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- 内分泌外科手術のキホン
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内容
序文
序文
本書『内分泌外科手術のキホン~おさえておきたい手術の勘ドコロ~』は,甲状腺,副甲状腺,副腎といった内分泌外科領域の基本的な手技から,エキスパートならではの秘訣に至るまでを幅広く取り上げた実践的な手術書である.
内分泌外科は繊細さと熟練を要する領域であり,時代の潮流とともに進歩を遂げてきた.しかし振り返れば,かつては極めてすぐれた成書がいくつも世に出ていたものの,ここ10年あまりは新しい手術書の刊行が乏しいのが実情であった.私自身も臨床に携わるなかで,若い外科医に安心して薦められる現代的な一冊の必要性を強く感じていた.
本書では,従来の開放手術に加え,内視鏡手術や低侵襲アプローチなど,最新の知見や工夫を可能な限り網羅した.豊富なイラスト,図表や動画を随所に配置し,「見てわかる」ことを第一に構成している.手技の流れを追うだけでなく,術者が実際に直面する判断のポイントや注意点を,視覚的に理解できることを重視した.とりわけ「勘ドコロ」とよぶべき箇所については,臨床経験豊富な執筆陣が丹念に書き込み,ある意味マニアックともいえるほどの熱量で表現していただいた.ガイドラインに沿った標準的な記述にとどまらず,読み物としても楽しめる一冊に仕上がったと思う.
外科医療の在り方は,個別化医療の進展,縮小手術への志向,そして薬物療法のめざましい進歩により複雑さを増している.内分泌外科も例外ではなく,従来の定型的な手術から柔軟な適応判断が求められる時代に移りつつある.しかしながら,いかなる新時代にあっても,確実かつ安全な外科手技の基本は揺らぐことがない.AI や分子標的薬が急速に普及する今日においても,手術は当分の間,内分泌疾患治療のメインステイであり続けるであろう.その意味で,次世代を担う外科医にとって,確かな基本を学び,術者の思考や経験に触れることは極めて重要である.
本書の執筆には,大ベテランの名外科医から新進気鋭の若手まで,多くの先生方にご協力いただいた.いずれも内分泌外科に情熱を注ぐ第一線の術者であり,その知見と工夫の結晶が隅々まで息づいている.ここに心からの謝意を申し上げたい.各執筆者の積み重ねてきた経験が随所に散りばめられた本書は,決して一様ではない.しかしその多様性こそが,現場で直面する課題へのヒントとなり,読者にとって新たな気づきをもたらすものと信じている.
この書物が,若手の内分泌外科医のみならず,他領域の専門医や研修医,さらには経験豊かな外科医にとっても一読の価値があるものとなることを願ってやまない.本書を手に取ることで,内分泌外科の魅力と奥深さに触れ,外科医療の未来をともに切り拓く一助となれば幸いである.
2025年10月
日本医科大学大学院医学研究科内分泌外科学分野大学院教授/
日本医科大学付属病院内分泌外科部長
杉谷 巌
目次
A 甲状腺
1 総論 杉谷 巌
2 甲状腺切除手術の基本手技
1 手術準備 杉谷 巌
2 皮膚切開,皮弁挙上 杉谷 巌
3 甲状腺上極の処理 杉谷 巌
4 反回神経と副甲状腺の取扱い 杉谷 巌
5 Berry靱帯の処理と甲状腺切除 杉谷 巌
6 止血と閉創 杉谷 巌
3 甲状腺がんに対する隣接臓器合併切除と再建
1 気管 筒井英光
2 食道 北村守正
3 喉頭 折田頼尚
4 咽頭喉頭全摘術(TPL) 折田頼尚
5 大血管 森谷季吉
4 リンパ節郭清
1 中央区域 菅沼伸康
2 外側頸部 塚原清彰
3 縦隔 森谷季吉
4 咽頭後リンパ節 森谷季吉
5 縦隔甲状腺腫の手術 田中克浩
6 バセドウ病の手術 松津賢一
7 急性化膿性甲状腺炎の手術 舛岡裕雄,宮内 昭
8 エネルギーデバイスの使い方 北川 亘
9 術中神経モニタリングの使い方 友田智哲
10 手術合併症と対策
1 反回神経と上喉頭神経外枝の再建 宮内 昭
2 音声再建手術 湯本英二
3 副甲状腺自家移植 山﨑春彦
4 乳び漏 森 祐輔,進藤久和
5 術後出血 福島光浩
6 頸部違和感とリハビリテーション 宮 章博
7 インフォームドコンセントとクリニカルパス 小野田尚佳
B 副甲状腺
1 総論 堀内喜代美
2 副甲状腺の探索 佐藤伸也
3 副甲状腺の切除 佐藤伸也
4 腎性(続発性)副甲状腺機能亢進症に対する副甲状腺手術 平光高久
5 家族性副甲状腺機能亢進症 内野眞也
6 副甲状腺がんの手術 尾身葉子
7 術後管理 富家由美,小川貴美雄,日比八束
8 インフォームドコンセントとクリニカルパス 小川貴美雄,富家由美,日比八束
C 甲状腺・副甲状腺の内視鏡手術
1 甲状腺・副甲状腺の内視鏡手術の実際
1 鎖骨下アプローチ 長岡竜太
2 腋窩アプローチ(吊上げ式) 中条哲浩,南 幸次
3 腋窩アプローチ(送気法) 齋藤慶幸
4 耳介後(耳後部)アプローチ 菅野真史
5 経口アプローチ Kyung Tae
D 副腎
1 総論 吉田有策
2 術前管理,術後管理 吉田有策
3 インフォームドコンセントとクリニカルパス 吉田有策
4 内視鏡手術
1 経腹膜側方アプローチ 日比八束
2 経腹膜前方アプローチ 滝澤奈恵,元木佑典,大杉治之,木下秀文
3 経後腹膜アプローチ 星 昭夫
4 Hand Assisted Laparoscopic Adrenalectomy 吉田有策
5 ロボット支援腹腔鏡下副腎摘出術
1 経後腹膜アプローチ 佐藤航大,今村有佑,坂本信一,市川智彦
2 経腹膜アプローチ 佐藤航大,今村有佑,坂本信一,市川智彦
6 内視鏡手術以外
1 後腹膜アプローチ 滝澤奈恵,元木佑典,大杉治之,木下秀文
2 経腹膜前方アプローチ 菊森豊根
3 開胸開腹アプローチ 菊森豊根
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書籍情報
- ISBN:9784787882639
- ページ数:328頁
- 書籍発行日:2025年11月
- 電子版発売日:2025年11月27日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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