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患者満足度UP! 安全で苦痛のない 麻酔下胃内視鏡検査実践マニュアル

  • ページ数 : 127頁
  • 書籍発行日 : 2026年11月
  • 電子版発売日 : 2026年10月29日
¥3,960(税込)
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商品情報

序文

まえがき

本書は、主にプロポフォールやアネレムⓇ(一般名:レミマゾラムベシル酸塩)を用い、すべての患者に苦痛のない胃カメラ検査を、安全に実施するための実践書です。

アネレムは、2025年6月24日に「消化器内視鏡診療時の鎮静」を効能・効果として製造販売承認され、同年8月14日に静注用20mgが薬価収載された新しい鎮静薬です。

アネレムは即効性があり、覚醒も速やかで、同じベンゾジアゼピン系であるドルミカムⓇ(一般名:ミダゾラム)よりも、むしろプロポフォールに近い特性を有しています。そのため、プロポフォールからアネレムへの移行よりも、ドルミカムからアネレムへの移行のほうが、より注意を要します。プロポフォールと比較した場合、呼吸抑制が少ないこと、保険請求が可能であること、アネキセートⓇ(一般名:フルマゼニル)によるリバースが可能であることが利点として挙げられます。また、ドルミカムと比較すると、即効性があり覚醒が速いこと、さらにアネキセート投与後の再鎮静が少ない点が特徴です。

従来、内視鏡検査における適切な鎮静深度は、中等度鎮静、すなわち問いかけに反応可能なレベルの「意識下鎮静」が推奨されてきました。しかし、プロポフォールやアネレムは即効性を活かして追加投与が容易であるため、より深い鎮静を得ることが可能です。その一方で、呼吸管理に関しては、これまで以上に高度な注意と理解が求められます。

プロポフォールやアネレムを適切に使用すれば、研修医が施行した検査であっても、「これまでで一番楽だった」と患者から評価されることは珍しくありません。事故なく麻酔を行うことができれば、患者満足度は極めて高いものとなります。これまで1 ~ 2割程度存在した「麻酔が効きにくい患者」に対しても、良好な評価を得られます。ほぼすべての患者が苦痛なく胃内視鏡検査を受けられるようになり、楽だという評判が噂として拡散されるレベルに到達するでしょう。

一方で、医師にとって使い慣れた鎮静薬を変更することは、大きな決断を伴います。本書では、実臨床で導入しやすいよう、プロポフォールおよびアネレムの使用方法を可能な限りマニュアル化しました。プロポフォールまたはアネレム麻酔を実施する前に、第1章から第4章までは必ずお読みください。

本書によって、誰もが安心して、かつ高い評価を得られる「楽な胃内視鏡検査」を実施できるようになることを、心から願っています。

注: 本書に記載する薬剤名および医療機器名については、各章の初出のみ商標記号を付記し、以降は省略しています。


2026年10月

後藤利夫

目次

第1章 麻酔準備編

1.呼吸管理用品

 ①生体モニター(または酸素飽和度モニターと血圧計)

 ②酸素ボンベ・鼻カニューレ・アンビューバッグ・挿管キット

2.固定式マウスピース

 ①バンド付きマウスピースを使用する

 ②バンドは強くかけ、噛ませたら速やかに麻酔を開始する

3.三方活栓付き留置針

 ①以前は「ベンフロン」を使用していた

 ②留置針に三方活栓を直付けして代用する

4.ミンクリア内用散布液

 ①鎮痙剤はブスコパンを使用する

 ②ブスコパン禁忌例や無麻酔検査ではミンクリアを使用する

5.アネキセート・リバース

 ①アネレムはアネキセートで拮抗可能

 ②アネレムは覚醒後再鎮静が少ない

6.麻酔同意書

 ①検査前に麻酔同意書へ署名をもらう

 ②麻酔同意書のダウンロード

7.マニュアル化

 ①麻酔事故を防ぐためにマニュアル化する

 ②「指差し確認」より「フールプルーフ」

8.スタッフ・マニュアル

 ①スタッフ・マニュアルはシンプルに作成する

 ②スタッフ・マニュアルのダウンロード

9.準備するもの一覧

 ①準備するもの一覧を作成する

 ②準備するもの一覧のダウンロード

第2章 麻酔知識編

1.アネレムについて

 ①アネレムは新しい鎮静薬

 ②安全に使用するためには十分な知識が必要

2.アネレムの禁忌

 ①アネレムの禁忌は過敏症・緑内障・重症筋無力症

 ②アネレム禁忌例ではプロポフォールを使用する

3.プロポフォールからアネレムへの移行

 ①プロポフォールからアネレムへの移行は容易

 ②プロポフォールとアネレムの主な違い

4.ドルミカムからアネレムへの移行

 ①ドルミカムからアネレムへの移行は要注意

 ②アネレムとドルミカムの類似点と相違点

5.内視鏡における鎮静度について

 ①ドルミカムでは意識下鎮静が基本だった

 ②プロポフォールやアネレムでは、より深い鎮静が可能

6.麻酔への誘導

 ①胃カメラは麻酔への誘導を基本とする

 ②無麻酔を選択した場合は注射を行わない

7.麻酔事故防止

 ①マニュアルを必ず守る

 ②患者の背中側に常にスタッフを配置する

8.患者の体位

 ①おしりは後ろ、肩は前の前傾姿勢にする

 ②左足は伸ばし、右足は90度に曲げて右膝をベッドにつける

9.患者の頭の位置

 ①ヘッドダウン

 ②うつ伏せ気味にする

 ③顎挙上

10.酸素投与

 ①酸素飽和度(SpO2)低下時は、まず呼吸確認と顎挙上

 ②低い呼吸音(いびき音)では顎挙上を優先

 ③高い呼吸音(笛音)では酸素を全開投与

11.顎挙上

 ①挿入時に顎挙上する

 ②SpO2が低下した際に顎挙上する

 ③いびき音が聞こえた際に顎挙上する

12.アンビューバッグの使い方

 ①アンビューバッグは直ちに使用できる状態にしておく

 ②アンビューバッグの具体的な使い方

13.アナフィラキシーショック

 ①アナフィラキシーショックは5分が勝負

 ②ボスミンを大腿外側に0.3mL筋注する

14.キシロカインアレルギー

 ①キシロカインアレルギーでは咽頭麻酔ができない

 ②細径スコープを使用し、鎮静量をやや多めにする

15.モビプレップ注入法

 ①胃カメラ時に大腸検査用下剤を注入する

 ②モビプレップ注入前にアネレムを1mL追加する

16.車の運転について

 ①プロポフォールやアネレム使用当日は運転させない

 ②運転制限時間は将来的に変更される可能性がある

17.麻酔コストについて

 ①アネレムは高価だが、拮抗薬がほぼ不要

 ②アネレムは高価だが、保険請求が可能

18.プロポフォールについて

 ①プロポフォールは卵・大豆アレルギーが禁忌

 ②呼吸状態や血圧が不安定な人には使いにくい

第3章 麻酔実施編

1.ピロリ菌情報の確認

 ①検査前にピロリ菌情報を確認する

 ②ピロリ菌の状態を区別して把握する

2.アネレム・プロポフォールの初期投与量

 ①プロポフォールの初期投与量

 ②アネレムの初期投与量

3.アネレム・プロポフォールの追加方法

 ①初期投与後の追加投与方法

 ②挿入開始のタイミング

4.アネレム・プロポフォールを1mL節約する方法

 ①酸素飽和度(SpO2)が低下しやすい患者

 ②アネレム・プロポフォールを1mL節約する工夫

5.鎮静判定

 ①体動消失と脱力の確認

 ②SpO2の変化による確認

6.逆流防止

 ①逆流が咳込み・むせの原因になる理由

 ②体位・頭位による即時対応

 ③胃内に入ったら直ちに胃液を吸引する

7.麻酔下の観察順序

 ①アネレム・プロポフォール麻酔下では、十二指腸観察を最初に行う

 ②アネレム・プロポフォール麻酔下では、食道観察を最後に行う

8.前半は呼吸管理を最優先する

 ①検査前半は呼吸管理に注意する

 ②酸素飽和度(SpO2)90%未満時の対応

9.後半は体動を重点的に観察する

 ①検査後半は小さな体動に注意する

 ②体動があった場合の追加投与判断

10.覚醒確認後に退出する

 ①検査後すぐに生体モニターを外さない

 ②覚醒の最終確認と退出基準

11.プロポフォールの使い方

 ①プロポフォールはアネレムと同様に使用できる

 ②プロポフォールが有用な症例

第4章 トラブル対策編

1.酸素飽和度(SpO2)が下がる場合の対応

 ①SpO2 90%未満時の基本対応

 ②SpO2の「10秒ルール」

2.咳込んだ場合の対応

 ①咳込んだら、直ちに体位を変更する

 ②咳が止まった後の対応

3.むせた場合の対応

 ①むせは最も注意すべき状態

 ②即時対応:スコープ抜去・体位・酸素投与

4.暴れる場合の対応

 ①暴れる原因は麻酔不足

 ②急に暴れた場合の具体的対応

5.しゃっくりが出た場合の対応

 ①しゃっくりは体動ではなく、追加投与は不要

 ②多くは自然に治まる

6.げっぷが出る場合の対応

 ①げっぷが出てエアが抜ける患者

 ②麻酔下での対応:喉を軽く押さえる

7.血圧が下がった場合の対応

 ①血圧低下が予想される患者では、初回投与量を減らす

 ②血圧低下により覚醒しない場合の対応

8.アネレムが効かない場合の対応

 ①ベンゾジアゼピン常用者ではアネレムが効きにくい

 ②当日は最小限の追加で対応し、次回から薬剤を変更する

9.呼吸抑制への対応

 ①酸素飽和度(SpO2)が下がったら、まず自発呼吸を確認する

 ②自発呼吸がない場合は、直ちにアンビューバッグで換気する

第5章 困難症例編

1.太った人・首の短い人・顎の小さい人への対応

 ①太った人・首の短い人・顎の小さい人は、要注意

 ②細いスコープ使用と、麻酔に時間をかける工夫をする

2.高齢者・痩せた人への対応

 ①痩せた高齢者は少量で十分効くことがある

 ②追加は投与間隔をあけ、ゆっくり慎重に行う

3.初めての人・久しぶりの人への対応

 ①初めて、または長期間あいている人は要注意

 ②転ばぬ先の杖で、あらかじめ対策しておく

4.他院から来る人・前回苦しかった人への対応

 ①他院から来る人、前回苦しかった人は要注意

 ②麻酔に強く、十分な量が必要な人が多い

5.むせやすい人への対応

 ①むせやすい人は、最初から十分に麻酔をかける

 ②むせた既往は必ずカルテに記載する

6.注射嫌いな人への対応

 ①無麻酔なら注射をせずに胃カメラ検査ができる

 ②ミンクリアは禁忌の多い人にも使いやすい

7.しゃべりだす人への対応

 ①麻酔投与後にしゃべりだす人は要注意

 ②検査室に入った直後からしゃべる人は緊張が強い

8.食道ヘルニアの人への対応

 ①食道ヘルニアのある人は胃液が逆流しやすい

 ②胃内に入ったら直ちに胃液を完全に吸引する

第6章 無麻酔検査編

1.喉麻酔の考え方と使い方

 ①喉麻酔をしっかり行えば反射はかなり防げる

 ②キシロカインが使えない人は鎮静薬で補う

2.細径スコープ(経鼻スコープ)の活用

 ①経鼻スコープは経口でも有効

 ②経鼻スコープでは瀑状胃に注意

3.スコープ操作の基本

 ①げっぷを誘発しないよう、スコープはゆっくり操作する

 ②押す操作、特に反転時は慎重に行う

4.声がけの工夫

 ①無麻酔検査では声がけが非常に重要

 ②簡単な指示+肯定が落ち着かせるコツ

5.正中アプローチ

 ①細径スコープは正中から到達させる

 ②顎挙上で通常スコープも正中アプローチが可能

6.食道挿入

 ①麻酔下では一瞬送気して通過させる

 ②無麻酔では嚥下動作を利用する

 ③左梨状窩ポケットへの迷入に注意

7.食道の逆流

 ①胃液の逆流は咳・むせの原因になる

 ②食道内の胃液は「吸引してから送気」する

8.空気量

 ①空気量は前半少なく、後半多く

 ②十二指腸挿入前は脱気する

9.反転位置

 ①前庭部で反転できない人がいる

 ②胃体上部で反転する

10.覚醒下の観察順序

 ①食道は最後に観察する

 ②十二指腸は最後に観察する

11.反転での小弯観察

 ①スーパーアップはフルアップよりさらに強いアングル

 ②反転での小弯観察にはスーパーアップを使う

12.胃下垂の人

 ①痩せた胃下垂の人は幽門輪に届きにくい

 ②ダウンアングルを使って大弯を這うように進める

13.瀑状胃の人

 ①瀑状胃の人を経鼻スコープで挿入するのは難しい

 ②胃内の空気を完全に抜いて胃を虚脱させる

第7章 高速観察編

はじめに 早くて見逃しのない粒良流観察法の実際

1.早くても見逃さない観察法

 ①直線観察法はプロポフォールやアネレム麻酔に最適

 ②スコープの移動中も観察できる

2.検査前の注意点

 ①検査の前に、いつも初心に帰る

 ②自分に厳しく、患者にやさしく

3.検査中の注意点

 ①色の変化と形態の変化を見る

 ②常に眼力を鍛え、センスを磨く

4.病変部の観察

 ①まず一通りの検査をする

 ②病変部は遠景と近景で撮る

5.病変部の写真の撮り方

 ①写真のコツは「連続・展開・接近」

 ②NBI・色素散布は肉眼像と対比させる

6.粒良流の観察手順

 ①粒良流は直線的に操作する

 ②実際の手順(写真枚数例)

7.粒良流のポイント1 喉の挿入

 ①喉の挿入は患者の肩の力を抜かせる

8.粒良流のポイント2 食道(挿入時)

 ①食道観察の基本

 ②異常部位の確認と記録

9.粒良流のポイント3 洗浄

 ①胃内観察の順序

 ②洗浄の方法

10.粒良流のポイント4 見下ろしプッシュで後壁

 ①後壁の観察方法

 ②胃角から前庭部小弯まで

11.粒良流のポイント5 反転プルで前壁

 ①前壁の観察方法

 ②反転操作

 ③胃角への戻し

12.粒良流のポイント6 反転プルで後壁

 ①後壁の観察方法

 ②視野確保の工夫

13.粒良流のポイント7 見下ろしプッシュで前壁

 ①前壁の観察方法

14.粒良流のポイント8 十二指腸

 ①十二指腸観察手順

15.粒良流のポイント9 食道(抜去時)

 ①食道観察手順

16.粒良流胃カメラ検査法の写真一覧

 ①粒良流は2回見る

 ②粒良流観察法の写真

17.粒良流胃カメラ観察法のポイント

 ①直線的に観察する

 ②画面上前進するように操作する

 ③同じ部位を2回観察する

18.粒良流観察法の実演動画と最新症例

 ①最新症例はネットで確認可能

19.肉眼的ピロリ判定

 ①現感染

 ②既感染

 ③未感染

20.見学と病医院一覧


索引

あとがき

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書籍情報

  • ISBN:9784765321181
  • ページ数:127頁
  • 書籍発行日:2026年11月
  • 電子版発売日:2026年10月29日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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