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精神科治療学 第38巻11号〈特集〉精神疾患・精神障害の経過と長期予後

  • ページ数 : 128頁
  • 書籍発行日 : 2023年11月
  • 電子版発売日 : 2025年12月30日
¥3,190(税込)
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商品情報

内容

今ある精神症状のみに重きを置く精神科臨床になっていないだろうか。
患者さんの精神症状がこれまでどういう経緯をたどってきたか、今後、どうたどっていくかという視点も欠かせない。本特集では、精神症状という横断面を重視しがちな臨床においておろそかになりやすいそれら縦断面を改めて問い直し、代表的な精神疾患・精神障害ごとに縦断的視点に関する最近の知見を詳細に解説。DSM-5-TRやICD-11を踏まえて読み進めると、より理解が深まる。患者さんのリカバリーを念頭に置いた臨床のために必読の特集。

序文

特集にあたって


本誌の特集の多くは,編集委員の1人が提出した企画案を編集会議で検討し,他の編集委員からの意見も取りまとめた上でテーマや依頼する著者が決定される。したがって,最初の企画案策定にあたっては,作成する編集委員のその時々の関心が反映されることがある。今回の特集テーマである「精神疾患・精神障害の経過と長期予後」は,まさに編集子がいま関心を持ち,知りたいと思うことを取り上げさせていただいたものである。

身体,精神を問わず,疾患の理解は横断(症状)と縦断(経過)の両面から試みられるのが通常である。精神医学においても,Kraepelinの時代から精神疾患は症状と経過によって定義と分類が試みられてきた。現代におけるDSMやICDの診断分類においても,その操作的診断基準には症状と経過に関する記載が含められている。経過には,発症から症状形成に至る過程と予後が含まれる。

予後にはさらに,治療下に置かれない場合の自然経過の結果としての予後と,何らかの治療的行為を行った場合の予後が含まれる。経過と予後に関する知見は,日常の臨床の中でこそ得られるものであり,その知見を見出せるのは,臨床医のみである。しかし,忙しい業務の中で診断や治療における重点は症状に置かれがちであり,経過を丁寧に追うという視点がおろそかになっていると感じることがあるのは,編集子だけであろうか?時に少し立ち止まり,縦断的な視点から改めて個々の症例の診断と治療について再検討すること,さらには診断概念の妥当性について考察することは,精神科医としての責務であるように思われる。

実は,編集子が編集委員に就任して最初に企画案を提出した特集は,「早期の症候と経過-病態の理解のために-」(本誌第24巻8号,2009年8月)であった。当時の関心が神経発達症の早期経過であったことを反映したものである。それから14年が経過し,編集子はいま同僚たちと神経発達症の長期経過に関する研究を進めている。精神科医としての経験を重ね,長期にわたって診療を続けるケースが増えてきて,疾患や障害の成り立ちから予後までを縦断的に理解したいという気持ちが強くなった。そこで,第24巻8号の特集と対をなす形で長期予後に関する特集を組むことを思いついた次第である。もしお手元に第24巻8号があれば,本号の特集と併せて読んでいただくと,より理解が深まるのではないだろうか。

各執筆者には,経過と予後を念頭に置いた臨床の意義について改めて目を向ける機会を提供するような原稿を依頼した。代表的な疾患や障害の経過と長期予後について執筆していただいたが,できればまず「経過と予後(転帰)の精神病理学とその意義」(古茶論文)にぜひ目を通していただき,それから他の論考へと読み進めていただきたい。純粋精神医学(pure psychiatry)の立場から精神科診断学において横断的側面と縦断的側面の両面から吟味していくことの意義と視点を提供した,すべての精神科医が必読の論考となっている。

各疾患・障害ごとの経過と長期予後に関する論文については,DSM-5-TRおよびICD-11の時代を反映した鍵概念を念頭に置いて読み進めると,現代的な精神科診断学の理解と考察が深まると思われる。鍵概念をいくつか例示すると,診断概念の変化,治療の進歩,神経発達症概念の浸透,そしてトラウマの視点の拡大などが挙げられる。予後に関する知見が蓄積されたことに伴い,うつ病のようにかつての楽観論を下方修正する見解が定説となりつつある(大前論文)ものもあれば,自閉スペクトラム症(ASD)のように近年の調査では以前に比べて長期予後が良いというデータが示されたもの(岩佐論文)もある。診断概念の変化という視点からみると,たとえば注意欠如多動症(ADHD)では,DSM-5以降ASDとの併記が認められたことに伴い,ASDの併存状態による予後の違いが指摘されるようになった(小野論文)。多くの疾患や障害において再発,遷延化,複雑化,重症化するケースが存在することが述べられていることも,注目に値する。精神疾患・精神障害がまだまだ臨床医や研究者にとって巨大な壁として立ちふさがっていることを痛感する次第である。

いずれの論文も,読者各位が臨床や研究における今後の課題と方向性を見出すための指針となることと思われる。本特集の趣旨を理解していただき,快くご執筆いただいた著者の先生方に厚く御礼申し上げたい。本特集が多くの精神科医療従事者の役に立つことができれば,望外の喜びである。


本田 秀夫

目次

【特集】精神疾患・精神障害の経過と長期予後

特集にあたって

本田秀夫

経過と予後(転帰)の精神病理学とその意義

古茶大樹

DSMとICDにおける精神疾患の臨床経過と長期予後

黒木俊秀

統合失調症の経過と長期予後に関する最近の知見

杉原 徹,荒川育子,針間博彦

うつ病の経過と長期予後に関する最近の知見と過去の歴史─慢性化・長期化したうつ病に対する治療的手立て─

大前 晋

双極性障害の経過と長期予後に関する最近の知見

鷲塚伸介

強迫症(OCD)の経過と長期予後─診断閾値下強迫症状との連続性も含めて─

松永寿人,向井馨一郎

自閉スペクトラム症の経過と長期予後に関する最近の知見

岩佐光章

注意欠如・多動症(attention deficit hyperactivity disorder:ADHD)の経過と長期予後に関する最近の知見

小野和哉

摂食障害(神経性やせ症および神経性過食症)の経過と長期予後に関する最近の知見

吉村知穂,山田 恒,松永寿人

ギャンブル障害の経過と長期予後に関する最近の知見

河本泰信

てんかんの経過と長期予後

兼本浩祐

若年性認知症の経過と長期予後に関する最近の知見

翠川晴彦,新井哲明

PTSDの経過と長期予後

大江美佐里

境界性パーソナリティ症の長期経過─自験例11例の検討から─

林 直樹

研究報告

精神保健医療福祉専門職を対象としたクライシス・プラン研修プログラムの効果に関する研究─研修プログラム参加者を対象とした前後比較─

狩野俊介,野村照幸

臨床経験

治療構造と病態の見直しから,治療展開が認められた強迫症の1例─精神療法的視点からの考察─

樋之口潤一郎,北西憲二

総  説

性別不合の診断と治療─現状と今後の課題について─

早馬 俊

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書籍情報

  • ISBN:9784022003811
  • ページ数:128頁
  • 書籍発行日:2023年11月
  • 電子版発売日:2025年12月30日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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