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Prostate Journal 2026年10月号(Vol.13 No.2)【特集】前立腺がん検診の国内外の最新動向─前立腺がん検診ガイドライン 2025 年版,EU 勧告, ERSPC 最新報告から読み解く国際潮流─

  • ページ数 : 98頁
  • 書籍発行日 : 2026年10月
  • 電子版発売日 : 2026年10月27日
¥4,510(税込)
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商品情報

内容

【特集】前立腺がん検診の国内外の最新動向─前立腺がん検診ガイドライン 2025 年版,EU 勧告, ERSPC 最新報告から読み解く国際潮流─
ガイドライン改訂の背景と概要/前立腺癌の疫学/前立腺がん検診ガイドライン 2025 年版におけるリスク評価の新展開 ─ HBOC と 5α還元酵素阻害薬服用者への対応─ ほか

序文

序文


前立腺がんの早期発見に有効とされるPSA検診は,無作為比較試験(RCT)が存在しなかった時期や,PLCO試験で死亡率低下が確認されなかった時代には,否定的な意見が多くみられた。その後,EuropeanRandomized Study of Screening for Prostate Cancer(ERSPC)の長期追跡により死亡率低下が示されたものの,過剰診断や過剰治療の問題から,対策型検診としての導入には依然として慎重論が残っていた。

しかし近年,ERSPCの詳細な解析や診断・治療技術の進歩により,不利益の課題は残るものの,死亡率の低下,転移がん比率の低下,質調整生存年(QALY)の評価などから,利益が不利益を上回ることが明確になりつつあり,各国の政策環境は大きな転換点を迎えている。特に注目すべきは,2022年に欧州委員会(European Commission:EC)が新しいがん検診勧告案(COM(2022)474)を公表し,欧州連合(EU)として初めて前立腺がん検診の段階的導入を加盟国に公式に提案したこと,さらに2023年のEU4Healthプログラムにおいて,実施可能性評価,試験導入,ロールアウトのための予算が具体的に配分されたことである。これは「世界的にPSA検診は推奨されていない」という従来の認識を大きく転換する動きであり,国際的潮流がリスク層別化を前提とした前立腺がん検診の段階的導入へ進みつつあることを示している。

一方,本邦では,国立がん研究センターによる前立腺がん検診の評価が2008年以来「死亡率低下効果は明確でない」とされ,推奨グレードIが継続しており,自治体によるPSA検診の実施には慎重な姿勢がとられている。こうした状況の下,日本泌尿器科学会は2008年版,2010年増補版,2018年版に続き,2025年9月に「前立腺がん検診ガイドライン2025年版」を発刊した。本改訂では,Minds診療ガイドライン作成の手法に準拠し,疫学・リスク因子・検査法・検診体制・国際ガイドライン比較などを最新のエビデンスに基づいて整理するとともに,PSA検診の推奨度を更新した。また,受診前後のファクトシートの刷新や精度管理の明確化など,行政やプライマリケア医にも利用しやすい構成とした点も特徴である。さらに,こうした改訂の背景には,国内で広まりつつある共有意思決定(Shared Decision Making:SDM)の考え方がある。「がん検診SDM運用マニュアル2022年度版」では,前立腺がんに限らずすべてのがん検診において,利益と不利益を適切に伝え,受診者が自らの価値観に基づいて判断することが求められるとしており,検診提供の在り方そのものが見直されつつある。本特集では,SDMを前立腺がん検診だけの課題としてではなく,全がん検診に共通する基盤的な概念として位置づけ,その概略を紹介した。加えて,ガイドライン発刊後にはERSPCの23年間の追跡結果(NEJM 2025)が公表され,PSA検診による前立腺がん死亡率の低下効果(RR 0.87,95%信頼区間 0.80〜0.95)が長期にわたり維持されることが明確となった。これらの知見は,前立腺がん検診の科学的評価と政策的評価の双方において,極めて重要な位置を占めている。

本特集の前半では,前立腺がん検診ガイドライン2025年版の改訂内容を泌尿器科医にわかりやすく整理し,後半では,国内の検診状況,EU勧告の詳細,ERSPC 23年報告,さらにすべてのがん検診に求められるSDMの考え方など,ガイドラインの背景にある国際的・社会的要素を補足して,2026年時点における前立腺がん検診の「現在地」を総合的に示した。また,執筆陣には,長らく日本の前立腺がん検診を支えてこられたベテランの先生方に加え,今後を担うことが期待される若手の泌尿器科医にも加わっていただいた。本特集が,日本の泌尿器科医の皆様の前立腺がん検診に関する知識の整理・更新に,少しでもお役に立てれば幸いである。


深貝 隆志
昭和医科大学医学部泌尿器科学講座

目次

特集  前立腺がん検診の国内外の最新動向─前立腺がん検診ガイドライン 2025年版,EU勧告, ERSPC最新報告から読み解く国際潮流─

序文

昭和医科大学医学部泌尿器科学講座 深貝 隆志

Part 1:ガイドライン 2025年版の総論解説

1.ガイドライン改訂の背景と概要

群馬大学大学院医学系研究科泌尿器科学 鈴木 和浩

2.前立腺癌の疫学

長崎労災病院 酒井 英樹

3.前立腺がん検診ガイドライン 2025年版におけるリスク評価の新展開 ─ HBOCと 5α還元酵素阻害薬服用者への対応─

札幌医科大学泌尿器科学講座 小笠原卓音,他

4.検診の対象・検査法・間隔

国家公務員共済組合連合会舞鶴共済病院泌尿器科 沖原 宏治

5.日米の検診発見がん・臨床診断がんの特性と疫学的動向

医療法人社団美心会黒沢病院泌尿器科 伊藤 一人

6.住民検診・人間ドック検診システムと精度管理─前立腺がん検診の再考:適正検出と過剰検査抑制の視点から─

昭和医科大学医学部泌尿器科学講座 押野見和彦,他

7.前立腺がん検診ガイドラインの国際比較:日本 2025年版と海外ガイドラインの接点

東邦大学医療センター佐倉病院泌尿器科 内海 孝信,他

Part 2:ガイドライン理解を深める国内外動向と最新エビデンス

1.日本における前立腺がん検診の現状(研究)

群馬大学大学院医学系研究科泌尿器科学 関根 芳岳,他

2.日本における前立腺がん検診の現状(今後の取り組み)

滋賀医科大学泌尿器科学講座 和田 晃典,他

3.欧州委員会(EC)の前立腺癌検診導入勧告(2022〜2023年)とその背景

東海大学医学部外科学系腎泌尿器科学領域 松本 直子,他

4.Shared Decision Making(SDM)と前立腺がん検診─「がん検診 SDM運用マニュアル 2022年度版」を中心に─

自治医科大学腎泌尿器外科学 杉原 亨

5.ERSPC 23年フォローアップ結果からみる PSA検診の長期効果

医療法人社団美心会黒沢病院泌尿器科 伊藤 一人

座談会

[PEACE -3座談会]

ゾーフィゴの新たな可能性─ PEACE-3試験からの知見:実臨床への展開─

  司会:鈴木 和浩

演者・討論者:上村 博司、木村 高弘、橋本 浩平

総説

転移性ホルモン感受性前立腺癌治療におけるエンザルタミドの有用性:有効性,安全性, 患者報告アウトカムおよび医療経済性に関する文献レビュー

アステラス製薬株式会社メディカルアフェアーズ本部 齋藤 睦,他

書評

尿のはなし─その影と光─

日本大学総合科学研究所教授 早川 智

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書籍情報

  • ISBN:9784865176988
  • ページ数:98頁
  • 書籍発行日:2026年10月
  • 電子版発売日:2026年10月27日
  • 判:A4判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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