もうこれで困らない! ペイハラ対応ハンドブック

  • ページ数 : 172頁
  • 書籍発行日 : 2026年9月
  • 電子版発売日 : 2026年8月26日
¥3,520(税込)
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商品情報

内容

【どこからが「ペイハラ」なのかがわかる!】 近年深刻化する「ペイシェントハラスメント(ペイハラ)」から医療者を守るため、病院管理者はいつ注意・警告をし、組織としてどのように対応すべきか、専門医師や弁護士が過去に寄せられた多数の相談事例を題材に、法律の知識が少なくてもわかるように解説する。ペイハラ防止に関する規程案ダウンロードつき。

序文

まえがき

本書を手に取っていただき、ありがとうございます。 医療の現場で働く方々、医療機関を支える管理職の皆さん、介護施設の職員の方々など、さまざまな立場の方が本書を開いてくださっていることと思います。

私が医師を志したのは40年ほど前になります。当時は、患者がどれほど人生経験豊かであっても、医師の前では自分の病気や治療について十分な説明を受けられず、ただ医師の判断に従うしかない時代でした。病名も告げられず、薬の名前も知らされない。そうした状況を変えたいという思いが、私の原点にあります。

時代は変わり、医療者と患者の関係は大きく進歩しました。しかしその一方で、医療者が患者からのハラスメントに悩むケースも増えています。ハラスメントは、医療者の離職や心身の不調につながり、ひいては医療の質にも影響を及ぼす深刻な問題です。とはいえ、医療者の多くは、かつてのような強い権威勾配の時代に戻りたいわけではありません。お互いを尊重し、思いやりをもって向き合える関係を望んでいます。

こうした現状を踏まえ、医療や介護の現場で良好な関係を築くために、どのように対処すれば良いのかを考える一助として、本書を企画しました。望ましくない関係性を法律という切り口からひも解き、読者であるあなたが適切に対応できる力を備えていただくことを願っています。

法とは、国民の生活を守るために存在するものです。難しく構える必要はありません。法律を伴走者と考えてもらえればと思います。法律は、多様な立場の人々が国会で議論を重ねて制定したものであり、その背景には、当時の社会が抱えていた課題に対する「最適解」が込められています。


2026年7月

松村由美
京都大学医学部附属病院医療安全管理部 部長・教授



まえがき

近年、医療機関からペイシェントハラスメント(ペイハラ)に関するご相談を受ける機会が急速に増えています。私たち医療法務弁護士のもとにも、暴言・暴力、セクハラ、SNS上での誹謗中傷、患者家族からの過度な要求など、現場だけでは判断や対応が難しい事例が数多く寄せられています。

医療者は、目の前の患者のために少しでも良い診療や看護を提供したいという思いから、日々最善を尽くしています。しかし、ごく一部の患者や患者家族による問題行動によって、現場の医療者に大きな負担が生じ、本来の力を十分に発揮できなくなってしまうことがあります。

医療機関では、「困っている患者を見放してはいけない」という使命感から、できる限り診療を継続しようとすることが一般的です。しかし、ペイハラ対応では発想を転換する必要があります。医療者が安心して働ける環境が整ってこそ、安全で質の高い医療を提供できるからです。私たちは、「医療者を守るための組織づくり」こそが、ペイハラ対応における最も重要な考え方であると考えています。

2026年10月には、いわゆる『カスハラ対策法』が施行され、すべての事業者にカスハラ対策が求められることとなりました。しかし、医療機関におけるペイハラ対策や安全配慮義務への取り組みは、なお発展途上であることも否定できません。

本書では1章で基本知識を整理し、2章では実際の相談をもとに作成した事例を通じて対応の考え方を解説、3章ではよくある疑問にQ&A形式でお答えしています。さらに巻末資料には、ダウンロード可能なペイハラ対応マニュアルの規程案も収載しました。本書が、それぞれの医療機関にふさわしいペイハラ対応体制を考えるための一助となれば幸いです。


2026年7月

弁護士法人大江橋法律事務所
山本龍太朗

中村信太朗
田中達也

目次

【序章 はじめに ~医療者を守るための組織づくり~】

■ハラスメントは構造的な問題である

■「職員安全責任者」として組織的な対応を担う

■ハラスメントへの方針を定めよう

【1章 ペイシェントハラスメントの基礎知識】

■1 ペイハラを巡る現状

■2 ペイハラ対応の必要性

■3 ペイシェントハラスメントの定義と判断方法

■4 ペイハラとカスハラの相違点

■5 ペイハラへの組織的対応の必要性

■6 ペイハラ対応の法的根拠

[コラム]スタッフを巻き込んだペイハラ対応検討の重要性

【2章 ペイハラ事例の検討】

■1 暴言・暴力と執拗なクレーム

[コラム]事実認定は「警告書」や「誓約書」をつくるためにも必要である

■2 密室で起こったセクハラ

[コラム]ペイハラ対応におけるカルテ記載のポイント

■3 在宅医療での患者家族とのトラブル

[コラム]ふじみ野市事件に学ぶ「在宅医療のリスク認識」

■4 スタッフを無断で撮影しSNS上で誹謗中傷する

[コラム]スタッフのネームプレート問題とペイハラ対策

■5 せん妄等による問題行動への安全確保と対応策

[コラム]医療機関におけるマニュアル作成時の注意点

[コラム]「寄り添い」と「安全確保」のはざまで

■6 患者家族による繰り返しの要求

■7 自院以外で治療が困難な患者の問題行動

[コラム]訪問看護・介護における契約関係から学ぶ

[コラム]ペイハラ対応と患者・患者家族に寄り添うことの両立の難しさ

【3章 ペイハラQ&A】

■1 はじめに

■2 ペイハラ対応のマニュアルの作成・内容・運用に関するQ&A

Q1 当院にはすでに暴言・暴力対応マニュアルがあるのですが、別途ペイハラ対応のマニュアルを作成する必要はありますか?

Q2 さまざまな企業や自治体がカスハラ対応のマニュアルを公表していますが、それらをベースにペイハラ対応のマニュアルを作成しても問題ないでしょうか?

Q3 トラブル対応のために警察OBを雇用しています。ペイハラ対応は警察OBに任せれば良いですか?

Q4 ペイハラ対応はどの部署が対応すべきですか。例えば、医療安全管理部門をペイハラ対応の担当部署とすることは適切でしょうか?

Q5 当院では、現状は医師個人の判断でペイハラ対応(警告文の発出や診療拒否)が行われています。このような対応方法は変更したほうが良いですか?

Q6 ペイハラ対応のマニュアル策定の機運が盛り上がりません。何から始めれば良いですか?

Q7 結局、どのような言動がペイハラに当たるかわかりません。判断基準の「社会通念」とは、どのように判断すれば良いのですか?

Q8 医師法上の応招義務に違反せずに診療拒否が可能な場合を教えてください

Q9そのほか、ペイハラ対応のマニュアルを作成するにあたって、気を付けるべき点はありますか?

[コラム]ペイハラ対応は医療安全の仕事なのか?

■3 ペイハラ対応の実務に関するQ&A

Q1 ペイハラを繰り返す患者等と対峙する際に、相手方に無断で録音することは問題ありませんか?

Q2 患者等への対応の際、無断で録音や録画されている気がしますが、どのように対応すべきですか?

Q3 患者等からクレームについて書面で回答することを求められたのですが、応じる必要はありますか?

Q4 患者等からクレームについて期限を区切っての回答を求められましたが、期限を守る必要はあるでしょうか?

Q5 患者等から「院長を出せ」「責任者を出せ」「あなたではダメなので担当を代われ」といわれていますが、聞く必要はありますか?

Q6 検査や治療方針について何度説明しても納得してもらえないのですが、どこまで続ける必要がありますか。また、何か対応策はないでしょうか?

Q7 患者等から投与された薬について夜間や休日に何度も説明を求められ、スタッフが疲弊すると同時に、ほかの患者への対応に時間を避けない事態が発生していますが、どうすれば良いですか?

Q8 当院の治療に問題があったケースにおいて、患者および患者家族へ誠心誠意説明してきたのですが、一向に納得してもらえません。説明のたびに謝罪を要求されて出口が見えない状況ですが、相手方が弁護士を立てていないのに、当院のほうが弁護士に依頼することは避けたほうが良いでしょうか?

Q9 説明に納得していない患者等から「殺すぞ」や「無能すぎる。このアホ、バカ野郎!」などといわれましたが、警察に通報しても良いのでしょうか?

Q10 当院で頻繁に暴言を吐いている患者が、スタッフの対応の一部だけを切り出してSNSにアップロードして当院を誹謗中傷しています。どう対応すれば良いですか?

[コラム]マニュアルの実効的な運用の必要性

・巻末資料

・資料ダウンロード方法

・索引

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書籍情報

  • ISBN:9784840491372
  • ページ数:172頁
  • 書籍発行日:2026年9月
  • 電子版発売日:2026年8月26日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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