中心静脈穿刺 基本手技からトラブルシューティングまで

  • ページ数 : 160頁
  • 書籍発行日 : 2026年11月
  • 電子版発売日 : 2026年10月29日
¥5,170(税込)
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商品情報

序文

はじめに

中心静脈へカテーテルを挿入する中心静脈穿刺は、麻酔科医だけでなく、周術期医療や救急・集中治療に携わる医師にとって必須の手技です。一方で、末梢静脈栄養の進歩、手術の低侵襲化、さらにPICCやミッドラインカテーテルなど新しい静脈路確保法の登場により、中心静脈穿刺を行う機会は減少しています。経験できる症例数が限られるなかで、安全かつ確実な手技を習得するための効率的な教育システムの確立が求められています。

中心静脈穿刺の安全性と確実性は、超音波ガイド下穿刺の普及により飛躍的に向上しました。しかしその一方で、不適切な手技による動脈誤穿刺などの合併症は、現在でも完全にはなくなっていません。超音波ガイド下で穿刺を行うのはもちろんですが、そのピットフォールを理解して正確な手技を行わないと予期せぬ合併症を引き起こすことがあります。また、リスクはカテーテル挿入時だけでなく、留置中や抜去時にも存在し、ときには致命的な合併症を引き起こすこともあります。

本書では、まず中心静脈穿刺の基本手技を丁寧に解説し超音波ガイド下での手技が確実に施行できることを目標としました。しかし、患者の状態は多種多様でありいつも基本通りに手技が施行できるわけではありません。そこで20のトラブル症例を提示しました。それぞれの症例について、原因の分析と解決法・対処法を示すことで、実臨床における対応力を身につけられるよう構成しています。本書を通読することで、読者の皆様がより安全で確実な中心静脈穿刺を実践できるようになれば幸いです。また、重要な手技については動画も用意しました。ぜひ本文とあわせてご活用ください。

最後に強調しておきたいのは、それでも挿入困難例に遭遇し、致死的な合併症は起こりえるということです。トラブル発生時には自分一人で頑張らずに応援を要請し、一緒に解決することが重要です。

本書が、中心静脈穿刺に携わるすべての医療従事者の“困ったときに開く一冊”となれば、筆者としてこれに勝る喜びはありません。


2026年10月

宇部中央病院麻酔科
森本康裕

目次

第1章 準備編

1.中心静脈穿刺に関するガイドラインや提言

はじめに

『安全な中心静脈カテーテル挿入・管理のためのプラクティカルガイド 2026』(日本麻酔科学会)

『医療事故の再発防止に向けた提言 ■第17号』(一般社団法人日本医療安全調査機構)

血管内留置カテーテル関連感染予防のためのCDCガイドライン(Guidelines for the Prevention of Intravascular Catheter-Related Infections)―2017年部分改訂―

SHEA/IDSA/APIC急性期病院における中心静脈ライン関連血流感染症予防のための戦略2022年update

まとめ

2.中心静脈穿刺の適応と禁忌

はじめに

適応

禁忌

適応と禁忌の判断

まとめ

3.使用するデバイス

はじめに

穿刺針

ガイドワイヤー

ダイレーター

カテーテル

被覆材

まとめ

4.PICCとミッドラインカテーテル

はじめに

PICC

ミッドラインカテーテル

まとめ

5.使用する超音波装置

はじめに

超音波検査

プローブ

超音波装置の操作

画面の左右を確認するには?

まとめ

6.準備する物品

はじめに

穿刺針・カテーテル

無菌操作関連

超音波装置関連

モニタリング

合併症の早期対応

まとめ

7.挿入場所

はじめに

挿入場所として求められる条件

手術室

ICU、救急外来

血管造影室、CVセンター

一般病棟(適応を慎重に)

まとめ

8.挿入時の感染防止法

はじめに

挿入前の準備

挿入時の感染防止

挿入後の管理

まとめ

9.インフォームドコンセント

はじめに

説明すべき内容

同意の確認

まとめ

10.トラブルシューティング

CASE 1.中心静脈カテーテル(CVC)の挿入を予定したが、患者が抗凝固療法中だった

CASE 2.前回の入院時に中心静脈穿刺が困難だった

第2章 手技編

1.手技の実際

はじめに

プレスキャン法

リアルタイム超音波ガイド下法

まとめ

2.プレスキャン法

はじめに

適応

手技(内頚静脈)

まとめ

3.短軸-交差法

はじめに

Sweep scan technique

Swing scan technique

Sweep scan techniqueによる穿刺

Sweep scan techniqueによる針の誘導

針を誘導するもう一つの方法(swing scan technique)

まとめ

4.長軸-平行法

はじめに

適応

静脈の長軸像の描出法

3 step method

穿刺の実際

まとめ

5.中心静脈カテーテルの挿入部位

はじめに

内頚静脈(Internal Jugular Vein)

鎖骨下静脈(Subclavian Vein)

大腿静脈(Femoral Vein)

外頚静脈(External Jugular Vein)

まとめ

6.内頚静脈

はじめに

解剖

ランドマークとプレスキャン

確認ポイント

穿刺の実際

挿入後

まとめ

7.鎖骨下静脈

はじめに

解剖

ランドマークとプレスキャン

穿刺の実際

まとめ

8.大腿静脈

はじめに

解剖

ランドマークとプレスキャン

穿刺の実際

まとめ

9.他の挿入部位

はじめに

外頚静脈

肘正中皮静脈

まとめ

10.トラブルシューティング

CASE 3.動静脈の重なりが大きい

CASE 4.肥満患者で血管が描出しにくい

CASE 5.静脈が虚脱している

CASE 6.プレスキャン時に解剖学的異常に気づいた

CASE 7.超音波画像上針は血管内にあるのに、血液の逆流がない

CASE 8.ガイドワイヤーが進まない

CASE 9.ガイドワイヤーを抜こうとしたが抜去できない

CASE 10.ガイドワイヤー挿入時の不整脈

CASE 11.ダイレーターが挿入できない

CASE 12.カテーテル挿入時に抵抗がある

CASE 13.カテーテルを挿入したが静脈血の逆流がない

CASE 14.カテーテル挿入後の位置異常

CASE 15.カテーテルを動脈に誤挿入した

CASE 16.カテーテル挿入後の気胸

第3章 管理編 その他

1.挿入後の感染予防

はじめに

カテーテル挿入後の管理(維持管理)

避けるべきこと

まとめ

2.中心静脈ルート管理の注意点

はじめに

気胸・血胸

カテーテル関連血栓症

カテーテル抜去時の注意

まとめ

3.日々のトレーニング法

はじめに

イメージトレーニング

超音波操作

ファントム・シミュレーターでのトレーニング

実臨床での意識的トレーニング

施設内・学会などでの講習会

まとめ

4.トラブルシューティング

CASE 17.カテーテル挿入翌日の呼吸困難

CASE 18.ダブルルーメンカテーテルの1つのルーメンが閉塞した

CASE 19.カテーテル感染の疑い

CASE 20.カテーテル抜去後の呼吸困難

コラム

消毒薬の選択(クロルヘキシジン vs ポビドンヨード)

長軸-平行法もマスターする意義

カラードプラーによる動静脈の判別

人工呼吸中の患者での注意点

カテーテルのフラッシュには生理食塩液 or ヘパリン入り生理食塩液

肺エコーによる気胸の診断

緊急時の大腿動静脈穿刺

深部の静脈穿刺時の注意点

局所浸潤麻酔も超音波ガイド下で

内頚静脈の近傍に太い下甲状腺動脈を同定した症例

静脈系の異常があった症例

右内頚静脈からのCVC挿入時におけるガイドワイヤー挿入長と不整脈発生の関係

CVCと中心静脈圧波形

重症脳障害患者と内頚静脈血酸素飽和度

鎖骨下静脈穿刺時の気胸の経験

ファントムと患者の違い

中心静脈穿刺後の遅発性気胸

CRBSIを疑ってCVCを抜去した後、新たなカテーテルを挿入可能なタイミングは

Durant体位

CVCと空気塞栓症


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書籍情報

  • ISBN:9784765321211
  • ページ数:160頁
  • 書籍発行日:2026年11月
  • 電子版発売日:2026年10月29日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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