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- がん看護と看護倫理
商品情報
内容
日本人の2人に1人が生涯のうちにがんに罹患する時代を迎え、看護師は、働く場にかかわらずがん看護に携わる機会が多くなっています。また、近年のがんを取り巻く環境として、がん治療の進化、治療と療養の場の変化、患者の価値観の多様化・複雑化など、多くの大きな変化がみられるようになってきました。
がん患者への看護・かかわりに難しさを感じたり、“もやもや”する倫理的問題が生じる場面も少なくないでしょう。本書では、“がん”という疾患に特有の臨床の“もやもや”や倫理的配慮が不可欠となる場面を、7つのテーマ・18の事例を通して振り返り、倫理的問題への気づきや日々の看護・かかわりの見直しの過程を詳述しています。
医療者として、がん治療による益と害のバランスをとることの難しさを感じたら…、そもそも目の前にいる患者にとっての益・最善とは何かと悩んだら…。
ご自身の、またご施設の看護倫理の醸成に、ぜひ本書をお役立てください。
序文
はじめに
人はそれぞれ固有の人生を生きています。そこで,その人ががんに罹患したとしても,その人の価値観や人生観を尊重し,少しでもその人らしく生活し続けることができるように,看護師は多職種・多部門,施設‒地域間で協働しながら看護に携わります。
がん治療は日々進化しており,治癒や生存期間の延長,症状緩和など,患者に益をもたらす一方,がん治療によるさまざまな副作用症状,機能障害,外見の変化などにより患者の生活に大きな影響を一時的または恒久的に及ぼします。そのためがん治療による生活や人生への影響を嫌がって,根治を目指せる治療であったとしても患者はそれを拒否し,自分らしさやQOLを優先する場合があり,また患者と家族等の意向が異なる場合もあり,医療者としてがん治療による益と害のバランスをとることが難しい状況に直面することが多々あります。患者の価値観が多様化しているなか,そもそもその患者にとっての益とは何か,最善とは何かを考えさせられることが多くなりました。
さらに,がん治療の場は外来・在宅に移行しています。診断や治療の選択肢,今後の見通しに関する説明は外来で行われることがほとんどであり,どの治療をどこで受けるのか・受けないのか,どこで過ごすのか(療養場所)というような意思決定により,その人の人生の長さも質も変わります。しかも,患者は自分のことだけではなく,家族や職場など,さまざまな関係性のなかで意思決定をしていますし,患者を取り巻く人々も,がんという病気により影響を受けていることから,これらを調整しながら多くを外来で対応することが求められるようになりました。
本当にこれでよいのだろうか,という“もやもや感”“倫理的ジレンマ”をもつことが多くなったからこそ,看護師はそこで立ち止まり,他者に伝え,何がよりよいのかを「患者‒家族等患者をとりまく人々‒医療者間」で話し合いながら考え実践する倫理的配慮ががん看護の土台になります。
わが国では毎年,新たにがんと診断される人が約100万人となり,日本人の2人に1人が生涯のうちにがんに罹患する時代です。このことから,看護師は,どこで活動するにおいても,つまり,どの医療施設,介護施設,地域・在宅,行政や教育現場においても,がん看護に携わることが多くなりました。
本書では,第Ⅰ章でがん看護における倫理をとりまく状況を概観し,看護師の立ち位置や看護師に求められる役割,意思決定支援に関する基本的事項,多職種チームや地域でつなぐ倫理的配慮,組織での取り組みについて取り上げています。第Ⅱ章では,がん看護を実践する際に直面するさまざまな倫理的問題について架空の事例を設定して解説しています。なお倫理を考える枠組みについては何を使ってもよいこととしました。
どの項目から読み始めていただいても構いません。
倫理的配慮に基づいた皆様の日々の実践に本書を活用していただけましたら幸いです。
2024年12月
濱口恵子
目次
Ⅰ章 総論
1 がん看護と倫理
2 人を尊重するということ;組織で取り組む倫理的配慮
3 意思決定支援とアドバンス・ケア・プランニング
4 多職種チーム・地域でつなぐ倫理的配慮
Ⅱ章 日常にある倫理的問題と実践
がんであると伝えること
事例① 本人へ病名や病状を説明する際に家族の意向が影響するの?
事例② ガイドラインで推奨されない治療を希望する場合でも,患者の要望は尊重すべきなの?
がん治療方法の選択
事例③ 手術による失声を受け入れられないから,治らなくても放射線治療に決めたのに…
事例④ がんの切除を目指し,積極的に抗がん薬治療に臨む患者の意向に寄り添えていない
事例⑤ 自尊感情が低下した状態で治療をやめたいと言う患者の意向をどう考えればいいの?
ライフステージとがん
事例⑥ 患者から「妊娠を優先させたいという思いは許されないのでしょうか」と相談を受けたけれど…
事例⑦ 認知症を抱える高齢者は侵襲の高い手術を自分の意思で決定できるの?
事例⑧ なんとなく違和感があるなか淡々と診療とケアが進められているけれど,このままでいいの?
事例⑨ 患者・家族・職場と意向が異なる状況なのにこのまま職場復帰をすすめていいの?
キーパーソンとのかかわり
事例⑩ 患者の在宅療養の希望と家族の介護負担のどちらが優先されるの?
事例⑪ がんが進行しつつあるなかで,キーパーソンは同僚でいいの?
苦痛緩和とDNAR
事例⑫ 終末期のがん患者の持続的鎮静の開始は,どのように決めればいいの?
事例⑬ 患者の苦痛を緩和したいのに本人が拒否するのはどうしてなの?
事例⑭ DNAR指示は誰のため?
医療安全と患者の尊厳
事例⑮ 転倒リスクがあるのに離床センサーマットを外していいの?
チーム医療と看護師の姿勢
事例⑯ 病状の進行した患者に積極的な薬物療法の選択でいいの?
事例⑰ 患者の安寧のために提供し始めたはずのケアなのに…
事例⑱ 自分のミスがきっかけではあっても,患者の暴言を受け止め続けなければいけないの?
コラム
医療者の提案と異なる療養場所の希望を言葉にできない
「どうしたいか決めてきて」は,自律性を尊重していることになるの?
頭頸部がん手術時のコミュニケーションの多様化と治療選択
手術ができない局所進行膵臓がんの一次治療について
治療効果があると思い込み,副作用を医師に伝えることを拒否する
遺伝性のがんについて子どもにどう伝えるか?
AYA 世代と向き合う心構え
IADL(instrumental activities of daily living)
高齢者総合機能評価(CGA)
治療期に生じやすい「びっくり離職」
患者の希望をかなえるための退院のタイミング
成年後見制度を知り,備えるには
持続的鎮静を開始後に,家族から持続的鎮静を中止したいと希望があった
看護師も,がん終末期の患者の持続的な鎮静をして看取るのはつらい
痛みのアセスメント;痛みの意味
コミュニケーション
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)
トイレ介助に付き添わなければならないけれど,介助中に他患者に呼ばれてしまった
がんゲノム医療の現場で感じる倫理的問題;がん遺伝子パネル検査を受ける患者の看護
患者の最期の望みをかなえることは“特別扱い”なのか
メンタルヘルスと倫理
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書籍情報
- ISBN:9784867191101
- ページ数:184頁
- 書籍発行日:2025年3月
- 電子版発売日:2025年3月6日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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