保護者が知りたい疑問に答える 子どものアレルギー予防Q&A

  • ページ数 : 162頁
  • 書籍発行日 : 2026年10月
  • 電子版発売日 : 2026年10月15日
¥3,300(税込)
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商品情報

内容


やさしく読める、子どものアレルギー対策
アレルギーの『なぜ?』に答えます.年々増加するアレルギー患者と,アレルギーに関する新しい情報.アレルギーを予防するには,最新の知見をもとに,現時点でわかっていること,まだわかっていないことを正しく知ることが重要です.
そこで本書では,現場で知りたいよくある疑問+関連する疑問を,一問一答形式で小児アレルギーのエキスパートが最新のエビデンスをベースに解説!
赤ちゃん・子どもに関わるすべての医療者,専門職,保護者のための1冊です.

序文

序 文

私がこの本を企画しようと思った最大の理由は,アレルギー予防に関する研究がこれほど進歩しているにもかかわらず,その成果が十分に現場へ普及していないと感じているからです.

私はアレルギー専門医として,多くの子どもたちとそのご家族に向き合ってきました.そして近年,乳児期の湿疹への早期介入,適切なスキンケア,離乳食の進め方,食物の継続摂取などに関する研究成果を日々の診療に取り入れる中で,乳児期の即時型食物アレルギーの多くは予防できる時代に近づいていると実感しています.

湿疹があれば早期に適切な治療を行う.母乳栄養に少し普通ミルクを追加する.離乳食を適切な時期に開始し,家族が普段食べている食材を無理のない範囲で継続して食べていく.そのような取り組みによって,卵,牛乳,小麦などの主要な食物アレルギーの発症を予防できる時代になってきました.

それにもかかわらず,この10年間,食物アレルギーによる救急受診数はほとんど減っていません.診療の現場で新たに食物アレルギーを発症したお子さんに出会うたび,「予防できた可能性があったのではないか」と,悔しく感じます.しかし,すべての食物アレルギーが予防できるわけではありません.適切な対応をしていても発症するお子さんはいます.研究によって予防の方法が明らかになってきている今,この知識がもっと早く現場へ届いていたら,アレルギーを発症せずに済んだ子どもたちがいたのではないかと思わずにはいられません.

国立成育医療研究センターでは毎月オンラインアレルギー予防教室を開催しています.そこには,「湿疹はどのタイミングで受診したらよいですか」「卵はいつから始めればよいですか」「母乳だけで大丈夫ですか」といった多くの質問が寄せられます.本書に掲載した内容の多くは,そうした保護者の皆さんから実際にいただいた疑問や不安を出発点としています.

診療を続ける中で強く感じていることがあります.それは,一人目のお子さんが食物アレルギーを発症したご家庭でも,予防の知識を早期からお伝えすることで,二人目以降のお子さんには食物アレルギーの発症防げるケースが少なくないということです.そのため私の外来では,きょうだいそろって経口免疫療法が必要になるケースは非常にまれです.この経験は,「予防できる方法をもっと多くの方に届けたい」という私の思いにつながっています.

本書は,私自身の考えを述べるための本ではありません.近年明らかになってきた科学的根拠と,現場での実践経験をもとに,「今わかっていること」「今はまだ明らかになっていないこと」をできるだけわかりやすくまとめた本です.そのため,中にはこれまで長年信じられてきた習慣や常識と異なる内容も含まれているかもしれません.アレルギー学は日々進歩している分野です.今後新たな知見が得られれば,本書とは異なる方法が推奨されることもあるかもしれません.

また,本書の内容をすべてのご家庭に当てはめてほしいとは考えていません.お子さん一人ひとりは異なり,ご家庭の状況もさまざまです.この本を絶対的な正解としてではなく,お子さんとご家族にとって最善の方法を考えるためのヒントとして活用していただければ幸いです.

すでにアレルギーを発症したお子さんについては,遅くとも大人になるまでに克服できるよう力を尽くして日々診療にあたることは当然ですが,それ以上に大切なのは,これからアレルギーで苦しむ子どもを一人でも減らすことだと考えています.

食物アレルギーがあることで,家族と同じ食事が食べられない.友達と同じおやつを楽しめない.誕生日会や給食,旅行先での食事にいつも気を遣わなければならない.そのような経験をしなくてもよい子どもたちを増やしたいと思っています.

子どもたちが家族と,友達と,探して大切な人たちと,「これは食べられるかな」と心配することなく,同じ食卓を囲み,食物アレルギーを気にせず「おいしいね」と笑い合える未来を願っています.そのためには,発症してから治療することも大切ですが,まずは食物アレルギーを発症させないこと,すなわち予防から始めることが重要だと考えています.

私たちは,食物アレルギーを発症したお子さんやご家族の経験を否定するつもりはありません.これまでの経験から多くを学び,その知見を次の世代の子どもたちの未来に生かしたいと考えています.

本書が,保護者,助産師,看護師,保育士,管理栄養士,医師など,子どもに関わるすべての方々の共通言語となり,科学的根拠に基づいたアレルギー予防の実践を広げる一助となれば幸いです.そして,一人でも多くの子どもたちがアレルギーに悩まされることなく健やかに成長し,自分らしい人生を歩めることを心から願っています.


2026年9月

山本貴和子

目次

序章 赤ちゃん/子どものアレルギーは予防できるの?

Q1アレルギーの予防とはどのような概念ですか?〈大矢幸弘〉

#予防  #アレルゲン

Q2なぜアレルギーは増えているのですか?〈大矢幸弘〉

#アレルゲン  #社会  #環境

Q3赤ちゃんがなりやすい食物アレルギーの原因は何ですか?〈佐藤さくら〉

#IgE抗体  #食物蛋白誘発胃腸炎  #原因食物

Q4なぜナッツ類アレルギーは増えているのですか?〈福家辰樹〉

#ナッツ類アレルギー  #二重抗原曝露仮説  #環境中アレルゲン

Q5消化管アレルギーとはどのようなものですか? 増えていますか?〈明石真幸〉

#食物蛋白誘発胃腸症  #IgE

Q6食物アレルギーの種類は「そのまま」遺伝しますか?〈北沢 博〉

#遺伝的素因  #環境因子  #エピジェネティックス

第1章 妊娠中にできるアレルギー予防

Q7妊娠中に卵・牛乳・小麦・ナッツ類などを食べると,赤ちゃんのアレルギーは増えますか?〈原間大輔〉

#妊娠中  #栄養  #免疫寛容

Q8妊娠中は多様な食品を「少量・多品目」で食べたほうがよいですか? 偏った食事をすると,子どものアレルギーに影響しますか?〈荻田博也〉

#食事多様性  #アレルゲン除去食  #健康的食事パターン

Q9葉酸摂取とアレルギー発症に関連はありますか?〈山田裕美 吉原重美〉

#葉酸  #気管支喘息  #サプリメント

Q10妊娠中の母親が乳酸菌やビフィズス菌(プロバイオティクス)を摂取すると予防効果はありますか?〈成田雅美〉

#腸内細菌叢  #乳酸菌  #ビフィズス菌  #プロバイオティクス

Q11妊娠中のビタミンD摂取は必要ですか?〈今井孝成〉

#ビタミンD  #気管支喘息  #アトピー

Q12妊娠中のストレスは子どものアレルギーに関係しますか?〈齋藤麻耶子〉

#ストレス  #DOHaD  #アレルギー

Q13妊娠中に「特別に」やるべきアレルギー予防はありますか?〈西村幸士〉

#食事制限不要  #禁煙  #抗菌薬

第2章 出産後すぐ~乳児期の予防

Q14生後すぐに調製粉乳を与える・与えないで牛乳アレルギーの発症率は変わりますか?〈大嶋勇成〉

#調製粉乳  #牛乳アレルギー

Q15生後1カ月から少量のミルクを定期的にあげると予防になりますか?〈崎原徹裕〉

#SPADE試験  #牛乳アレルギー  #ミルク  #母乳

Q16母乳はアレルギー予防になりますか?〈山出史也〉

#母乳  #湿疹対策  #早期導入

Q17乳児のスキンケア(保湿)はアレルギー予防になりますか?〈佐久間弘子〉

#皮膚バリア障害  #アレルゲン侵入と感作  #アレルギーマーチ

Q18どのような保湿剤を選べばよいですか?〈大矢幸弘〉

#バリア機能  #防腐剤  #無添加

Q19石鹸は必要ですか?〈堀向健太〉

#スキンケア  #皮膚バリア機能  #賢い洗浄

Q20乳児の肌荒れ・湿疹はアレルギーにつながりますか?〈立元千帆〉

#アレルギーマーチ  #食物アレルギー  #二重抗原曝露仮説

Q21湿疹がなくても食物アレルギーになりますか?〈山田佳之〉

#湿疹  #経口摂取

Q22アトピー性皮膚炎はどう診断しますか? 乳児湿疹との違いを教えてください〈川田康介〉

#アトピー性皮膚炎  #乳児湿疹  #UK Working Party

Q23ステロイド外用薬を使っても大丈夫でしょうか?〈吉田和恵〉

#ステロイド外用薬  #アトピー性皮膚炎

Q24ステロイド以外に使える薬はありますか?〈工藤恭子〉

#抗炎症外用薬  #非ステロイド外用薬

第3章 生活環境について

Q25ダニ・カビ・ハウスダスト対策を教えてください〈大矢幸弘〉

#カビの発生  #ダニのエサ

Q26免疫をつけるために動物園に行ったほうがよいですか?〈岡﨑史子 長谷川俊史〉

#免疫  #衛生仮説  #二重抗原曝露仮説

Q27ペットとの同居はアレルギーを増やしますか? 減らしますか?〈谷田寿志〉

#ペット  #犬  #猫

Q28花粉の多い地域で育てるとアレルギーは増えますか?〈川本典生〉

#花粉症  #アレルギー性鼻炎  #出生季節

Q29田舎と都会でアレルギー発症率は違いますか?〈二村昌樹〉

#衛生仮説  #医療アクセス

Q30洗濯のときに気を付けたほうがいいことはありますか?〈米澤かおり〉

#アレルゲンの除去  #皮膚への刺激  #洗剤  #上皮バリア仮説

Q31きょうだいの数とアレルギーは関係ありますか?〈長尾みづほ〉

#出生順位  #きょうだい数  #衛生仮説  #食物アレルギー  #気管支喘息

第4章 離乳食と即時型食物アレルギー予防

Q32食物アレルギーのハイリスク児とは何ですか?〈髙岡有理〉

#湿疹  #ステロイド  #アトピー性皮膚炎  #離乳食  #家族歴

Q33離乳食と補完食は違うのですか?〈土屋邦彦〉

#補完食  #母乳  #栄養

Q34離乳食は何カ月から始めるのが適切でしょうか?〈小林 徹〉

#離乳食開始時期  #食物アレルギー予防  #発達のサイン

Q35鶏卵はどのようにすすめたらよいですか?〈山本貴和子〉

#加熱全卵  #鶏卵アレルギー

Q36卵黄を与える期間があくと消化管アレルギーのリスクは上がりますか? 頻度は関係しますか?〈梅沢洸太郎〉

#卵黄  #消化管アレルギー  #摂取間隔

Q37ピーナッツは何カ月から与えてもよいですか? 与える際はどのくらいの量ですか?〈西村龍夫〉

#離乳食  #窒息予防  #食品形状

Q38ナッツ類はどのように進めたらよいですか?〈山本貴和子〉

#ナッツアレルギー  #ファミリーフード

Q39甲殻類(エビ・カニ)はいつから与えてもよいですか?〈谷口智城〉

#早期摂取  #甲殻類アレルギー  #一次予防

Q40そばはいつから与えてもよいですか?〈石川 史〉

#そばアレルギー  #乳児期

Q41魚卵(イクラ・タラコ)は与えてよいですか?〈大石 拓〉

#魚卵  #魚卵アレルギー

Q42生もの(生卵・刺身)は何歳まで避けたほうがいいでしょうか?〈是松聖悟〉

#生卵  #刺身  #食中毒  #消化機能

Q43離乳食で優先すべき食品はありますか?〈神保智里〉

#早期導入  #経口免疫寛容

Q44離乳食を始める前に,血液検査や皮膚テスト(プリックテスト)などの検査は必要ですか?〈西 凜〉

#検査  #経口食物負荷試験

Q45市販製品で利用できるアレルゲン早期摂取製品はありますか?〈濱口冴香〉

#市販製品  #アレルゲン早期摂取製品

Q46アレルゲン食品を触った手で赤ちゃんに触れても大丈夫ですか?〈高岡優里 稲毛英介〉

#経皮感作  #皮膚バリア  #食物アレルギー  #アトピー性皮膚炎

Q47離乳食でアレルゲンの摂取頻度はどうしたらよいですか?〈山本貴和子〉

#経口免疫寛容  #継続的な摂取

Q48アレルゲンの摂取量の目安を教えてください〈濱口冴香〉

#開始量  #食物アレルギー

Q49自宅で初回摂取するときの安全対策について教えてください〈井上徳浩〉

#時間帯  #摂取量

Q50口周囲に皮疹が出た場合,食物アレルギーを疑うべきですか?〈竹村 豊〉

#皮膚トラブル  #かぶれ  #食物アレルギー

Q51アレルゲンを早期摂取しても即時型食物アレルギーを発症することはありますか?〈宮地裕美子〉

#早期摂取  #経口免疫寛容  #経皮感作

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書籍情報

  • ISBN:9784498027206
  • ページ数:162頁
  • 書籍発行日:2026年10月
  • 電子版発売日:2026年10月15日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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