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- 消化器クリニカルアップデート 2026年6月号(Vol.8 No.1)【特集】消化器がん診療の最前線
商品情報
内容
消化器がんの早期発見にむけたリキッドバイオプシー:細胞外小胞バイオマーカーの現状と展望/がんゲノム医療の最前線─アメリカの現状,日本との違い─/消化管 ・ 肝胆膵がんにおける Holoeyes MD を用いたXR 技術による空間的画像診断と手術支援 ほか
序文
序文
消化器がんは,胃がん,大腸がん,肝がん,胆道がん,膵がんなど多岐にわたるがん種を含み,本邦における罹患数および死亡数の双方で極めて大きな割合を占める疾患群である。近年,内視鏡検査や画像診断技術の目覚ましい進歩により,早期病変の検出機会は着実に増加している。しかしながら,膵がんや胆道がんのように,初期段階での自覚症状に乏しく,解剖学的な位置からも発見が困難ながん種においては,依然として診断時にすでに進行している症例が少なくない。また,従来の検査法が有する侵襲性や医療資源への負荷から,すべての対象者に対して高頻度かつ反復的に実施することは現実的に困難であるという課題も残されている。このような背景のもと,現代の消化器がん診療は,診断から治療,さらには手術支援に至るあらゆるフェーズにおいて,最先端の科学技術と融合しながらパラダイムシフトを遂げつつある。本特集「消化器がん診療の最前線」では,これら最先端の臨床実装と革新的な治療戦略の現状と展望を体系的に概説する。
診断および個別化医療の領域において最も注目される革新の一つが,リキッドバイオプシーである。血液や尿といった体液中の成分を解析するこの手法は,従来の組織生検と比較して圧倒的に低侵襲であり,反復的な検査を可能にする。とくに,細胞から分泌される細胞外小胞(EVs)は,由来細胞の生物学的状態を反映する多様な分子(タンパク質や核酸など)を含んでいることから,難治性がんの早期発見を可能にする次世代のバイオマーカーとして臨床応用への期待が極めて高い。これに加え,患者個々の遺伝子情報に基づいて最適な治療法を選択するがんゲノム医療の実装が,個別化医療を強力に牽引している。先行する米国では,多様な保険制度や未承認薬へのアクセス(compassionate useなど)を背景に複数回のがんゲノムプロファイリング検査が柔軟に行われている一方,本邦では均てん化された医療提供体制という強みを持ちつつも,検査・治療へのアクセスにおける柔軟性の向上が今後の重要課題となっている。
治療の安全性と根治性を担保するうえで,解剖学的構造の正確な把握は不可欠であるが,ここでもデジタル技術による医療DXが加速している。従来のCTやMRIによる2次元の断面画像から,医師が脳内で3次元構造を構築するという主観的かつ認知負荷の高いプロセスは,医用画像XR提示クラウドサービスHoloeyes MDをはじめとする空間コンピューティング技術の導入によって一変した。ヘッドマウンテッドディスプレイ(HMD)を用いた実寸大の3Dホログラム提示は,直感的な画像診断や高精度な手術・内視鏡ナビゲーションを可能にし,複数の医療者が時間や距離を超えて空間的体験を共有する医療メタバースの未来を切り拓いている。
さらに,局所治療および集学的治療の選択肢も高度な進化を遂げている。とくに難治性である膵・胆道領域においては,超音波内視鏡(EUS)ガイド下治療(interventional EUS)の発展が目覚ましい。リアルタイム画像下に穿刺針を正確に誘導するEUSガイド下薬剤注入療法(EUS-FNI)は,従来の化学療法が届きにくかった膵管癌の豊富な線維性間質という障壁を克服し,腫瘍溶解性ウイルスや核酸医薬(siRNA),免疫細胞などの治療薬を病変へ直接送達する革新的な局所制御法として注目されている。また,従来のX線治療の線量制約や生物学的抵抗性を打破するアプローチとして,高い線量集中性と優れた抗腫瘍効果を誇る重粒子線治療が局所進行膵がんに対して保険適用となり,良好な局所制御成績を示している。これに呼応するように,体外から超音波を腫瘍に集中させ,発生する熱とキャビテーションでがん細胞を焼灼するHIFU治療のみならず,局所進行膵癌に対する全く新しい非侵襲的モダリティとして,交流電場を用いてがん細胞の分裂を物理的に阻害する腫瘍電場(TTFields)療法が登場し,2026年には新規デバイス(Optune Pax)が米国FDAに承認され,本邦でも導入に向けた動きが本格化している。
こうした高度な局所療法やデバイス治療の台頭を支えるのが,全身薬物療法の着実な進歩である。胆道
祖父尼 淳
(東京医科大学臨床医学系消化器内科学分野)
目次
トピックス
Green Endoscopy
香川大学医学部消化器・神経内科学 小原 英幹,他
特集 消化器がん診療の最前線
序文
東京医科大学臨床医学系消化器内科学分野 祖父尼 淳
1)消化器がんの早期発見にむけたリキッドバイオプシー:
細胞外小胞バイオマーカーの現状と展望
東京医科大学医学総合研究所分子細胞治療研究部門 吉岡 祐亮,他
2)がんゲノム医療の最前線─アメリカの現状,日本との違い─
Memorial Sloan Kettering Cancer Center,David M. Rubenstein Center for Pancreatic Cancer Research 林 秀 幸
3)消化管 ・ 肝胆膵がんにおける Holoeyes MD を用いたXR 技術による空間的画像診断と手術支援
帝京大学冲永総合研究所 Innovation Lab 杉本 真樹,他
4)膵腫瘍に対する超音波内視鏡下治療の最前線
東京医科大学臨床医学系消化器内科学分野 土屋 貴愛,他
5)胆膵薬物療法の最前線
神奈川県立がんセンター消化器内科 塩谷 健斗,他
6)膵癌に対する重量視線治療の最前線
量子科学技術研究開発機構QST病院 篠 藤 誠
7)神経内分泌腫瘍に対する PRRT 治療の最前線
慶應義塾大学病院内科学(消化器) 藏田 隼也,他
8)局所進行膵癌における新世代治療─腫瘍治療電場療法の臨床的有用性と新たな治療戦略へ
東京医科大学臨床医学系消化器内科学分野 祖父尼 淳,他
連載企画
私の履歴書
道は歩きながらできていく
九州大学大学院医学研究院病態制御内科学(第三内科) 蓑田 洋介
荻野治栄先生よりコメント
消化管病理との出会い
名古屋大学消化器内科 石川 恵里
中村栄男先生よりコメント
留学のススメ
〜学ぶだけでなく,伝える留学へ─日本と世界をつなぐ力になる
Department of Gastroenterology and Hepatology, Austin Health Clinical Associate Professor (Honorary), University of Melbourn 島村 勇人
福田勝之先生より
今日のカンファレンス
胃粘膜下腫瘍様隆起と多彩な全身病変 ─ IgG4 関連疾患を見逃さないために─
札幌医科大学医学部内科学講座消化器内科学分野 川上裕次郎,他
消化器医にちょっと役立つ豆知識
1)Traction method の胆膵領域への応用:Traction-assisted ERCP(全 2 回)
第 2 回:より広義の Traction-assisted ERCP
関西医科大学総合医療センター消化器肝臓内科 豊永 啓翔,他
2)心に留めておこう! 面白い内視鏡画像(全 5 回)
第 4 回:胃の中にポリープが多発! 原因は?
がん研有明病院上部消化管内科 平澤 俊明
3)好酸球性消化管疾患(全 3 回)
第 2 回:実臨床で押さえておきたい「好酸球性胃炎」Q&A
HITO 病院消化器内科 綾木 麻紀
4)EUS 教育(全 2 回)
第 1 回:胆膵 EUS 教育とは
─近畿大学胆膵グループの Educational Program of Kindai system(EPOK)―
近畿大学病院消化器内科 大本 俊介
5)困っていませんか機能性消化管障害〜今日から使える診察のコツと漢方の実際(全 6 回)
第 4 回:腹部不快感・腹痛を訴える患者に腹診,漢方薬を処方する
竹山病院内科 中野 弘康
ライブセミナーレポート
岡山胆膵診療技術向上研究会ライブセミナーのご紹介
川崎医科大学総合医療センター内視鏡センター 河本 博文
クローズアップ! メディカルスタッフ!
薬剤師による「診察前」面談とは?
日本大学医学部附属板橋病院薬剤部 葉山 達也
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書籍情報
- ISBN:9784865176902
- ページ数:128頁
- 書籍発行日:2026年6月
- 電子版発売日:2026年9月2日
- 判:A4判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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