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- 発生状況からみた 急性中毒初期対応のポイント 医薬品編/自然毒編
商品情報
内容
「発生状況からみた急性中毒初期対応のポイント」シリーズは,JPIC設立30周年を記念して企画され,JPICが運営する「中毒110番」における経験と蓄積されたデータをもとに,プレホスピタルケアや医療機関での初期対応とその解説をまとめたものである。本書は既刊「家庭用品編」(2016年発行),「農薬・工業用品(TICs)編/化学剤編」(2020年発行)に続く,シリーズ第3弾である。
「中毒110番」に問い合わせの多くあった医薬品,自然毒のなかから,医薬品52項目,自然毒20項目をピックアップ。成分別ではなく,血圧の薬や糖尿病の薬,薬局で購入した痛み止めやかぜ薬,蛇に咬まれた,海で何かに刺された,毒性成分を有する植物といった製品群,生物群ごとにまとめて収載した。受診前のトリアージ,医療機関での初期対応にすぐに役立つ,知識が深まる手引書としてご活用いただける一冊となっている。
序文
発刊にあたって
化学者には化学物質の特性や体内動態,合成や分析の専門家も多く,薬理学者は人体における薬物動態や代謝,作用機序等に精通されています。しかし,これらいずれの分野の専門家も中毒患者の診断や治療の経験はありません。中毒患者を診療して,その治療の責任を負う臨床医と,薬理学者,毒物学者を結び,中毒を学際的な臨床医学として発展させることは,日本中毒情報センターに課せられたもっとも重要な役割であります。
日本中毒情報センターが設立30周年を迎えるにあたり,これまで蓄積してきた中毒情報データベースを,もう一度見直し,日常診療の実用書としてのみならず,教科書として利用してもらえる出版物を作成したいと考え,全職員が一丸となって,その発刊に取り組んできました。
2016年に発刊した「第1巻 家庭用品編」は,おかげさまで増刷となりました。また東京オリンピック・パラリンピックの化学テロ対策を見据えて,第2巻に先立ち,2020年に発刊した「第3巻 農薬・工業用品(TICs)編/ 化学剤編」は,医師や薬剤師だけでなく,救急救命士,消防士,自衛官などの方々もご購入くださっております。専門書としてはたいへん好評を得ているものと感謝しております。
中毒学はカバーする範囲が非常に広い学問分野であります。第2巻に収載する化学物質は,医薬品と自然毒であります。超高齢社会を迎えて,無数の医薬品が家庭内に存在するようになりました。
幼小児の誤飲事故はタバコがもっとも多いのですが,医薬品の誤飲事故もかなり存在します。体重が10 kgに満たない幼児が成人の用量を摂取すると,重篤な中毒症状を呈することがあります。お盆の時期には祖父母宅で起きた子どもの医薬品の誤飲事故の相談が増加します。とくに血圧降下薬,糖尿病用薬,催眠鎮静薬などは,子どもにとって少量でも危険な場合があり,注意が必要です。酔い止め薬は,チュアブル錠やドロップなど水なしで服用できる製品が多く,子ども向けにぶどうやいちごなどの風味が付いているものもあり,服用のしやすさが特長ですが,子どもは飴やラムネ菓子のような感覚で,大量に服用し過ぎてしまうことがあります。
また,薬局やドラッグストアで購入できる,鎮痛薬,かぜ薬,鎮咳薬,眠気防止薬,酔い止め薬,アレルギー用薬など,一般用医薬品の過量服薬は古くから知られていますが,近年では中学生,場合によっては小学生など,低年齢化していることが社会問題となっております。これらの一般用医薬品は配合薬が多く,救急搬送された医療機関において対応に苦慮され,中毒110番に相談されることが少なくありません。
自然毒も多岐にわたり,多くの毒作用機序の解明とその中毒への対応は,私たち,臨床医にとっても未知の興味のある分野であります。中毒110番には,スイセンの花が枯れてなくなった4 ~ 5月頃に,ニラやノビルと間違えて調理して食べ,悪心や嘔吐などが出現したという電話相談が多くなります。また,スイセンの球根をタマネギやノビルの球根と間違えることもあります。ギンナン中毒の相談は,ギンナンが旬を迎える10 ~ 12月に問い合わせが多くなりますが,患者は5歳以下の子どもが7割以上を占め,嘔吐や痙攣がみられる事例もあります。茶わん蒸しに入っている程度のギンナンを食べて症状が出現した例は把握されていませんが,小さな子どもにはギンナンを食べさせないほうがよいと思われます。過去には有毒なきのこによる集団食中毒もありましたが,自然毒は植物に限らず,毒蛇や魚,クラゲや昆虫による刺傷も稀有なものではありません。
本書では,毒性の強弱にかかわらず,日本中毒情報センターに問い合わせのあった無数にある医薬品,自然毒について,すべてを包含できるように,成分別ではなく,血圧の薬や糖尿病の薬,薬局で購入した痛み止めやかぜ薬,蛇に咬まれた,海で何かに刺された,といった製品群,生物群ごとにまとめて収載しました。こうすることによって,索引として医薬品は1,600件以上,自然毒は900種類以上をカバーすることができました。ただ,1つのタイトルでカバーする物質が多く,情報量(ページ数)も多いので,各項目の物質リストを表形式で作成することによって,必要な情報を見つけやすいように工夫しました。
本書の使い方は,取り上げた製品群と各項目の説明とともに,巻頭にまとめて記載しました。第1巻,第3巻と同様に,第2巻も製品群ごとに,概要,初期対応のための確認事項,初期対応のポイント,解説の順に記載されています。このうち,概要と初期対応のための確認事項,対応のポイントを読めば,ほぼ一般市民からの問い合わせには情報提供ができるようになっています。これに続く解説には医療機関における治療について,比較的詳細に記載しております。さらに,本文では,とくに中毒が問題となる成分を中心に,中毒の発現機序と症状の関係を理解しやすいように,説明を加えました。もちろん実際の治療にあたっての医師からの問い合わせには,必ずしも十分な情報とは限らないので,必要に応じて中毒110番に直接問い合わせていただきたいと思っています。
本書は日本中毒情報センターの設立30周年を記念して発刊するものですが,そのデータ量の多さから,全巻が出揃うまでに9年もの年月を要しました。「第1巻 家庭用品編」,「第3巻 農薬・工業用品(TICs)編/ 化学剤編」と合わせて,「第2巻 医薬品編/ 自然毒編」をご活用くださるよう,願っております。
2025年10月
公益財団法人 日本中毒情報センター名誉理事長
森ノ宮医療大学名誉教授
吉岡 敏治
目次
<医薬品編>
中枢神経系用薬,末梢神経系用薬
1. 催眠鎮静薬,抗不安薬(医療用医薬品)
2. 催眠鎮静薬,小児鎮静薬(一般用医薬品)
3. 抗うつ薬,気分安定薬
4. 抗精神病薬
5. 抗てんかん薬
6. 精神剌激薬
7. パーキンソン病治療薬
8. 認知症治療薬
9. 解熱鎮痛薬(医療用医薬品)
10. 解熱鎮痛薬(一般用医薬品)
11. アセトアミノフェン含有製剤
12. サリチル酸含有製剤
13. 総合感冒薬,かぜ薬(外用含む)
14. カフェイン製剤(サプリメント含む)
15. 筋緊張緩和薬
循環器官用薬,血液・体液用薬
16. 片頭痛治療薬
17. 高血圧治療薬,本態性低血圧症治療薬
18. 心臓血管疾患治療薬
19. 脂質異常症治療薬
20. 抗血栓薬
呼吸器官用薬,アレルギー用薬
21. 含嗽薬,口腔咽喉薬
22. 鎮咳去痰薬(医療用医薬品)
23. 鎮咳去痰薬(一般用医薬品)
24. 気管支喘息治療薬
25. アレルギー用薬
感覚器官用薬
26. 鼻炎用内服薬(一般用医薬品)
27. 眼科用薬,耳鼻科用薬
28. 乗物酔い防止薬
消化器官用薬
29. 胃· 十二指腸疾患治療薬
30. 腸疾患治療薬
泌尿生殖器官および肛門用薬
31. 痔治療薬
32. 卵胞ホルモン製剤,黄体ホルモン製剤
33. 妊娠・出産に関連する薬
34. 排尿障害治療薬
寄生動物用薬,化学療法薬
35. 抗寄生虫薬(動物用医薬品含む)
36. 抗真菌薬
37. 抗菌薬
38. 抗ウイルス薬
外皮用薬
39. 外皮用薬
40. 消毒薬
ホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)
41. 発毛薬
42. 甲状腺疾患治療薬
その他の代謝性医薬品
43. 糖尿病治療薬
44. 高尿酸血症・痛風治療薬
45. 骨粗鬆症治療薬
46. 自己免疫疾患治療薬
腫瘍用薬,その他の医薬品
47. 抗悪性腫瘍薬
48. 鉄剤(サプリメント含む)
49. ビタミン剤(サプリメント含む)
50. 生薬を主成分とする製剤
51. 禁煙補助薬
乱用薬物
52. 乱用薬物,ドラッグ類
<自然毒編>
陸上動物
1. 陸上動物の毒(全般)
2. ヘビ咬症
3. ハチ剌症,アリ剌症
4. クモ咬症
水生生物
5. 水生生物の毒(全般)
6. 水生生物による剌症(魚類)
7. 水生生物による刺症・咬症(魚類以外)
8. 水生生物の毒による食中毒(魚類)
9. 水生生物の毒による食中毒(魚類以外)
きのこ
10. きのこの毒(全般)
植物
11 . 植物の毒(全般)
12. 青酸配糖体を含む植物
13. コルヒチンを含む植物
14. 4’-O-メチルピリドキシンを含む植物
15. アトロピン,スコポラミンなどを含む植物
16. 強心配糖体を含む植物
17. アコニチン,ベラトリジン,グラヤノトキシンなどを含む植物
18. ソラニン,チャコニンなどを含む植物
19. リコリン,ガランタミンなどを含む植物
20. シュウ酸塩を含む植物
<解説>
日本中毒情報センターと急性中毒の対応
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書籍情報
- ISBN:9784867191200
- ページ数:600頁
- 書籍発行日:2025年11月
- 電子版発売日:2025年11月5日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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