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- 改訂3版 病院前新生児蘇生法テキスト
商品情報
内容
救急救命士・救急隊・消防士などを対象とした新生児蘇生法(NCPR)講習会(Pコース)公認テキスト。NCPR 2025を反映した改訂3版。医療施設外での出生を想定し、蘇生の初期処置、バッグ・マスクや胸骨圧迫といった標準的な新生児蘇生処置の習得を目指す。出生時の呼吸・循環生理、救急搬送時の留意点などの必須知識も収載。
序文
改訂3版 序
日本周産期・新生児医学会は、2007年より新生児蘇生法(Neonatal Cardio-Pulmonary Resuscitation:NCPR)普及事業を開始し、新生児の予後改善を目的として、すべての分娩に新生児蘇生に対応できる人員を少なくとも1名配置できる体制の整備を目指してまいりました。この取り組みは、講習会カリキュラムの整備、自己学習用教材の作成、ならびに講習会を支える指導者の育成を柱として発展し、周産期医療に携わる多職種の皆さまのご理解とご尽力のもと、わが国の新生児蘇生の標準化に大きく寄与してきました。
一方で、わが国の分娩の大半は医療機関内で行われていますが、病院前、すなわち自宅や車中など、周産期医療従事者がその場にいない環境で出生する児も存在します。そのような場面では、救急隊員・救急救命士が分娩介助と新生児蘇生の双方を担う可能性があります。限られた人員、資器材、時間の中で、母児の安全を確保しつつ適切な初期対応を行うためには、院内での新生児蘇生とは異なる知識や判断、チーム連携も必要となります。このため、NCPRの基本的な考え方を共有しながら、病院前という特殊な環境の特性に即した教育を行うことが重要です。
このような背景から、本学会では2020年より病院前新生児蘇生法講習会(Pコース)を開始しました。Pコースでは、NCPRの基本理念とアルゴリズムを土台にしながら、病院前で出生した児に対する初期対応を救急現場に適した形で学ぶことを目的としています。Pコースでは、個々の手技を身につけるだけでなく、現場で児の状態を適切に評価し、必要な処置を判断し、チームとして連携しながら実践することが重要です。さらに、病院前では、搬送の判断や母体への対応と並行して新生児を診療することが求められます。新生児蘇生の標準を院内だけにとどめず、病院前医療を含めて広く共有していくことは、地域全体で新生児の安全を守るために重要であると考えています。
改訂2版の刊行から5年が経過したこの間、各地のメディカルコントロール協議会においても、新生児蘇生はNCPRを標準として取り扱う地域が着実に増えてきました。これは、病院前における新生児蘇生においても、周産期医療と救急医療が共通の言語と手順を持つことの重要性が広く認識されてきた結果であり、地域全体の周産期救急体制の質向上につながる心強い変化といえます。こうした流れの中で、病院前新生児蘇生法講習会に対する需要は全国で高まりつつあり、受講機会の確保と指導体制の充実がこれまで以上に求められています。
2026年4月末現在、病院前新生児蘇生法(P)認定者は2,222名、病院前新生児蘇生法インストラクター(PI)は58名となりました。Pコースは着実に広がっていますが、全国の救急現場に十分な教育機会を届け、地域ごとに継続的な講習会運営を可能にするためには、さらなる普及が必要です。受講者を増やし、実践力を備えた認定者を育成し、その中から次の指導者が育っていく仕組みを全国に広げていくことが、今後の重要な課題です。
このたびの改訂3版では、これまでの講習会の経験や受講者・指導者の皆さまから寄せられた意見を踏まえ、病院前の現場でより実践的に活用できる教材となるよう内容の見直しを行いました。NCPRを基本としながら、病院前という環境に特有の留意点、判断の優先順位、チームでの役割分担、母体対応との両立など、実際の救急現場で直面する課題についても学べる内容となっています。本書が、救急隊員・救急救命士の皆さまはもちろん、地域の周産期医療と救急医療に関わる多くの方々に活用され、両者の連携をさらに深める一助となることを期待しています。
病院前で新生児蘇生を必要とする場面に遭遇する機会は決して多くはありません。しかし、頻度が低いからこそ、実際にその場面に遭遇したときに適切に判断し、行動できるよう、日頃から標準的な知識と手順を学び、繰り返し訓練しておくことが重要です。本書とPコースを通じて、病院前新生児蘇生を学ぶ機会が全国にさらに広がり、周産期医療と救急医療が連携しながら、出生する場所にかかわらず、すべての新生児に適切な蘇生が提供される体制につながることを願っています。
2026年8月
日本周産期・新生児医学会 副理事長、新生児蘇生法委員会 委員長
日本蘇生協議会 理事
ILCOR Emeritus Taskforce
諫山哲哉
目次
第1章 病院前新生児蘇生法普及プロジェクト
1 病院前新生児蘇生の必要性
2 新生児蘇生法普及事業における病院前新生児蘇生法講習会の位置付け
3 病院前新生児蘇生法講習会 (Pコース)の実際
4 NCPRアルゴリズムと救急隊および救急救命士教育におけるアルゴリズムとの違い
第2章 新生児蘇生に必要な基礎知識
1 新生児領域で使用される用語
2 Apgarスコア
3 赤ちゃんとは
4 保温の重要性
5 気道系の解剖
6 出生時の呼吸循環生理
7 一次性無呼吸と二次性無呼吸
8 臍帯結紮と児の循環血液量
9 新生児の心肺停止
第3章 アルゴリズム
新生児蘇生法(NCPR) の対象
NCPRアルゴリズムの概要
STEP 0 チームメンバーによるブリーフィング
STEP 1 出生直後の児の状態評価
STEP 2 ルーチンケア
STEP 3 蘇生の初期処置
STEP 4 蘇生の初期処置後の評価と、次の処置
STEP 5 人工呼吸
STEP 6 高濃度酸素を用いた人工呼吸と胸骨圧迫
STEP 7 呼吸の安定化
STEP 8 蘇生後のケアと観察
早産児の蘇生
NCPR 2025に沿った蘇生事例
第4章 新生児の救急搬送
1 出動前の状況評価とチーム、関連機関の事前打ち合わせ (119番通報から傷病者接触まで)
2 現場到着時の状況評価とチーム、関連機関の打ち合わせ
3 搬送中の保温・加湿
4 搬送中の児の状態評価
5 搬送中の処置
第5章 新生児蘇生法をより活用するために
第6章 講習会講義資料
第7章 模擬問題
第8章 新生児蘇生法普及事業
索引
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書籍情報
- ISBN:9784840491709
- ページ数:200頁
- 書籍発行日:2026年10月
- 電子版発売日:2026年9月26日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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