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- 医学生のための研究倫理
商品情報
内容
序文
まえがき
『医学生のための研究倫理』は医学を学ぶ皆さんが、生命科学および医学系領域において、生物種としての人(ヒト)の試料やデータを含む個人または人間集団を対象にして研究を行う際に、守らなければならないルールや禁止事項を解説した教科書です。科学者・医学者が人間を対象にした医学研究を実施する前に、熟知しておかなくてはならない基本的な倫理関連事項および具体的な必要事項を網羅し解説しました。研究レベル(基礎、臨床、疫学研究や社会学的な研究など)、異なる研究手法、様々な研究領域、そして研究対象者の背景ごとに重要な留意点や勧告などを、関連研究倫理指針や法に言及しつつ解説しています。
研究や医療現場での経験のない学習者の皆さんの理解と納得の一助になるよう、特定の規制や制度、国際的な宣言が確立したきっかけとなった歴史的事件や社会的経緯も記載しました。さらに、生命科学・医療系研究の範囲を超えた広い観点から、人間社会と科学研究の望ましい関係についても論じています。研究実施にあたっての研究デザインに特化した個別的推奨や禁止項目だけでなく、研究者としてあるいは一人の人間として決して行ってはならない不正行為や不適切な行為についても説明していますので、十分に確認してください。
本書の8つの章は11名の専門家によって執筆されました。学問的背景も専門領域も所属先も皆異なります。研究倫理審査委員会運営および研究マネジメントに従事する者、哲学・倫理学者、生命医療倫理学者等がそれぞれの問題意識を持ち各自の経験を踏まえて、研究倫理の重要共通問題と割り当てられた個別テーマについて執筆しました。研究倫理における大切な概念や用語が章を跨いで繰り返し登場します。本書に書かれていることは全て重要だと信じていますが、頻出する概念は研究倫理の基本中の基本だと受け止めて、十分にその意義を再確認してください。
本書は2024年春に企画され、2026年秋現在「まえがき」を書いています。研究倫理の根幹は不変ですが、それらを実践に移すためのガイドラインや規則は、時の社会情勢や医学・医療技術の進歩に応じて、修正されたり、緩和されたり、追加されたりしてきました。本書で解説している公的な研究ガイドラインや法律も例外ではありません。本というものは執筆開始時点から出版されるまでにタイムラグが生じます。そこで、本書内容のアップデートの意味を込め、最近起きた研究および研究関連の出来事の中で、本書に関連性が高いと考えられる事項を以下に列挙します。
・「 リハート」実用化:iPS細胞から作製された心筋シートが保険適用され実用化されました。再生医療研究の大きな成果です。重症心不全患者に対する福音である一方、費用が一回5000万円以上と極めて高額であり、医療保険制度への影響も議論されています。
・ 公的関連ガイドラインにおけるヒト胚モデルを用いた基礎研究における禁止事項追加:生命科学発展に伴う研究倫理領域規制のアップデートです。多能性幹細胞からヒト胚に類似した組織(ヒト胚モデル)が作製できるようになったので、これを用いた研究活動において人個体を発生させてはいけないという事項が既存の関連ガイドラインに追記されました。
・ ゲノム編集胚規制法が成立:今まで公的な指針レベルで禁止していたゲノム編集で遺伝子改変したヒト胚を子宮に移植することを、罰則事項を付けて法律で改めて禁止にしました。「ゲノム編集ベビー」誕生阻止が目的です。
・ 利益相反(COI)データバンクの活用開始:臨床研究法下で実施される特定臨床研究に関わる利益相反管理の方法が変わりました。COIに関する現行の手続は煩雑な上に事実確認が不十分な点があったことを鑑み、COIに関する医療機関における事実確認の手続きの代替として、国が設置した「COI管理データベース(COIDB)」を用いて、研究統括責任者が独立して責任を持って利益相反を管理できる選択肢が設けられました。
・ 重大な倫理的事案の発生:中国の高度先進医療実施機関で行われた知的障害に対するゲノム編集治療で、6歳の女児が処置を受けた一週間後に重大な合併症で死亡する事案が発生しました。このケースでは不十分な安全性の検討、親権者への不十分な研究参加リスクの説明、倫理委員会および科学雑誌に対する研究者による重要情報の隠蔽、そして不適切な研究対象者選択などが問題視されています。この女児は当該実験的処置をしなくても安定して長期に生存できる状態にあったとされています。この点で、1960年代の札幌医大臓器移植事例や1990年代末に米国で発生したジェシー・ゲルシンガー事件が、時代と場所を変えて繰り返された感があります。
現在、研究倫理教育は医学教育の必須事項の一つであり、医療専門職になってからも基本的な生涯教育科目の一つです。自らのより良い未来と世界の人々の福利のために研究倫理をしっかり学んでください。
2026年初秋
編者一同
(浅井 篤・高野忠夫・大北全俊)
目次
第1章 医学研究と医のプロフェッショナリズム
第2章 なぜ倫理と研究倫理を学ぶのか
第3章 国内外の主要な医学研究倫理指針
第4章 医学研究における個人情報の扱い
第5章 研究デザイン別の研究倫理
第6章 研究対象者別にみる研究倫理
6-1 概要/6-2 脆弱性について/6-3 子どもを対象とする研究の倫理/6-4 女性と妊婦を対象とする研究の倫理/6-5 精神・神経疾患患者を対象とする研究の倫理/6-6 研究参加者以外の人々への影響・グループハーム
第7章 研究倫理審査、研究不正・プロトコール違反、利益相反
第8章 科学研究と社会
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書籍情報
- ISBN:9784621313275
- ページ数:224頁
- 書籍発行日:2026年10月
- 電子版発売日:2026年10月20日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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