小児神経診断エラー学

  • ページ数 : 216頁
  • 書籍発行日 : 2025年5月
  • 電子版発売日 : 2025年6月3日
¥4,950(税込)
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商品情報

内容

臨床医なら誰しもが経験する“診断の苦い失敗”.でも,そこにこそ成長のヒントがあるとしたら?

本書の前半では小児神経を中心に多彩な領域で活躍する執筆者が,各自の視点で自由に論考を展開し,「診断エラー」を多角的に掘り下げています.後半では15の症例で診断エラーを真摯に振り返り,読者に貴重な教訓を提示します.
単なる「失敗談」ではなく,明日の臨床に活かせるリアルな学びが詰まっています.ちょっと勇気を出して,自分の経験を見直してみたくなる一冊.若手からベテランまで,すべての臨床医におすすめです.

序文

はじめに


臨床医なら誰しも若い頃に(若くなくても)人には言えないような苦い失敗を診断・推論の過程でしてしまい,思い出すのも嫌な体験があるはずである.その振り返りが臨床能力を一段上げる動因になり,無意識のなかに繰り込まれ,その苦さも薄れてくる.こういう個々の苦い体験をできるだけ埋もれさせず共有できないだろうか,そもそも診断エラーの構造はどうなっているのだろうか,というのが今回の書籍のモティーフである.著者それぞれが,時に言うのも恥ずかしい体験を分析し,明日の臨床につなげる論考を準備した.本書を読んで「こんな失敗は自分だけではなかった」と思うのもよし,「自分の方がまだましだ」と思うのもよし,それぞれの振り返りのきっかけになればと考える.

編者久保田の診断エラー事始めは研修医時代,外国人もよく来るある病院での夜間当直でのこと.救急受診した2歳前後の外国人の男児の主訴は発熱と発疹.その頃は一般外来で風疹,水痘,まれに麻疹にも遭遇していた.経験した症例や教科書のさまざまな発疹が頭のなかを駆け巡り,some non-specific viral infectionとでも言っておけばよかったものを,ひょっとしてもしかしたらなどという悪魔の声が聞こえて「um……,measles?」などと口走ってしまった.もう遅い.母親の怒気を含んだ「Are you sure?」というこの時の詰問は,その後長く私の頭のなかに残ることとなった.上級医の見立ては「何かわかんない.でも麻疹じゃないよ」というもの,その自然な言葉もカウンターとして十分だった.こうして情けなくも,学びの多い事始めとなった.

編者らは2020~2023年の日本小児神経学会のプレコングレスとして開催された実践教育セミナーにおいて「誤診から学ぶ」というテーマを企画し,さまざまな症例提示と振り返り,その構造解析,稀少疾患での評価,歴史的背景を議論してきた.今回執筆していただいた執筆者のなかにもその参加者がおられる.講演時の内容をさらに洗練させた論考を寄せていただいた.そのほか,新たに多彩な領域で活動しておられるたくさんの臨床家,法律家にご執筆いただいた.今回の執筆に際しては誤診あるいは診断エラーに関するものであれば特に内容・形式を限定せず自由にご執筆いただいており,各項目においてそれぞれの「診断エラー学」が展開されている.言葉にならなかったことも含めて多くのことが共有され,豊かな学びになることを祈っている.なお,総論で相馬先生が指摘される様に,“diagnostic error”は「診断関連エラー」と称すべきだが,日本国内で通称されている「診断エラー」と記載したことをお断りする.また,診断エラーの要因としてのバイアス関連用語は統一させ,それぞれの欧文表記と和文表記を資料として一覧した.


2025年5月

編者
久保田雅也
杉田克生



=表紙イラストの説明=

いずれも「ERROR」という文字を18個の楕円で隠してどう見えるかをみたものです.

「ERROR」という文字は色も形も大きさも全く同じです.楕円も形や位置は同じです.

上の2つでは「ERROR」という文字が判別しにくいですが,1番下のイラストでは文字のかなりの部分が隠されているにもかかわらず読めてしまいます.それは楕円の輪郭と塗りつぶしの白と「ERROR」の対比が明瞭になり,隠されている部分を脳が予測してつじつまを合わせているためです.

診断エラーに関しても同様でバイアスなどの阻害因子をはっきりさせることでエラーの本質が見えてくるということがありえます.

目次

カラー口絵

はじめに  久保田雅也・杉田克生

執筆者一覧

第1章 総論

①診断関連エラー総論―社会的認知理論ファミリーを理解する  相馬孝博

②診断エラーの歴史  杉田克生

③診断推論と暗黙知 Segawa before Segawa disease  久保田雅也

④総合診療科の現場からみた診断エラーとその原因に基づいた教育支援対策  鋪野紀好

⑤日米の診断エラーの構造の違い―小児神経領域から  久本佳美

第2章 各論

①診断オデッセイプロット 早川 格

②小児神経領域における診断エラー1  柏井洋文

③小児神経領域における診断エラー2  小俣 卓

④小児心身医学における診断エラー  永井 章

⑤小児救急医療現場での診断エラー  清水直樹

⑥画像診断エラーからの振り返り  堤 義之

⑦画像診断におけるピットフォール  塩浜 直

⑧診断エラーの構造:見逃し/しそうになった/成人例―市中病院脳神経内科の経験から―  福武敏夫

⑨アディクションと診断エラー  松本俊彦

⑩神経発達症と診断エラー  広瀬宏之

⑪司法と診断エラー  桑原博道・福田梨沙

第3章 症例

①ADHD様症状がみられたBasedow病の症例  小沢 浩・小穴信吾

②意識清明のまま筋力低下がみられた症例  藤井克則

③亜急性の脊髄横断症状を示し脊髄造影CT,myelographyで異常なしだった症例  須貝研司

④8年後のACTH療法にて乳児期罹患の単純ヘルペスウイルス脳炎が再活性化した一例  星野恭子・藤原由香里

⑤背景疾患に引きずられ骨折の診断が遅れた重症心身障害児  寺嶋 宙

⑥失敗から学ぶ症例  阿部裕一

⑦緩徐に発症したVPシャントトラブルの一例  中村由紀子

⑧原因不明の退行をきたした症例  青天目信

⑨尖足に伴う歩行異常を多動と間違えた症例  曽根 翠

⑩乳児期発症の最重度発達遅滞と難治なてんかん発作を示す女性例  秋山倫之

⑪急性壊死性脳症の一例  奥村彰久

⑫診断エラーから先天性筋疾患を疑い筋生検を行ったPrader-Willi症候群の一例  田中総一郎

⑬Peliosis hepatisを発症したX-linked MTM  笠原群生

⑭てんかんの増悪の原因検索に苦慮した胃食道逆流症の一例  髙橋美智・中村由紀子

⑮てんかんか失神か,それが問題  久保田雅也

本書でのバイアス関連用語一覧

索引

おわりに  久保田雅也・杉田克生

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書籍情報

  • ISBN:9784787882332
  • ページ数:216頁
  • 書籍発行日:2025年5月
  • 電子版発売日:2025年6月3日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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