こどもの義手・義足 考え方と使い方

  • ページ数 : 270頁
  • 書籍発行日 : 2026年10月
  • 電子版発売日 : 2026年10月30日
¥5,940(税込)
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商品情報

内容

小児の義肢診療の貴重な道しるべ
小児の切断や四肢形成不全に対する義肢診療は,成人とは異なる知識とスキルが求められるが,経験を積む機会は限られている.本書は,多職種連携診療を行う東京大学病院リハビリテーション科・四肢形成不全外来の十余年にわたる実践をもとに,発生学的な病態から治療の考え方,義足・義手の適応と特徴,理学療法・作業療法の評価,国内外の取り組みまでを一冊にまとめた.こどもの成長・発達や本人・家族の思いに寄り添いながら義肢診療を行うための知識を,医師,義肢装具士,療法士など小児医療に関わるすべての専門職に向けて解説する.

序文

序文


少子高齢化が進む日本では,リハビリテーション医療の対象が中高年者にシフトし,多くの専門職にとって小児の診療経験を積む機会が少なくなっている.特に切断と義肢に関しては,骨肉腫等の四肢悪性腫瘍に対する治療法が進歩し切断術を受ける患者が減ったこともあり,小児の症例を経験する機会が極めて少ない.一方で“Childrenare not small adults.”という言葉があるように,身体的にも精神的にも成長・発達過程にある小児の診療には,特有の知識やスキルが求められる.

このような状況下で,東京大学病院リハビリテーション科では2013年に四肢形成不全外来を開設し,小児の先天性四肢形成不全と後天性切断を対象に多職種連携診療を開始した.診療および関連する研究は,東京大学病院内の他診療科,さらには外部機関と協力して進める形を取り,研究成果も積極的に発信してきた.本書は主に,四肢形成不全外来の開設以来十余年にわたる経験と成果をまとめたものである.この間にも四肢形成不全の病態解明や手術を含めた治療法が進み,義肢に関係したテクノロジーも発展してきており,できるだけ新しい情報を本書には収載している.いずれは小児の四肢形成不全や切断に対して,移植医療や遺伝子治療,さらには再生医療が導入される日が来るかも知れないが,期待を持って見守りたい.

本書では,小児切断や四肢形成不全の診療になじみが少ない方々にもわかりやすい記述を心掛けた.超高齢社会であるからこそ,一人ひとりに適切かつ丁寧に対応し,彼らの未来を拓くことがわれわれに求められており,本書がその一助となることを心から願っている.


2026年9月

芳賀信彦

目次

総論

1章 小児のリハビリテーション医療と義肢

1-1 小児義肢の診療で目指すもの[芳賀信彦 藤原清香]

小児切断クリニックの歴史/四肢形成不全外来の立ち上げと体制/四肢形成不全外来における診療

1-2 四肢形成不全と後天性切断の小児の特性[後藤美和 藤原清香]

四肢形成不全と後天性の小児切断/リハビリテーション診療への影響/四肢形成不全の特性/

原疾患や合併症により長期の療養を必要とする場合の心理的問題/家族の精神心理面/

信頼関係の構築─患者-医療者関係で重要となる因子/

子どものやる気や意欲に関連する要因/行動変容アプローチ/多職種連携/家族との連携

1-3 小児義肢の特徴[藤原清香]

乳幼児期から児童期の義肢/学童期から思春期の四肢形成不全児の義肢/幼稚園・保育園・学校教育などで用いるその他の義肢/

小児の義肢に関わる制度・特例補装具申請の仕方と準備

2章 病態,疫学,治療

2-1 病態[芳賀信彦]

四肢の正常発生と成長/四肢形成不全の病態

2-2 分類と疫学[芳賀信彦]

四肢形成不全の分類と疫学/後天性切断の分類と疫学

2-3 治療の考え方[芳賀信彦]

小児に対する切断術の特徴/四肢形成不全に対する治療法の選択/下肢形成不全に対する切断と患肢温存

3章 海外の小児義肢の現状

3-1 カナダの小児義肢クリニックの診療方針とその実際[藤原清香]

Holland Bloorview Kids Rehabilitation Hospitalの歴史/小児切断児への支援体制とThe War Amps/

HBKRHの補装具部門の役割と体制/HBKRHのProsthetic Serviceの小児義肢診療の流れ/

出生前サポートから老年期までのすべての世代に対応できる人材と施設/

HBKRHの小児リハビリテーション医療で活用できる補装具開発とその普及システム/Agility Clinicの意義

Q&A

各論

4章 小児に対する義足

4-1 小児義足の適応[岡田慶太 柴田晃希]

成長に合わせた義足適合/家族との連携とピアサポート/小児義足の適応疾患/義足型装具の適応疾患/下肢切断術

4-2 小児義足の特徴[柴田晃希]

残存機能を保護する重要性/義足表面のデザインプリント/義足の構造による分類/義足の処方と製作/小児義足の製作手順/

ソケット/懸垂装置/主要な義足部品/義足のアライメント/防水義足

4-3 下肢形成不全と後天性下肢切断の小児の評価と理学療法[後藤美和 柴田晃希]

義足製作前・切断術前/切断術直後の管理/義足製作後/義足歩行開始後/患者紹介①/患者紹介②

5章 小児に対する義手

5-1 小児義手の適応[藤原清香]

上肢形成不全児の治療の歴史/上肢形成不全児の義手の適応/上肢形成不全児への義手処方/

幼児から学童期の活動から見た義手の適応/義手の適応のある横軸欠損児の推定出生数/

横軸欠損の切断高位と各種義手の適応/手指欠損例・縦軸欠損例での義手の適応/

本邦の義手に係る医療提供体制の課題/小児の能動義手・筋電義手・電動義手の適応判断

5-2 小児義手の特徴[越前谷 務 柴田晃希]

義手の機能による分類/義手の処方・適合・製作/ソケットの選択/様々な上肢形成不全に対する小児義手

5-3 上肢形成不全児の評価と作業療法[野口智子 西本実桜]

小児義手の作業療法/各種義手と作業療法/上肢形成不全児を支える人との関わり/事例紹介

6章 国内の小児義肢に関わる取り組み

6-1 小児用義手部品の開発と紹介[藤原清香]

TRS(現Fillauer TRS)社の各種手先具/海外の小児用の義手手先具を使用して見えてきた課題と解決法/

国産義手部品を開発するメリット/小児用の義手手先具開発チーム/LAPOC プエルハンドシリーズ

6-2 小児用義肢のデザイン・開発におけるエンジニアとのコラボレーション[大西謙吾]

小児用義肢のデザイン・開発/エンジニアとのコラボレーション/小児用義肢の設計・試作・テスト

Q&A

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書籍情報

  • ISBN:9784498245181
  • ページ数:270頁
  • 書籍発行日:2026年10月
  • 電子版発売日:2026年10月30日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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