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精神科治療学 第40巻03号〈特集〉認知症診療をアップデートする

  • ページ数 : 112頁
  • 書籍発行日 : 2025年3月
  • 電子版発売日 : 2025年11月7日
¥3,190(税込)
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商品情報

内容

認知症の新しい治療薬の登場や、認知症基本法の制定など、認知症を取り巻く状況は大きく変化している。
本特集では、認知症診療に関する知識をアップデートするために、臨床倫理、経済的権利擁護、ピアサポート、画像診断やバイオマーカー検査の理解と告知、口腔ケアなど、関連テーマを網羅。認知症のある人がより良い生活を送る一助となる特集。

序文

特集にあたって


高齢の人が増える中,認知症への理解は精神医療従事者の必須科目と言える。一方,この数年で認知症にまつわる状況に大きな変化が生まれている。私たちは備えていた認知症にまつわる理解を見直し,アップデートする必要がある。

2024年1月1日,認知症基本法が施行された。

本法の基本理念は認知症のある人の権利擁護である。だが認知症のある人の精神科病床への非自発的入院は増加し,身体拘束も減少していない。入所施設では十分な説明のないまま入所させられ,帰りたいと言って落ち着かなくなると,ケアする人は薬物療法による鎮静を精神科医に期待する。

本法の施行は権利擁護とは程遠いこうした現実があることの証左と言える。精神科医は公権力の代理人として認知症のある人の権利を損なう判断を迫られることや,本人の権利擁護と対立する家族や専門職からの期待に向き合うときがある。それでも認知症のある人の権利を守るためには,私たちは私たちの中に生じるこうした葛藤に自覚的になる必要がある。そのため,認知症のある人を診療する中で生じる倫理的課題を取り上げた。

認知症のある人のケアでは生活への着目が欠かせない。経済は生活の基盤である。しかし認知症のある人は認知機能の低下を背景に,経済的な被害や困難な状況に遭遇しやすい。そこで,認知症のある人の経済的な権利を擁護するために必要な社会資源を知り,つなぐ術を取り上げた。

障害のある人の暮らしを支えるためには共同創造の理念が欠かせない。だが認知症の領域で共同創造は遅れがちだ。近年,認知症のある人の出版,当事者メッセージの動画配信,診断後支援におけるピアサポートワーカーの活動など,認知症の領域でも当事者活動の萌芽を感じている。認知症のある人のケアでは,認知症のある人が声にすることのできない思いを想像することが欠かせない。

ピアサポートへの理解はケアの質を高める力になる。そこで,認知症のある人のケアにおけるピアサポートについて取り上げた。

アミロイドβを標的とするモノクローナル抗体として,lecanemab,donanemabの製造販売が2023年,2024年に相次いで承認された。有効性には限界があり,重篤な副作用が生じる可能性があること,経済的な負担が大きいことは話題になりやすい。一方,その治療を検討する前に備えておきたい知識がある。それはバイオマーカー検査の有用性と課題,結果の解釈,結果を耳にすることがこころにもたらす影響である。日本では保険診療で行うことができないが,アポリポ蛋白Eε4ホモ接合型キャリアのアミロイド関連画像異常のリスクは添付文書に記載され,アメリカでは遺伝子診断の実施が推奨されている。近い将来,日本でもこうした遺伝子診断が一般的になる可能性がある。遺伝子診断の結果は本人,家族に様々な葛藤を生む。薬の有効性や安全性だけでなく,こうしたことにも理解を深めておくことは,薬の使用を期待する人に出会ったとき,望ましい説明をするための力になる。本特集ではこれらについても取り上げた。

アミロイドβを標的とするモノクローナル抗体を製造販売する製薬企業による軽度認知障害の喧伝は,早期診断を求める人々を医療機関に誘導する。早期診断では頭部MRI検査の容量解析,核医学検査が行われやすい。だがいずれの検査も結果の解釈に気をつけなくては誤診を生み出しかねない。これらの検査の限界や,結果の解釈の仕方についても取り上げたので,理解を深める機会にしたい。

早期診断への人々の期待は精神科医が認知症や軽度認知障害ではない人に出会う機会を増やす。

そうした人々は診療が終わりかけた頃,決まって予防について尋ねる。街のドラッグストアでは認知症予防を謳う製品に出会うことが増えた。私たちはエビデンスに基づいた説明が求められる一方で,前向きに暮らすことを助ける説明や態度を備えたい。喧伝は軽度認知障害と診断された人を継続して診療する機会も増やす。軽度認知障害と診断された人の何割かの人は認知症の状態になる。

認知症の状態になったとしても本人や家族の落胆を弱め,受容を助ける言葉と態度を備えたい。本特集では認知症予防について尋ねられたときの対応や,軽度認知障害から認知症になったときの本人や家族への対応についても取り上げた。

こうした新たな潮流の中で備えておきたい知識だけではなく,これまであった課題だが徒手空拳になりがちなことについても知識と技術に磨きをかけたい。そこで本特集では若年性認知症のある人の仕事の両立支援,うつ病のある人に認知症が生じたと思うときにすべきこと,前頭側頭型認知症を疑ったときにすべきこと・したいこと,認知症のある人と飲酒の課題についても取り上げた。

また認知症のある人のケアに際しては身体的なことにも目を配りたい。身体的な困難さへのケアの質を高めることは,認知症のある人のウェルビーイングのために重要だ。そこで本特集ではレビー小体病のある人に生じやすい自律神経症状,認知症のある人の口腔ケアについても取り上げた。

多忙な中,寄稿くださった執筆陣の皆様に厚く御礼申し上げるとともに,本特集が私たちの認知症診療にアップデートをもたらし,認知症のある人のウェルビーイングに寄与することを願っている。


大石 智

目次

【特集】認知症診療をアップデートする

特集にあたって

大石 智

認知症のある人を診療する医師が備えておきたい臨床倫理の基礎知識

井藤佳恵

認知症のある人の経済的な権利を擁護するために

樋山雅美,成本 迅

認知症におけるピアサポートとその枠組み

矢吹知之

認知症診断において脳形態MRI,核医学検査の結果をどのように理解し,説明することが望ましいのか

根本清貴

抗アミロイドβ抗体薬治療を見据えた認知症診療におけるバイオマーカーの役割

小林良太,森岡大智,坂本和貴 他

抗アミロイドβ抗体治療における告知の課題をどのように理解し説明することが望ましいのか

橋本 衛

認知症予防について尋ねられたときどのような説明,姿勢が求められるか

小田陽彦

軽度認知障害の人が認知症に移行した時,本人のために精神療法ができること

繁田雅弘

若年性認知症のある人の仕事の両立支援をどのように考え,どうすべきか

中牟田なおみ,鈴木麻希,池田 学

うつ病で診療中の患者に認知症が生じた時にすべきこと

古田 光

前頭側頭型認知症を疑ったときにすべきこと・したいこと

品川俊一郎

レヴィー小体型認知症の自律神経症状の理解とケア

榊原隆次

認知症のある人の口腔ケア─その重要性の理解と定期受診の必要性をどう伝えるか─

枝広あや子

認知症のある人に生じる飲酒の課題とどのように向き合うか

藤井 淳

研究報告

うつ病,双極性障害における認知機能改善を目指した心理教育効果の比較

沖野和麿,山本和弘,石山夕佳 他

カレント・トピックス

経頭蓋集束超音波(transcranial Focused Ultrasound:tFUS)の精神疾患治療への応用

西田圭一郎,細見晃一

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書籍情報

  • ISBN:9784022004003
  • ページ数:112頁
  • 書籍発行日:2025年3月
  • 電子版発売日:2025年11月7日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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