- m3.com 電子書籍
- 臨牀消化器内科 Vol.40 No.6 特集「胆嚢ポリープ・腺筋腫症,胆嚢良性疾患の診断と治療」

臨牀消化器内科 Vol.40 No.6 特集「胆嚢ポリープ・腺筋腫症,胆嚢良性疾患の診断と治療」
- ページ数 : 96頁
- 書籍発行日 : 2025年5月
- 電子版発売日 : 2025年5月20日
商品情報
内容
序文
巻頭言 胆囊疾患診療の難しさ
ポリープ(polyp)の語源をChatGPT(https://chatgpt.com)に尋ねてみたところ,ギリシャ語の「polys(多い,たくさんの,という意)」と「hippos(馬)」が組み合わさってできた言葉とされ,この二つの言葉が組み合わさることで,元々は「たくさんの足を持つもの」や「馬のように脚が多いもの」などを指していたとのことである.これが転じて,医学的には「何かが突出している形,あるいは小さな突起物」を意味するようになったそうである.
胆囊ポリープは,日常診療で頻繁に目にするごくありふれた疾患であり,人間ドックや集団検診の腹部超音波検査(US)において5~10%の頻度で見つかり,近年さらに増加傾向にあるといわれている1).また,このような状況で見つかる胆囊ポリープは1 cm以下のものが9割以上であり,そのほとんどがコレステロールポリープとされる1).胆囊腺筋腫症も日常診療でよく見つかる疾患であり,胆囊ポリープと同様に無症状で偶然発見されることがほとんどで,腹腔鏡下胆囊摘出術施行例の7.1~13.3%に見られ,人間ドックや集団検診のUSでも0.12~0.5%に見つかるとされる2).このようにして人間ドックや検診,他疾患の精査中にしばしば見つかるコレステロールポリープや胆囊腺筋腫症は良性疾患であり,診断が確定できれば治療の必要はない.
胆囊病変の鑑別診断には,まず画像検査が行われ,病変の大きさ,数,形状(ポリープであれば有茎性か,亜有茎性か,広基性か,有茎性であれば茎の性状など),表面構造,内部エコー,血流パターンなどから鑑別診断が進められる.画像検査としては現在,US,EUS,CT,MRIなどが行われており,なかでもUSは最も手軽で画像精度も高いことから,拾い上げ診断のみならず精査にも利用されているが,被検者の体形や消化管ガスの影響を受けることが欠点である.その点EUSは,胃や十二指腸から消化管ガスの影響を受けずに近接して対象を描出することによって,高精細な画像を提供してくれる.USやEUSでのコレステロールポリープの所見は,比較的大きなものでは糸状の細い茎を有し,点状高エコーの集簇からなる桑実状の形態が特徴的で,小さなものでは多発する高エコーポリープ像が典型的である.また,胆囊腺筋腫症は肥厚した壁内の小囊胞状無エコー(拡張したRokitansky‒Aschoff sinus;RAS)やcomet‒like echo(壁内結石)が特徴的な所見である.また,RASの描出にはMRI‒T2強調画像が有用であり,典型例では真珠のネックレスのように高信号が連なるpearl necklacesignを呈する.このように特徴的な画像所見を呈すれば,画像のみでも鑑別診断は容易であるが,実際には典型的な所見を呈さない症例も少なからず経験する.
胆囊病変の診断が難しい理由は大きく二点考えられる.まず一点は内視鏡での直視観察が現時点においてもできないこと,もう一点は病理検体の採取,とくに対象病変の生検が困難なことが挙げられる.画像診断で鑑別困難な場合はもちろん,画像診断である程度の診断が得られても,他の臓器であれば病理診断による裏付けをとることがほとんどであるが,胆囊病変については解剖学的な理由からアプローチが困難であり,病理検体の採取が難しい.そうしたなかでも経乳頭的にカテーテルを胆囊に挿入しての胆汁細胞診やENGBD(endoscopic nasogallbladder drainage)留置下の洗浄胆囊胆汁細胞診は比較的よく行われているが,手技的難易度が高く膵炎などの偶発症の懸念があるわりに,その診断感度は60%未満とそれほど高くない3).また,近年胆囊病変に対するEUS‒FNAによる病理診断の報告もみられ,その診断感度は80~100%と高いとされるが,多数例での検討はまだ少ない4).また,胆汁漏出による癌細胞の播種・腹膜炎を防ぐには,胆囊内腔を介さずに穿刺する必要があり,適応は肝床側に腫瘤を形成している症例などに限られるように思われる.
悪性が完全に否定できない症例については手術を検討しなければならないが,明らかな周囲への浸潤所見が見られなければ,まずは胆囊摘出術を行い,術中迅速病理診断が可能であれば提出し,悪性所見が認められた場合には追加切除・リンパ節郭清を付加し,術中迅速病理診断が行えない場合には二期的手術を検討する.しかし,肝門部や周囲臓器への癒着・浸潤が強い場合(とくに慢性胆囊炎を伴う場合や黄色肉芽腫性胆囊炎など)においては,どの段階でどの部位を術中迅速病理診断へ提出するかの判断は難しく,また胆囊の剝離が困難な場合には部分切除となりやすく,胆囊を根治性の高いen blocで摘出するには拡大手術が避けられなくなる.
今回の特集では,こうした鑑別診断や治療方針の決定がまだまだ難しい胆囊良性疾患診療の現状について,臨床・病理から多面的な解説がなされており,興味深い内容となっている.
安田 一朗
富山大学学術研究部医学系内科学第三講座
文献
1)有坂好史,他:胆囊ポリープの診断と取扱い.日消誌 112;444‒455,2015
2)乾 和郎,他:集団検診,人間ドックにおける胆囊腺筋腫症.胆と膵 28;851‒854,2007
3)Itsuki H, et al:Indication and usefulness of bile juice cytology for diagnosis of gallbladder cancer. Gastroenterol Res Pract 2018;5410349, 2018
4)Hijioka S, et al:The role of EUS and EUS‒FNA in differentiating benign and malignant gallbladder lesions. Diagnostics(Basel)11;1586, 2021
目次
【特集目次】「胆嚢ポリープ・腺筋腫症,胆嚢良性疾患の診断と治療」
巻頭言/安田 一朗
1.胆嚢ポリープの分類・診断・治療/山﨑 友裕,竹中 完 他
2.胆嚢ポリープの画像診断/青井 広典,川嶋 啓揮 他
3.胆嚢非腫瘍性ポリープの病理/能登原憲司 他
4.胆嚢腺筋腫症の分類・診断・治療/潟沼 朗生 他
5.胆嚢腺筋腫症の画像診断/高山 幸久 他
6.胆嚢腺筋腫症の病理/吉澤 忠司
7.黄色肉芽腫性胆嚢炎の診断と病理/村上 圭吾,古川 徹
8.胆嚢・胆管の形態異常―腹腔鏡下胆嚢摘出術において注意すべき解剖学的変異/清水 敦 他
9.まれな胆嚢良性疾患
(1)胆嚢消化管瘻/飯田 敦 他
(2)胆嚢軸捻転・胆嚢虚血/加藤 厚 他
(3)胆嚢損傷,胆嚢外傷,胆嚢穿孔/石川 博人 他
便利機能
- 対応
- 一部対応
- 未対応
- 全文・
串刺検索 - 目次・
索引リンク - PCブラウザ閲覧
- メモ・付箋
- PubMed
リンク - 動画再生
- 音声再生
- 今日の治療薬リンク
- イヤーノートリンク
- 南山堂医学
大辞典
リンク
- 対応
- 一部対応
- 未対応
対応機種
iOS 最新バージョンのOSをご利用ください
外部メモリ:61.6MB以上(インストール時:126.0MB以上)
ダウンロード時に必要なメモリ:246.3MB以上
AndroidOS 最新バージョンのOSをご利用ください
外部メモリ:61.6MB以上(インストール時:126.0MB以上)
ダウンロード時に必要なメモリ:246.3MB以上
- コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
- コンテンツの使用にあたり、m3.com電子書籍アプリが必要です。 導入方法の詳細はこちら
- Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
- Androidロゴは Google LLC の商標です。
書籍情報
- ISBN:9784004004006
- ページ数:96頁
- 書籍発行日:2025年5月
- 電子版発売日:2025年5月20日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
お客様の声
まだ投稿されていません
特記事項
※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。
※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍アプリが必要です。
※eBook版は、書籍の体裁そのままで表示しますので、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。

