小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン 2025年版

  • ページ数 : 248頁
  • 書籍発行日 : 2025年10月
  • 電子版発売日 : 2025年9月23日
¥4,400(税込)
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商品情報

内容

2013年版発刊後の新たなエビデンスに基づいた待望の改訂版!

治療法や薬剤の扱いなど各内容がアップデートされ、さらに乳児,重症心身障害児,神経発達症児の章が新たに追加されました.各クエスチョンの「一般向けの推奨の解説」は患者・家族へのサポートに役立ちます.
小児の便秘症は決して少なくない疾患といえます.小児の便秘症の診療に携わる医師,看護師,保健師等の医療従事者の皆様にぜひご活用いただきたい1冊です!

序文

序文

子どもの便秘症は日常診療において遭遇する頻度の高い疾患で個々の医療者の経験に基づく診療が行われていた状況を鑑み,2013年に『小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン』を刊行した.この度10余年を経て改訂することとなった.

便秘症の多くは小児科外来で診療が行われているが,重症便秘症や器質的疾患に伴う便秘症では小児外科で診療され,また成人への移行もみられる.初版では日本小児栄養消化器肝臓学会から小児科医,日本小児消化管機能研究会から小児外科医が選出されガイドライン作成委員会が構成された.改訂版では,ケアの現場で患者に直接接することの多い看護師,保健師にも参加していただいた.今回も『Minds 診療ガイドライン作成マニュアル2020 ver.3.0』に沿って改訂作業行われた.メンバーも10年前とは比べものにならないほど作業に熟達し,短期間で公開するに至った.

子どもの便秘症は,発症頻度が高く,生活の質(QOL)を損なうことが多々あり,しかも再発しやすいことから,早期に治療を開始し,しっかりとフォローすべき疾患である.初版で推奨した浸透圧性下剤を選択する施設が増えてきたとの喜ばしい報告も聞かれる.一方,治療に際しては,初期治療としての便塞栓除去と維持療法からなることを,今後も周知していく必要がある.

この10年間にいくつかの下剤が開発されたが,小児においてはポリエチレングリコール(PEG)製剤が導入され,知見が積み上げられてきており,改訂版ではエビデンスをもとに推奨文を作成することができた.また,特別の配慮が求められる子どもの排便障害として,重症心身障害児の項目を設けた.便秘は,これらの子どものQOL を著しく低下させ,時に全身状態の悪化を引き起こす.医療者やケアギバーに現状を理解していただければと思う.おりしも,小児の便秘症は,国際的な分類・診断基準であるRome III においては機能性胃消化管疾患に分類されていたが,Rome IV では脳腸相関の障害に含まれることとなった.

本診療ガイドラインを,日々の診療やケアの向上に役立てていただければ,作成にかかわったものの喜びである.

最後に,日々の業務で忙しい中,協力しあい,短期間に集中的に改訂版を作成していただいた中山佳子診療ガイドライン作成委員長をはじめ,診療ガイドライン作成グループ,作成委員会,システマティックレビューチーム,事務局の皆様に感謝と敬意を表したい.


2025年7月

小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン 2025年版作成委員会
統括委員長 松藤 凡
副委員長 位田 忍

目次

第1章 定義・分類・診断基準

基本的事項

第2章 疫学

基本的事項

BQ2-1 小児慢性機能性便秘症の長期予後はどのようなものか?

BQ2-2 小児慢性機能性便秘症の有病率はどれくらいか?

BQ2-3 小児慢性機能性便秘症に家族内集積はあるか?

第3章 病態生理

基本的事項

Good practice statement 1 小児慢性機能性便秘症の治療を行ううえで,患児・患児家

族に“便秘の病態生理”を説明することは重要である.

Good practice statement 2 病態生理に基づいて,小児慢性機能性便秘症を治療するこ

とは重要である.

BQ3-1 小児の慢性機能性便秘症において,“排便時痛”は“排便がまん”につながるか?

BQ3-2 小児の慢性機能性便秘症において,大腸通過時間は延長しているか?

第4章 診断・検査

基本的事項

CQ4-1 便秘をきたす基礎疾患や病態の鑑別をどのように行うか?

CQ4-2 便塞栓(fecal impaction)の診断をどのように行うか?

CQ4-3 難治性便秘症(intractable constipation)の評価に検査は有用か?

第5章 治療総論

基本的事項

CQ5-1 どのような手順で小児慢性機能性便秘症を治療すべきか?

第6章 便塞栓除去(disimpaction)

CQ6-1 便塞栓除去(disimpaction)はどのように行うか?

CQ6-2 便塞栓除去(disimpaction)の効果はどのように判定すべきか?

第7章 維持療法

基本的事項

CQ7-1 小児慢性機能性便秘症の維持療法として,非薬物療法は推奨されるか?

CQ7-2 小児慢性機能性便秘症の維持療法として,排便習慣およびトイレットトレーニン

グの指導は有用か?

CQ7-3 小児慢性機能性便秘症の維持療法として,薬物療法は推奨されるか?

CQ7-4 小児慢性機能性便秘症の維持療法として,プロバイオティクスは推奨されるか?

CQ7-5 小児慢性機能性便秘症において,定期的な医療機関の受診が推奨されるか?

CQ7-6 小児の難治性便秘症において,どのような排便指導が推奨されるか?

第8章 外科治療

基本的事項

CQ8-1 小児慢性機能性便秘症に対し外科治療は推奨されるか?

第9章 2 歳未満の乳幼児の慢性機能性便秘症

基本的事項

CQ9-1 乳児慢性機能性便秘症の便塞栓除去(disimpaction)として,どのような方法があ

るか?

CQ9-2 乳児慢性機能性便秘症の維持療法として,非薬物療法は推奨されるか?

CQ9-3 乳児慢性機能性便秘症の維持療法として,薬物療法は推奨されるか?

第10章 重症心身障害児の慢性機能性便秘症

基本的事項

BQ10-1 重症心身障害児の慢性機能性便秘症の病態における特徴はなにか?

BQ10-2 重症心身障害児の慢性機能性便秘症の診断や評価における特徴はなにか?

BQ10-3 重症心身障害児の慢性機能性便秘症のケアにおける問題はなにか?

CQ10-1 重症心身障害児の慢性機能性便秘症に対する有効な栄養治療はなにか?

CQ10-2 重症心身障害児の慢性機能性便秘症に対して薬物療法は推奨されるか?

第11章 神経発達症児の慢性機能性便秘症

基本的事項

BQ11-1 神経発達症児の慢性機能性便秘症の疫学は?

BQ11-2 神経発達症児の慢性機能性便秘症の病態をどのように理解するか?

BQ11-3 神経発達症児の慢性機能性便秘症の臨床的特徴はなにか?

CQ11-1 神経発達症児の慢性機能性便秘症の治療方針はなにか?

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書籍情報

  • ISBN:9784787882523
  • ページ数:248頁
  • 書籍発行日:2025年10月
  • 電子版発売日:2025年9月23日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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