になります。
「仕組み」5があるから、ケア者をケアでき、大規模化できる
「うちの看護師さんは、わがまますぎるし、すぐ辞めるんだよね」。
訪問看護は離職が多いので、こういった「経営者さんの愚痴」をよく聞きます。
ただ、経営者さん自身が本当に、「働きやすい環境」を作れていたのでしょうか?
そもそも、「自社の価値観にフィットする人材を採用できる仕組み」を作れていたのでしょうか?
「人が足りないから」と、人材紹介会社さんに紹介された人を、漫然と採用していなかったでしょうか?
こういった状態では、「働きやすい環境」は作れませんし、人も増えず、大規模化できません。
大規模化できないと、「持続可能なステーション運営」が困難となり、国が求める方向性にも沿えなくなっていきます。
「仕組み」とは、スタッフを縛る冷たい鎖ではありません。スタッフを迷いや不安から守る「防具」であり、進むべき道を示す「地図」です。
利用者さんの情報やスケジュール、新規案件等の「情報共有を仕組み化」し、ケアに集中できるようにする。新人マニュアルを整備して「聞きづらい」ストレスをなくし、離職を防ぐ。
そうやって、ケア以外のストレスや雑務を「仕組み」で取り除いたとき、スタッフは初めて、目の前の利用者さんに全力で向き合うことができます。
本書には、私たちが直営ステーションで実践し、成果を出してきた「訪問看護に特化した仕組み経営」のノウハウを、詰め込みました。机上の空論ではない、現場の汗と涙から生まれた「生きた戦術」です。
この本が、日々の経営に悩むあなたの「武器」となり、あなたのステーションで働くスタッフ、そしてその先にいる利用者さんの笑顔につながることを、心から願っています。
2026年6月
執筆者を代表して 岡本 健太
りすの訪問看護リハビリステーション 代表取締役/
定着採用株式会社 代表取締役
目次
【第1章 なぜ、「仕組み」がないと、持続可能なステーションにならないのか?】
■1 なぜ、1年目のステーションは、こんなにもつぶれるのか?
■2 なぜ、カリスマ看護師さんは、疲弊していくのか?
■3 なぜ、民間流の「仕組み化」が、組織崩壊を起こすのか?
【第2章 「採用」の仕組み化で、自社にフィットする人材を採る】
■1 「採用定着の仕組み」がないと、訪問看護経営は不可能
■2 正しい「採用の仕組み」がないと、そもそも「定着」は不可能
■3 「人材紹介を使わずに、応募を集める仕組み」がないと、利益が出ない
■4 「定着人材を見抜く仕組み」が作れると、離職率が下がる
■5 「よい人材に選ばれる仕組み」を作ると、急成長する
【第3章 「定着」の仕組み化で、大規模ステーションに成長する】
■1 「定着の仕組み」がないと、絶対に大規模化しない
■2 「入社前フォローの仕組み」がないと、内定辞退や早期離職の可能性が高まる
■3 「育成の仕組み」があると、即戦力化するし、3カ月以内の離職が減る
■4 「訪看経験者を育成する仕組み」がないと、揉めるし、すぐ辞める
■5 「お金と数字の話」を入社初日にしないと、数字意識は育たない
■6 「ルールの仕組み化」で不平等感をなくすと、定着する
■7 「評価の仕組み化」で、不公平感をなくすと、定着する
■8 「仕組み化」と「寄り添い」を両立しないと、離職が生まれる
【第4章 「実務」の仕組み化で、持続可能なステーションを作る】
■1 「新規受け入れ」を仕組み化すると、誰かが欠けても大丈夫になる
■2 「スケジュール管理の仕組み化」で、ミスなく訪問でき、稼働率も上がる
■3 「情報共有の仕組み化」を徹底すると、離職が減る
■4 「ペーパーレス化」で、稼働率がアップする
■5 「指示書管理の自動システム」で、ミスが減り、ケアに集中できる
■6 「レセプトの仕組み化」で、持続可能なステーションを作る
■7 AIを活用して、報告書作成の残業をカットする
【第5章 「数字」の仕組み化で、収益力が高いステーションを作る】
■1 「新規数と空き枠を管理する仕組み」で、採用コストを削減
■2 「経営数値を収集する仕組み」がないと、正しい経営判断は不可能
■3 「営業の仕組み化」で、新規15件は達成可能
■4 「稼働率アップ」と「定着」のバランスが取れると、利益が出る
■5 「数字の見える化」で、コスト意識が育ち、自分事として捉えられ、自走する
■6 「トップメッセージの見える化」で、情報格差をなくすと、定着率が上がる
【第6章 「仕組み」を改善し続け、自走型大規模ステーションを作る】
■1 「仕組み」を実行改善し続けると、定着率が上がる
■2 現場幹部への権限委譲が、「自走する組織」を作る
■3 ルール改善・仕組み導入の説明を省くと、「倍返し」が来る
・おわりに
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書籍情報
- ISBN:9784840491556
- ページ数:176頁
- 書籍発行日:2026年8月
- 電子版発売日:2026年8月7日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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