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- 精神科治療学 第40巻12号〈特集〉中等度〜最重度知的発達症をめぐる精神科臨床
商品情報
内容
本特集では、精神科医療の役割や診断・評価、治療・支援、社会的側面など、精神科医療従事者が知っておきたい知識を徹底解説。明日から役立つ論考を複眼的に集めた比類なき特集号である。
序文
特集にあたって
今年で第40巻を数える本誌だが,中等度~最重度知的発達症に関する特集を組むのは今回が初めてである。
中等度~最重度知的発達症の頻度は高くはない。しかし,早ければ乳幼児期から発達の遅れが顕著となり,生涯を通じて手厚い支援が必要となる。暴力などの問題が生じて精神科医が相談を受けることもある。いわゆる社会的入院を余儀なくされていた人たちの中には,慢性期の統合失調症の人たちだけでなく中等度~最重度知的発達症の人たちも含まれていたと思われる。
ある程度経験を積んだ精神科医なら,必ず数例は診療を担当しているにもかかわらず,本誌のような精神科専門誌で中等度~最重度知的発達症が取り上げられることが少ないのはなぜだろうか?おそらく,多くの精神科医が知的発達症を本流の精神科臨床の対象と認識していないからではないだろうか。知的発達症は,発症した病態に対して治療によって治癒,少なくとも寛解を目指すという精神科臨床の標準的な図式に当てはまりにくい。
児童期では発達促進を目指した取り組みによって治療のようなことをやった気がするが,成人期では知的発達の遅れそのものに対して医療ができることは少ないように見える。薬物療法で幻覚や妄想が改善したり,認知行動療法でうつや不安が改善したりといった治療の醍醐味を味わいにくいと感じ,知的発達症は福祉が対応すればよいと思っている精神科医が少なからず存在するのではないかと思われる。知的発達症の中でも中等度~最重度になると,成人期に達しても会話による面接が成立しにくいため,精神科的な診療が難しい。このことも,あまり積極的に関わろうとしない精神科医が存在する要因となるかもしれない。
しかし,知的発達症の人たちがメンタルヘルスを保ちながら成長し,成人期に安心して社会参加できるよう支援するためには,精神科医療が必要となる場面が必ず存在する。中等度~最重度知的発達症では自閉スペクトラム症の併存率が高いことが知られているため,行動の問題や易刺激性の高さに対して認知特性に配慮した環境調整や薬物治療が必要となることがある。入院治療が必要となることもあるため,病棟のスタッフが知的発達症の人たちへの接し方や生活環境の調整の仕方について学んでおくことは重要である。福祉施設や特別支援教育などとの連携や,福祉制度(ときに医師の診断書が必要)についても知っておく必要がある。
この特集では,中等度~最重度知的発達症について精神科医療従事者が知っておきたいことを系統的に学べるよう,専門家に原稿を依頼した。
まず,高橋和俊先生に中等度~最重度知的発達症の人たちに対する精神科医療の役割について解説していただいた。できれば,最初にこれを読んで全体像を把握していただきたい。若子理恵先生,白石健先生,髙野亨子先生,岩佐光章先生には,診断・評価をめぐる話題について執筆していただいた。知的発達の遅れが大きい場合,早ければ乳児期から発達の異常が検出可能である。また,知的発達症を伴うことの多い先天性疾患も数多くわかっている。したがって,早期発見と早期支援がきわめて重要となってくる。近年のDSMやICDにおける知的発達症概念の概説や診察および検査のコツについても執筆していただいた。
中等度~最重度知的発達症に併存することの多い病態として,強度行動障害(會田千重先生),自閉スペクトラム特性(成田秀幸先生),てんかん(兼本浩祐先生)について取り出して執筆を依頼した。精神科医療で知的発達症のケースに関する相談を受ける場合には,これらの問題が併存していることが多い。精神科医にとって必須の知識であると思われる。
治療・支援については,入院治療(田中恭子先生),精神科薬物療法(岡田俊先生),教育との連携(中西大介先生),家族への支援(山田哲子先生)について取り上げた。入院治療や薬物療法では,知的発達の遅れの改善を目指すわけではないため,何を目的とし,何をゴールとするのかを丁寧に考えていかなければならない。一方で,支援は精神科医療で完結することはまず皆無であり,他領域との連携が不可欠である。本人の生活を支える家族への支援も重要な課題である。中等度~最重度知的発達症の人を担当して治療や支援にあたる際に必要な考え方について解説していただいた。
さらに,中等度~最重度知的発達症にまつわる社会的側面についても執筆していただいた。精神科医が診断書作成などで関わることの多い手帳,手当,障害年金の制度について,氏家由里先生にまとめていただいた。さらに,高齢期の知的発達症の人たちをめぐる社会的状況について,日詰正文先生に解説していただいた。
中等度~最重度知的発達症だけを扱ってこれだけ複眼的に論考を集めた特集は,他に類を見ないのではないかと思う。価値の高い原稿をお寄せくださった著者の皆様に厚く御礼申し上げる次第である。
本特集が,中等度~最重度知的発達症の人たちおよび家族の生活改善に少しでも寄与することを願ってやまない。
本田 秀夫
目次
【特集】中等度~最重度知的発達症をめぐる精神科臨床
特集にあたって
本田秀夫
中等度~最重度知的発達症の人たちに精神科医療は何ができるか?
高橋和俊
中等度~最重度知的発達症の子どもへの早期発見と早期支援
若子理恵
中等度~最重度知的発達症の診断
白石 健,本田秀夫
中等度~最重度知的発達症を生じることの多い先天性疾患
髙野亨子
中等度~最重度知的発達症の支援における自閉スペクトラム特性への考慮
成田秀幸
強度行動障害
會田千重
中等度~最重度知的発達症の人たちの精神科入院治療
田中恭子
中等度~最重度知的発達症の人たちの診察・処置・検査の工夫
岩佐光章
中等度~最重度知的発達症の人たちに併存するてんかんの診療
兼本浩祐
中等度~最重度知的発達症の人たちへの精神科薬物療法
岡田 俊
特別支援学級・特別支援学校と児童精神科医療との連携─中等度~最重度知的発達症の子どもを中心に─
中西大介
中等度~最重度知的発達症に関連する福祉サービス,手帳,手当,年金
氏家由里
中等度~最重度知的発達症の人たちの家族への支援
山田哲子
高齢期の知的発達症の人たちに関する社会的状況
日詰正文
臨床経験
接触欠損パラノイドを参考にした孤立に対する環境調整が有効であった統合失調症の一例
西川直輝,藤本侑花,高田涼平 他
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書籍情報
- ISBN:9784022004012
- ページ数:116頁
- 書籍発行日:2025年12月
- 電子版発売日:2026年1月7日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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