介護老人保健施設リハビリテーションのすべて

  • ページ数 : 344頁
  • 書籍発行日 : 2026年10月
  • 電子版発売日 : 2026年10月1日
¥4,950(税込)
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商品情報

内容

老年病学的な症状を解説してからリハビリテーションの実践を学べる構成となっている。本書では,通所リハビリテーション,入所リハビリテーション,エンドオブライフケアに分けた章立てとなっているため,各場面でのリハの内容が理解できる。近年話題となっているICTやポリファーマシー,自動車運転についてもしっかり解説。老健に携わるリハスタッフや実習に臨む学生におすすめの一冊。

序文

刊行に寄せて


介護老人保健施設(以下,老健)は,在宅復帰・在宅療養を支援する地域の拠点として,利用者の心身の機能の維持・改善を図り,その人らしい生活を支える重要な役割を担っています。なかでもリハビリテーションは,身体機能の回復のみならず,生活機能や社会参加を支え,多職種が連携して利用者一人ひとりに寄り添う老健の中核的な機能といえます。本書は,私が大会長を務める「第37回全国介護老人保健施設大会 栃木」の開催を記念して刊行されるものです。

監修は,本学医学部老年病学講座教授であり,本学附属施設である介護老人保健施設マロニエ苑施設長を務め,わが国の老年医学・老年医療の発展に貢献するとともに数多くの学術的業績を有する浦野友彦先生と,本学医学部リハビリテーション医学教授(代表)として,わが国のリハビリテーション医学を牽引し,国内外で高い評価を受ける数多くの学術的業績を有する角田 亘先生が担当しております。

また,執筆には,福岡国際医療福祉大学学長の松田晋哉先生,国際医療福祉大学副学長の新井田孝裕先生をはじめ,本学関係者の中でもリハビリテーションや高齢者医療・介護に精通した第一線の専門家から,将来を担う若手まで,多彩な執筆陣にご参画いただきました。本書は,国際医療福祉大学グループの知見と経験を結集し,老健におけるリハビリテーションの実践に役立つ一冊となることを目指して編纂されたものです。

本書が,老健でリハビリテーションに携わる医療・介護・福祉の専門職の皆様の日々の実践に活用されるとともに,これから老健を学ぶ学生や若手医療職にとっても理解を深める一助となり,我が国の老健リハビリテーションのさらなる発展に寄与することを心より願っております。

最後になりましたが,本書の企画・編集・執筆にご尽力いただきましたすべての皆様に,心より感謝申し上げます。


2026年8月

国際医療福祉大学 理事長
第37回全国介護老人保健施設大会 栃木 大会長
高木邦格



はじめに


介護老人保健施設(以下,老健)は,在宅復帰・在宅療養を支援する地域の拠点として,高齢者の生活を支える重要な役割を担っています。リハビリテーションは,身体機能の回復だけでなく,生活機能や社会参加を支え,「その人らしい生活」を実現するための老健の中核的な機能といえます。

私は2000年より秋田県雄勝郡羽後町の介護老人保健施設照隅苑に非常勤医師として勤務し,2017年からは国際医療福祉大学介護老人保健施設マロニエ苑の施設長として老健医療に携わってまいりました。26年にわたり老健の現場に身を置くなかで,入所者は年々高齢化し,ADLは大きく低下しました。フレイル,サルコペニア,認知症,多疾患併存などを有する,より医療ニーズの高い利用者が増加し,老健に求められる役割もこの四半世紀で大きく変化しています。

一方で,老健は医療を提供する施設であると同時に,利用者が日々の生活を送り,人との交流や季節の行事を楽しみ,自分らしく暮らす「生活の場」でもあります。そのため,老健におけるリハビリテーションは,単に身体機能を改善することを目的とするのではなく,利用者一人ひとりの生活や人生を支えるために,多職種が協働して実践する包括的な支援でなければなりません。

本書は,このような老健リハビリテーションの理念と実践を体系的に学ぶことができる一冊を目指して企画されました。共同監修には,本学医学部リハビリテーション医学教授(代表)として,わが国のリハビリテーション医学の発展を牽引し,国内外で数多くの優れた学術的業績を挙げてこられた角田 亘先生をお迎えしました。老年医学とリハビリテーション医学,それぞれの視点を融合することで,老健の現場で本当に役立つ内容となるよう心掛けました。

本書では,老健で提供されるリハビリテーションの概要を述べたうえで,要介護高齢者にみられる身体的・精神的特徴,サルコペニア,認知症,感覚障害などを整理した総論に加え,通所・入所リハビリテーションの実践,さらにはACPやエンドオブライフケアまで,老健で日々直面する課題を幅広く取り上げています。

執筆には,国際医療福祉大学グループを中心に,各分野の第一線で活躍されている先生方にご協力いただきました。単なる知識の解説ではなく,「明日から老健で実践できること」を意識し,豊富な経験と最新のエビデンスに基づいて執筆いただいております。

本書が,老健で働くリハビリテーション専門職をはじめ,医師,看護師,介護職員など多職種の皆様の日々の実践に役立つことはもちろん,老健で臨床実習を行う学生や若い医療・介護職にとって,老健リハビリテーションの本質を理解する一助となれば幸いです。そして,本書を通じて,「老健は医療を提供する場であると同時に,人生を支える生活の場である」という理念がさらに広く共有されることを心より願っております。


2026年8月

国際医療福祉大学医学部老年病学講座 教授
介護老人保健施設マロニエ苑 施設長
第37回全国介護老人保健施設大会 栃木 実行委員長
浦野友彦

目次

1章 総論

1 介護老人保健施設のリハビリテーション総論  角田 亘

❶ 老健におけるリハビリテーションの概要

❷ 老健入所者に対する生活リハビリテーション

❸ 老健入所者に対する,リハビリテーション専門職によるリハビリテーション

❹ リハビリテーション専門職によるリハビリテーションの実際

❺ 老健における通所リハビリテーション

❻ 老健における訪問リハビリテーション

❼ 老健におけるリハビリテーションにかかる加算

❽ リハビリテーションに関するリスク・マネジメント

2 介護老人保健施設においてポリファーマシーとどう向き合うか?  小島太郎

❶ 高齢者のマルチモビディティ

❷ 医療機関への受診とポリファーマシー

❸ 老年症候群の管理

❹ ポリファーマシーと処方カスケード

❺ 特に慎重な投与を要する薬剤

❻ 薬物による栄養障害

❼ 薬剤処方を見直すためのステップ~高齢者総合機能評価(CGA)と多職種協働~

❽ 服薬アドヒアランスの改善のために

3 要介護高齢者における認知症の評価方法  亀山祐美

❶ 認知症の評価

❷ 認知症評価の目的

❸ 認知症評価の基本的視点

❹ 代表的な認知症評価方法

❺ BPSDの評価・アセスメント

❻ ADL・生活機能評価

❼ 老健における認知症評価の実際

❽ 認知症評価時の注意点

❾ 今後の課題

❿ まとめ

4 要介護高齢者における認知症に対する非薬物療法  玉田真美

❶ 非薬物療法とは

❷ 非薬物療法の実際

5 要介護高齢者における作業活動総論  谷口敬道

❶ 人はなぜ作業を必要とするのか

❷ 要介護状態になっても人生は続いている

❸ 意味のある作業が健康と生活を支える

❹ 要介護高齢者における作業活動

6 要介護高齢者に生じる身体的・生理的変化  洲鎌秀永

❶ 概要

❷ 要介護高齢者に生じる身体的・生理的変化

❸ まとめ

7 要介護高齢者のサルコペニア  沢谷洋平

❶ 概要

❷ 世界的なサルコペニアの定義の変遷

❸ サルコペニアの病態を理解する

❹ マッスルヘルス(muscle health)に基づくライフコースアプローチ

❺ サルコペニアの評価

❻ サルコペニアの対策

❼ 要支援・要介護高齢者におけるサルコペニアの臨床実践

❽ まとめ

8 要介護高齢者の骨密度と転倒予防  藤田博曉

❶ 骨折連鎖をいかに断つか

❷ 要介護高齢者における骨脆弱性の実態

❸ 転倒と骨折の統合理解

❹ 骨折リスク評価の実際

❺ 運動療法のエビデンスと実践

❻ まとめ

9 要介護高齢者の聴覚と難聴  平島ユイ子

❶ 概要

❷ 加齢性難聴の特徴

❸ 評価

❹ 対応

10 要介護高齢者の視機能  新井田孝裕

❶ 概要 

❷ 高齢者に多い眼科疾患

❸ 視機能評価

❹ 対応・支援

❺ まとめ

11 要介護高齢者に対するICT活用  西田裕介

❶ 概要

❷ 評価

❸ 対応・支援

12 要介護高齢者に対する装具・車椅子・福祉用具の活用  糸数昌史

❶ 概要

❷ 評価

❸ 対応・支援

❹ まとめ

2章 通所リハビリテーション

1 老健ができる介護予防:通所サービスC  広瀬 環,沢谷洋平

❶ 概要

❷ 通所サービスCの目的と対象

❸ 評価と介入

❹ 運動プログラム

❺ 今後の課題と展望

❻ 明日から活かせるフレイル予防の実践ヒント

2 通所における作業活動  秋澤尚実

❶ 概要

❷ 評価

❸ 実践(生活拡大期の作業活動)

❹ 実践(生活維持期の作業活動)

3 通所の集団リハビリテーション  佐々木由佳

❶ 概要

❷ 集団リハビリテーションの効果を支える11の要素

❸ 集団リハビリテーションの方法

❹ 実践

4 通所における個別での運動  福田圭佑,沢谷洋平

❶ 概要(自立支援への変遷)

❷ 通所リハでの運動

❸ 個別での運動

❹ まとめ

5 身体機能の評価と効果判定  沢谷洋平

❶ はじめに

❷ 評価方法

6 通所における自宅での運動介入・ロコモーショントレーニング  広瀬 環,沢谷洋平

❶ 概要

❷ ロコモの評価

❸ 安全なロコトレ実施のための評価と留意点

❹ ロコトレの内容

❺ 運動支援の実践

7 通所における生活行為向上マネジメント  佐々木由佳

❶ 概要

❷ 生活行為向上マネジメントの流れ

❸ 実践

8 通所における摂食嚥下機能評価と口腔ケア  平田 文

❶ 概要

❷ 評価

❸ 支援・実践

9 通所における嚥下トレーニング  平田 文

❶ 概要

❷ 自主トレーニングとして実施可能な基礎的嚥下訓練

10 通所高齢者の栄養評価と介入  前田圭介

❶ 概要

❷ 通所栄養ケアの特殊性

❸ 非侵襲的スクリーニングによる早期発見

❹ 低栄養の診断と在宅側の原因推論

❺ 在宅生活を支える個別化介入

❻ 多職種連携と継続的モニタリング

❼ まとめ

11 通所・自動車運転再開へのフローとその評価  小井田美穂,平田 文

❶ 概要

❷ 運転再開にあたり必要な評価

❸ 運転再開,中止に関する支援

❹ 症例紹介

3章 入所リハビリテーション

1 入所における作業活動  阿部美咲

❶ 概要

❷ 老健における作業療法の展開

❸ 実践

2 入所における集団体操  柴 隆広

❶ 集団リハの概要

❷ 集団リハの効果

❸ 集団リハの対象者と参加基準

❹ 集団リハの実施方法

❺ 集団リハの具体的な内容

❻ 安全管理

❼ まとめ

3 入所における個別での運動  佐藤 稜,沢谷洋平

❶ 個別運動の目的と老健における位置付け

❷ 利用者評価(アセスメント)

❸ 個別運動におけるリスク管理

❹ 目標設定の方法

❺ 個別運動プログラムの設計原則

❻ 運動の具体的手法

❼ リハビリテーションの効果判定とプログラムの見直し

❽ ケース別の個別運動実践のワンポイントアドバイス

❾ 生活への展開

4 老健入所者におけるADL介入と環境調整  柴 隆広

❶ ADLへの介入

❷ ADL介入に向けた評価と準備

❸ 環境調整とADL設定の実際(モデルケーススタディ)

❹ まとめ

5 入所における個別での言語聴覚療法  赤木裕子,平田 文

❶ 概要

❷ 評価

❸ 支援

❹ 実践

6 入所における摂食嚥下機能評価と口腔ケア  平田 文

❶ 概要

❷ サルコペニアの摂食嚥下障害(Sarcopenic Dysphagia)

❸ 認知症に伴う摂食嚥下障害

❹ 評価

❺ 支援・実践

7 入所高齢者の栄養評価と介入  前田圭介

❶ 概要

❷ 入所栄養ケアの特殊性

❸ 栄養スクリーニングとアセスメント

❹ 低栄養診断と他の栄養障害の評価

❺ 低栄養の原因推論と摂食嚥下障害

❻ 栄養ゴール設定

❼ 栄養ケアの全体設計と食支援

❽ モニタリングと多職種連携

❾ まとめ

4章 エンドオブライフケアとこれからの老健

1 老健施設におけるACP―リハビリテーション専門職に期待される役割―  浦野友彦

❶ はじめに

❷ 老健施設ならではのACP

❸「 終末期」ではなく「人生の最終段階」という視点

❹ 老年医学の視点からみたACP:5 Ms の活用

❺ 認知症のある入所者への意思決定支援

❻ PT・OT・ST に期待される役割

❼ 全老健ACP調査からみた老健ACP

❽ まとめ

2 看取り期のリハビリテーション(概論)  尹 璐,沢谷洋平

❶ 概要

❷ リハビリテーション評価と介入の実際

3 リハビリテーションの実践(事例紹介)  柴 隆広

❶「 外出」支援

❷「 好きな物を食べる・飲む」の支援

❸「 生きる希望」への支援

❹ まとめ

4 他職種から見たリハビリテーション職への期待  遠藤亮太郎,山下 誠,河原典子,西尾こゆる

❶ 介護職の立場から

❷ 支援相談員の立場から

❸ ケアマネジャーの立場から

❹ 看護職の立場から

5 今後の日本社会に求められる介護老人保健施設とは  松田晋哉

❶ 概要

❷ 地域における介護保険サービスのBack office としての老健

❸ 地域包括ケアセンターとしての老健

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書籍情報

  • ISBN:9784758325530
  • ページ数:344頁
  • 書籍発行日:2026年10月
  • 電子版発売日:2026年10月1日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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