動物系統分類学

  • ページ数 : 1528頁
  • 書籍発行日 : 2026年9月
  • 電子版発売日 : 2026年10月1日
¥4,950(税込)
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商品情報

内容

動物分類学が解き明かす、生物多様性の謎に迫る
これまでの系統分類学の常識を覆すEvo-Devo(進化発生学)や古生物学など新たな解析技術で判明した動物“門”の変化とグローバルデータにフォーカス
■1961年から2000年にわたって刊行の『動物系統分類学』(全10巻24冊+追補版)の該当項目ページを参照できるガイドで,系統分類学の研究成果を把握できる.
■貴重なカラー写真を多数掲載.
■外部形態や体制はイラストや写真でわかりやすく解説.
■全34動物門の「系統」と「分類」に言及.
■系統分類学の基盤を解説した総論に続き,各論では全ゲノム配列の解明,分子系統解析による全34動物門の系統分類を詳述.

序文

はじめに


1961年から約40年を費やして刊行された中山書店『動物系統分類学』母巻全10巻24冊は1999年に完結し,翌年2000年には追補版が,また2002年には別巻が,それぞれ刊行された.この事業は中山書店に数億円もの損失をもたらしたが,それにも拘わらず,内容に妥協することなく事業を継続した訳は,基礎科学振興への貢献をその社会的責務と自覚する学術出版社としての,意地と,執念と,心意気とに他ならなかったと仄聞する.企画発案者・初代監修者である内田亨・北海道大学名誉教授と二代目監修者の山田真弓・北海道大学名誉教授は既に鬼籍に入って久しいが,そのように身を削ってまでして完結に漕ぎ着けてくださった中山書店──特に創業者である故・中山三郎平氏と,事業を引き継いだ現社長・平田直氏──に対しては,泉下のお二人もさぞかし深く恩義を感じていらっしゃるに相違ない.追補版と別巻の編集に携わった青木淳一・横浜国立大学名誉教授,田近謙一・元日本大学医学部助教授,および森岡弘之・国立科学博物館名誉研究員のうち,青木氏と森岡氏も既に幽明境を異にされたが,今なおその後の動物系統分類学の発展を見守ってくださっているに違いない.

母巻完結からおよそ四半世紀の間,この学問分野は長足の進歩を遂げた.振り返ると,当時の分類学は他分野の研究者から「それはサイエンスなんですか?」などと貶められることもあり,我々の先達は切歯扼腕の思いを味わいながらも学問の灯火を絶やさぬ努力を重ねた.その後の系統分類学研究を進展させた要因は何か? 例えば,DNA塩基配列情報が比較的容易に利用可能となり,それと併せて信頼性の高い系統推定法や種判別分析法が進歩した点などが挙げられる.これにより,科学的営みが備えているべき客観性や再現性が大いに向上した.その他に,研究遂行上有用な各種の学術データベース・コンテンツの拡充や,形態観察・デジタル画像技術の向上も挙げられるだろう.しかし,何をおいても,この研究分野を「面白い」と感じる後継者の参入・育成こそが最大の要因であることは論を俟たない.その意味で,中山書店が身を削ってまでして完結させた叢書が果たした役割の大きさは計り知れない.

故・中山氏が1991年に設立した財団法人中山科学振興財団(現・公益財団法人中山人間科学振興財団)は,狭い意味の「人間科学」分野だけでなく,動物系統分類学への研究助成や大賞・奨励賞の褒賞を行ってきた.そして,この度その35周年記念事業として,母巻・追補版・別巻のアップデート版である本書の出版企画をお認めくださった.しかも,今回もまた利益を度外視した破格の値段で販売してくださると言う.この企画にご賛同下さった同財団業務執行理事(兼・中山書店代表取締役社長)である平田氏のご英断には感謝の言葉もない.

国内における動物系統分類学の将来の発展へと貢献するにやぶさかでないと考える有為の若手研究者たちが,本書の編集に参画してくださった.岡本卓(京都大学),自見直人(名古屋大学),中野隆文(京都大学),松沼瑞樹(京都大学),山崎博史(九州大学)である.2023年11月,東京都千代田区の如水会館で開催された第一回編集会議に出席した平田社長の口から発せられた「向こう10年は使用に耐える教科書となるように」という言葉に,その場に集った編集委員たちは奮い立った.彼らにとって『動物系統分類学』母巻こそが各々の専門分野の勉強を始める際の最初の教科書だったからであり,彼らに続く未来の初学者のために,その後継書である本書をより良いものにしたいという熱い想いが彼らの間で共有されていたからである.

海外の執筆者3名を含む総勢75名の新進気鋭の研究者が知識を結集した本書が世に出ることは,編集委員一同の誇りである.これほど多くの執筆者から玉稿を賜り,これを一書に収めることができたことは,企画・編集に携わってきた編集委員の研究人生における最大の喜びとなるであろう.かくして,この分野における過去四半世紀の間の進歩を紹介しようとする本書の目論見はおおむね成功したと自負している.中山書店編集部の皆様には浩瀚大部となった本書編集の労に心から感謝申し上げたい.また,美しい図をご担当いただいたイラストレーターの方々にも感謝を申し上げたい.

平田社長の言葉通り,来たるべき次世代を担う若者たちの教科書として本書が少なくとも10年間は役に立ったならば,それは我々の本望である.


2026年夏

編集主幹
北海道大学大学院理学研究院 柁原 宏
法政大学自然科学センター・国際文化学部 島野智之

目次

動物系統分類学 総論

系統分類学の過去・現在・未来

山崎博史

系統分類学はなぜ可能なのか-進化発生学的試論

倉谷 滋

Evo-Devo研究と系統分類学

三浦 徹

古生物学

三上智之

分類学と系統分類学(体系学)

柁原 宏

動物系統分類学 各論

有櫛動物門

戸篠 祥

海綿動物門

伊勢優史/中野隆文/島野智之

平板動物門

中野裕昭

刺胞動物門

柳 研介/戸篠 祥/河村真理子/白樫 正

珍無腸動物門

中野裕昭

直泳動物門

中野裕昭

二胚動物門

古屋秀隆

扁形動物門

大矢佑基/佐々木瑞希/脇 司/新田理人

腹毛動物門

鈴木隆仁

顎口動物門

Martin V. Sørensen/中野隆文

輪形動物門

Diego Fontaneto/中野隆文/長澤和也

微顎動物門

Martin V. Sørensen/中野隆文

毛顎動物門

後藤太一郎/宮本洋臣/中野隆文

苔虫動物門

広瀬雅人

箒虫動物門

広瀬雅人

腕足動物門

広瀬雅人/椎野勇太

紐形動物門

柁原 宏

軟体動物門

佐々木猛智

環形動物門

自見直人/中野隆文

内肛動物門

伊勢戸徹

有輪動物門

Martin V. Sørensen/中野隆文

鰓曳動物門

山崎博史

動吻動物門

山崎博史

胴甲動物門

藤本心太

線形動物門

長谷川浩一/吉賀豊司/神崎菜摘

類線形動物門

脇 司/佐藤拓哉

緩歩動物門

荒川和晴/藤本心太

有爪動物門

Ivo de Sena Oliveira/中野隆文

節足動物門

島野智之/宮﨑勝己/小野展嗣/高久 元/奥村賢一/塚本 将/大塚 攻/富川 光/田中隼人/若林香織/神尾道也/大平 剛/朝倉 彰/鈴木雄太郎/吉澤和徳/福井眞生子/武藤将道/藤田麻里/大出高弘/千頭康彦/後藤慎介/今田弓女/竹中將起/大山 望

棘皮動物門

岡西政典/大路樹生/木暮陽一/若林香織/幸塚久典/小川晟人

半索動物門

宮本教生/柁原 宏

脊索動物上門

西川輝昭

頭索動物門

西川輝昭

尾索動物門

広瀬裕一

脊椎動物門

倉谷 滋/甲斐嘉晃/岡本 卓/中野隆文/松沼瑞樹/西川完途/城野哲平/山崎剛史/本川雅治

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書籍情報

  • ISBN:9784521751573
  • ページ数:1528頁
  • 書籍発行日:2026年9月
  • 電子版発売日:2026年10月1日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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