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- 精神科治療学 第41巻1号〈特集〉こんなときに私ならこうする
商品情報
内容
本特集では、精神科外来診療や訪問診療で出会うことのある迷いがちな状況を設定し、経験豊富な精神科医が解説。各項目は具体性のあるテーマが設定され、架空症例とともに論じられており、臨床場面を想像しやすい。若手医師はその日の診療で気になったことの答えに出会うことができ、ベテラン精神科医も自身の診療を振り返り、さらに腕を磨く機会を与えてくれる特集。
序文
特集にあたって
精神科の外来や訪問診療では,迷いながらもその場で判断しなくてはならない時がある。診察を始めようとしたら同行してきた家族が診察室のドアを少しだけ開け,「先に家族だけ話してもいいでしょうか」と申し出てくることがある。
診察を終えて本人が外に出たのを見計らって,一緒に出ようとしていた家族が踵を返して「ちょっといいですか」と申し出てくることがある。
家族がそうしたくなるのには家族と本人の関係性や精神病理に理由があるのだろうけれど,本人と精神科医のその後の関係性に及ぼす影響を考えると素直に応じることに躊躇する。だが家族の困った表情を目にすると「本人のいないところでは話せません」と対応することも憚はばかられる。こうした「迷うけれども1人で判断しなくてはならない時」というのは,精神科外来をしていると時々やってくる。そしてその場の判断が目の前の人の将来に大きく影響することがある。
判断に迷う時には複数の人たちと相談することが重要だと教えられてきた。精神科の病棟では同僚や先輩の精神科医,メディカルスタッフたちと相談することができる。しかし外来や訪問診療で精神科医は孤立しがちだ。教育研修機関には複数のベテラン精神科医がいる。それでも外来診察室ではベテラン精神科医たちに時間的なゆとりがいつもあるとは限らない。そして相談したいベテラン精神科医の外来ほど混雑している。診察室に来た人を前にして,そう易々と席を外せるわけでもない。
「迷うけれども1人で判断しなくてはならない時」に出会うと,その答えに出会いたくていくつかの精神医学書に触れる。最近,多く出版されているオープンダイアローグに関する本を読んでいると,「複数の人たちで対話する」「結論を急がない」ことの大切さに気づく。だが,多くの人が訪れる精神科外来や,複数の家を渡り歩く訪問診療では人と時間の制約が大きい。その場その場でひとまずの判断を1人でしなくてはならない時は多い。そして既存の精神医学書の中で「迷うけれども1人で判断しなくてはならない時」への答えには出会えないことが多い。
以前,編集子がいた大学病院の医局では,申し送りの際に科長が「外来で迷いがちなこと」をひとつ取り上げ,科長と教室員たちが対話を重ね,判断を共有する時間が不定期に設けられたことがある。いつもは眠たげな若手の教室員も対話に参加し,申し送り後も医局内で「外来で迷いがちなこと」について対話が続いていた。
「迷うけれども1人で判断しなくてはならない時」への答えに出会いたいと思うのは,どうやら編集子だけではないようだ。
特に若手の精神科医は外来で自分の判断に自信を持ちづらい中,不安を抱えながら診療している。中堅以上の精神科医も「迷うけれども1人で判断しなくてはならない時」のことについて若手から尋ねられ,答えに窮することがある。
経験を問わず「なんとなく」判断していることは多い。だが「なんとなく」な判断の過程の解像度を高め,その裏づけになる理論,経験知を共有することができたなら,精神科診療の質を高めることができるのではないだろうか。
本特集は「こんなときに私ならこうする」と題して,精神科外来診療や訪問診療で出会うことのある迷いがちな状況を設定し,経験豊富な精神科医に解説をお願いした。同様のテーマは本誌33巻増刊号「精神科臨床144のQ&A」(2018年発行)がある。この増刊号は多くの教科書には記されていないが,精神科臨床で備えておきたい知識を得る上で,今も役立つ一冊になっている。だが臨床では知識だけではなく,より実践的な判断のための指標,望ましい態度や言葉を備えておきたい。そこで本特集の依頼の際には,臨床を豊かに想像することができるよう,具体性のある表現で描写したテーマを設定させていただき,可能な限り架空の症例とともに論じていただくことにした。具体性のある表題はともすれば冗長になり,読みたいテーマを選びづらくするため,キーワードとしての役割を果たすブリーフタイトルも付けていただくようにした。
そんな編集子の我儘な要望に快く応えてくださったベテラン精神科医たちによる数々の言葉には,まるで診察に陪席しながら教えていただいているようなライブ感を覚える。精神科外来診療や訪問診療を始めたばかりの若手精神科医にとって,診察室の引き出しに備えておけば,その日の診療で気になったことの答えに出会える特集になっている。気になるテーマに触れるだけでも良いが,通読してみると精神科診療で大切にしたい共通項が浮き彫りになる。そうした意味では中堅以上の精神科医にとっても,自分の診療を省察し腕を磨く機会を与えてくれるような気がしている。
編集子は通読した後,言いようのない癒しを感じた。それはベテラン精神科医たちの中にある,精神疾患のある人への優しさ,真摯で温かな眼差しを感じたからなのかもしれない。
大石 智
目次
【特集】こんなときに私ならこうする
特集にあたって
大石 智
患者を外した家族面接
渡辺俊之
“マル秘”連絡を受けたとき
佐藤駿一,金生由紀子
担当患者の妄想の中に私が現れたとき
近藤伸介
解離症の切り替わり時の臨床応答
新谷宏伸
自殺企図を打ち明けられる
大塚耕太郎,三田俊成,赤平美津子 他
患者自殺既遂後の対応
齋藤諒将,山本賢司
強迫症で医療者に確認が繰り返されるとき
中尾智博
本人不在の免許返納説得依頼
大石 智
捜査関係事項照会への対応
茨木丈博,岡田幸之
双極症の薬をやめられるか?
鈴木映二
統合失調症患者からの服薬終了の希望
橋本直樹
統合失調症の服薬自己中断
市橋香代
抗てんかん薬の断薬
齋藤正範
本人不在の断ギャンブル説得依頼
朝倉崇文
依存症患者の再飲酒・薬物再使用
成瀬暢也
虐待経験の告白への対応
原田誠一
働きたいを応援すること
林 輝男
末期がん患者から死を切望されたとき
小林広幸,清水 研
子どもの『死にたい』への対応
河邉憲太郎
小児の身体疾患治療拒否
西川圭太,三上克央
家族が患者を家に監禁している事例
高木俊介
在宅における暴力・ハラスメントへの対応
高野洋輔
患者からの特別な好意に向き合う
北村隆人
受診を拒否した認知症疑いの人の対応
上田 諭
担当医交代の要望
白波瀬丈一郎
身体症状症の患者からの検査希望への対応
名越泰秀
臨床経験
山梨県立北病院における非同意治療後のデブリーフィングの実践
加藤千晴,澤登昌美,三澤史斉
カレント・トピックス
アルツハイマー病診断における血液バイオマーカーの意義と課題
小林良太
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書籍情報
- ISBN:9784022004101
- ページ数:104頁
- 書籍発行日:2026年1月
- 電子版発売日:2026年2月11日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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