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- 兵庫こども小児救急プラクティス
商品情報
内容
序文
序
兵庫県立こども病院は,1970年の開院以来,兵庫県における小児医療の中核を担ってきました。2007年に小児救急医療センターが開設され,2016年須磨区からポートアイランドへ移転したことを契機に,救急診療体制が大きく再編されました。救急科と総合診療科が新たに設けられ,集中治療部門が独立し,あらゆる子どもの初期診療を担うER型救急診療体制が始まりました。2017年には小児救命救急センターに指定され,救急科,総合診療科,PICU,各専門診療科,各部門が連携しながら,今日まで歩みを重ねてきました。
兵庫県立こども病院救急科(以下,兵庫こどもER)の理念は,24時間365日,病気やけがの種類,かかりつけの有無や内因性・外因性を問わず,軽症から重症まで,すべての子どもに根拠に基づく丁寧な診療を行い,子どもとその家族に安全と安心を届けることです。この理念を実現するためには,指導医,フェロー,専攻医といった医師だけでなく,看護師をはじめとする多職種が,知識・技術,そしてチームとしての力を絶えず更新していかなければなりません。
私たちは,小児救急のバイブルともいわれる『Fleisher & Ludwig's Text -book of Pediatric Emergency Medicine』(通称フライシャー)を学びの柱とし,日々発表される新たな医学情報にも常にアンテナを張ってきました。得られた知識や経験を個人のなかにとどめず,ERチーム全体の力へと変えていくため,情報共有ツールを活用し,勤務後には対面で症例を振り返り,月に一度の勉強会を継続しています。
こうした取り組みが兵庫こどもERの文化として少しずつ根づくにつれ,「小児救急を学びたい」という思いで当院を研修先に選んでくれる医師が増え,ERフェローを志望する医師も毎年途切れることなく集うようになり,教えることと教えられることが循環する組織へと成長しつつあります。本書の企画は,まさにそのような循環の延長線上から生まれました。
本書の目次は,Fleisherをはじめとする小児救急の代表的な成書を参考に構成しました。総論では,バイタルサイン・トリアージなど,初期診療の根幹となる項目とPALS・JATECという体系的アプローチを小児救急の文脈で実践できるよう再構成しました。各論では,まずABCDにかかわる緊急性の高い病態を取り上げました。主要な主訴をできる限り網羅し,内因系は症候別に,外因系は部位別外傷およびマイナーエマージェンシーを中心に構成し,事故予防・子ども虐待についても独立した章を設けました。
また,世界標準の診療に可能な限り則ることを基本としながら,私たちが実際の現場で共有してきた工夫や判断の視点を盛り込むことを大切にしようと,「兵庫こどもPoint」「ちなみにPoint」にそのTipsを散りばめています。
本書の各章は,兵庫こどもERで小児救急の研鑽を積んだフェローメンバーが初稿を執筆し,その後何度も推敲を重ねながら完成させました。その過程を支えてくれたのは,私自身がこれまで歩んできた道のりのなかで,厳しくも温かく導いてくださった恩師,先輩方の教えです。また,日々ともに診療している救急科の仲間,看護師をはじめとする多職種の皆様,専門的な立場から惜しみなく助言をくださった各診療科の先生方にも,多くの力をいただきました。本書の企画から刊行まで伴走してくださった編集部の皆様(特に私のわがままなこだわりをいつも笑顔で吸収くださった加賀様)には深く感謝申し上げます。
そして何より,日々の診療を通じて私たちに多くのことを教えてくれた子どもたちと,そのご家族に,深い敬意と感謝を捧げます。本書に記された知識と経験の一つ一つは,そうした出会いの積み重ねによって形づくられたものです。
兵庫こどもERは,今なお進化の途上にあります。本書は,私たちが現時点で到達した一つの記録であると同時に,次の一歩を踏み出すための出発点でもあります。神戸から兵庫へ,関西へ,日本全国へ,そして国境を越えて,すべての子どもたちにより良い救急医療を届けられるよう,私たちはこれからも学び,考え,進化し続けます。
本書が,読者の皆様の日々の診療に寄り添い,目の前の一人の子どもを救うための一助となることを,心から願っています。
2026年10月吉日
兵庫県立こども病院救急科
竹井寛和
序
私が小児科医としての研修を終え,サブスペシャリティとしてより専門的な小児救急医を志して兵庫県立こども病院救急科の門を叩いたのが2021年の4月でした。ほどなくして,それまで行ってきた小児科診療と小児救急診療の違いを痛感することとなりました。限られた時間と情報のなかで,「まず何を除外すべきか」「どの所見を見逃してはいけないのか」を常に問い続ける姿勢こそが,小児救急医に求められる最も重要な能力の一つであることを,指導医や仲間との日々の診療を通して学びました。
本書は,私がフェローとして兵庫県立こどもERで学んできた診療の思考法を,一冊にまとめたものです。小児救急診療の分野で世界的に広く参照されている『Fleisher & Ludwig's Textbook of Pediatric Emergency Medicine』のエッセンスを基盤に,わが国の診療環境を踏まえ,当科で培われてきた実践的な知見や診療現場での工夫を加えることで,日常診療で活用しやすい内容となるよう努めました。各章は,「must rule out疾患」を軸に,それらを示唆する徴候である「red flag」を意識しながら診療を進められる構成としています。
本書で伝えたいのは,知識を網羅することではなく,症候から重篤な疾患を見逃さず,適切な診断・治療へ結び付けるための診療アプローチです。
そして本書にまとめたのは,私一人の経験ではありません。当科で受け継がれてきた学びそのものです。この一冊が,その学びを次の世代へと繋ぎ,小児救急に携わる先生方の日々の診療を支え,その先にいる子どもたちへより良い医療を届けることにつながれば,この上ない喜びです。
2026年10月吉日
兵庫県立こども病院救急科
吉井拓眞
目次
Ⅰ 総論
❶ バイタルサイン
❷ トリアージ
❸ 心停止
❹ 内因系初期診療(PALS)
小児の解剖学的特徴
❺ 外因系初期診療(JATEC)
シミュレーション
プレゼンテーション
Ⅱ 各論 内因系
❶ 呼吸障害
❷ ショック
❸ 失神
❹ 意識障害
❺ けいれん
❻ 発熱
❼ 嘔吐・下痢
❽ 疼痛
A 腹痛
B 頭痛
C 胸痛
D 耳痛
E 陰嚢痛
F 頸部痛
❾ 皮疹
❿ チアノーゼ
⓫ 動悸・頻脈
⓬ 消化管出血
⓭ 泣き止まない・不機嫌
⓮ めまい
⓯ 結膜充血
⓰ 鼻出血
⓱ 鼠径部腫瘤
⓲ 浮腫
⓳ 血尿
⓴ 歩行障害・跛行
Ⅲ 各論-外因系
❶ 傷害予防(事故予防)
❷ 外傷
A 頭頸部外傷
B 腹部外傷
C 上肢外傷
D 下肢外傷
❸ 異物
A 消化管異物・気道異物
B 鼻腔異物・外耳道異物・膣内異物
❹ 創傷・動物咬傷・熱傷
❺ 中毒
❻ 虐待
ERにおける小児の鎮静
緊急使用薬 体重換算表(体重10kg)
緊急度分類表
救急車受入れ連絡票
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書籍情報
- ISBN:9784758317887
- ページ数:440頁
- 書籍発行日:2026年11月
- 電子版発売日:2026年10月30日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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