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遺伝性腫瘍症候群に関する多遺伝子パネル検査(MGPT)の手引き 2025年版

  • ページ数 : 256頁
  • 書籍発行日 : 2025年3月
  • 電子版発売日 : 2025年3月28日
¥3,960(税込)
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商品情報

内容

多遺伝子パネル検査(MGPT)と遺伝性腫瘍症候群・関連遺伝子に関する情報や臨床上の扱いについて包括的にまとめた、初の指針。
遺伝性腫瘍症候群の診療に関する基礎的な事項、MGPTを用いた診療・管理体制など、詳しく解説している。さらに臓器・遺伝子ごとのマネジメントに関する記載も充実。
診療科を問わず、遺伝性腫瘍症候群の診断・治療に携わるすべての医療従事者にオススメの一冊。

序文

巻頭言

本書は、遺伝性腫瘍症候群の診療における多遺伝子パネル検査(MGPT)の適切な活用を推進し、国民一人ひとりに最適な遺伝性腫瘍症候群診療を提供するための手引きになることを目指して作成しました。

近年の次世代シークエンサーの高速化と低価格化や、2013年米国連邦最高裁判所のMyriad Genetics 社に対するBRCA1/2 遺伝子特許保護適格性否定の判決などを背景に、海外では、遺伝性腫瘍症候群診断のための遺伝学的検査は従来の家族歴や臨床所見に基づく1〜数遺伝子の検索から、多遺伝子パネル検査(multigene panel testing:MGPT)へと主流が移っています。わが国においても、2017年頃からMGPTが臨床検査として実地診療に導入され、着実に広がりをみせています。

これまで、遺伝性腫瘍症候群に関する指針としては、症候群全体を俯瞰したもの、あるいは特定の臓器に焦点を当てたものが国内外で発刊されてきました。しかし、低〜中感受性遺伝子を含めた遺伝性腫瘍症候群関連遺伝子のエビデンスを網羅的にまとめた指針は存在しませんでした。

日本遺伝性腫瘍学会学術・教育委員会は、遺伝性腫瘍症候群関連遺伝子に関する情報と臨床上の扱いを包括的に提示する方法を模索していました。MGPTに関する包括的な指針は海外でも未整備であり、日本での作成には困難が伴うとの声もありました。しかし、日本遺伝性腫瘍学会理事会は、遺伝性腫瘍症候群とMGPT に関する指針作成を決断しました。そして令和6年度から開始した厚生労働科学研究費補助金 がん対策推進総合研究事業「ゲノム情報に応じたがん予防にかかる指針の策定と遺伝性腫瘍に関する医療・社会体制の整備および国民の理解と参画に関する研究」班の課題として、日本遺伝性腫瘍学会との共同編集により、本手引きの発刊に至りました。

手引き作成にあたっては、作成委員間で活発な議論が交わされましたが、それぞれのもつ多様な専門性を尊重し、真摯に議論を重ねることで、合意形成に至ることができました。多くの皆様の多大なるご尽力により、世界に先駆けて遺伝性腫瘍症候群に関する指針を策定できたことに深く感謝申し上げます。

わが国では、がんゲノム医療は「がん患者の腫瘍部および正常部のゲノム情報を用いて治療の最適化・予後予測・発症予防を行う医療(未発症者も対象とすることがある。またゲノム以外のマルチオミックス情報も含める)」と定義されています〔がんゲノム医療推進コンソーシアム懇談会報告書〜国民参加型がんゲノム医療の構築に向けて〜(厚生労働省HP平成29年6月27日より)〕。令和元年6月にはがん遺伝子パネル検査が保険収載され、治療の最適化を目指すがんゲノム医療が本格的に開始しました。しかし、遺伝情報に基づいた発症予防が、未発症者も含めて実地診療に広く導入された時こそ、わが国のがんゲノム医療が真に開始したといえます。

本手引きは遺伝性腫瘍症候群をがん未発症者、既発症者に分けて考えることはしていません。遺伝性腫瘍症候群はがんを発症しやすいという遺伝的な特性であり、遺伝子バリアントに関連するがんはその表現型の一つである、そして遺伝性腫瘍症候群の診断は遺伝学的検査によってのみなされるという基本概念に基づいています。

遺伝情報は本人のものですが、本人だけのものではなく、血縁者で共有します。このことから、私は、遺伝性腫瘍症候群の診療は究極の家庭医療・地域医療であると考えています。本手引きを基盤として、今後、遺伝性腫瘍症候群の診療体制の強化、医療者の人材育成、国民との情報共有など、様々な取り組みを進めていく必要があります。そして、将来的には、腫瘍罹患のリスクを知りたいすべての人が、適切な医療を受けられる社会を実現したいと考えています。

本手引きが、遺伝性腫瘍症候群診療に関わるすべての医療従事者にとって、日々の診療に役立つ指針となることを願っています。そして将来的には、地域の健診事業や人間ドックにおけるMGPTの活用も含め、国民全体でがん予防を目指す社会を創造するための道しるべとなることを切に願っています。


令和7(2025)年3月

厚生労働科学研究費補助金 がん対策推進総合研究事業
「ゲノム情報に応じたがん予防にかかる指針の策定と遺伝性腫瘍に関する医療・社会体制の整備および国民の理解と参画に関する研究」班
研究代表者 平沢 晃

目次

第1章 遺伝性腫瘍症候群の総論

総論1 遺伝性腫瘍症候群の概要

 1.遺伝性腫瘍症候群の基礎的事項

 2.遺伝性腫瘍症候群が疑われる際の遺伝学的検査

 3.バリアントとその解釈

 4.遺伝学的アセスメントから遺伝子情報に基づいたマネジメントまで

 5.遺伝カウンセリング

総論2 遺伝性腫瘍症候群に対するMGPT

 1.遺伝性腫瘍症候群に対するMGPTの概要

第2章 遺伝性腫瘍症候群の診断にかかる遺伝学的検査と診療体制

診療アルゴリズム

BQ1 どのようなクライエントが遺伝性腫瘍症候群の診断のためのMGPTの対象となるか?

BQ2 特定の遺伝性腫瘍症候群の遺伝学的検査はどのような対象者で検討するか?

BQ3 MGPTの特徴と臨床的有用性は?

BQ4 MGPTに関わる遺伝カウンセリングで留意すべきことは?

BQ5 バリアントの病原性解釈はどのように行うか?

BQ6 MGPT と腫瘍組織を用いた遺伝子検査の違いは?

BQ7 疾患発症リスクとの関連性についてのエビデンスが不十分な遺伝子にバリアントが認められた場合の対応は?

BQ8 遺伝性腫瘍症候群の遺伝学的検査にかかる精度管理で留意すべきことは?

BQ9 遺伝情報の取り扱いに関する注意事項は?

FQ1 全エクソーム解析(WES)・全ゲノム解析(WGS)とMGPTの違いは?

第3章 遺伝性腫瘍症候群の臓器別マネジメント

第3章の解説

1 脳・神経

2 下垂体

3 眼

4 甲状腺・副甲状腺

5 乳腺

6 肺

7 胃・十二指腸

8 膵臓

9 胆道

10 大腸

11 腎臓

12 副腎

13 上部尿路

14 前立腺

15 子宮頸部

16 子宮体部

17 卵巣・卵管・腹膜

18 皮膚

19 骨・軟部腫瘍

20 小児

第4章 遺伝性腫瘍症候群の原因遺伝子とマネジメント

第4章の解説

APC

ATM

AXIN2

BAP1

BARD1

BLM

BMPR1A

BRCA1

BRCA2

BRIP1

CDH1

CDK4

CDKN2A

CHEK2

DICER1

EPCAM

FH

FLCN

GALNT12

GREM1

HOXB13

MAX

MEN1

MET

MLH1

MSH2

MSH3

MSH6

MUTYH

NF1

NF2

NTHL1

PALB2

PMS2

POLD1

POLE

PTEN

RAD51C

RAD51D

RB1

RET

RNF43

RPS20

SDHA

SDHAF2

SDHB

SDHC

SDHD

SMAD4

STK11

TMEM127

TP53

TSC1

TSC2

VHL

WT1

第5章 資料

1 家族歴聴取と家系図記載法

 1.家族歴聴取と家系図作成の意義

 2.遺伝性腫瘍症候群における情報収集の留意点

 3.家系図の作成方法

 4.家系図管理と更新における留意点

2 ゲノムバリアントの記載法

 1.ゲノム参照配列

 2.参照配列の記号

 3.バリアントの位置

 4.バリアントの種類とその表記

3 ClinVarの使い方

4 遺伝性腫瘍症候群の診療に関わる専門資格と制度

 1.遺伝性腫瘍専門医

 2.臨床遺伝専門医

 3.認定遺伝カウンセラー

 4.遺伝看護専門看護師

 5.遺伝性腫瘍コーディネーター

 6.ジェネティックエキスパート

5 遺伝性腫瘍診断を目的とした多遺伝子パネル検査(MGPT)に関する説明書・同意書(モデル文書)について

6 各遺伝子の国内外のガイドラインへの掲載状況

おわりに


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書籍情報

  • ISBN:9784307204897
  • ページ数:256頁
  • 書籍発行日:2025年3月
  • 電子版発売日:2025年3月28日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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