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- 子どもの心理発達の臨床
商品情報
内容
本書は,子どもの定型発達の心理発達過程と照らしあわせて,どこの心理発達課題で誤習得が起こっているかを理解して適切な支援と対応を解説.医療,小児保健,心理,教育,福祉関係者など子どもの心理発達や心理ケアに関わるすべての人に必読の1冊.
序文
序文
筆者は現在でいう専攻医時代に,自閉スペクトラム症や注意欠如多動症などの神経発達症群の子どもの見方を学ぶ機会があった.しかしながら,診療のなかでは,神経発達症群の症状以外のことを相談されることも多く,不登校に至った子どもも外来に来ることも多かった.いまなら簡単に答えられることでも,当時は対処法もわからず(筆者が)困っていた.
困っていた筆者を救ってくれたのは,冨田和巳氏の講演であった.法政出版から出された『子どもたちの警告~不登校・いじめは日本の文化』『不登校克服マニュアル~助けを求める子どもたち』を読み,神経発達症群に適応反応症(適応障害)の合併のある子どもを理解できるようになった.加えて,筆者に様々なことを教えてくださったのは精神科医の白橋宏一郎先生であったこともあり,精神障害の知識も小児科医にしては豊富で,精神障害の除外も可能であったのは幸運であった.
かくして,筆者自身がわからないのは,神経発達症群の症状でもなければ,精神障害による症状でもないもので,まさに本書で記す心理的な問題による症状であった.保育所の巡回指導で正常な発達の諸問題を学んだり,各種の文献を読みあさることで,筆者がわからなかった諸症状への対処も少しずつ可能となった.こうなってみると,神経発達症群の子どものことで相談を受けても,実は,定型発達の子どもでも同じことが起こる相談事項がたくさんあることもわかるし,時には対処しないほうが好結果を生むこともあるのを学んだ.本書では,筆者が理解できた子どもの定型発達の心理発達過程を通して,環境要因により病的な心理発達過程にある子どもやその筆者なりの対処法についてふれていきたい.拙著『軽度発達障害の臨床』初版の序文に「本書は専門書ではない.専門書を読めるようになる準備のための本である.それゆえに厳密さや穏当さを欠くところもあるかもしれない」と書いたが,本書も同様である.読者のご批正を受けて,筆者自身も成長したいと思う.
本書は,冨田和巳氏(こども心身医療研究所)の著作や講演からの学びの成果であり,氏に心から深謝するとともに,ご批正をいただきたい.Unit 4は,山形県内で校長を務められた庄司健二氏,養護教諭を務められた土屋隆子氏をはじめとして,筆者の大学院公開ゼミにご参加いただいた教員の実践である.この場を借りて,御礼申し上げたい.
友田明美氏(福井大学子どものこころの発達研究センター)にはマルトリートメントに関して,石井玲子氏(いしい醫院/かみのやま病院)には児童・思春期の精神科学全般に関して,小野寺爽氏(かみのやま病院)には防衛機制に関して,磯村毅氏(スマホ依存防止学会代表)には映像メディアの問題に関してご支援いただき,本書の編集には坂上昭子氏のお世話になった.また,宮城県内,福島県内の小児科医の仲間に,本書の原稿を読んでいただき,理解可能な内容かどうかをご検討いただいた.この場を借りて,厚く御礼申し上げたい.
2025年1月
横山浩之
目次
Unit 1 心理発達の基本を探る
1-1 心理発達の原則と臨床心理学――心理学にも法則がある
1-2 子ども特有の心理学上の配慮事項――運動発達・認知発達と心理発達にかかわる
1-3 心理的な反応と精神症状――違いは「わかる」か,「わからない」か
1-4 こころの問題による身体症状――しっかり鑑別して治療しよう
1-5 マルトリートメントとは――こころと脳を傷つける
1-6 自傷行為とその対応――みえない苦痛を探し出そう
1-7 自殺企図・自殺とその対応――「あきらめ」を見逃さない
1-8 非行とその対応――マルトリートメントを見逃さない
Unit 2 定型発達の心理発達課題
2-1 心理発達課題とは――年齢に応じたこころの学習がある
2-2 0歳児の課題「アタッチメント形成」――人を無条件に信用する能力
2-3 アタッチメント形成と共同注意――共同注意の遅れは要注意
2-4 1歳児の課題「しつけの基本」――「イヤイヤ期」到来を喜ぼう
2-5 0・1歳児の課題と「からだを使った遊び」――“からだ”と“こころ”が“ことば”を育てる
2-6 2歳児の課題「同世代とのかかわり」――よい習慣を身につける絶好のタイミング
2-7 3歳児の課題「自我の目覚め」――ことばで叱らず表情で叱る.増やしたい行動にきちんと相手をする
2-8 4歳児の課題「ルールを理解して行動する」――学童期に生じる問題に備える
2-9 5歳児の課題「一次反抗期」――「ルールを理解して行動する」からこそ生じる
2-10 8歳児の課題「ギャングエイジ」――集団の意見と個人の意見に折り合いをつける
2-11 思春期前夜の課題「こころの黒板」と思春期の課題「自律」――目を離さずに,手を離す
2-12 青年期の課題「アイデンティティの形成」――形成の失敗例は「引きこもり」かも
Unit 3 心理発達課題からの逸脱で何が起こるか
3-1 反応性アタッチメント症――人を信用できず,人を避ける
3-2 脱抑制型対人交流症――人を信用できず,人を利用して扱う
3-3 アタッチメント症:Zeanahの提唱による――RAD/DSEDの周辺にいる子どもたち
3-4 映像メディアの問題と依存症(嗜虐)――安心して人に依存できない …背景にあるアタッチメント症
3-5 解離症群――心理的に病的な健忘
3-6 心的外傷後ストレス症(PTSD)――トラウマとは死にかかわる体験と性暴力の体験
3-7 不登校と適応反応症――誘因と原因を区別する
3-8 神経発達症群と不登校・不適応――発見の遅れによる不利益
3-9 精神障害と不登校・不適応――誘因がはっきりしない
3-10 心理的諸問題と不登校・不適応――各時期のキーパーソンの存在の重要性
3-11 アタッチメント形成と不登校・不適応――RAD/DSEDから発達性トラウマ障害へ
3-12 しつけの基本と不登校・不適応――反抗挑発症の原因になり得る
3-13 自我の目覚め,一次反抗期と不登校・不適応――ペアレントトレーニング技法を使いこなそう
3-14 群れ(ギャングエイジ)と不登校・不適応――折り合うことを学ばせるために
3-15 思春期前夜の課題と不登校・不適応――背景にある子どもの失望に気がつこう
3-16 思春期の課題と不登校・不適応――自律の失敗は引きこもりを招くかも
Unit 4 治療的介入について
4-1 0歳児の課題の失敗への対応――母親役・父親役の役割分担で対応
4-2 0歳児の課題の失敗に対する父親役(担任)の対応――ペアレントトレーニング技法で手本を作る
4-3 0歳児の課題の失敗に対する母親役(個別指導役)の対応――優しく見守り,手本をみせる
4-4 0歳児の課題の失敗に対する校長の役割――校長のリーダーシップの重要性
4-5 映像メディアの問題による行動異常とその対応――幼児期・学童期・思春期以降で異なる対策
4-6 心理的安定とカウンセリング――トラウマの再体験にならないように
4-7 心理的問題・精神障害を抱える保護者への対応――二つの共感を区別しよう
索引
著者紹介
CASE・COLUMN
Unit 1 心理発達の基本を探る
CASE1 不登校〔10歳,女子/最終診断;全般不安症(全般性不安障害)〕
CASE2 自傷行為を主訴とした不登校(14歳,女子)
CASE3 緊急性の高い自殺念慮例(9歳,男子)
COLUMN1 筆者がよく用いる心理検査
COLUMN2 摂食症群について
COLUMN3 非行をはじめてみつけたときに……
Unit 2 定型発達の心理発達課題
CASE4 ネグレクトによる運動・精神発達の遅れ(3か月,女児)
CASE5 痙性両麻痺(軽度),言語発達遅滞(11か月,女児)
CASE6 映像メディアの問題による登園しぶり(年中の4歳,男児)
CASE7 ギャングエイジを誤習得したまま青年期に至った女性(21歳,女性)
COLUMN4 マルトリートメントに気が付くために
COLUMN5 心理発達研究における共同注意(広義の共同注意)
COLUMN6 「自我の目覚め」直前の言語発達
COLUMN7 治療的退行とは
COLUMN8 一次反抗期という用語
COLUMN9 保護者のいい分を聞くときに……
COLUMN10 ギャングエイジが障害告知に与える影響
COLUMN11 男女差について
COLUMN12 中1ギャップとは
Unit 3 心理発達課題からの逸脱で何が起こるか
CASE8 反応性アタッチメント症(2歳,女児)
CASE9 脱抑制型対人交流症(4歳,男児)
CASE10 アタッチメント症:選択的なアタッチメント対象がない(1歳9か月,男児)
CASE11 解離性同一症(10歳,男子)
CASE12 不登校に陥った軽度知的発達症(小学3年,女子)
CASE13 極めて高いIQに伴って発症した抑うつエピソード(小学4年,男子)
CASE14 社交不安症(社交不安障害)(中学1年,女子)
CASE15 「1歳児の課題」習得失敗による行動異常(9歳,男子)
CASE16 「自我の目覚め」の課題習得失敗による行動異常(6歳,男子)
CASE17 「ギャングエイジ」の課題習得失敗による不登校(10歳,女子)
CASE18 映像メディアの過剰曝露による不登校から脱却できた例(13歳,男子)
CASE19 映像メディアの過剰曝露による不登校から脱却できなかった例(13歳,男子)
COLUMN13 映像メディアの問題に対する薬物療法
COLUMN14 DSM-5-TRにおける解離症群
COLUMN15 心的外傷後ストレス症(PTSD)の病名のひとり歩き
COLUMN16 登校しぶりの時期と不登校の原因
COLUMN17 映像メディアの問題が不登校の臨床にもたらしたこと
COLUMN18 日本式民主主義
COLUMN19 0・1歳児の課題と自我の目覚め以降の問題の見分けかた
COLUMN20 小1プロブレムへの対応
COLUMN21 性別違和について
COLUMN22 引きこもりとその支援
Unit 4 治療的介入について
CASE20 父の自殺企図に付き合わされたPTSD(小学4年,女子)
COLUMN23 保育所における母親役
COLUMN24 マルトリートメント対応における校長のリーダーシップの重要性
COLUMN25 東日本大震災とPTSD
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書籍情報
- ISBN:9784787882127
- ページ数:160頁
- 書籍発行日:2025年4月
- 電子版発売日:2025年5月2日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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